昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第三章:1970~73年 石ころと流れ星   ②

2011年03月21日 | 日記
朝早く、桑原君はやってきた。店の前に毎朝配達されてくる鶏ガラの山を寸胴の中に入れ、白湯スープの準備が終わった頃だった。デモか座り込みの帰りだろうと思った。 「黒ってどこ?」。セクトはヘルメットで色分け。革マルは赤、中核は白、青は文学部のL闘くらいまでは認識できていたが、黒に記憶はなかった。 「黒ヘルって、知らへんか~?」。桑原君は、黒ヘルの頭をポンと叩く。その指先から血が滴っているのに驚き、「 . . . 本文を読む