昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第三章:1970~73年 石ころと流れ星   ①

2011年03月18日 | 日記
「ヘルメットの色、変わったやろ?」。深夜にやってきた桑原君は、後ろ手に隠し持っていたヘルメットを畳の上に置いた。ずっと白だったヘルメットが、黒に変わっていた。誇らしげだった。 「なんてセクト?」。そう尋ねて僕は、自分の口から“セクト”という言葉が自然に出たことに驚いていた。 1970年4月中旬。僕は大学生になり、そして中華料理屋店の住込み従業員になっていた。 &nbs . . . 本文を読む