晴れのち平安

源氏物語を中心に平安な日々♪
※文章や写真の無断転載は禁止!

【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2007年1月撮影 新春行事~餅鏡と歯固め~

2015年07月12日 | 京都・風俗博物館
 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

生ける仏の御国~六條院の新春 梅の花に競う薫香~ に引き続き、
2007年1月に撮影した風俗博物館の展示の様子です。

六條院春の御殿 東の対 にて
『源氏物語』<初音>より
「新春行事~餅鏡と歯固め~」
展示されていました。


 (六条院 春の御殿 紫の上付きの女房たちは)ここかしこに群れゐつつ、歯固めの祝ひして、餅鏡をさへ取り混ぜて、千年の陰にしるき年のうちの祝ひ事どもして、そぼれあへる

 (訳:あちらこちらに寄り合っては、歯固めの祝いをして、鏡餅まで取り加えて、千歳の栄えも明らかな新年の祝い言を唱えて、戯れ合っている



 新春行事~餅鏡(もちいかがみ)~





<博物館レジュメより>

日本では、古くから鏡を神霊の依代(よりしろ)の一つ
としており、正月の餅もこの鏡に似せて神に供えたので、
餅鏡という。
「餅鏡」は現在でいう鏡餅の事で、元旦から三日まで、
長寿を祈願して、餅を丸く平たく作り、二重もしくは
三重に重ねて飾るものである。
「歯固め」は食することによって長寿を願うが、餅鏡は
神にお供えすることに意味があり、そのことに重点を
おいて、見たり眺めたりして長寿を祈り祝うものであった。




源氏の召人のひとり、中将の君。

餅鏡に源氏の千歳の長寿を祈り、祝っている。






 新春行事~歯固め(はがため)~





“「歯」は「齢(よわい=人の年齢)のことで、年頭に当たって
様々な物を食べ、齢(よわい)を固めて健康と長寿を祈る行事で、
元日より三日まで行われる。
これは中国で元日に「膠牙餳(こうがとう)」という、固い飴を
食べて歯の根を固めて強くし、長寿を願うという行事が日本に
入って日本風に変化したもので、初見は『土佐日記』『延喜式』
である。







歯固めの食事。

・大根
・真菰(まこも=古来より神事に深く関わり、邪気払いとされた)串刺し
・押鮎(おしあゆ=塩漬にして、おもしで押した鮎)
・焼鳥
・猪肉二盤(一鮮・一焼)
・押鮎(切盛、頭二串置)
・煮塩鮎(切盛、頭二串置) など

これらの歯固めの食事を用意し、
屠蘇(とそ)を加える。






 実物大展示室 へ続きます。






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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2007年1月撮影 生ける仏の御国~六條院の新春~

2015年07月12日 | 京都・風俗博物館
 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

歳暮の衣配りより~女君達の装束紹介~ に引き続き、
2007年1月に撮影した風俗博物館の展示の様子です。

六條院春の御殿 東の対 にて
『源氏物語』<初音>より
「生ける仏の御国(みくに)~六條院の新春 梅の花に競う薫香(くんこう)~」
展示されていました。



<博物館レジュメより>
源氏36歳の元旦、昨年8月に完成した六條院において
源氏は初めての新春を迎えた。
春の町で初めての春を迎える紫の上(28歳)の春の御殿は、
冬の名残りもなく一片の雲も無いうららかさの中で、梅の香り
も御簾の中の薫物(たきもの)の香と愛和して極楽浄土を思わす
風の香りとなり、辺りに満ち充ちている。



 春の御殿の御前、とりわきて、梅の香も御簾のうちの匂ひに吹きまがひ、生ける仏の御国とおぼゆ。

(訳:春の御殿のお庭は、特別で、梅の香りも御簾の中の薫物の匂いと吹き混じり合って、この世の極楽浄土と思われる。



紫の上。
小袿姿。

母屋に座す紫の上は昨年の歳暮に源氏より贈られた、
葡萄染(えびぞめ)の紅梅文様の小袿を優美に着こなしている。


 紅梅のいと紋浮きたる葡萄染の御小袿、今様色(いまよういろ)のいとすぐれたるとは、かの御料。


今様色とは
当世風の流行の色で紅花で染めた色、または濃い紅梅色。





源氏。
冠直衣(かんむりのうし)姿。





伏籠(ふせご)に装束をかけて香(こう)を焚き染める女房



調合した練香(ねりこう)を火取(ひとり)で燻らす女房




源氏と紫の上。




 今回の展示では、香木を実際に見て触れて香りを確認できるコーナーがありました。











 新春行事~餅鏡と歯固め~ へ続きます。




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【京都・風俗博物館~よみがえる源氏物語の世界~】 2007年1月撮影 歳暮の衣配り~女君達の装束紹介~

2015年07月12日 | 京都・風俗博物館
 京都市下京区にある風俗博物館のこと。

平安の遊び~貝合せ~ に引き続き、
2007年1月に撮影した風俗博物館の展示の様子です。

東の対 東廂
「歳暮の衣配り~女君達の装束紹介~」
展示されていました。

舞台は、母屋(もや)と見立てられています。



<博物館レジュメより>
源氏35歳の年の暮れ、その年の秋に落成した六條院において、
それぞれの御殿に住まわせている女君達にふさわしい正月用の
装束を紫の上と調えた。
源氏自らが女君たちの年齢や容貌・性格にふさわしく見立てた
きらびやかな衣裳を目の当たりにして、まだ見ぬそれぞれの
女君達の器量を推し量る紫の上の複雑な心中が思いやられる。



 明石の姫君:細長姿



 桜の細長に、つややかなる掻練(かいねり)取り添へては、姫君の御料なり。


細長とは
高貴な女性が平常に着たやや改まった装束で、袿や小袿の上に着用した。
物語に登場する場面は様々だが、女性の若々しさや幼さを象徴する装束であったことが伺える。




 明石御方:小袿姿



 梅の折枝、蝶、鳥、飛びちがひ、唐めいたる白き小袿に、濃きがつややかなる重ねて、明石の御方に。


小袿とは
高貴な女性が平常に着た代表的装束。
身丈ほどの袿で、晴れの装束であった。
唐衣裳を省略した場合に着用されることがあり、平常着でも礼装的な意味合いがこめられていた。





 末摘花:袿姿



 末摘花の御料に、柳の織物の、よしある唐草を乱れ織れるも、いとなまめきたれ



 花散里:袿姿



 浅縹の海賦の織物、織りざまなまめきたれど、匂ひやかならぬに、いと濃き掻練具して、夏の御方に。

※夏の御方=花散里



 玉鬘:細長姿



 曇りなく赤きに、山吹の花の細長




 空蝉:袿姿



 空蝉の尼君に、青鈍の織物、いと心ばせあるを見つけたまひて、御料にある梔子の御衣、聴し色(ゆるしいろ)なる添へたまひて、






生ける仏の御国~六條院の新春 梅の花に競う薫香~ へ続きます。





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