伊坂幸太郎 著。
妹から借りました。
そろそろ飽きた?
いや、飽きないし 相変わらず面白いけど。
今回のこの本では ストーリーとは関係ない別のところで釘付けになっちゃって。
主人公は四人組。
その中の冷静沈着な成瀬の息子が自閉症なんです。
名前はタダシ君。
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医師が言った言葉。 「人間の曖昧な部分が嫌いな性質のことですよ」
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これ! 毎日うちの息子はこの「曖昧」と闘っています。
日々の生活は曖昧の連続だから、彼の頭の中はいつも混迷。
以下、全て、四人組の中の一人、久遠が言った言葉。
↓
「一緒にスターウォーズを見たじゃない。タダシくんはさ、筋なんかどうでも良かったみたい。
オビ=ワンがライトセーバーを振った回数を憶えているんだよ。
ダースベーダーと闘っている時に何回振り回したとかさ。あと、チューバッカが吠えた回数とか」
「自閉症のことには詳しくないけど、でも、僕にはなんとなく分かる気がする。タダシくんは必死なんだよ、きっと」
「タダシくんは、突然、外国に放り投げられたようなもんなんだよ。
コミュニケーションの手段を取り除かれてるところからスタートするんだからね。
とにかく得体の知れない世界で生きていかなくちゃいけない。だから、手探りでみんなと交流しようとしているんだ。
僕たちの言葉を鸚鵡返しにしたり、文章を丸暗記したり。
意味も重要性も分からないから、手当たり次第に記憶する。時折、堪えられなくなってパニックを起こす」
「タダシくんはどうにか世の中のルールを探そうとしているんだ。
だから、ようやく見つけたルールがちょっとでも変更されていると戸惑うんじゃないかな。
ルールが変わるのは不安だからね。それだけのことだよ。
タダシくんは世の中の全部を書き留めて、記憶して、片言の言葉を駆使して、この世界との折り合いをつけようとしている。だからさ。」
「もし、火星に僕たち全員が連れて行かれたら、一番動揺しないのはタダシくんだよ。
どうしたらいいか分からなくて、おたおたしている僕たちに比べて、タダシくんはきっとできる限りのことをやるよ。
タダシくんにとったら、手探りでコミュニケーションを取るという意味ではここも火星も変わらない」
*
私は泣きましたね。そして、震えましたね。
こんなに分かってくれる人がいるなんて。
この四人組がうちの息子の傍に居てくれたらどんなに心強いだろう。
でも これは小説だからね。
人生、そう甘くはないことくらいわかってる。
それでも私の心はバコンバコン反応しちゃった。
今後、人に息子のことを説明するときに、この部分、使わせてもらおうと思います。 伊坂さん、ありがとう。
肝心のストーリーの方は・・・・知りたかったら調べてみてください。(また丸投げかい)
映画にもなってるし。
余りにも上記の台詞に胸を衝かれたため、本のレビューとしては成り立っていませんがお許しを。
まあ いちいち書かなくても私の本記事っていつもこんなですけどね。
あ、「陽気なギャングの日常と襲撃」は「陽気なギャングが地球を回す」の続編なんですが
「陽気なギャングが地球を回す」だけでも全然OKだと思います。
ただし、「陽気なギャングの日常と襲撃」を読みたいなら まずは
「陽気なギャングが地球を回す」を読んでからの方がいいです、絶対。