ゆっくりかえろう

散歩と料理

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匂い2

2015-11-20 | フィクション

早い時間に会社(支社)について机の前でお茶を飲む。

鼻が利かなくなるので 煙草は厳禁だ。

この仕事をするもので 匂いのキツい嗜好品をやるものは 使い物にならない。

早くから来て仕事の準備とは熱心だと思うお方もおられたら大間違い。

私は仕事は大嫌いだ。身過ぎ世すぎが無ければ 遊んで暮らしたいが 世の中そう都合よくできてはいない。

俺は嫌々働いている。

なら何故早くから来て机の前にいるかといえば  もうすぐ監査だと教えてくれるものがいて 仕方無く早くから来ている。

本来フレックス出勤の俺はこんなに熱心(なフリ)はしない。

いくら何でも溜まった伝票や経費の計算くらいはしないと 上部から目を付けられるからだ。

俺の立場は微妙で 他の同僚に廻る仕事は(自動車事故の調査)は殆どやらなくて済む代わりに 人のできない調査が廻ってくる。

それで今までは 済んでいたが 会社のお偉いさんは 理解不能だろうから 働くフリだけでもしておいてくれと 前もって上司様の命令が昨日留守電に はいっていた。


有り難いことにまだ見捨てられていないらしい。

先ほど一緒に出社した小松君なんかは 優秀な会社の戦力でお茶も飲まずすぐ出て行った。

彼は伝票など溜めたりはしないから どこへでもすぐ出られる。

俺と違い優秀で働き者の社員なのだ。

ただ会社にとっていい社員が 同僚にとっていいヤツだとは限らない。

・・・とひとり愚痴をこぼしていると 部長室に呼ばれたので いやいや行く。

 「やあ 元気してるかい?」

 「相変わらず上司に会っても不敵な面構えと 眠そうな表情はかわらないな」

 見れば5年前に本部に栄転していった部長 当時の我が上司だった。


 「これは珍しい、栄転されてからお会いするのは初めてですね 

ぶちょ・・・」

 「じゃなかった 常務」

「いつも無理な注文ばかりで すまんね」



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