Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

ブリザード

2016-09-02 14:42:26 | 日記

 雪は交じりませんが、もの凄い冷え込みでした。

クーラーの風がまともに当たり、鳥肌が立ち震え上がるほどでした。

此処は何処かというと、さ―さんとやって来たカフェです。

待ち合わせの場所からそう遠くない、街中にある、通によく知られたコーヒーショップでした。 

 店内があまり広くないので満席との事、さ―さんの肩越しに個室なら空いているとお店の人の声が聞こえてきます。

個室って初めて聞きました。どんな部屋何でしょう。

個室でいい?とさ―さんに聞かれて、どんな部屋なのかなと興味を持ちながらこっくりと頷きます。

奥に通されて入ってみると、ああそうなんですね、このお店の応接室のようです。

テーブルにソファー、4人掛けの物が一組置いてあります。

 部屋に座って落ち着いて眺めてみると、漸く個室の意味がわかりました。部屋には2人だけです。隔離部屋ですね。

あれーえ、何だか、困った状態にならなければいいんだけど。(既になっているのかも、と思います

と、車に乗った時点まで遡り、今日の自分を反省します。 

後悔先に立たずです。

 内心焦りながら平静を装っていると、私を面白そうに眺めているさ―さんの視線に気づきます

悪戯っぽそうな目つきです。きらきらしています。

私は益々用件を早めに済ませて帰ろうと思います。

 「あの、名簿なんですけど。」

と私が言うと、あ、そうそうという事で、さ―さんは簡単な用紙によくいうガリ版風の名簿冊子を取り出すと、私の前に差し出しました。

 今年の卒業生も載せてあるから、大事に取って置いてね。

そう言われて名簿を手に取り眺めます。

 まとめるの大変でね、とさーさんが仰います。そうか自信作なんだ見せるのが楽しみだったのでしょう。

それで悪戯っぽそうな表情だったのだと私は少しほっとします。

まとめるの大変だったでしょうね。と労うと、とても嬉しそうな表情でニコニコされていました。

 名簿に目をやり活字を眺めますが、個室という状況です、全然頭に入ってきません。褒め言葉の前に早めに切り上げたいと思います。

では、これでと言おうとすると、さーさんは

「サークルで何か嫌なことがあった?」

と、聞かれるのです。私が全然出て来ないから聞いて欲しいと頼まれたそうです。

無いかといえば有ります。

 どちらかというと、正直なところ、皆は私に出てきてもらいたく無いのではないか、と私は感じていました。

元部長さんの一件、らーさんとお余りになってしまった一件、加えて合宿中に向こうの院生から、わざとでは無いでしょうがお尻を触られた件(書いてありませんでしたが)等がありました。

 「院生の人に何かされた?」

と言われるので、おさわりを見ていた人がいたのかしらと思います。

 物を取ろうとして通路から寝所に当たる畳敷きに身を乗り出していた時です 、話に出た院生の人が私の後ろを通り過ぎて行ったのですが、通りがけにポンと軽くお尻を叩いて行ったのです。

父が娘のお尻をポンと叩くような感じでした。あれ、とびっくり。男子学生と間違えたのかなとも思いました。

 でも、間違えたにしても嫌ですよね。バツが悪いものです。向こうも2歩くらい行った所でハッとしたようでした。無言で足早に離れて行かれました。

 まあ、そうですね。と、私は詳しくは言わず、ちょっと嫌なことはありましたね。だけに留めました。異性には言い辛い話です。

それより私用で忙しくて、後期はなるべく出るようにします(実は方便)。と言うと、早めに切り上げたいと、寒さに身震いし始めます。

 注文のコーヒーが来た時、店の人があまり冷えていない部屋のクーラーを全開にしたらしく、物凄い冷気が後方からやってきます。

時を追うごとにクーラーで体は益々冷え込み、ちょっと寒いから、凄く寒い、非常に寒いに変わり、声さえ震え声、ぶるっと身震いしてしまいます。もうとても我慢できません。

「すみません、凄く寒いんです。…。」

と、今の自分の状態を説明して部屋を出ようとします、が、さーさんは全然寒く無いようです。更に話は進みます。

 


平服

2016-09-02 14:01:50 | 日記

 さて、デイトではないしと考えます。

着るものに困っていました。いかにもの格好で出かけて行っては向こうも困るでしょうしと考えます。

この時私はさ―さんに彼女がいることを知っていました。偶然にも同じ同期の同じ科の子でした。入学当初、これも偶然に買い物先で2人が歩いているのを見かけてしまったのです。

買い物を一緒にしていた大学の新しい友達が、さ―さんと連れだっていた彼女の方を見つけ、その友人の友人が彼女とごく親しくて、後日あの時の彼はねと名前を聞いたのがさ―さんでした。その時はそうなんだと思っていただけでした。

 さて、着る物は普段着の少し改まった感じが良いかなと思いますが、時は盛夏です。堅苦しい服も来たくないしと、深緑のTシャツに流行りの新しく買ったフレアスカートにします。夏らしい配色で目立たない感じで抑えました。

(これって2度目に会った時かもしれません。昔の事で忘れました。

パウダーブルーのフレンチスリーブでワンポイントの白い花柄、スカートは同じフレアの爽やか目だったかもしれません。

こちらですね、きっと。

 当日、待っていると、電話で聞いていたかもしれませんがさ―さんは車でやって来ました。

最初車に同乗するのには抵抗感がありました。とはいえ車の中と道端で長話もできません。

しかも狭い道だったと思います。乗って乗ってと言われるままに車に乗ってしまいました。

男の人と2人で車に乗るのは初めてです。

この辺り、家にいる父が誰と出かけたか知っていたので、私には安心感が湧いたのでしょうね。

それでも内心、うん、という決断が必要でした。相手を信頼しないと車に同乗はできないですよね。

 


2年の夏

2016-09-02 09:21:50 | 日記

 大学2度目の夏、今年の夏は落ち着いた感じがします。高校の友人とやはり海に行ってきました。昨年水着サイズが小さいと何人かに言われていたので今年水着を買い換えました。水着も落ち着いた感じの物にして2年目です。

昨年が昨年だったので、次の年も何かあったかというと特に何事もなく過ぎて行きました。

大学の合同サークルも、私が2回生になってからは参加することがなく過ぎていました。

忙しいせいもありましたが、前年のことを考えると優しかっため―さんが去った後は、何だか親しい人がいなくなったように感じ、サークル活動への意欲が希薄な感じになりました。サークルに参加する魅力を感じないままで春は過ぎて行きました。

 あの後聞いたところでは、め―さんはお父さんの後継者になったようでした。当初ご次男だという事で、婿取りであった私はそんな点でも最初からめ―さんに好感が持てたのですが、家の跡取り同士ではうまく行きようがありませんでした。

特にめ―さんのお父さんの会社はかなり大きかったようで、め―さんの将来を考えると軽く好印象のまま、あのままでお別れした方がよく、私にとってもとても良い思い出として残り、このままでこの先悪い思いでは作りたくないと考え、合宿生活が限界であった(人いきれに限界でした。睡眠もゆっくり取れなくて、とてももう1日はいられません。)私は3日目には早々に帰宅してしまいました。

 自宅でのんびり転がって、今年の夏は落ち着いて何事も無く過ぎて行くなぁと思っていた時です、

ジリリリリン…

電話が鳴り父が応対しました。何やら話しています。

「おい、さ―さんという男の人から電話だ、きちんとした挨拶する者だな。」

と、一寸真顔で感心した感じの父の声がします。

何故さ―さんから電話が、と私は驚いてしまいました。

さ―さんから電話が来るなんて、ポカンとした私には思いもよらない事でした。ホントかしらと耳を疑ったほどでした。

 電話口に向かうと、父はいつになく私の顔色を窺うように見て、知っている者かと聞くので、そうだと答え、サークルで一緒な同郷の人、向こうの国立大学の3年生の人だと答えました。話したことはあるけど親しい人では無いと言うと、向こうもそう言っていたと父は受話器を渡してくれました。

 半信半疑、電話に出てみると、どうもやはりさ―さんの声のようです。サークルの合同の名簿ができたから預かって来た、私に渡したいから会えませんかという内容でした。

会う日時と場所を決めてすぐに電話は切れました。

 当然、用は何かと父が聴くので、名簿の話をし、会うことになったと言い、聞かれる前にさーさんの自宅地や出身高校、学部などを言います。とても頑張って勉強されていた事など、そう話をしたことがない事など、父に当時私が知っていたさ―さんの個人情報を話します。

背を向けた父はそうかと言って特に何も言わず、私はじゃあ明日会うことになったから留守にするねと告げるのでした。