当てもなく街に飛び出してみても、時間を持て余すだけの事です。
『ハンサムな男の子なんて街にごろごろ転がっている訳がありません。』そんな言葉を内心呟き、私は彼への当てつけに新しいボーイフレンドを見つけてみても、そんな事無駄で馬鹿馬鹿しいだけだと思っていました。
只、彼との関係に終止符を打ってさっぱりと切り上げたかっただけでした。
その間、彼と距離をおいて遠ざかるため、彼と話をしたり、会うことの無いよう街歩きをしているのでした。
久しぶりに、いつも歩いていた場所とは違う通りに出てみると、頃は青葉の季節、気候も通りも清々しく新鮮に感じるのでした。
3年生ともなると身長も伸びて、視界も上になり、街並みもぐーっと狭まって気も大きく明るい気分になりました。
曜日や時間、誰かという人など、何かにとらわれるという事も無く、自由を満喫するのは本当に久しぶりです。
さて、もう帰ってもいいかな、でも念の為と、出来るだけ時間を引き延ばしてあちらこちらの街角、家の陰を転々とするのでした。
2、3日、彼と歩いた事が無く、私の知っている場所で安全な所、ある程度時間を過ごし宵になる前帰宅できる、そんな場所を巡って時間を潰していました。
でも、これも毎日する必要はなく、彼の来そうな曜日だけそうすればよかったのでした。
ある日の彼の来そうな曜日、私はまた早々に街へと出掛けました。
明るい日差しの中、今日はどんなルートで街を回ろうかと歩いていると、ショーウィンドーの中の可愛い衣類を纏っているマネキンが目に留まりました。
そうだわ、ここのお店にも昔よく見に来たっけ。
私は久しぶりに見る可愛い衣類、そのコーディネートの魅力に魅せられるのでした。
明日からはここのお店もルートに入れよう。良い時間つぶしの場所が1つ見つかって良かった。
そう決めると私はホッ!と一息吐くのでした。