Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

久しぶりのフリー

2016-09-10 21:51:56 | 日記

 当てもなく街に飛び出してみても、時間を持て余すだけの事です。

『ハンサムな男の子なんて街にごろごろ転がっている訳がありません。』そんな言葉を内心呟き、私は彼への当てつけに新しいボーイフレンドを見つけてみても、そんな事無駄で馬鹿馬鹿しいだけだと思っていました。

只、彼との関係に終止符を打ってさっぱりと切り上げたかっただけでした。

その間、彼と距離をおいて遠ざかるため、彼と話をしたり、会うことの無いよう街歩きをしているのでした。

 久しぶりに、いつも歩いていた場所とは違う通りに出てみると、頃は青葉の季節、気候も通りも清々しく新鮮に感じるのでした。

3年生ともなると身長も伸びて、視界も上になり、街並みもぐーっと狭まって気も大きく明るい気分になりました。

曜日や時間、誰かという人など、何かにとらわれるという事も無く、自由を満喫するのは本当に久しぶりです。

 さて、もう帰ってもいいかな、でも念の為と、出来るだけ時間を引き延ばしてあちらこちらの街角、家の陰を転々とするのでした。

2、3日、彼と歩いた事が無く、私の知っている場所で安全な所、ある程度時間を過ごし宵になる前帰宅できる、そんな場所を巡って時間を潰していました。

でも、これも毎日する必要はなく、彼の来そうな曜日だけそうすればよかったのでした。

 ある日の彼の来そうな曜日、私はまた早々に街へと出掛けました。

明るい日差しの中、今日はどんなルートで街を回ろうかと歩いていると、ショーウィンドーの中の可愛い衣類を纏っているマネキンが目に留まりました。

 そうだわ、ここのお店にも昔よく見に来たっけ。

私は久しぶりに見る可愛い衣類、そのコーディネートの魅力に魅せられるのでした。

明日からはここのお店もルートに入れよう。良い時間つぶしの場所が1つ見つかって良かった。

そう決めると私はホッ!と一息吐くのでした。

 


おー君の思い出その10

2016-09-10 20:17:21 | 日記

 小3になると、おー君とはクラスが分かれました。

そして、すぐにおー君と並んで歩く女の子が現れました。

彼と同じ背丈で、私の目から見てもとても可愛い女の子でした。

2人は何時も仲良く笑顔でお喋りして廊下を歩いており、私は2人に出会うとにこやかに、おはよう、とか、こんにちはとか声をかけるのでした。 

その子がいても私は気にせず、おー君に笑顔で話しかけ、おー君も今までの何時ものおー君の調子で、気にせず返事を返してくれたのでした。 

連れの女の子も、おー君が私を友達だと紹介してくれたので、2人が話す間、特に気にする様子も無くにこやかにおー君の横にいたものでした。 

そんなある日の事です。私は廊下でばったり、おー君の連れの女の子に2人だけで遭遇しました。周りには誰もいません。 

 彼女は私を認めると、はっとしたように私に寄って来て、

「私からおー君取らないで。」

と言うのです。

これにはびっくりしました。今までの彼女の様子からは想像できない言葉でした。ちょっと彼女に腹も立ちました。

 今まで仲の良かった私から、どちらかというとおー君を取ったのは彼女の方ではないかしら。

そう思いましたが、敢えて、私とあなたのどちらを好きかなんて言うのは、おー君の気持ちでしょ。

私達の間で取る取らないの話ではないでしょう。と言って、さようならとその場を離れました。

 私は無性に腹が立っていました。誰にかというとおー君にです。

彼が女の子にやたらとよいしょするのは、自分の経験から分かっていましたが、彼女にあんなことを言わせる程、彼女にもよいしょしたのだと思うと、今までの彼との色々な経緯が重なって愛想が尽きてしまいました。ぷんぷんです。

以降、廊下で出会おうが無視、家に遊びに来ようが居留守、と、

私と彼との友好関係は崩れ去ったのでした。

 私も彼と同じように自分の背丈に見合ったハンサムなボーイフレンドを探すからいいわと、

居留守にも気詰まりになった頃、私は彼が来るより早く家を飛び出し町へと消えるのでした。


おー君の思い出その9

2016-09-10 20:00:43 | 日記

 かっきり1週間程経ちました。おー君と内緒の話をした場所です。

ここ1週間おー君とは遊んだり話したり、園でもほとんど顔を合わせることがなくて、今日が久しぶりの会話になりました。

おー君が私の家に遊びに来たので、一緒に彼の家で遊ぼうとここまでやって来ました。そして、何となく私が予想していたようにこの場所でおー君は切り出しました。

 1週間前の僕の話を覚えているかと聞くのです。私はもちろん、そのくらい前の事ならは覚えている。と、さも自慢げに頷くのでした。

また夢の話か現実の話か、何かご茶混ぜになっているのか、何かの話だと思って黙って聞いていると、彼は今回は覚えているならそれでいいのだというのです。

ただ、覚えていて、時期が来たら書いて欲しいというのです。書いてほしい?何に、何時?私は疑問に思ったのですが、特にどうともそれ以上彼が言わなかったので、私はまたうんと頷いて、2人はその後彼の家に向かったのでした。

この話はこれでお仕舞でした。以降、彼からこの話を聞く事はありませんでした。

 その後、私達は卒園し小学校へと進みます。同じクラスになりました。そしてやはり親しく家を行きかい遊んだものです。小2、小3の初めまでは。


おー君の思い出その8

2016-09-10 19:29:17 | 日記

 2、3日して、おー君が又同じ場所で同じような話を始めたので、私は合点承知の助、少しは地理に詳しくなったと地方名を覚えたことを告げるのでした。

童話の中の大きな国小さな国の話じゃないね、現実の話だねと言うと、おー君はちょっと怯んだ感じで、実はあれは地方ではなくて私が当初言ったように国の話だったというのです。

国になるとおとぎ話の世界なのかと私は現実の教養の話から、また空想の話へと頭の切り替えをしなければならないと考えるのでした。

 この頃は、園や近所のお友達と話していると、現実と空想の世界がごっ茶になっている子もいて、その点どう話が展開しているのかその都度判断が必要となるのでした。私はそういった事に気付き慣れ初めた頃でした。

おー君まで、そういった子達と同じ話し方をするのかとちょっとびっくりしました。現実と夢がごっちゃになる子だとはとても思えない子だったからです。

 以下おー君の話。

僕は中国という国から来て、中の国、のは要らない。ピカドンの研究に来たんだ。選ばれて来たんだよ。でもこんな事になるなんて知らなかったんだ。家へ帰りたいんだ。お母さんのところへ戻りたいんだよ。

と言った話でした。

当時の私には意味が殆ど分かりませんでしたが、覚えていてねと彼が言うので、うんと頷くのでした。

内緒だよ、誰にも言わないでねと、またも言われて、うんと頷くのでした。

彼は私が彼の話を最初から最後まできちんと聞いていたので満足したらしく、笑顔に戻るとさあ、家に行って遊ぼうと駆け出しました。私もその日の彼との遊びを楽しみに後を追いかけたのでした。

  私はその日の夕刻、また意味不明の言葉を父に尋ねるのでした。ピカドンってなぁに?と。

 


おー君の思い出その7

2016-09-10 11:49:48 | 日記

 私達の家の間の経路には坂がありました。昔からある坂のようで、坂の出口が往来へと通じ、私達はこの往来を進み坂の出口を横切ると坂に平行に走る平坦な小道に入り、おー君の家のある方向へと左折するのが常でした。

その日もこの経路を取り、私達はにこにこ笑いながら小道に入りました。

小道を少し入るとおー君は話し出しました。

「この話は内緒にしておいてね。」

今から僕が話す話だよと、おー君は私に念を押しました。

こんな風に彼が内緒話をするのは初めての事でした。ご近所の噂話でさえよほど私が疑問に思って尋ねない限り、自分からこれはこうと切り出した事がない彼でした。

 僕はね、この地方の人たちが言う中の国から来たんだ。この前漸くこの地方の人達が僕の生まれた地方をどういうか知ったんだよ。

そんな風に話は始まりました。

彼の内緒話はこうでした。

 僕は漢字で書くと中の国という地方から来たんだ。そこで生まれたんだ。僕は選ばれて来たんだけど、こんな事になるなんて知っていたら応募しなかったんだ。そんな話をして、私に話の内容が分かるかどうかと聞きます。

一応、地方も応募も分かってはいましたが、全体的な話はよく読めませんでした。中の国というのが引っかかりました。初めて聞く表現です。おとぎ話や童話の中の大きな国、中位の国のような国の話だと思いました。それで彼が読んだ本の話でもするのかなと思いました。

 おー君に言わせるとおとぎ話ではなく現実、本当にある国の話だというのです。

その日は多分そのまま、彼の家で少し遊んで何と思う事も無く私は帰宅しました。この頃は1人でも帰れると1人で行き来していたものです。彼も忙しくて送ってくれることは無くなっていました。

 帰宅するとすぐ父に聞いてみました。この頃私の疑問を聞くのは父が主でした。

父はそれは日本の中国地方だと言い、そうかあの子はそこで生まれたのかと言いました。なるほどと合点したように言うと、私の目の前に日本地図を取出し、中国地方、四国地方、など、指で示して私に此処のある場所も教えてくれるのでした。

これは考えるより覚えるものだ、地理とはそういう物だと父は言ったものです。そうか、向こうはそんな分野に入ったのかと。