私達はまた元の関係に戻って、仲よくお互いの家を行き来して遊んだものです。
少し違っていたのは、おー君が机に向かって何かしながら話すことが多くなったこと、時には忙しいからと遊びを断られることがあるようになったという事でした。
それでもよく喋り、もっぱらこの時期は私もおー君onlyの交友関係でした。
「おーには行きたい所がある。」
ある日遊びに行くと、おー君は留守だと断られたのですが、彼のお母さんが私を見てこう言いました。
おーの行きたい所と、Junちゃんの行きたい所は時折重なる、というのです。何処でしょう?私には分かりませんでした。
私はおー君と出会う前、一時、家に居ても園に来ても話の合う人がいないので1人孤独感を強めていました。楽しく思える事が無く、明日にしよう、明後日にしようと思う事が何度かあり、その都度それは保護になり取り止めになって来ました。
先日久しぶりにその感情に襲われたわけです。もしかすると、と思います。おー君の行きたい私と同じ場所って、いいえ、何時もにこにこ楽しそうなおー君が、以前の私と同じ考えを持ったりするだろうか?そう思うと私の答えは否となるのでした。
それでも、と私は自分の疑問をおー君にぶつけてみるのでした。おー君の行きたい所って何処?と。
おー君は何時ものようににこにこ笑うと、自分の行きたい所はお母さんの所だと言うのでした。
やはりそうか、そうだよね、私はほっとするのでした。
私みたいなことを考える子供ってそうはいないと私は思っていました。まだ人生は始まったばかりです。
いろんな事を見て考えて、行きつ戻りつする思考の中で、私達の成長は着実に進んでいました。
私はおー君のとの間にあんな事があってから、やはり自分の感情というものに無防備ではいられなくなりました。
ある程度何があってもショックを真面に受けないように、物事に熱中する、傾倒する気持ちに緩みを付けて置くようになりました。
そうなの、というような感情です。以前のように一本気でいる事をやめたのです。
いつしか、夕焼けにもそう興味を魅かれ無くなった頃、2人で何時ものように並んでお喋り、おー君の家に行く途中での事でした。