■■■■■■■■■■インドシナ経済圏■■■■■■■■■■
■「東西回廊」
●タイ東北部のムクダハンとラオス南部を結ぶ「第2メコン国際橋」の開通で、
ベトナムのダナンからラオス、タイを経由してミヤンマーに至る高速道が完成
した。
タイ、ベトナムなど5ヶ国を結ぶ「東西回廊」と呼ばれる高速道路の開通で新
しい 「インドシナ経済圏」が注目を浴びつつある。
総延長1500キロ、バンコクとハノイの物流をわずか3日で結ぶことになる。
今まで、海上輸送で2週間程度かかっていただけに その経済効果は大きい。
国境を越えた市場統合が、急激に進むことが予測される。
●インドシナと言うと、第二次世界大戦前の「仏領インドシナ」を想起する人も
多い。 戦後、独立や国情の変遷で、現在のラオス、ベトナム、カンボジアにな
ったが、 タイに比べて、地勢的な問題もあり、それぞれ経済格差が大きかった。
それだけに今回の「東西回廊」を主軸にした タイ、ミヤンマーを含めた「新しい
インドシナ経済圏」の出現に注目が集まっている。
日本貿易振興機構の調査によると、 この「インドシナ経済圏」には,既に日本企
業5000社が進出しているが、新しい 「東西回廊」の開通で、ますますの増加が
予測される。
■「インドシナ5ヶ国経済基礎データ」(2006年)
(人口)(1人当GNP)(名目GNP)(成長率)(日系企業数)
【タイ】 6423 3136 2063 5,0 約7000 ●
【ベトナム】 8424 723 610 8,2 約 800
【ラオス】 592 583 35 7,3 18
【カンボジア】 1407 503 71 13,4 31
【ミヤンマー】 5052 230 130 13,2 64
(単位) (万人) (ドル) (億ドル) (%) (社)
(出所:日本貿易振興機構・進出企業数は一部推定)
■「タイ東北部への期待」
●タイ東北部は、タイの中で、一番開発が遅れている地方と言はれてきたが、
「東西回廊高速道」の開通で、東北都市のノーンカイ、ウドンタニ、など 観光
地 としての今後の発展が予測される。
既に、タイ東北部の玄関口のコラートには、
多くの日本の代表的な電気メーカ ーが進出しているが、 「東西回廊」の開通
で、新しいインドシナ経済圏市場を視野に入れた企業活動が 期待される。
■「東南アジア紀行」(梅棹忠夫著の勧め。)
●新しいインドシナ経済圏はもとより、タイについて関心をお持ちの方々に、
梅棹忠夫著 「東南アジア紀行」 上下巻 中公文庫刊(1979年初版)をお勧
め したい。
ほぼ30年前に、梅棹さんが率いた 「大阪市大・東南アジア学術調査隊」のイ
ン ドシナ半島の踏査記録である。 10版を超えて、いまなお書店の棚を飾る名
著だ。
30年近い前の記述だが、いま読んでも、いささかも古さを感じさせない魅力に
あ ふれている。 現在のタイ情勢を含めて、インドシナ情勢の理解に、これほど
役立つ著書はない と思はれる。
●当時若い外交官として梅棹さんをサポートした石井米雄さんは、
巻末の解説で次 のように述べている。
「今読み返しても少しも古さを感じさせない。それは梅棹さんが、揺れ動いてとま
ら ない現象の背後にある、歴史の流れに視座を置き、
透徹した歴史家の眼で、東南 アジアの本質を捉えようとしているからだと思う。
「東南アジア紀行」は楽しい書物である。
しかしその楽しい本のなかから読者がえられるものは、単なる紀行文以上に大き
いものがあると私は信じている」 (山田)
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