白い綿をどこまでも果てもなく敷き詰めたような雲の原には、ところどころ星を隠しているかのように、かすかに光っているところがありました。清らかに澄んだ白い雲はほんの少し青みを帯びていて、時々、その奥からパシャリ、という不思議な水の音が、聞こえるときがあります。それは、雲の原の少し下にある透きとおったカンラン石の水の層の中で、小さな星を宿した透明な岩魚が跳ねる音だそうです。
天使ホミエルは、雲の原の上に立ち、空を見あげながら、時を待っていました。空には双子のような金色の銀河が二つ、並んで浮かんでいました。ホミエルは星の位置を目で確かめながら、風が刻むかすかな時の音に耳をすまし、空にある星の一つが、突然、きん、と鳴る音を捕まえました。それと同時に、ホミエルは手に持っていた小さな銀の種を、雲の原に落としました。