今日、東京都心で14時5分に最大瞬間風速14.5メートルの北西の風を観測したため、気象庁は
「今日13日に東京地方で木枯らし1号が吹いた」
と発表しました。東京地方では、一昨年(2021年)、昨年(2022年)は木枯らし1号は吹かず、2020年以来3年ぶりの発表となりました。
木枯らしとは晩秋から初冬にかけて吹く北よりの強い風のことを言い、その年最初の木枯らしを「木枯らし1号」として気象庁が発表しています。東京地方の木枯らし1号の条件は、
①期間は10月半ばから11月末までの間
②気圧配置が西高東低の冬型となって、季節風が吹くこと
③東京における風向が西北西~北
④東京における最大風速が概ね風力5(風速8m/s)以上
これらを基本として気象庁が総合的に判断して発表しています。
さて、木枯らしといって思い出す音楽は小泉今日子の『木枯らしに抱かれて』…もいいのですが、拙ブログではやはりショパンの《木枯らしのエチュード》をご紹介したいと思います。
《練習曲作品25第11番(通し番号:第23番)》別名『木枯らし』は、1836年に
フレデリック・フランソワ・ショパン(1810〜1849)によって作曲されたピアノ独奏曲です。1837年に初めて『練習曲集作品25』のうちの一曲としてフランス、ドイツ、イギリスで発刊されました。
音楽は音楽でしか表せないことを表現するために言葉は必要ない…という信念を持っていたショパンは、自作に愛称をつけることはしませんでした。しかし、「広く世界中で親しまれ、時には楽譜出版においてタイトルがついている方が売れゆきが良い」などの理由で、周囲が勝手にショパンのいくつかの作品に『木枯らし』をはじめとした題名をつけてしまいました。
作品10-12『革命』が左手のための練習曲だったのに対して、この『木枯らし』は右手の半音階的跳躍の練習曲となっています。練習曲として、速くて細かいパッセージで右手が鍛えられるようになっていますが、その動きがあたかも厳しい冬の木枯らしに乱舞する落ち葉のようすを描写しているようで、この題名は広く知れ渡り認知されています。
作曲当初は、いきなり激しい木枯らしのようなパッセージから始まっていたようです。それを、発表前に友人であるチャールズ・A.ホフマンの助言で同じメロディーを大変スローなテンポで演奏する冒頭の4小節が書き加えられ、そのことでこの練習曲は一層詩的な曲となりました。
そんなわけで、3年ぶりに木枯らし1号の吹いた今日はショパンの練習曲作品25-11、俗称《木枯らしのエチュード》をお聴きいただきたいと思います。ハンガリー出身のピアニスト、ジョルジュ・シフラ(1921〜1994)の演奏で、激しく渦巻く木枯らしのような音符世界をお楽しみください。