共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

コンサートを終えて

2019年07月21日 23時32分09秒 | 音楽


今日はいよいよ《魔笛》《未完成》《運命》の三大名曲コンサート当日となりました。会場は錦糸町のすみだトリフォニーホールです。

昨日までのスタジオとは、当たり前ですが音の響き方が全然違うので、その辺りのことに留意しながらステージリハーサルを進めていきました。まだお客さんの入っていないコンサートホールは



舞台から見るとこんな感じに見えます。ここにお客さんが入ると見た感じの印象もさることながら、音の響き方も変わるのです。

ちょっとセッティングが横に広いな…ということが気になりましたが、兎に角ステージリハーサルを終えて、後は三々五々本番の衣装に着替えたりして開演時間を待つことになりました。

因みにトリフォニーホールのステージ裏は



こんな感じになっています。ちょうど一番上の写真に写っているパイプオルガンの真下にあたるところで、上手(かみて)と下手(しもて)が通路で繋がっています。

やがて、開演時間が迫ってきました。舞台に出る扉に付いている小窓から会場を見てみると



こんな感じです。やはり有名曲だらけのコンサートだけあって、かなりの客入りです。

そしてコンサートが始まりました。

《魔笛》序曲では、荘厳な序奏に続いて快活なメロディのフーガになるのですが、最初に演奏する第2ヴァイオリンの演奏がズレてしまい、あわや演奏停止か!と危ぶまれました。しかし、指揮者の手は止まることなく、ヴィオラとチェロが出てきた辺りで何とか持ち堪え、ヒヤヒヤしながらも何とか演奏を終えました。

次に《未完成》の演奏が始まりました。ここで威力を発揮したのが



一番手前に写っている5弦コントラバスです。

《未完成》の第1楽章はチェロとコントラバスの低音のメロディで始まります。そのメロディの最後に低いレとド♯が書かれているのですが、これが問題なのです。というのも、チェロは楽器の最低音が低いドなので何の問題も無いのですが、標準のコントラバスは楽器の最低音が低いミまでなので、この最後のところが楽譜通りには弾けないのです(何故コントラバスの最低音がミまでしかないのかについては、話が長くなるので今回は割愛させて頂きます)。

ではどうするのかというと、その部分だけ1オクターヴ高く演奏することになります。それで問題ないと言えばないのですが、オクターヴ上げてしまうとどうしても低音の響きが薄くなってしまうことが難点なのです。

この5弦コントラバスは、そうした問題を解決すべく標準コントラバスの最低音のミの隣に低いドの音の弦を一本加えて、チェロと同じ最低音が演奏出来るようにしたものです。それは地響きに近いような深い音がしますが、これがあるのと無いのとで低音の充実ぶりが格段に変わります。

ただ、ただでさえ楽器が大きいところに更に一本弦を増やしたことによって、弦を押さえる指板の幅も標準コントラバスより広くなるので、その分演奏者が大変なのです。なので、5弦コントラバスを演奏する奏者は決して多くはありません。今回は東京芸術大学の学生さんが5弦コントラバスで演奏に参加して下さったことで、迫力の低音が実現しました。

休憩を挟んで、いよいよメインの《運命》が始まりました。

この曲は兎に角エネルギーの塊のような作品で、一瞬たりとも気が抜けません。曲の大部分においてフォルテや、更に1ランク上のフォルテッシモをガンガンに弾かなければならないところもあって、体力的にも大変なのです。

ただ、個人的に《運命》はヴィオラを始めて最初に演奏した曲でもあり、プロオケに入団して初めての舞台で演奏した曲でもあるので、そういった意味で楽しく演奏出来ました。経験を積んで10代や20代の時のような体力任せの演奏をしなくてもいいようにもなりましたので、それも楽しめた要因の一つかも知れません。

《運命》の演奏が終わると、会場から大きな拍手が沸き起こりました。何とか無事に演奏を終えることが出来たのです。

通常、こうしたコンサートではメインプログラムの演奏後にアンコールを演奏することが多いのですが、今回はそれぞれがあまりにも大曲だったのでそこまて手が回らず、アンコール無しで演奏会を終えることとなりました。指揮者から説明があった時には会場から笑いも起きましたが、それでも温かな拍手を頂くことができました。

こうした大きな舞台に立つということは、大変なことですが楽しいことでもあります。また来年、この舞台に立てることを楽しみにしようと思います。
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