福岡栄さんの世界は、今まさに一歩踏み出す写真家の過去

昨日は、名古屋市中区大須４丁目の「ガレリア フィナルテ」さんで開催中の「福岡栄展」を見てきました。
「Ｓｅｌｆ-ｐｏｒｔｒａｉｔ」と題した福岡さんの作品。

写真家本人の説明によると、印画紙の乳剤を両手に持って和紙の上を歩きまわり、自らの影の線に沿って乳剤を“ばらまいて”創ったそうです。
暗室を照らす赤色電灯で表れた自らの影に焦点を当てています。

その後、和紙を太陽光に当てて露光し、現像、停止、定着の工程を経て表れた模様は、写真家の過去を物語る、幾重にも重なった丸で、帯状を成しています。

自らの過去を焼きつけたい、表したい一念で創った作品。
自らの過去をのぞいてみたい一念で創った作品。
今まさに、写真家の一歩踏み出す過去を表すとともに、写真家の将来を祝福しているかのような不思議な文様です。