のしてんてん ハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

わたくしという現象 (連歌)+1

2017-02-17 | ナウイズム(実在主義)

わたくしという現象、

宮沢賢治の詩集「春の修羅」に書かれた序文の冒頭に書かれた、詩が生まれ出た「わたくし」を客観的に見ようとした一節ですね。

そして、そこから見える景色は、ある程度みなと共通するというのです。

 

(すべてがわたくしの中のみんなであるやうに

 みんなのおのおののなかのすべてですから)

 

そして、期せずして生まれてきた私たちの連歌は、宮沢賢治が観た景色を共通に見ながら、おのおのの中にある違いを見せてくれます。それが却って人のつながりをますのですね。

 

その連歌に自閑さんの詩が寄せられました。風景がまた一つ広がったわけです。

 

------------------------------------------------

心象スケッチ

{春の修羅 序 冒頭}

 

わたくしといふ現象は

仮定された有機交流電燈の

ひとつの青い照明です

(あらゆる透明な幽霊の複合体)

風景やみんなといつしよに

せはしくせはしく明滅しながら

いかにもたしかにともりつづける

因果交流電燈の

ひとつの青い照明です

(ひかりはたもち その電燈は失はれ)

 

 

究極の数式

{超ひも理論より}

 

わたくしという現象は

宇宙に集められた素粒子の

一つの青い銀河です

(あらゆる透明なひもエネルギーの複合体)

あなたと共にこの風景の中で

息づくリズムの明滅を繰り返し

確かな今を照らし続ける

宇宙に満ちたひもエネルギーの

一つの共鳴する波動です

(光はたもち、その共鳴が失われても)

 

 

ナウイズム

{五次元宇宙から}

 

わたくしという現象は

固定されたスケールが見せてくれる

一つのいのちの現れです

(あらゆる大きさのいのちの融合体)

風景や人の固定されたスケールの視野から

忙しく様々に明滅しながら

すべての大きさの一因としてつなぐいのちの

神の胎内にある神として

わたくしは一人の現象です

(その空間はたもたれ 現象は変化しても)

 

 

 コメントより

{むっちゃんさん}

 

わたくしという現象は

仮定された全方向の力の

ひとつのゆるやかな形です

(あらゆる方向へ伸びる様々な波長の複合体)

ああ しかしわたくしという現象は

すぐ腹が減り、疲れ、眠くなるのであります

哲学よりも飯のことを考え

芸術よりも惰眠の力にひしがれる……

 

 

コメントより

{まかこさん}

 

摩訶不思議宇宙

奇跡のビッグバンより

宇宙同根多種多様万物一体の

わたくしという

極極小豆電球の中にも

仮定された有機(勇気)交流電灯の電気が

流れています

あらゆる透明な幽霊の複合体として

この大宇宙の風景やみんなといっしょに

せわしくせわしく明滅しながら

常に今!この瞬間も

いかにもたしかにともりつづけています☆

 

 

コメントに触発されて

{のしてんてん}

 

わたくしという現象は

仮定された社会の中で揺れながら灯る

ひとつの頼りないローソクです

(あらゆる宇宙の複合体でありながら)

眼に見えるものと人の間で

せはしくこわごわと揺れながら消えもせず

その稚拙を受け入れてともりつづける

永遠の因果を信頼して

生きるひとつのオレンジの炎です

(ひかりを宇宙に返して 火芯の役目を終えるまで)

 

 

コメントより

{自閑さん}

 

わたくしといふ現象は、

假定された素粒子が対称性を保ちながら、

波動が重なり合い、物質と重力を産み出しながら

X軸とY軸とZ軸座標の交差点を行ったり来たりして、時間軸を進んで行くイオン燈のカケラです。

(そしてもうじきそのベクトルは、方向性を失いカオスにもどる。)

光子が通過した場所と通りもしない闇を抱えながら、混沌とした夜を、無から生み出されるビールの泡の数を数えながら、脳波は停止した。

踏み切りの警報器の音が、起きなくてもいいんだよと催眠する。

DNAとRNAがコラボしている間に、朝日が今日を告げている。


------------------------------------------------

自閑さんの風景は、壮大な宇宙理論が、ビールの泡につながる喜び。

人生これです^ね^最高。。

ベクトルはむっちゃんさんの方向でもあるわけです^ね^

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わたくしという現象 (連歌)

2017-02-16 | ナウイズム(実在主義)

心象スケッチ

{春の修羅 序 冒頭}

 

わたくしといふ現象は

仮定された有機交流電燈の

ひとつの青い照明です

(あらゆる透明な幽霊の複合体)

風景やみんなといつしよに

せはしくせはしく明滅しながら

いかにもたしかにともりつづける

因果交流電燈の

ひとつの青い照明です

(ひかりはたもち その電燈は失はれ)

 

 

究極の数式

{超ひも理論より}

 

わたくしという現象は

宇宙に集められた素粒子の

一つの青い銀河です

(あらゆる透明なひもエネルギーの複合体)

あなたと共にこの風景の中で

息づくリズムの明滅を繰り返し

確かな今を照らし続ける

宇宙に満ちたひもエネルギーの

一つの共鳴する波動です

(光はたもち、その共鳴が失われても)

 

 

ナウイズム

{五次元宇宙から}

 

わたくしという現象は

固定されたスケールが見せてくれる

一つのいのちの現れです

(あらゆる大きさのいのちの融合体)

風景や人の固定されたスケールの視野から

忙しく様々に明滅しながら

すべての大きさの一因としてつなぐいのちの

神の胎内にある神として

わたくしは一人の現象です

(その空間はたもたれ 現象は変化しても)

 

 

 コメントより

{むっちゃんさん}


わたくしという現象は

仮定された全方向の力の

ひとつのゆるやかな形です

(あらゆる方向へ伸びる様々な波長の複合体)

ああ しかしわたくしという現象は

すぐ腹が減り、疲れ、眠くなるのであります

哲学よりも飯のことを考え

芸術よりも惰眠の力にひしがれる……



コメントより

{まかこさん}

 

摩訶不思議宇宙

奇跡のビッグバンより

宇宙同根多種多様万物一体の

わたくしという

極極小豆電球の中にも

仮定された有機(勇気)交流電灯の電気が

流れています

あらゆる透明な幽霊の複合体として

この大宇宙の風景やみんなといっしょに

せわしくせわしく明滅しながら

常に今!この瞬間も

いかにもたしかにともりつづけています☆



コメントに触発されて

{のしてんてん}

 

わたくしという現象は

仮定された社会の中で揺れながら灯る

ひとつの頼りないローソクです

(あらゆる宇宙の複合体でありながら)

眼に見えるものと人の間で

せはしくこわごわと揺れながら消えもせず

その稚拙を受け入れてともりつづける

永遠の因果を信頼して

生きるひとつのオレンジの炎です

(ひかりを宇宙に返して 火芯の役目を終えるまで)





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ナウイズム旗揚げ展(2) 2/8~2/26

2017-02-15 | ナウイズム(実在主義)

動画に挑戦してみました。

 

今回の個展は、21mの壁画がメインとなります。

これを一枚の写真でお伝えするには無理がありまして、動画を利用する方法を思いついたので試してみました。

たまたま手持ちのデジタルカメラに動画機能がありましたので、撮影していたデータを使ってこんなものが出来ました。

You Tube を利用したマイ動画です。上の画像をクリックすると動画が始まります。

見ていただいて、感想など頂ければ幸いです。

 

下のアドレスでもご覧いただけます。

https://youtu.be/17pjKK6OWpI

 

ただし、念のため申し上げておきますが、画像は実際の雰囲気の半分も表現できておりません。お近くの方は是非会場で、実物の実感を体験していただければ幸いです。

 

-----------------------------------------------

 

 はるひ美術館 

 

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春の修羅と超ひも理論、ナウイズム三部作

2017-02-14 | ナウイズム(実在主義)




心象スケッチ

{春の修羅 序 冒頭}


わたくしといふ現象は

仮定された有機交流電燈の

ひとつの青い照明です

(あらゆる透明な幽霊の複合体)

風景やみんなといつしよに

せはしくせはしく明滅しながら

いかにもたしかにともりつづける

因果交流電燈の

ひとつの青い照明です

(ひかりはたもち その電燈は失はれ)



究極の数式

{超ひも理論より}


わたくしという現象は

宇宙に集められた素粒子の

一つの青い銀河です

(あらゆる透明なひもエネルギーの複合体)

あなたと共にこの風景の中で

息づくリズムの明滅を繰り返し

確かな今を照らし続ける

宇宙に満ちたひもエネルギーの

一つの共鳴する波動です

(光はたもち、その共鳴が失われても)

 

 

ナウイズム

{五次元宇宙から}

 

わたくしという現象は

固定されたスケールが見せてくれる

一つのいのちの現れです

(あらゆる大きさのいのちの融合体)

風景や人の固定されたスケールの視野から

忙しく様々に明滅しながら

すべての大きさの一因としてつなぐいのちの

神の胎内にある神として

わたくしは一人の現象です

(その空間はたもたれ 現象は変化しても)

 

 

 

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ナウイズム旗揚げ展 2/8~2/26

2017-02-13 | ナウイズム(実在主義)

無事生還しました。

楽しい一週間でしたが、皆様お変わりありませんでしょうか。

ナウイズム旗揚げ展は、とにかく順調に幕開けすることが出来ました。はるひ美術館独特の湾曲した壁面に、空想の展示を続けてきまして、それが現実にこの目で見ることが出来たのは何よりの幸せです。

壁面の湾曲が、21mの壁画にパノラマ効果を与えてくれまして、予想以上に空間を空観出来る空感を表現できました。

小さな女の子がこの組作品に「地球のいのち」という素晴らしいタイトルを与えてくれましたし、入り口に掛けたF12号の小品にもこんなタイトルをつけてくれました。

「希望のたまご」

「未来の花」

どうして名前がないの?

お父さんに連れられてやって来てくれたあどけない女の子にきかれて、

名前を付けてくれないかなぁとお願いしたら、私の思いをそのまま言葉にしてくれたその女の子を、私は思わず抱きしめておりました。

 

その後のアーティストトークで、早速そのエピソードも使わせてもらいナウイズムの話につなげました。

作品を見ながらの話には臨場感があって、うまく伝わった気がします。

和歌山から、大阪から、東京から、そして地元のかたがた、作家仲間の大先輩と、気持ちのいい交流ができました。

早速、ナウイズム関東支部が生まれ、将来はナウイズム展をと、半分冗談のような話もまとまりました。

最後は焼肉にもつれていってもらい、ありがたい、うれしいうれしい一日となりました。


あらためて、この日配布しましたナウイズム宣言文を掲載します

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ナウイズム(実在主義)宣言

 

地上のすべての人々に、人間の尊厳と希望を。

 

我々は、長いあいだ時間に縛られた認識世界に生きてきた。

四次元(時間思考)は歴史を理解し、人々を未来に向わせ、知識の探求と富の追及に意欲をかきたてる。

 

しかし反面、四次元は様々な代償を人々に求めてきた。その代償は、万人に対して等しく振り分けられるように仕組まれている。

心の中でそれは起こる。苦悩がそれだ。

時間は、心が今に留まることを許さない。

過去を悔い、未来に不安と希望をかきたて人々を走らせる。その舞台から降りようとするものは落伍者とみなされる。

 

今や、この時間思考から自由になり、今を生きるということを学ばなければならない。

 

それは真実に気付き真実と共にあるということ。

我々は呼吸し、脈打つこの身体と共にあって、宇宙と共存している。この事実に感謝してそれを受け入れることなのだ。そこには落伍者は一人もいない。

 

我々はみな、独自に持っている能力を有効に使うことが出来る。その能力は一人ひとり違っており、その違いこそ最大の価値だと認めなければならない。

我々はすべて、自分自身であることで社会に貢献し、その役割を果たす。それは今を生きるものにしかできないことなのだ。

 

我々の精神的支柱は五次元である。

五次元は四次元を否定するものではない。

むしろ時間思考の利点を認めつつ、その落とし穴から身を守るための思想となるのである。

主従関係をはっきりさせねばならない。すなわち、主は五次元であり、四次元は従として必要な時に用いる。

いうまでもなく四次元は時間思考であり、五次元はスケール思考だ。

スケールの概念は、今この瞬間に、全宇宙を認識する方法だ。己の実在が、無限の宇宙とつながっていることを教えてくれるのだ。

人はそこから、自分は無限大であり、宇宙そのものであるという理解に至る。スケールの概念はミクロとマクロが同時に存在する宇宙の姿を理解させてくれる。それは「今」そのものの姿なのである。

 

時間の概念から見る人間は、一人ひとりが宇宙から切り離されている。なぜなら、人は時間のラインに乗って生きていかねばならないからだ。

そこでは未来と過去は重要な判断基準となるだろう。

しかし未来も過去も、実在ではない。空想の存在だ。

空想の存在に身を置き続けることで、我々は実在である「今」を軽んじ、忘れさせられている。そして空想の自分の死を恐れ始める。

それが時間思考のつくり出す我々の姿だ。

 

我々はこの四次元の意識から離れ、生まれた瞬間に戻る。

産声から始まるいのちの奇跡。それは全宇宙の力がかかわっている実在であり、永遠に存在するものなのだ。実在は今、この瞬間にしかない。

スケール思考はそれを正しく見せてくれるよき道具となるのである。

 

我らは叡智を集めて、五次元の道をひらく。

様々な芸術が、今この時を生きる人の姿を提案する。

平凡な生活の中で、一本の描線、一枚の紙、一個のジャガイモから、今この時を学ぶ。今立っているこの場所から、五次元の意識は生まれる。

それは、人々を苦悩から解放する。

 

スケール思考とは、スケールの概念で見る世界を実在と定める方法だ。

 

我々は宣言する。

四次元から意識を解放し、五次元と共に人間性を回復する。 と。

 

この瞬間から、

今を意識した生き方を選択しよう。

今この時にしか存在しない、この命を見つめて生きる心を定めよう。

憎しみは過去から来る。怖れは未来から来る。そして愛は今にしか存在しない。

 

常に、今この時を意識して生きる。それがナウイズム(実在主義)だ。

 

 

-------------------------------------------------------

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スケール号の冒険 第1話 (7)

2017-02-12 | スケール号冒険 第1話

  

 

チュウスケを捕まえろ(3)

 

 しばらくしてばい菌姫が言いました。

「ばい菌Xの声が聞こえます」
 ばい菌姫は目をつむったまま意識を集中させています。みんなは息を飲んでばい菌姫を見つめました。

「・・・今、ばい菌Xは助けを求めています」

「ふむそうか。ではばい菌姫、今までのことは許して助けてあげるからチュウスケの居場所を教えてくれるようにと、ばい菌Xに頼んでみてくれないか」

「はい・・・やってみます」
 ばい菌姫の体はますます明るくなり、鮮やかなピンク色に輝きはじめました。

「・・・ばい菌Xは、今までのことは反省しているといっています」

「そうか、わかってくれたのか」
 博士は嬉しそうにうなずきました。

「それで、ばい菌Xはどこに?」
「ばい菌Xはどこでヤすか」
 

 みんなはばい菌姫の口元に集中しました。ばい菌姫はまるで夢を見ているような表情をして口を開きました。

「本棚の下です」
「え、本棚の下だって?」
 ぴょんたが耳を立てて本棚に近づきました。

 ぴょんたの耳は地獄耳です。どんな小さな音でも逃がしません。耳をすませると確かに何かがいます。

 ゴソゴソと動いている音が聞こえるではありませんか。

「なにか動いている」
 小さな声でぴょんたが言いました。

 それを聞いてもこりんがそっと本棚の下にもぐりこみました。
 本棚の下にはちょうど板一枚分ぐらいの小さなすき間が空いていました。
 もこりんはモグラですから、簡単に土の中に潜ることが出来ますし、どんな小さなすき間だって入っていけるのです。

 中は薄暗く最初真っ暗に見えましたが、目が慣れてくると目の前にゴキブリが一匹隠れているのが見えました。

 もこりんがツルハシをかまえるとゴキブリは慌てた様に逃げ出しました。

 本棚の下から勢いよく一匹のゴキブリがでてきました。

「出てきたぞ、こいつにちがいない」
 艦長は紙を丸めて追いかけました。

 ゴキブリはかさかさ逃げ回りましたが、広い場所に出てしまうと、とても逃げ切れません。
 とうとう部屋の隅に追い詰められてしましました。

 艦長が丸めた紙を振り上げた時、ポンと煙が上がってそこにチュウスケが姿をあらわしたのです。

 

 

 チュウスケを捕まえろ(4)

 

「どうしてわかったのだチュウ」
 チュウスケがくやしそうに艦長をにらみつけました。

「あきらめるんだチュウスケ、もう逃げられないぞ」
「わたチュをなめるんじゃないチュウ」

 チュウスケは横に飛んでスケール号の操縦席を背にして身構えました。

「おとなしくばい菌Xを返すんだ」
 博士が大きな声で言いました。

 そのとき艦長が、博士の横からチュウスケめがけて光線銃を撃ったのです。

「チュウスケチュウチュウ!」
 呪文の声が響き渡りました。

 すると一瞬でチュウスケの前に氷の柱が出来たのです。
 艦長の放った光線銃の光が氷の柱に跳ね返されてしまいました。
そして反射した光がぴょんたに当たってしまったのです。

 ぴょんたは長い耳を稲妻のようにしびれさせたまま固まってしまいました。

「ぴょんた大丈夫か」

 艦長はあわててぴょんたを見ました。ぴょんたはビックリした顔のまま止まってしまっています。

「チュハハハハ、ばかめ、わたチュを怒らせるとどうなるか思い知らせてやるチュウ」
 そういうとチュウスケは再び呪文を唱えました。

「チュウスケチュウチュウ!」

 すると今度はスケール号の中が何もかもパリンパリンに凍りついてしまったのです。
 博士も艦長も、もこりんもぐうすかも、ばい菌姫もみんな凍りついて動けなくなりました。
 ぴょんたは光線銃で動けなくなった上に凍り付いてしまったものですから、その凍り方は気の毒なほどでした。

「チュハハハハ、どうだ動けまいチュウ」

 チュウスケはしばらく高笑いをしてからスケール号の操縦席に座りました。

「何をする気だ」
 艦長が凍りついたまま口だけを動かして言いました。

「スケール号を動かすのだチュウ」
「やめろ!お前には動かせない」

「だてにここで働いていたのじゃないチュウ。操縦方法はちゃんとこの目で覚えているだチュよ。バカめ」
 チュウスケは勝ち誇ったように言いました。

「やめるんだチュウスケ。危険だ、スケール号に命令してはいけない!」
 艦長は必死で言いました。

「何をバカなこと言ってるのだチュ。まあ見ているんだなチュウ」

 チュウスケは艦長と同じように操縦桿を握りました。
 チュウスケは艦長がスケール号を操縦するのを横で見ていて、すっかりその方法を覚えていたので。チュウスケは赤いボタンを押してスケール号に命令しました。

「スケール号、入り口をあけるんだ!」

 

 

チュウスケを捕まえろ(5)

 

 スケール号は、艦長以外のものが命令するとその反対の動きをするのです。
それを知らないチュウスケがいくら入り口を開けろと命令しても、スケール号は堅く入り口を閉ざすばかりでした。

「分ったかチュウスケ、お前にスケール号は動かせないんだ」

 艦長はチュウスケに何度も言い聞かせましたが、チュウスケは聞きません。

「よし、それなら一度ここから飛び出すチュウ。見ていろ、必ず動かして見せるチュウチュウ」

 チュウスケは艦長のやり方をまねてスケール号に命令しました。

「スケール号、飛び上がれ!」
「ゴロニャゴー」

 突然スケール号は狂ったように動き出しました。
船内が激しく揺れてチュウスケは床に投げ出されました。
ガリガリ大きな音が響きわたっています。

 スケール号がグラスの底を砕きながら下へ下へと潜りはじめたのです。

「うわ-、助けて、たチュけてくれー」
 チュウスケは床を転げまわっています。

「止まれ、止まるんだ」

 チュウスケの命令に、スケール号はますます大暴れをするばかりです。
すべてが凍り付いている中で、チュウスケだけがまるで飛び跳ねるピンポン球のようにスケール号の中を転げまわっています。

 スケール号を操縦しようと、魔法の杖を手放した後の出来事ですからチュウスケお得意の魔法もかけられません。

 とうとうチュウスケはテーブルの角に頭をぶつけて気を失ってしまいました。
するとチュウスケの魔法が解けて凍り付いていたみんなの体が動き出しました。

「スケール号、止まるんだ!」
 艦長は急いでスケール号に命令しました。

「ゴロニャ-ン」
 スケール号は優しい鳴き声を上げて動きを止めました。

 静かになったスケール号はもうグラスの底を半分以上も掘り進んでいるのでした。
チュウスケは目を回して床に倒れています。その間に艦長はばい菌Xを取り返してチュウスケを縛りあげました。

 

 

 

14 チュウスケをやっつける

 

「やったやった」

「ついにやったでヤすな」

「これで安心ダす」

「よかったよかった」
 博士はばい菌Xを確かめてほっとした様子で言いました。

「みんな、けがはないか?」
「はいでヤす艦長」
「大丈夫ダす」
「艦長・・・たしけて」
 見ると、ぴょんたがまだ、驚いたままで固まっています。

「おお、忘れていた。ぴょんたごめんごめん、すぐ動けるようにするよ」
 艦長は光線銃のボタンを「動く」の方に押してから、ぴょんたにむかって光を発射しました。

「ヒエーッ、」
 途中で止まっていた悲鳴をあげると、ぴょんたは元通りに動き始めました。

「大丈夫かぴょんた」
「ひどい目にあいましたよ艦長」
ぴょんたはちょっと文句を言いましたが、嬉しそうです。
「よかったダす」
「よかったでヤすな、ぴょんた」
「では帰るぞ」
 そういって艦長は操縦席に座りました。

「スケール号、飛べ!」
「ゴロニャ-ン」

 スケール号は音もなく飛び上がりました。ソーダ-水の中は相変わらずゴーゴーと音を立てて泡が昇っていきます。

「スケール号、あの泡に乗って上昇するのだ」

 艦長はもうソーダ-水の海をよく分っています。よく知れば、ソーダ-水の海も決して魔の海ではありません。

 スケール号はソーダ-水の中を泡とともに昇っていきました。やがて頭の上には真っ白なクリームの森が見えてきました。

 

 

 

15 帰ってきたスケール号

 

 スケール号は白いクリームの森を一気に突き抜けて外に飛び出しました。
そのクリームの上に、真っ赤な地球が姿を現してきました。

 そうです、そこはスケール号が最初に立ち寄ったところ、サクランボの地球だったのです。

「ゴロニャ-ン」

 スケール号はサクランボの地球に向ってどんどん降りていきました。

 真っ赤な地球は、最初つるつるした丸い形でしたが、スケール号が近づくとどんどん目の前に迫ってきました。

 すると何もないと思っていた表面に山や谷が見えてきした。

 窓から外を眺めていたばい菌姫が涙を流しました。そうです、目の前にはばい菌姫の国が見えているのです。

 ばい菌姫が帰ると、ばい菌の国では、お祭り騒ぎになりました。

 ご馳走が運ばれ、歌や踊りが次々と続いていきました。

 食いしん坊のぐうすかでも食べきれないほどのご馳走をいただくと、スケール号の隊員たちは上機嫌でスケール号に帰ってきました。

 スケール号の中には、チュウスケを縛っていたロープだけが輪になったまま床に落ちていました。

「逃げたか」
 艦長はロープを取り上げてちょっと残念そうに言いました。

「スケール号の入り口が開いたので、一目散に逃げ出したんだろう」
 博士が笑いながら言いました。

「とにかく、ばい菌Xを捕まえたんだ、我々も帰るぞ」
「おおーっ」
 

 艦長のことばに、みんなが元気よく声を合わせると、スケール号はすっとばい菌の国を飛び立ちました。

 窓の外には、ばい菌の群集がスケール号に向って手を振っています。
その中でひときわ美しく、ピンク色に輝いているのはばい菌姫でしょう。

「ありがとう」
 みんなの心の中にばい菌姫の声が届きました。

「ゴロニャ-ン」

 スケール号は一声ないて空の上で宙返りをしてお別れを言うと、あっという間に空高く舞い上がりました。

「スケール号、大きくなってもとの大きさに戻れ」
 艦長が命令すると、スケール号はどんどん大きくなっていきました。

 すると窓の外の世界がどんどん小さくなっていって、赤い地球のようなサクランボも、魔の緑の海も、もとのおいしそうなクリームソーダ-に変わっていくのです。

 こうしてスケール号は無事に帰ってきました。

 ばい菌Xの機嫌もなおり、すっかりいいばい菌になっていました。博士は大喜びです。
艦長は勇気りんりん、家に帰ってきました。

「ケンタ、どこに行ってたの」
 艦長の姿を見ると、お母さんが心配顔から急に嬉しそうな顔になって言いました。

「母さん、僕艦長になったんだよ」
「そう、艦長さん、お使いはどうしたの」
「へ、」
「へ、じゃないでしょうおばかさん」

 お母さんは文句を言いながら、ケンタに温かいミルクを飲ませてくれました。

 そしていつの間にかすやすやとテーブルにもたれて眠りこんでいるのでした。

              

  おわり

--------------------------------------------------

とにかく今日で一旦家に帰ります。たぶん疲れております。

 

 

はるひ美術館による北籔和展(ナウイズムの夢)5日目

2017/2/8~2/26

  

 はるひ美術館 

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スケール号の冒険 第1話 (6)

2017-02-11 | スケール号冒険 第1話

 

 

12 怪盗チュウスケ(1)

「お前達は何者だ」
 ばい菌Xは渦巻きの玉を構えて言いました。

 するとばい菌Xの目の前にボーッと人の形のような影が浮かび上がりました。
 その影がはっきりすると、それはのしてんてん博士の姿になったのです。

 博士がスケール号の中から電波を送っているのです。

「ばい菌X、私だ。のしてんてん博士だよ」
「こんなところまで追ってきても、俺は捕まらないぞ」
「お前は本当はいいばい菌なのだよ。 逃げたりしないで帰ってくるのだ」
「うるせー、俺は誰の言うこともきかねえ。俺は宇宙の支配者になってやるんだ。この毒を使ってな」
 ばい菌Xは紫の袋に入った毒を揺らせて言いました。

「バカな事をいうな、その毒は人間の害になるばい菌をいいばい菌いするためのものだぞ。
 悪者が使うと大変なことになるんだ。無茶を言わないでそれを返しなさい」

「そんなに言うなら、まずお前からやっつけてやる」
 そう言ってばい菌Xは水鉄砲に紫の袋から毒を取り出して詰め込みました。

「ばかな事はやめるんだ」
「これでもくらえ」
 ばい菌Xは博士に向って毒入りの水鉄砲を撃ちました。

 毒は博士の体を通り抜けて艦長達のいる手前に落ちました。
 ソーダ―水の中ではあまり飛ばないようです。

「みんな気をつけろ。あの毒に当たると誰でもばい菌Xの言う事をききたくなるんだ」
 博士が大声で言いました。

「ちくしょう」
 ばい菌Xはとうとう渦巻きの玉を発射しました。

 ゴオオ―ッと大きな音を渦巻が博士の体を通り抜けて襲いかかってきました。

 博士の姿はゆらゆらと揺れて消えてしまいました。

 今度こそもう逃げられません。

 そのときです。

「チュウスケチュウチュウ」
 チュウスケの呪文の声が聞こえました。

 すると目の前に大きな氷の壁ができあがったのです。そして、その壁はばい菌Xの渦巻き攻撃を跳ね返したのです。

 しかしもう、ばい菌Xはもうそこにはいませんでした。

 ばい菌Xは高く飛び上がり、みんなの後ろに回っていたのです。

 ばい菌Xは次の攻撃のために身構えました。

 それを見てぐうすかが両手を大きく広げて見せました。

 ばい菌Xは一瞬ひるみましたが、ぐうすかの見かけ倒しの技はすぐに見破られてしまいました。
 

 それでもその合い間にみんなはばらばらになって、ばい菌Xを取り囲んだのです。

 

 

怪盗チュウスケ(2)

「これでもくらえ」
 ばい菌Xは水鉄砲をぐうすかめがけて発射しました。

 とっさにぐうすかはゴロリと寝ころがって水鉄砲から逃げました。
それと同時にもこりんが得意のつるはし投げをします。

 つるはしはクルクル回って相手に襲いかかると、そのままクルクル回ってもこりんのところに帰ってくるはずだったのです。

 ところが、ばい菌Xは逃げるどころか、そのつるはしに飛び乗ってしまったのです。
つるはしは、ばい菌Xを乗せたままクルクルともこりんのところに帰ってきました。

 そのつるはしの上でばい菌Xが水鉄砲をもこりんめがけて発射しました。

「あぶない!」
 ぴょんたが叫んでもこりんに体当たりしました。

 二人はもつれるように転がりました。

 その脇をばい菌Xの発射した毒が落ちていきました。

「ちくしょう」
 ばい菌Xがつるはしから飛び降りました。

 そのとき艦長が空に飛び上がりました。艦長の銀色の長靴は空を飛べるのです。
飛びながら艦長は腰につけた光線銃を引き抜きました。

 ばい菌Xは真下にいます。艦長は空の上からばい菌Xに向って光線銃を撃ちました。
黄色い光が稲妻のように走ってがばい菌Xの頭のてっぺんに当たりました。
するとばい菌Xはまるで氷ついたように動かなくなったのです。

 艦長の持っている光線銃は生き物を殺しませんが、その代わりに体を痺れさせて動きを止める効果があるのです。

「やっただス」
 ぐうすかが躍り上がって叫びました。

「よし、ばい菌Xが動き出す前に捕まえろ」
 艦長がぴょんたに言いました。

「わかりました」
 ぴょんたは腰につけたカバンから生物採集箱を取り出しました。

 それは片手でも持てるような四角い箱です。ふたの部分には採集と書かれた赤いボタンが付いています。

 ぴょんたはその赤いボタンを押しました。
 すると動かなくなったばい菌Xがあっという間に採集箱の小さな穴に吸い込まれてしまったのです。

「艦長、捕まえました」
 ぴょんたが得意そうに言いました。

「よくやった。みんな大丈夫か」
「大丈夫でヤす」
「怪我はないだス」
「異常なしでチュ」
 チュウスケも笑顔で応えました。

「博士、ばい菌Xを捕らえました。これからスケール号に帰ります」
「よくやってくれた。途中気を付けてな。泡に捕まると大変だからな」
「了解!」
 こうして艦長と隊員達、それにチュウスケとばい菌姫がスケール号に帰ってきました。
博士は大喜びです。

「これで世界は救われた。本当によくやってくれた」
 そう言いながら博士は生物採集箱を受け取りました。

 博士は箱についているスコープをのぞいてばい菌Xを確かめると、初めてほっとした顔になって言いました。

「これが世の中に広がったら大変なことになるところだった。本当によかった」
「博士、ばい菌Xはシャックリの毒だけではなかったのですね」
 艦長は博士からシャックリの毒のことしか聞いていなかった事に気付いて博士に聞きました。

「実はそうなんだ、あまりこのことが知れ渡ると困った事になるからね。だから君達には悪かったがこのことは黙っていたのだよ。
ばい菌Xの素晴らしいところは、何でも言う事をきく毒を造ることが出来ることなんだ。
この毒さえあれば、有害なばい菌を人間の言う事をきくいいばい菌に変えることが出来るんだ。
もうこの世から病気はなくなるんだよ」

「でもそれが悪ものに利用されたらどうなります」
 ぴょんたが心配そうに聞きました。

「悪のもがこれを使うと、世の中はみんな悪ものにされてしまうだろう。だから秘密にしたまま、ばい菌Xを捕まえたのだ。礼を言うよ」
 博士はみんなに頭を下げました。

「ばい菌Xはそんなに珍しい生き物なんでチュか?」
「そうだ、世界で一匹しかいないだろう。私が作った最高の傑作だよ」

「素晴らしいでチュ! もう一度わたチュにも見せてもらえませんでチュか」
「ああいいとも、このスコープからのぞくんだ」
 そう言って博士は生物採集箱をチュウスケに渡しました。

 チュウスケの目がきらりと光りました。

 

 

怪盗チュウスケ(3)

「ふふ・・・。これだチュ。これこそまさに、ばい菌X。やっと手に入れられたチュウ」
 チュウスケは、ばい菌Xの入った箱をなで回しました。

「ああ。君たちのおかげだよ」
 博士がニコニコと言います。

「・・・カン違いするなチュよ?」
 チュウスケが急に冷たい声で言いました。

「え?どういうことなんだ」
 博士が驚いてききかえしました。

「チュハハハハハハハ!おめでたいやつだチュな。まだ気が付かないのかチュウ。
 わたチュの本当の名前は、怪盗チュウスケ!!このばい菌Xをいただきにやってきたのチュ。 では、確かにこれをいただいてゆくチュよ」

 チュウスケは生物採集箱を片手にヒラリと後ろへ飛び退りました。

「その箱を返すんだ」
「チュハハ、せっかく手に入れたものをわざわざ返すバカがどこにいまチュか」
「バカな真似は止めろ チュウスケ」
「しつこいでチュね。 ま、館長さんがお人よしで助かったチュよ」

 とっさにもこりんがツルハシを構えました。

「チュウスケ、かくごでヤす!」

 ツルハシは輪を描くように飛んでいきます。

 ヒラリと、チュウスケがそれをかわしました。

「チュハハ!そんなものはきかないチュ」

 ツルハシはブーメランのようにもこりんの元へ帰ってきました。

「箱を渡せ!チュウスケ」

 今度は艦長が光線銃をチュウスケに向けました。

「まだわからないのかチュウ」
 チュウスケは軽く笑うと、箱を持っていない手を軽く振りました。

 とたんに、チュウスケの周りからもうもうと黒い煙が立ち昇ってきました。
 煙はまたたく間にチュウスケを包み込んでいきます。

「チュハハハハハハハ!!」
 高らかな笑い声を残し、チュウスケはとうとう煙で見えなくなってしまいました。

「待つんだチュウスケ!」
 館長はとっさに光線銃を撃ちました。しかし、手応えはありません。
 煙が消えると、そこには隊員たちだけが取り残されていました。
 チュウスケは煙とともにスケール号から消えてしまったのです。

 スケール号の中は、しんと静まり返っていました。
 ばい菌Xは、チュウスケに持ち去られてしまってのです。

 

 果たして、艦長たちはばい菌Xを取り返すことができるのでしょうか。

 

 

 

13 チュウスケを捕まえろ(1)      

 せっかく捕まえたばい菌Xを、怪盗チュウスケに持っていかれてしまいました。
 チュウスケはどこに行ってしまったのでしょう。

 スケール号の中を捜しても見つかりません。
 隊員たちはくたびれて床に座り込んでしまいました。

「最初から怪しい奴だと思っていたんでヤすがね」
「まさか泥棒だなんて思いもよらなかっただス」
「一体どこに逃げたんですかね」
 みんなはぐったりしています。

「船内で探していないところはもうありません、艦長」

「どうしましょう博士、チュウスケはもうここから逃げ出してしまったのかも知れません」
 艦長は困って博士にききました。

「いや、いくら魔法だといっても、このスケール号から出ることは出来ない。チュウスケは必ずこの中にいるはずだ」

「本当ですか博士」
「スケール号はどんな世界にでも入っていけるように出来ている。 魔法だってこのスケール号を通り抜けることは出来ないんだ」

「ということは、どういことなんでヤすか」
 もこりんがめんどくさそうにききました。

「つまり、チュウスケだってスケール号の入り口を開けない限り外に出ることは出来ないというわけさ」

「するとチュウスケはまだこの中にいるんですね。でも一体どこに・・・」
 艦長は考え込んでしまいました。

「まだこの中にいるのでヤすね、やいチュウスケ、どこにいるのでヤすか、返事をするでヤす!」

 もこりんはやけになって叫びました。

 

 

チュウスケを捕まえろ(2)

博士の説明で、チュウスケはまだスケール号の中にいることはわかりましたが、どれだけ捜してもチュウスケは見つかりませんでした。

「博士、何かいい方法はありませんか」
「ふむ、それなんだが・・・」
 博士も考え込んでしまいました。

「きっとチュウスケは魔法で隠れているのでヤす」
「透明になっているのダすか」
「魔法だから分らないでヤすよ」
「あーーっっ!!もう、どうしたらいいんだよ」
 ピョンタがいいました。

「チュウスケ出て来い!! かお出せ~~!!め出せーあたま出せ~」
 もこりんが、つるはしを振り回しながら叫びます。

「やめろよ、もこりん。そんな事しても無駄だよ」
「でもでも艦長!何かしないと」
 もこりんが、イライラとしながらいいました。

「あの・・・もしよろしければ、私がお役に立てるかもしれません。」

 さっきまでぐったりと横になっていたばい菌姫が、よろよろと起き上がって言いました。

「え?どういうことですか」
 艦長はばい菌姫を助けおこしました。

「私達ばい菌の仲間は、離れていてもお互いにテレパシーで話ができるのです。
 ばい菌Xがまだこの中にいるのでしたら、居場所はすぐにわかるでしょう」

「本当なのかい!ばい菌姫」
 博士が驚いてきき返しました。

「はい。ただしばい菌Xが生きていればの話ですが」

「それは大丈夫です。この光線銃は、少しの間敵の動きを止めるだけのもので、体に傷をつけるようなものではありませんから。いまごろ、採集箱の中で動き出しているはずです」
 艦長が言いました。

「では、少しやってみましょう」

 そういって、ばい菌姫は手を合わせてめをつむりました。
 スケール号のなかが、シーンと静まりかえりました。
やがて、ばい菌姫の体がピンク色に輝き始めたのです。

 

 

(つづく)

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今日はトークの日、緊張してない?

 

はるひ美術館による北籔和展(ナウイズムの夢)4日目

2017/2/8~2/26

  

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スケール号の冒険 第1話 (5)

2017-02-10 | スケール号冒険 第1話

 

ばい菌X発見(3)

 のしてんてん博士はみんなの顔を一通り眺めてから話を続けました。

「スケール号が目に見えない小さな粒よりも小さくなって、金網のような穴を通り過ぎると緑色のソーダ―水の粒が見えてくるだろう。
そのソーダ―の粒が並んでいる世界に入ったらスケール号は再び大きくなるんだ。
でも大きくなりすぎてはいけない、ちょうどばい菌の大きさで止まること。そうでなければスケール号の体でグラスが割れてしまうからね。」

「という事は博士、ガラスの粒はばい菌よりずっと小さいという事でヤすか」
「そうなんだ、たとえば地球と銀河ぐらい大きさが違うのだよ」
「でも、本当にそんな簡単な事でソーダ―水の世界に行けるんですか」
 艦長がききました。

「本当だとも。ただし一つだけ注意しておくことがある。この旅は艦長が言うように決して簡単なことではない。小さな粒の事を素粒子というのだが、スケール号がそんな大きさになったら、たったこれだけのガラスといっても宇宙のような広さになってしまう。普通に飛んで行っては何十年もかかってしまうだろう」

「何十年もだスか、そんなにかかったらクリームソーダ―が腐ってしまうだス」

「ところがスケール号にはワープの力がある。小さくなって宇宙空間が見えてきたらソーダ―水の世界までワープするのだ、できるかね艦長」
 博士は艦長を見ました。

「何とかやってみます」
 艦長は自信がありませんでしたが、博士と一緒に隊員たちが一斉に艦長の方を見ているものですからつい見栄を張ってしまいました。そして少し震えた声で言いました。

「では行ってまいります」
 艦長は泣きそうになりながら博士に言いました。

「まて、私も行こう。君たちだけではあまりにも危険すぎる」
「でも博士、からだの方は大丈夫ですか」
「なあに、もうすっかり元気になったよ」
 博士はドンと自分の胸をたたき、誰よりも早くスケール号に乗り込みました。
魔法使いのチュウスケもまるで最初から隊員だったように博士に続いて乗り込みました。

 艦長も勇気が出て来たようです。みんながスケール号に乗り込むのを見てから、自分もゆっくりとスケール号に乗り込みました。

 なんだか海賊の船長になった気分なのです。艦長は出発前にみんなを集めて言いました。

「諸君、スケール号はこれよりガラスの世界に出発する。我々は素粒子という一番小さなものの世界に入っていくのだ。誰も行った事のない未知の世界に違いない。どんな危険が待っているか分らない。諸君にはこれまで以上に頑張ってもらいたい。以上だ」
 艦長は自分の偉さに胸が張り裂けそうでした。

 

 

ばい菌X発見(4)

「ミツバチの大きさになれ」
 艦長はスケール号に命令しました。またたく間にスケール号はミツバチと同じ大きさになりました。そして床から飛び上がってクリームソーダ―のグラスに向って飛んで行きます。

 グラスが目の前に迫ってくると、艦長は再びスケール号に言いました。

「スケール号、素粒子の大きさになれ」
 艦長は手を握り締めながら全身に力を込めて命令したのです。

「ゴロニャ―ン」
 スケール号はミツバチの大きさから更に小さくなっていきました。

 ゴクンとのどがなり終わったころにはもうスケール号はばい菌の大きになっていました。
でもグラスの表面はでこぼこが見えるくらいで、博士の言うような網の目の穴はどこにも見えません。

 その代わりまわりにはたくさん雲のようなものが浮かんでいます。それは部屋のなかに漂っているほこりなのです。

 それでもスケール号はまだまだ小さくなっていきました。スケール号からは今まで見たことのない風景が見えるばかりです。

 スケール号が小さくなるにつれて空はだんだん暗くなっていきました。スケール号の隊員たちはみな夜が来たのだと思ったぐらいでした。

 グラスの表面のでこぼこした風景がスポンジのような隙間のある岸壁に見えて来たと思うと、すぐに壁のあちこちに不気味な洞窟が現れてきました。

 それはスケール号がどんどん小さくなっているためでした。

 そしてとうとう世界は真っ暗な宇宙空間になってしまいました。
映画で見るあの宇宙空間と同じ世界が目の前に広がっているのです。
真っ暗な空には無数の星が散らばってキラキラと輝いています。

「すげ―」
「信じられないだス」
「ここは本当にグラスの中でヤすか」
 スケール号の隊員たちはみな、我を忘れてグラスの中にある宇宙空間に見とれていました。

 星たちは規則正しく並んで、まるで網の目のように連なりながら輝いているのです。
まるで豆電球のイルミネーションを見るようなうっとりした星空なのです。
 あの星の網の目のような空間を飛んで行けばソーダ―水の世界にいける。

艦長はそんなことを思いながら操縦席に座っていました。

 スケール号はまだ小さくなっているようです。
その証拠に星はどんどん大きくなり、闇の空間は無限に拡がっているのです。

 輝いている星の一つに近づくと、それはまるで太陽でした。
その太陽の周りを惑星が回っています。それは地球や火星のような惑星とそっくりでした。

 博士はその惑星を指差して言いました。

「あれが素粒子なのだよ。中心で輝いているのはなんだか分るかね?」
「太陽ですか」ぴょんたが答えました。

「そうだ、あれが素粒子の世界の太陽だ。陽子というんだ、覚えておくといい」
「陽子だスか」
 ぐうすかが感心したように言いました。

「ついでに言うと、太陽の周りをまわっている星のことを電子と呼んでいるんだ」
「電子って聞いたころがありやス。電子計算機とか電子レンジとか、電子、えっとなんでヤしたかな」
 もこりんが考え込むように腕組みして言いました。

 暗い空間の中で電子はキラキラと輝く陽子の回りをゆっくりと回っていました。
地球や火星や金星のように赤や青や茶色など様々な色合いを帯びて電子の惑星は太陽の周りをまわっているのでした。

 

 

ばい菌X発見(5)

「太陽と、そのまわりを回る地球や火星などをまとめて太陽系というが、ここではそれを原子と呼んでいるんだ。
原子の星たちが輝いている闇の空間は無重力の宇宙空間なんだ。スケール号はそこを通っていけるんだよ」
 博士の話はいつの間にか学校の授業のようになってきました。

 ぐうすかはもう眠っています。ぴょんたも、もこりんも難しい話は苦手です。博士の話しを聞いているふりをして、グラスの中の宇宙に見とれているのでした。

「博士、ここからソーダ―水の世界に行くには、ワープを使うのですね」
 艦長が博士の話の途中に聞きました。

「そうだ、さっそく行ってくれるか」
 博士は授業を切り上げて艦長に言いました。

「スケール号、ソーダ―水の世界にワープしろ」
 艦長は力いっぱいスケール号に命令しました。

「ニャンゴロニャン」
 スケール号が鳴き声をあげると、満天に輝いていた星たちは一斉にスケール号の前方に寄せ集められて、白い光のかたまりになました。

 スケール号はその中に飛び込んで行ったのです。

 その瞬間世界は真っ白になったように見えました。

 そして次の瞬間には白い光はスケール号の後ろに広がり、そこに満天の星空が見えるのでした。

 そして目の前には数えきれないほどの星たちが緑色に輝いているではありませんか。
あれこそ博士の言っていたソーダ―水の星たちに違いありません。

「素晴らしい」
 ぴょんたは耳をピンと立てて言いました。

 まるで緑のきれいな地球がいくつも浮かんでいるような、夢のような世界が拡がっているのです。

「これがソーダ―の世界だよ。艦長、スケール号を大きくするんだ。
でも気をつけるのだ、大きくなりすぎるとスケール号の体がグラスを突き破ってしまう。
ばい菌の大きさでスケール号の大きさを止めるのだ」

「まかせておいて下さい」
 艦長はもうすっかりスケール号の操縦に慣れたようです。その声は自信にあふれていました。

「スケール号、ばい菌の大きさになるんだ」
「ゴロニャ―ん」
 スケール号はクリームソダ―の中で大きくなり始めました。

 それと共に地球のようなソーダ―の原子はだんだん小さくなって行きました。

 空間が狭まり、隙間がなくなったと思った時にはスケール号のまわりは緑の液体に変化しているのでした。 それはまさに、グラスの中のソーダ―水だったのです。

 スケール号はばい菌の大きさになると動きを止めました。

「きっとこの底の方にばい菌Xがいるはずでチュウチュウ」
 魔法使いチュウスケが言いました。

「よし、スケール号、ゆっくりグラスの底の方に進め」
 スケール号が旋回しながらグラスの底に向っていったそのときでした。

 ぴょんたの興奮した声が聞こえたのです。

「艦長、向こうに赤いものが見えます」
 ぴょんたが窓の外を指差しました。みなは一斉にその方を見ました。底の方に、確かに何か赤いものが動いているではありませんか。

「艦長、あれはさらわれたばい菌姫に違いありヤせん」
「するとばい菌Xもあの近くにいるはずだ、スケール号急げ」
 艦長が命令したとき、スケール号がぐらりと揺れて船体が浮き上がり始めたのです。

「ギヤ―ッ」
 ぴょんたが悲鳴をあげました。

 

 

ばい菌X発見(6)

「うわーっ」もこりんもビックリして声を上げました。

「むにゃむにゃ」
 いつの間にか眠っていたぐうすかが目をさましました。

「どうした」
 博士が駆け寄ってきました。

「スケール号が命令を聞きません!」
 艦長が叫びました。

 スケール号は艦長の命令に逆らって、上へ上へと登っていくのです。

「スケール号は泡の上に乗っているんだ艦長。このままだとまた上に運ばれてしまうぞ。逃げるんだ」
 博士が言いました。
「分りました。スケール号、上に飛んで旋回しろ!それから急降下だ」
「ゴロニャ―ゴ」
 スケール号は出来たばかりの泡の上から飛び上がりました。

 そしてそのまま旋回して泡をかわすと急降下してグラスの底にむむかいました。

 まわりを見ると、いたるところで小さな泡が生まれていました。その泡は次々と上に登っていきながら大きくふくれていくのでした。

「あの泡には気をつけるのだ」
 博士はひたいの汗をぬぐいながら言いました。

「分りました」
 艦長はじっとソーダ―水を見つめました。

 何も無いところから突然白い玉が生まれています。それが泡の柱のようにグラスの上の方まで続いているのです。

 けれどもよく見ると、泡の発生するところは決まっているようでした。
 

艦長は慎重にスケール号を操りながらグラスの底に降り立ちました。

「博士を残して全員船外に出る。すぐに用意しろ」
 艦長が勇ましく命令を下しました。

 隊員たちは水中呼吸器を鼻の穴に詰め込んで外に飛び出しました。

「泡に気をつけろ、つかまったら上まで連れて行かれるぞ」
 博士の声がみんなの耳に聞こえました。みんなの耳には無線機が詰め込まれているのです。

「了解」
 みなはソーダ―水の海の中を泳ぎはじめました。

「ばい菌姫を見つけました」
 しばらくしてぴょんたが大声をあげました。

「何処だ」
「あそこです」
 ぴょんたの指差す方向には真っ赤なものが手を縛られてうずくまっているではありませんか
それはばい菌姫に違いありません。

「姫、助けにきました」
 艦長がばい菌姫を助け起こし縄を解いてやりました。

「ありがとうございます」
 ばい菌姫はよわよわしい声で言いました。

「ばい菌Xは何処にいったのです」

「気を付けてください。私をおとりにして攻撃するつもりなのです。きっとどこかに隠れています。早く逃げてください」
 ばい菌姫は震えながら言いました。

 そのときゴゴーッと大きな音がしました。

 音の方を振り向くと真っ黒な渦巻きが目の前に迫っていました。

 そしてあっという間に全員をはじき飛ばしました。

 皆がしりもちをついたところにサングラスをかけたばい菌Xが立ちはだかりました。
ばい菌Xは何本もある手を掻きまでて渦巻きの玉を作っています。
先程よりもっと大きな渦巻きを発射しようと身構えているのです。

 逃げ道は何処にもありません。ぴょんたは長い耳を折り曲げて目を覆って言いました。

「助けて」

 

 

(つづく)

 

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そろそろ、明日のトークのことも考えなくては・・・・・

 

はるひ美術館による北籔和展(ナウイズムの夢)3日目

2017/2/8~2/26

  

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スケール号の冒険 第1話 (4)

2017-02-09 | スケール号冒険 第1話

 

 

 魔のソーダ、緑の海(4)

 

 スケール号は緑の海に飛び込みました。
今まで真っ白だった世界が突然緑の世界に変わったのです。

 閉ざされた部屋から外に出て、空気のきれいな森にやってきたときのような気分で、みんなの心は明るくなったのでした。

 けれどもそんな気持ちは長くは続きませんでした。
突然ぴょんたが悲鳴をあげたのです。

「ヒエーッ!艦長、前から大きな星が飛んできます。ぶつかる!」
 見ると、すい星のような巨大な星がまっすぐこちらにやってくるではありませんか。

 その表面は虹色に輝いて、お月様のような大きさのシャボン玉のようです。
スケール号はばい菌の大きさにまで縮んでいるのです。

 まともにぶつかってしまったらバラバラになってしまうかもしれません。
ゴーッ!大きな音がスケール号を震わせます。

「スケール号、右に回りこめ」
 艦長は早口で命令しました。

「ゴロニヤーン」
 スケール号は急カーブを描いて旋回しました。

 何とか大きな玉の攻撃をかわしたのです。

「艦長!またやって来ヤす、シャボン玉がすぐそこでヤす」
 ほっとする間も無く、次のシャボン玉はすぐそこまでスケール号に迫っていました。

 ゴーッ!不気味な音が迫ってきます。

「スケール号、下だ、したにもぐり込むんだ」
「にゃンゴー」
 スケール号は頭を下げて下にもぐりこみ、体を反転させて4本足でシャボン玉の上を歩くようにして何とか体をかわしました。
でもそのとき、すでに別のシャボン玉がスケール号に襲い掛かってきたのです。

「左だ、左によけるんだ」
「にゃンにゃ―」
 スケール号はとっさに動きましたが、シャボン玉の方がはるかに大きかったのです。

 とうとうスケール号はよけきれずにシャボン玉に足をとられて跳ね飛ばされてしまいました。

 スケール号はクルクル回転し、操縦室の中は大騒ぎです。
乗り組み員達はみんな自分の身近にあるものにしがみついて体を支えました。

 もこりんもとっさに何かを握り締めましたが、それは自分のつるはしの柄でした。
あっという間にもこりんは床に叩きつけられました。
やっとの事で起き上がったとき、事態は最悪になっていたのです。

 スケール号が回転してはじき飛ばされたそのとき、いくつのもシャボン玉が一斉に襲いかかってきたのでした。

 ちょうどスケール号が背中を向けたその背中に向ってシャボン玉が迫って来たのです。
ゴゴゴオー!

 ガクン、スケール号に大きな衝撃が伝わりました。

「ギャオオ―ン」
 スケール号が悲鳴をあげました。

 スケール号の全身が巨大なシャボン玉に飲み込まれるようにのめり込み、押し返されてつぶされてしまうように見えました。

 スケール号の中は、まるでジェット機が衝突したような激しさで乗組員は一人残らず壁に叩きつけられ、体はバラバラになって、元の姿もわからないくらいにつぶれてしまうはずでした。

 でも、そのとき不思議な事が起こったのです。

 

 

魔のソーダ、緑の海(5)

 全員が壁にたたきつけられて死んでしまったと思ったその体は、不思議な事に傷一つ負っていなかったのです。

 恐る恐る目を開けて皆が目にしたのはもう一つ信じられない光景でした。

 まるで新幹線にぶつかったような衝撃を受けたはずの体が、壁から数センチ離れたところで止まっているのです。

 全員の体がふわふわと宙に浮かんでいるのでした。

「どうなったんだ」
 艦長が誰にともなく声をかけましたが、誰もそんなことを考えている余裕はありません。

 スケール号は巨大なシャボン玉の表面にめり込んだまま上に上にと押し上げられているのでした。
その圧力に押さえられてスケール号は身動き一つ出来ないのです。

 目の前に白いクリームの森が見えてきました。

 そのときスケール号にぶつかったシャボン玉が突然大爆発を起こしたのです。
星のようなシャボン玉の破片が四方に吹き飛びました。

 スケール号はその破片と共にクリームの森の方に吹き飛ばされました。
クリームの部屋をいくつも突き抜けて、そのクリームの壁にめり込むようにしてようやくようやくスケール号は止まりました。

 そのあいだ中、スケール号の乗組員たちは操縦室の真ん中にふわふわ浮かんでいました。

 ようやくスケール号の中が静かになった時です、奇妙な声がみんなの耳に聞こえました。

「チュウスケチュウチュウ!」
 それはチュウスケの呪文の声だったのです。

 その声と共にみんなの体がゆっくり床に下りてきました。

「魔法使いだったのか」
 艦長が驚いて聞きました。

「隠していたわけではないのでチュが、私は魔法使いのチュウスケと言いますっチュ」
 いつ着替えたのか、チュウスケは黒い三角帽子をかぶり、黒いマントをつけて、右手には魔法の杖を持っているではありませんか。

 確かにどこから見ても魔法使いそのものでした。

「おかげで助かりました」
 艦長はチュウスケにお礼を言いました。

「なに、旅はみちずれだチュ。お互いに助け合って早くばい菌Xを探しだしましょうチュウ」
 チュウスケは黒いマンとをひるがえして、胸を反らして言いました。

「魔法のおかげで助けられたけれど、何だか気にいらないな」
 ぴょんたは心の中で考えましたが、その他にチュウスケの事を不審に思うものはいませんでした。

「それにしてもさっきのシャボン玉のような星の攻撃は何だったんだろう」
 艦長が言いました。

「あれはきっとソーダ―水の泡だスよ」
 ぐうすかが目のあたりを眠そうにこすりながら言いました。
スケール号が静かになったのでもう居眠りの準備をしているのでしょうか、ぐうすかの頭には枕が張り付いています。

「そう言えばソーダ―水はいつも泡が出ているでヤす」
 もこりんはそんなぐうすかを無視して自分の考えを言いました。

「なるほど、それにちがいないですよ艦長」
 ぴょんたが耳をぴょんと立てて言いました。

「ソーダ―の泡はいくつも生まれてくるチュ、あの泡にぶつからずに下に行くのは不可能だチュ」

「せっかくここまできたのに、残念でヤす」
「何かいい方法はないのか」
 艦長がぐうすかの方を振り向きました。

 ぐうすかは鼻からちょうちんを出しています。立ったまま寝ているのです。
 そのときスケール号のスピーカーが鳴りました。

 

 

11 ばい菌X発見(1)

 スピーカーの音と共に、テーブルのスクリーンにのしてんてん博士の姿が映し出されました。

「どうした諸君、何かあったのかヒックヒック」
 シャックリ混じりの博士の声が聞こえてきました。

 艦長は博士に今までのことを話しました。
どうしてもソーダ―の海を通り抜けられなくて困っている事を知った博士は言いました。

「では一度ヒック、戻ってくるのだヒックヒック。いい考えがあるヒックヒック」
「えっ、ばい菌Xを捕まえるのをあきらめるんですか」
「いやヒックそうじゃないヒックヒック、とにかく帰ってくるんだヒック。それからヒック説明ヒックするヒックヒック」

「わかりました、ここから脱出します。それより博士、そのシャックリ何とかなりませんか、何を言っているのかわかりませんよ。とにかくシャックリ止めの薬を博士に届けましょう」

「そうしてヒックれたらありがたいヒックヒック。気をつけてヒックなヒックヒックヒック」
 スクリーンの博士は今にも倒れそうでした。

 一刻も早く薬を届けなければ博士は死んでしまうかも知れません。艦長はとても心配になったのです。

「スケール号、帰るぞ、上に飛び上がれ」
 艦長は急いでスケール号に命令しました。

「ゴロニャ―ン」
 スケール号は一声なくと、柔らかなクリームの壁をけって一気に上昇し始めました。

 いくつもいくつもクリームの部屋を突き抜けて、やがてスケール号はクリームの森から脱出して外に飛び出しました。

「元の大きさに戻れ」
「ニャオーン」

 クリームソーダ―から離れると、スケール号はどんどん大きくなり始めました。
それにつれて、操縦室から見えていた富士山のようなクリームソーダ―はどんどん小さくなっていきます。そしてとうとういつも見慣れたクリームソーダ―になったのです。

 でもそれはクリームソーダ―が小さくなったのではありません。
小さくなっていたスケール号が元の大きさになっただけなのです。

 それでも隊員たちは、自分が大きくなっているのには気付かないで、クリームソーダ―の方が小さくなったように見えるのでした。

「やっぱりクリームソーダ―はこの大きさに限るダす」 

 いつのまにか目をさましたぐうすかが、よだれをたらしてテーブルに置かれたクリームソーダ―を眺めています。

「よヒックくヒックかヒックえヒックったヒックヒック」
 よろよろと杖を突いてのしてんてん博士が出迎えました。

 今にも倒れそうです。それにシャックリは一層ひどくなっています。

「博士、早くこれを飲んでください」
 艦長は挨拶もしないでシャックリ止めの薬を博士に渡しました。

「おおヒック、あヒックりヒックがヒックとヒックうヒックヒックヒック」
 博士は震えながら薬を受け取りました。

 手が震えてなかなか飲めませんでしたが、やっと一口それを飲み終えると、
博士のシャックリは嘘のように止まりました。

「助かった、ありがとう。君たちのおかげだ」
  博士はお礼を言うとさっそくばい菌Xの話に入りました。

 みんなは一斉に博士の方を向いてイスに座りました。

 

 

ばい菌X発見(2)

「ところでばい菌Xは確かにこの中にいるのだな」
  博士は机に置いているクリームソーダ―のグラスの底の方を指差して言いました。

「はい、間違いありません。途中で助けたチュウスケがばい菌Xに出会っています。
  確かにばい菌Xはソーダ―の中に逃げ込んだのです」

「私は運良く皆さんに助けられまチュたが、確かにばい菌Xはこの中に逃げ込んだのでチュウ」
 クリームソーダ―はグラスの中でさかんに泡をあげていました。

  スケール号を襲った巨大なシャボン玉の正体はこれだったのです。
 

  こんなかわいらしい泡のために大変な目にあったなんて誰も信じられませんでした。
今だったらこの泡はとても涼しげで気持ちよさそうでおいしそうです。

  つい飲んで見たくなって、ぐうすかなんかもうよだれがいっぱい出ているぐらいです。

 それが小さなばい菌の大きさの世界では、まるで悪魔の海のようにスケール号に襲い掛かってくるのです。世界はなんて不思議で一杯なんでしょう。

「ところで博士、どうすればソーダ―の海を通る事が出来るんですか。いい方法があると言っていましたが」
  艦長が思い出したように言いました。

「ここを通っていくのだよ」
  博士はそう言いながらグラスのそこを指で叩いて見せました。

「えっ、このガラスのところですか?」
「そうだ、ここを通り抜ければ真っ直ぐソーダ―水の海の底までいけるだろう」
「でも穴なんてどこにもないでヤすよ」
  もこりんが驚いて聞き返しました。

「それがあいているのだ」
  博士は笑いながら答えました。

「でもそれはおかしいだス、
  穴があいていたらソーダ―水がみんなもれてしますだスよ」

「なるほど、それももっともだ」
  博士はうなずいて話を続けました。

「ところで物はみな小さな粒が集まって出来ているという話は聞いたことがないかな」
 みんなは、ぽかんとして博士の顔を見上げました。

「このグラスも目に見えない小さな粒が集まって出来ているんだよ」
「あっ、なるほど、だからグラスは透明なんですね、だって見えない粒が集まって出来ているんじゃ、見えないのは当然じゃないですか」
  ぴょんたがうれしそうに言いました。

「ちょっと違うなぴょんた。 グラスが透明なのはその小さな粒が網の目のように規則正しく並んでいるからなんだ。ほら、透けて見えるだろう」
  博士は実験に使う金網をみんなの前に出して言いました。

「でも博士、ソーダ―水はどうしてその穴から漏れないのですか」
「とてもいい質問だ艦長、その答えは、ソーダ―水をつくっている粒はこの網目よりも大きいからなんだ。ほら、これをご覧」
 博士は金網の上に緑のビー球を転がして見せました。

  ビー球は金網の目から落ちないで、その上をころころ転がっています。

「分ったかね、諸君、このとおりだ」
「なるほど」
  ぴょんたが感心したようにつぶやきました。

「スケール号に乗って、小さな粒よりもっと小さくなると、みんなの目にはグラスがこんなふうに見えるはずだ」
 博士はもう一度金網をみんなの目の前に差し出しました。
そして金網の目に指を突っ込んでみせながら話を続けました。

「スケール号はこの穴の中を通っていくんだ」

 

(つづく)

 

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今日あたり、疲れが出てきそう

 

はるひ美術館による北籔和展(ナウイズムの夢)2日目

2017/2/8~2/26

  

 はるひ美術館 

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スケール号の冒険 第1話 (3)

2017-02-08 | スケール号冒険 第1話

  

 

クリームの森へ(3)

 

 ばい菌Xの似顔絵は次々とばい菌たちの手に渡っていきました。
その絵を見て、ばい菌たちの間にどよめきが波のようにひろがっていきます。

 どうやらスケール号への警戒心はなくなったようです。
どよめきがしばらく続いたかと思うと、ピタリと話し声が止まりました。
すると静まり返った群集が中央から割れるように動いて、スケール号まで一本の道が出来たのです。

 その道を白髪のばい菌が杖をついて歩いてきました。
そしてとうとう艦長たちの前までやってきたのです。

「わしはこの国の国王じゃ。よくこんなところまでやって来られた。
 ところでこのばい菌Xじゃが、町のものは確かに見たと言っておる。」

「そうですか、ばい菌Xは今どこにいるんですか」
 艦長は喜んで王様に聞きました。

「それが、シャックリの毒を持っておってな、それをばらまいて銀行に押し入り、お金を奪って逃げたのじゃ。
その上、我らの姫をさらっての。町のものは追いかけたがとうとうクリームの森に逃げ込んでしまったのじゃよ」

「クリームの森というと、このサクランボの国が乗っているあのクリームの事ですか」

「そうじゃ。あそこは恐ろしいところじゃ、中は迷路のようになっていて、そこに迷い込んだものは一生出てくることが出来ないのじゃ。
町のものもそこでばい菌Xを追うのをあきらめたのじゃ。
今頃姫はどうしていることやら」
 王様は心配そうにあごひげをなでながら言いました。

「お気の毒に、でも大丈夫、私たちが必ずばい菌Xを捕まえてみせます。お姫様もきっと無事に助け出して見せます」
 艦長は胸を張って言いました。

「おおありがたい、あなた方は神様が遣わされた勇者様に違いない。どうか姫を助けてやってくだされ」
 国王はひざまずいて頭をさげました。

「勇者様お願いします、勇者様お願いします」
 ばい菌たちもいっせいに声をそろえて、そして頭を下げました。

「これはこの国に伝わる勇者の勲章じゃ。受け取ってもらいたい」
「ありがとう」
 艦長は頭をさげて勲章を首につるしてもらいました。

「それからこれをもって行きなされ」
 そう言って国王は小さなビンを差し出しました。

「これは?」

「シャックリに効く薬じゃ。ばい菌Xの毒には気をつけるのじゃ。もし毒にやられたらこれを一口飲めばよい」
 ビンにはカプセルになったくすりが入っていました。

 艦長はていねいにお礼を言ってそのビンを受け取り、隊員たちとともにスケール号に乗り込みました。

 スケール号はくるりと一回転して空に舞い上がりました。
ばい菌たちは一斉に手を振りスケール号を見送っています。
サクランボの国はあっという間にあめ玉ほどの大きさになって下の方に見えます。
そのまわりにはまるで雲のようなクリームの森が広がっています。

 スケール号はまっすぐクリ―ムの森にむかって急降下していきました。
 ズボンと鈍い音がしてスケール号はクリームの森に飛び込みました。
まわりは真っ白です。ほかには何も見えません。

 シーンと静まり返り物音一つ聞こえない不気味な空気が漂っています。

 

 

10 魔のソーダ、緑の海(1)

 

 スケール号はふわふわと、クリームの中で揺れています。
ぷーんといい香が漂ってきます。
 スケール号の中は甘いクリームのかおりで一杯になりました。
みんなは、さっきクリームソーダ―を飲んだのも忘れて、ごくりとツバを飲み込みました。

「ちょっと行ってきまスだ」
 ぐうすかはそう言ったかと思うと、艦長の言う事も聞かずに一人で外に飛び出しました。

「待て、今外に出るのは危険だ」
 艦長がそう言った時にはもう、ぐうすかはスケール号から飛び出して、クリームの壁にくらいついているのでした。
顔をクリームだらけにしてパクパククリームを食べています。

でもそのときぐうすかは顔をゆがめて苦しみ始めたのです。

「く、苦しい」
「どうしたんだぐうすか」
 艦長は艦長はスケール号のマイクに向って叫びました。

「い、息が出来ません、助けて」
 ぐうすかは顔を引きつらせて言いました。

「いきができないだって、すぐに戻るんだぐうすか」
「もう動けません、苦しい・・・」
「一体どうしたんだ、何が起こっているんだ」
「空気がないんでヤすよ艦長」 もこりんが勢いよく立ち上がりながら言いました。

「そうか、クリームの森は炭酸ガスで一杯なんだ。もこりん、ぐうすかを助けに行ってくれ」
「了解でヤす」
 もこりんは水中呼吸器を片手に持ち、もう一つを自分の口につけて外に飛び出しました。

 ぴょんたも後に続いて行きました。
すぐにもこりんはぐうすかを助け起こして、その口に水中呼吸器をくわえさせました。
ぐうすかはヒイーと大きな音を立てて息を吸い込みました。

「死ぬかと思っただス、みんなありがとうだス」
「ぐうすか、大丈夫か」
 艦長がスケール号の中から話しかけました。
「気をつけろ、そこには空気がないんだ、そのかわり炭酸ガスで一杯なんだ。みんな呼吸器を口から放すな」
「わかりました」
「わかりヤした」
「わかっただス。でも残念だス」

 ぐうすかはつい今しがた死にかかっていたと言うのに、クリームをなめられないことを残念がっています。

 なぜって、みんな水中呼吸器をくわえているのですから仕方ありません。
まわりをよく見ると、そこはクリームで出来た丸いドームのような部屋でした。

「ぴょんた、まわりの様子を詳しく報告してくれ」
「はい艦長、ここはクリームで出来た大きなドームです、一面真っ白でどこが壁なのかよくわかりませんがとにかく大きな丸い部屋です。所々に出入り口のドアがついています。調べますか」

「気を付けてな」
「分りました」
 ぴょんたとぐうすか、それにもこりんはそれぞれ別の扉を開いてその中を調べ始めました。 

 

 

 

 魔のソーダ、緑の海(2)

 丸い大きな天井と壁、まるで白いボールの中に入ってしまったような部屋にいくつもドアがついています。

 甘いかおりが漂うクリームの部屋の中にいると、まるで心まで真っ白になってしまいそうです。

 ぐうすかと、もこりんと、ぴょんたは思い思いのドアを開けてクリームの部屋の探検を始めました。

 どの扉を開けてみても、その向こうは同じような白いドームの部屋が続いていて、その中はがらんとしていました。

 どこまで行っても何の変化もありませんでした。

 もこりんはドアを開けるのがめんどうくさくなって、得意のつるはしを使い始めました。
壁に穴を開けて手当たり次第に部屋を調べていくのです。
でも不思議な事に、その穴は、もこりんが通り抜けるとまるで生きものように口をふさいでしまいました。
もちろん、もこりんは気付きません。

「艦長、どこに行っても同じ部屋ばかりで何もありません」
「艦長、もう何がなんだか分らなくなりヤした」
「何もないだス、きりがないだスよ艦長」

 スケール号には次々と隊員たちの報告が入ってきました。

 ケンタはお母さんがクリームを作ってくれた時のことを思い出していました。
ミルクを泡立てているうちにおいしいクリームが出来てくるのをケンタは不思議そうに見ていたのを覚えています。

「みんな、その部屋はきっと泡なんだ」
 ケンタ艦長はマイクに向って言いました。でもそれならクリームの泡は一体いくつあるんだろう。
それこそ無限にあるんじゃないだろか。そんなことを考えていると、隊員たちから次の報告が入ってきました。

「艦長、大変です帰る道が分らなくなりました。一体どこにいるのか分りません」
 ぴょんたの泣くような声です。

「艦長道に迷っただス、どうしたらいいだスか」
「艦長、おいらはどこにいるのでヤすか」
 三人はクリームの森に迷い込んでしまったのです。

 部屋にはいくつも同じドアがあって一度入り込んでしまったらどこから入って来たのかも分らないのです。
そればかりではありません。どこまで行っても何もない真っ白な世界の中にいて、もう身も心も真っ白になってしまっているのでした。

「帰りたいよ」
 ぴょんたはとうとう大泣きしてしまいました。

「頭がへんになりそうだス艦長」
「もうこれ以上動けないでヤす。助けて艦長」
 どこまで行っても同じ部屋ばかりで、みんなはもうへとへとになっていました。
その上帰りたくても帰れないと思うと、もう泣くしかありませんでした。

「ちょっと待て、いい方法がある。みんなそこを動くな。」
 艦長はそう言ってスケール号のレーザーを使いました。
ピッピッとレーザーが回転して三人の位置が画面に浮かび上がりました。

 三人はもうてんでバラバラの方向にいるのでした。

 

 

 魔のソーダ、緑の海(3)

「みんな安心しろ、君たちの位置は確認できた。こちらから誘導する。とにかく帰るんだ」
 艦長はバラバラにいる3人をまず一つの部屋に集めるようにみんなを案内しました。
それだけでも大変な時間がかかりました。

 でもみんなは必死です。やっと三人が一緒になっていよいよスケール号に帰ろうとした時です。

「待った!」
 興奮した艦長の声が聞こえました。

「もう一つレーザーに生き物の影がある」
「ばい菌Xですか」
 ぴょんたがききました。

「わからん、とにかく調べてみてくれ、そのまま真っ直ぐ進め」
 艦長の誘導でそこに行ってみると、ネズミが一匹倒れていました。

 そのネズミはシャックリがひどくて今にも死にそうでした。 

 このままでは大変な事になるでしょう。

「とにかくスケール号までつれていくだス」
 ぐうすかはネズミを背負いました。なんといってもぐうすかは力持ちです。そのまま3人はスケール号に帰ってきました。

「チュヒ、チュヒ、チュヒ」
 ネズミはスケール号の中でも苦しそうにシャックリを繰り返しています。

「ばい菌Xのしわざに違いない」
 艦長はそう言いながらばい菌の国でもらってきたシャックリを止める薬をネズミに飲ませました。

 するとネズミのシャックリは嘘のように止まってしまいました。ネズミはみる間に元気な姿になったのです。

「はー、死ぬかと思ったチュ。助けてくれてありがとうでチュ」
 ネズミはていねいにお礼を言いました。それを聞いてみんなは大喜びです。

 ネズミは一人で歩いているところを後ろからばい菌Xの毒にやられたのだと言いました。

 力を振り絞ってばい菌Xを捕まえようとしたがシャックリがひどくなってとうとう逃がしてしまったと、ネズミは説明しました。
そして、ばい菌Xの逃げた方向をスケール号の隊員たちに伝えました。

 ばい菌Xはクリームの森を抜けてソーダ―水の海に向って行ったというのです。

 ネズミは、スケール号の仲間がばい菌Xを捜していると知って、自分も仲間になりたいと言いました。
みんなは大歓迎です。

 ネズミの名前はチュウスケと言いました。
でもこのとき、スケール号の乗組員でもないのに、ネズミがこんな小さな世界にどうしているのか、おかしいと思ったものはいませんでした。

 ネズミのチュウスケは愛想がよく、助けてもらった恩返しのつもりでよく働きましたので、
いつのまにか昔からの仲間のようになったのです。

 こうしてスケール号の仲間はチュウスケの案内でばい菌Xを追いかけることになったのです。

 スケール号はクリームの森を猛スピードで進んでいきました。新幹線の速さで走っても、ばい菌のような大きさになったスケール号はなかなかクリームの森を抜ける事が出来ません。

 ようやく前の方が緑色になってきました。
 

 ゴーゴーと不気味な音が聞こえてきます。その音が少しずつ大きくなってきました。その先にソーダ―水の海があるのです。ばい菌Xはその海に逃げ込んで行ったようです。

 もうすぐばい菌Xを追い詰められる。みんなの胸に希望がわき上がりました。

 でも、ソーダ―水の海は今まで以上に恐ろしい魔の海だったのです。

 そんなことも知らないスケール号の仲間達は、魔のソーダ―、緑の海に向って勇気りんりんと進んで行くのでした。

 

(つづく)

 

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本日はオープンの日、雪、降らないといいんだけど。

 

はるひ美術館による北籔和展(ナウイズムの夢)初日

2017/2/8~2/26

  

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スケール号の冒険 第1話 (2)

2017-02-07 | スケール号冒険 第1話

 

 

6 地球の裏側に

 汗が滝のように落ちてきます。
 スケール号の窓の外は真っ赤に溶けた溶岩が渦を巻いて流れていきます。
 スケール号は狂ったように手足を動かして進むばかりで、艦長の言う事など聞きそうにありません。

 あまりの暑さに艦長も隊員たちも、ぐったりして声も出ません。
目の前が真っ暗になり、気が遠くなっていきます。息が出来ないくらいに暑くて、溶けてしまいそうです。

「ニャゴー!ニャゴー!!」
 スケール号が突然激しい鳴き声を上げました。それと同時に再びスケール号が大地震のように揺れ始めたのです。
その上、真っ赤だった船内が真っ暗になりました。

「ギャ―」
 隊員たちは訳の分らない叫び声を上げて床の上を転がって行きました。
誰もが床の上でピンポン球のように跳ねたり転がったりしています。

「助けて」
 艦長もとうとうテーブルから振り落とされてしまいました。

 そのとき窓の外が急に明るくなって、スケール号がピタリと止まったのです。スケール号の隊員たちは目を回してしまって、しばらく話す事も歩く事も出来ませんでした。

「どうなったんだ、調べてくれ」
 艦長がようやくぴょんたに言いました。

「艦長!地面の上です。スケール号が戻ってくれたのですよ」
 よろよろ窓の方にはって行ったぴょんたが言いました。

「そうか助かった」
「ここはどこでヤすか」
 もこりんが艦長に尋ねました。

「きっと地球の裏側だスよ」
 艦長に代わってぐうすかが答えました。

「地球の裏側だって」
「スケール号は地下に潜ってそのまま真っ直ぐ下に進んで地球の裏側に出たにちがいないだス」
 ぐうすかは居眠りばかりしているのに、誰より頭はいいのです。そのときスケール号のスピーカーが鳴りました。

「ばかもの!スケール号を操縦できるのは艦長だけだと言っておいたのを忘れたのか!」
 のしてんてん博士の声でした。

「そうか、ぴょんたが飛べって命令したから、スケール号は怒って反対に地面に潜ってしまったんだ」

「ごめん」ぴょんたは長い耳を床までたらしてみんなに謝りました。

「失敗は誰にもあるさ、それよりみんな大丈夫か」
 艦長はみんなを見回しました。

「大丈夫でヤす」
「大丈夫だス」
「もう大丈夫です艦長」
「それでは帰るぞ。スケール号、空を飛んで帰るんだ」
 艦長がスケール号に命令しました。

「ゴロニャ―ん」
 スケール号がうれしそうに鳴いたと思うと、同時にもう空を走っています。空は青く、もっこりと白い雲が浮かんでいます。
もう地球の中はこりごりだと誰もが思いました。

 

 

7 初めての仕事

 スケール号はジェット機よりも高く、ロケットよりも速く、地球を半周してのしてんてん博士のいるビルに戻リました。そのビルは世界探査同盟の基地だったのです。

 スケール号のスクリーンにのしてんてん博士の姿が映し出されました。
その博士はとても困った顔をしています。
何か大変なことが起こったにちがいありません。

「諸君にどうしてもやってもらわなければならないことが起こったのだ」
 博士の映像が緊張して見えました。

「どうしたのですか博士」
 艦長は博士の映像に向って聞き返しました。

「時間がない、すぐに出発してもらいたいのだ」
 ケンタちょっと休みたかったのですが、博士の困っている顔を見るとついうなずいてしまいました。

「わかりました博士、いったいどんな事件なんですか」
「バイ菌Xが逃げてしまったのだ」
「バイ菌X・・・?」
「バイ菌Xが世の中に広がったら大変なことになる。人類は滅亡するかもしれないんだ」
「そんなに恐いバイ菌ですか」
「これに感染するとヒック、シャックリが止まらなくなるヒック、そして最後には死んでしまうのだヒック」
 博士は話しながら時々シャックリをしました。

「博士、そのシャックリはまさか・・・」
 言いかけて艦長は博士を見ました。

「実験中にヒック、バイ菌Xの毒をうけてしまったのだヒック、そのすきにヒック、バイ菌Xが逃げ出してヒック、クリームソーダ―の中に隠れてしまったのだヒック」
 話している間に博士のシャックリはひどくなっていくようです。

「とにかく諸君にはヒック、何とかしてバイ菌Xを捕まえてもらいたいのだヒック」
 そう言いながら博士はおいしそうなクリームソーダ―を机の上に置きまた。

 透明のグラスの中に緑のソーダ―水がぴちぴちと泡を沸き立たせ、その上にたっぷりとクリームが乗っています。
真っ赤なサクランボを見てぐうすかはゴクリと喉を鳴らしました。

「これがそのクリームソーダ―だヒック。バイ菌Xはこの中に逃げ込んでいるヒック、スケール号でヒック、バイ菌Xを追ってもらいたいヒック。バイ菌Xを捕まえてほしいのじゃヒック、ヒック」
「早くいきたいだス」
 ぐうすかがよだれをたらして言いました。

 

 

8 博士の一大事

 博士のシャックリはだんだんひどくなっていくようです。
早くばい菌Xを捕まえないと本当に博士は死んでしまうかも知れません。

「わかりました博士」
 艦長は思わず言ってしまいました。

「おおヒック、行ってくれるかヒック、ヒック」
 博士は苦しそうに言いました。そのときスクリーンにへんてこな生き物が映し出されました。
黒いウニのような体にとげの手と足がついているのです。
二本のとげの先端に目玉が二つついています。

「これがヒック、ばい菌Xのヒック似顔絵だヒック、ヒック、ヒック」
「でも博士、スケール号がどうしてクリームソーダの中に入っていけるんですか」
「スケール号にヒックばい菌Xのヒック大きさにヒックなれとヒック命令するのだヒックヒックヒック」
「よし、スケール号、ばい菌Xの大きさになれ!」
 艦長は博士の言ったとおりに叫びました。

「ゴロニャ―ン」
 スケール号の体はみるみる小さくなっていきました。

「ひえー周りがどんどん大きくなっていくよ」
 ぴょんたがビックリして声を上げました。

「周りが大きくなっているんじゃない、スケール号が小さくなっているんだ」
 艦長は乗組員に説明しました。ケンタはもうすっかり艦長になりきっています。

 地面に転がっていた小さな石ころがぐんぐん大きくなってあっという間に山のようになりました。

「艦長、向こうから怪物がやって来ヤす!ぶつかるでヤす!」
 もこりんの指差す方を見ると、馬ほどもある大きな怪物が牙を広げて突進してくるのが見えました。

「艦長あぶない!」
 ぴょんたが長い耳をくるくるねじらせて叫びました。そのとたん大きな音がしてスケール号がぐらりと揺れました。

「飛べ、スケール号!」
 艦長が同時に命令しました。
 スケール号は後ろ足で怪物の頭をけって空に飛び上がりました。
地上では怪物が6本足をもぞもぞ動かしてひっくり返っています。

「あれはアリだス、艦長アリの行列が続いているだス」
 ぐうすかが言いました。

「あぶないところだった」
 艦長がアリの行列を見下ろしながらひとりごとを言いました。
もう少し遅かったらスケール号はアリの大軍に踏みつぶされていたかも知れません。
 艦長達の初めての仕事は、そんなふうに始まりました。
スケール号はアリよりも、もっともっと小さなばい菌の大きさにちぢみながら空を飛び続けているのです。

 

 

9 クリームの森へ(1)

 ばい菌の大きさになったスケール号は空を飛んでいます。
さっきまで目の前にあった世界探査同盟の白いビルはもうどんな形をしているのか分らない砂漠のような世界に変わってしまいました。

 壁と思っていたところは無数の洞窟が大きな口を開けて並んでいるように見えます。
まるで宇宙の果てに来てしまったような世界なのです。

「艦長、ここはどこなんです?どこに来てしまったんです?」
 ぴょんたがおろおろして言いました。

「どこにも来ていないよ。ここは世界探査同盟のビルに違いない、ただスケール号がばい菌の大きさに縮んでしまっただけなんだ」
 艦長はスケール号のナビゲータを見て言いました。

 ナビゲーターはスケール号の操縦席についている画面で、今どんな大きさになっているかを教えてくれるのです。

 そのナビゲーターに一箇所赤い×印が点滅していました。
そこに目的のスリームソーダ―があるのです。

「ばい菌はいつもこんな風景を見ているのでヤすか。ビルの壁にこんな洞窟があるなんて信じられないでヤす」
 もこりんはうれしそうに言いました。

 もこりんは穴掘りが大好きなのです。いつも両手につるはしを持っていて、穴を見るとつい手に力が入ってうきうきしてくるのです。

 突然現れた見しらぬ世界を見て静かなのはぐうすかだけでした。
艦長が振り返るとぐうすかは床に転がって居眠りをしているのでした。
ぐうすかがいつも枕を頭につけているのはいつでも眠るためなのかもしれません。
鼻ちょうちんが膨らんでパチンとはじけました。

「よし、あの洞窟から中に入ろう」
 艦長はスケール号に命令しました。

「ゴロニャ―ン」
 スケール号はジェットコースターのように洞窟の中に飛び込みました。
洞窟の中に入ると、スケール号の目がひかり前の方を照らし出しました。
その光の中に、突然カマキリのような怪物の姿が現れたのです。怪物はかまのような腕を振り上げてスケール号に向ってきます。

「あぶないでヤす!」
「スケール号、攻撃をかわせ」
 艦長が叫びました。

 スケール号はくるりと体をねじって怪物の攻撃をかわしました。
同時にくるくる尻尾を回し始めました。
最初の攻撃をかわされた怪物は反転してスケール号の後ろから襲い掛かってきます。

「恐いよー」
 ぴょんたは耳をたらして震えています。

「スケール号、怪物の目をねらえ」
 ケンタはいよいよ艦長らしくなって来ました。もうどんな危険なめにあっても落ち着いて命令できるのです。ケンタは自分でカッコイイと思いました。

 スケール号はケンタの命令を聞いて、くるくる回していたしっぽをむちのように伸ばして、襲い掛かってくる怪物の目をピシャリと打ちました。

「ギエー」
 怪物は目を押さえて闇の中に落ちていきました。

「やったやった!」
 ぴょんたは長い耳をはためかせて喜びました。
「やったでヤす」
「艦長、ぐうすかのやつまだ寝ていますが、どうします?」                ぴょんたが床に転がっているぐうすかに気付いて言いました。

「ほっておけ、それよりクリームのたっぷり乗ったクリームソーダ―を用意してくれないか」
 艦長がもこりんに言いました。

「わかりヤした艦長」
 もこりんはうれしそうに答えてすぐに台所に歩いて行きます。
「サクランボも忘れるなよ」
「わかってヤす艦長」
 もこりんは食事係です。この時ばかりはつるはしを手から放して腰につけているのです。

 

 

 クリームの森へ(2)

「クリームソーダを飲むんですか、艦長、気がききますね」
 ぴょんたがニコニコ顔で言いました。

「これからクリームソーダ―の世界に入っていくんだ。その前にたっぷり飲んでおかなければ途中でつまみ食いされると困るからね」
 艦長が腕組みをして答えました。

 そのときもこりんがおいしそうなクリームソーダ―を運んで来ました。
さっそくみんなはテーブルをはさんでクリームソーダ―を飲み始めました。
もちろんそのときにはぐうすかも起きて来ました。ぐうすかは居眠りと食べる事が大得意だったのです。

 みんながクリームソーダ―を飲み終えたころには、スケール号は長い洞窟を抜け出しました。遠くの方にクリ―ムソーダ―がまるで富士山のようにそびえ立っているのが見えました。

 実際には部屋のすぐそこに置いてあるのに、ばい菌の大きさになっているスケール号には何キロも遠くにあるように見えるのです。それでもスケール号はぐんぐんクリームソーダ―に近づいて行きました。

「でっかい、これが本当にクリームソーダ―でヤすか」
 もこりんは目を丸くしています。
「一生かかっても食べ切れないだス」
 ぐうすかはクリームソーダ―を食べたばかりと言うのにまだよだれをたらしています。

 白いクリームがまるで雪山のようです。
 その頂上に真っ赤なサクランボがのっています。
 

 スケール号が近づくとそのサクランボは地球ほどの大きさなのがわかって来ました。

「スケール号、サクランボの上に着陸だ」
 艦長が言いました。

 スケール号はサクランボにむかって高度をさげていきました。
窓はもう赤一色になって周りにクリームさえ見えません。

サクランボの表面には近づくにつれて山や谷が見えてきました。
まるで地球とそっくりです。やがて谷間に町が見えて来たのです。

「あの町に下りるぞ」
 艦長がスケール号に言いました。
「ゴロニャ―ゴ」
 スケール号は音もなく赤一色の町に下りて行きました。

 静かに町に着陸したスケール号は、一瞬目を見張りました。
それというのも、すぐに町のあらゆるところからばい菌たちがやって来てスケール号を取り囲んだからです。

 手に持った槍があちらこちらで光っています。
まるでスケール号を捕まえようとしているようです。

「よし、外に出るぞ」
 艦長は隊員たちに言いました。

「危険すぎませんか」
 ぴょんたが言いました。

「敵でないことを説明すればわかってもらえるだろうが、念のため武器は持っていこう」
 艦長の命令でみんなは武器を持ってスケール号の外に出ました。

 するとそこにばい菌たちが押し寄せて来ました。

 「サクランボの国の皆さん、私たちは敵ではありません。私たちは人間の国からばい菌Xという悪ものを追ってきたのです。
早くばい菌Xを捕まえないと大変な事になるのです。どうか協力してください。誰かばい菌Xを知りませんか」
 艦長はそういってばい菌Xの似顔絵をばい菌たちの目の前にかざしました。

 

(つづく)

 

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本日はたぶん作品の壁掛けに手間取ってます

 

はるひ美術館による北籔和展(ナウイズムの夢)開催します

2017/2/8~2/26

  

 

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スケール号の冒険 第1話 (1)

2017-02-06 | スケール号冒険 第1話

ナウイズム旗揚げ展がいよいよ始まります。

本日6日搬入

7日飾り付け

8日オープン

11日アーティストトーク

12日中途帰阪

と言いうことで、当ブログはお休みです。

その間を利用して、予約機能を使って7日間、童話スケール号 第一話 をお届けします。

毎朝8時公開にセットしておきますので、随時お楽しみください。

 

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スケール号の冒険 (第一話)

 

1 ケンタのお使い

スケール号は世界ではじめてつくられた、スケールの世界を探検する宇宙船。
 のしてんてん博士が考えた夢の乗りものです。

 船長はケンタ、6歳の男の子。 昨日までお母さんに甘えて、一人でお買い物も出来なかったのに、今日は赤い帽子をきりりとかぶったスケール号の艦長です。

 ケンタは森で会ったスケール号の顔をはっきり覚えています。
 横長のおもちのような顔に大きな目が二つ、もぞもぞ動いたやぶの中からケンタを見つめていたのです。

 初めてのお使いで、道に迷った森の中、泣き出しそうなケンタの顔をスケール号はペロリと優しくなめたのでした。

「ゴロにゃ―ン」
 森の小鳥達にはそんな風にしか聞こえなかったのに、ケンタにははっきり聞こえました。

「元気をお出し、艦長さん」
「えっ、艦長さんって?」
「艦長が泣くなんておかしいよ、さあ早く私に乗ってごらん」
 スケール号はそう言うと前足をかがめて顔を地面につけました。

 するといつの間にか滑り台ほどの大きさになった猫のひたいに、入り口が開いて階段がおりてきたのです。

 ケンタはビックリしましたが、でもなんだか艦長になった気分がしてきました。
 気がつくといつのまにかケンタの頭には赤いツバ付き帽子が載っています。ケンタは涙を拭いてスケール号の階段を登って行きました。

「ゴロにゃーン」
 猫の鳴き声がケンタにははっきり意味のある言葉に聞こえます。

「ようこそ艦長様、私はスケール号。艦長の命令でどんなところにも飛んで行きます。」
「でも一人じゃさみしいよ。」
 ケンタが心細そうに言うと、

「わかりました、仲間のいる所に行きましょう。」
 スケール号は音もなく飛び上がると、森を抜け空の白い雲の中に吸い込まれていきました。

「ゴロにゃ―ン!」
 森にはスケール号の声だけがこだまとなんて、ひびき渡りました。

 

 

 

2 仲間達

 ケンタを乗せたスケール号は、音もなく空を飛び、まるでネコが高いところから飛び降りるように白いビルの前に足をかがめて降りてきました。
 そうです、スケール号はネコ以上にネコらしい宇宙船なのです。その体は銀色に輝いています。

 ケンタはビックリして、スケール号の窓から外をみました。スケール号の目がそのまま窓になっているのです。

 窓の外には、子供達が親しげに手を振ってケンタを見上げていました。
 よく見ると、手を振っているのは白いうさぎと茶色のモグラ、それにぬいぐるみのようなナマケモノでした。

「ゴロにゃ―ン」
 スケール号が甘えるような声をあげて頭を下げると、ひたいの入り口が開いて3匹が元気よくスケール号の操縦室に入ってきたのです。

「艦長!ぴょんたです」
 いきなり白いうさぎがケンタに向って敬礼しました。

「ああ、ご苦労」
 ケンタはうれしくなって、チョッと威張ってこたえました。前にテレビで見たカッコイイ艦長の事を思い出したのです。

「艦長!もこりんといいヤす。よろしくお願いしヤす」
 もぐらのもこりんが体を反らして今にもひっくり返りそうに敬礼しました。

「よろしく」
 ケンタはもぐらに向って敬礼を返しました。

「ぐうすかだス、艦長。」
 ナマケモノはまくらをわきに抱えたまま敬礼しました。

「私が艦長のケンタだ。みんなよろしく」
 ケンタはもうすっかり艦長になりきっています。

 ケンタと3匹の隊員達はお互いに握手すると、不思議な事にみんなはもう生まれた時から一緒にいる友達のようになったのです。

「ゴロにゃ―ン」
 スケール号がうれしそうになきました。

 

 

 

3 のしてんてん博士

「私が艦長だ。君たちはボクの言う事を何でも聞かなくてはいけないよ」
 艦長のケンタが胸を張って言ったときでした。

「みんなそろったかね」
 突然スケール号の操縦席に老人の声が聞こえてきました。

 皆は声の方を捜そうとしましたがどこから声が聞こえてくるのか分りません。
 そのうちに床がボーっと輝きだして光のカーテンができると、そこに四角い帽子をかぶった老人が映し出されたのです。

「わしはのしてんてん博士じゃ。君たちの乗っているスケール号はわしが作ったものじゃ、乗り心地はどうかね。」
「でもどうして操縦したらいいのか分かりません」
 ケンタがスクリーンの博士に向って言いました。

「では説明しようかの。スケール号はどんな所でも自由に旅行できる世界一の宇宙船なんだが、操縦は簡単だ。どんな事でも命令すればスケール号はそのとおり動いてくれるのじゃ」
「そんなことでいいんですか」
 ケンタは思わず聞いてしまいましたが、よく見れば操縦席といっても赤いレバーが一つあるきりで、他にややこしいスイッチなどはどこにもみあたりません。

「そうとも、ためしにその赤い操縦かんを握って何か命令して見るんじゃ。ただしスケール号は艦長の命令しか聞かない。他のものが命令すると、命令とは反対に動くから気をつけるんだ。分ったかの」
「分りました博士、ではやってみます」
 ケンタはそう言って赤い操縦かんを握りました。

「スケール号、飛べ!」
 艦長が力いっぱい叫ぶと、スケール号は音も無く飛び上がりました。

 博士のいるビルが見る見る小さくなって、あっという間に地球の外に飛び出しました。窓から青ボールのような地球が見えています。

「すげー」
 もこりんが目を丸くしました。

「地球の外まで飛び上がるなんて、ボク初めてだよ!」
 ぴょんたも興奮して叫びました。

 ぐうすかは眠そうな目をパッチリ開いたので危なく目玉を落としそうになりました。

「よし、元のところに降りろ」
 艦長はワクワクしてスケール号に命令しました。するとスケール号は一瞬で白いビルの前まで降りてきて静かに着地したのです。

「どうだね、分ったかね」
 再び博士の声がしました。

「素晴らしいです」
 ケンタはまだドキドキした胸をおさえて答えました。

 

 

 

 4 ぴょんたのいたずら

 静かに着陸したスケール号の操縦室の中で、艦長も隊員達もなんだか夢を見たように立っていました。
 モグラのもこりんは空に飛び上がったことなど一度もありませんでしたし、ナマケモノのぐうすかは木の枝にぶら下がって眠る事しか考えていませんでしたから、もう本当にビックリしてしまったのです。

 うさぎのぴょんただけは、少し違っていました。
というのも、ぴょんたは自分の長い耳をパタパタ動かして空を飛ぶ事が出来たからです。
でももちろん山から山に飛んでいくぐらいでしたから、宇宙まで飛んでいくなんてぶったまげて、耳がびりびり震えてしまったのですけれど。

「すげー」
 ぴょんたの心の中ではまだそんな声が大きく響いていました。丁度そのとき、艦長が操縦席を離れたのです。ぴょんたは操縦席に近寄って座ってみました。
目の前に赤い操縦かんがあります。
 艦長の真似をしてそっと操縦かんに手を乗せると、さっきの地球やお日さまの姿が思い浮かんできて、自分もやってみたくなったのです。

「スケール号!飛べ!」
 ぴょんたは我慢できずに、スケール号に命令しました。
艦長の声よりも、もっと大きな声で叫んだのです。お日さまのもっと近くに行ってみたかったからです。
 でもそのとき大変なことが起こりました。

「ニャゴー!!」
 スケール号が喉からしぼり出すような声を上げたかと思うと、窓の外が真っ暗になったのです。

 ガタガタとスケール号が揺れて、立っていられないほどの大地震です。
地震はますますひどくなるばかり、もこりんは投げ出され天井にぶつかって跳ね返りました。

「た、助けて!」
「ひえー、死にたくないよ!」
 もこりんは泣き声を上げました。

「みんな、テーブルの足にしがみつけ!手を離すな!」
 艦長が叫びました。
 それでもスケール号はおさまりません。
ガタガタ、ぐらぐら、ときおり悲鳴のようなスケール号の鳴き声が聞こえます。
真っ暗になった窓の外は何も見えません。

「助けてー」
 ぐうすかがテーブルからほりだされて床を転がっていきました。

「いったいどうなったんだ」
 艦長がスケール号に向って叫びました。

 

 

5 地球にもぐる

「艦長!スケール号は地面をもぐってるでヤす」
 もこりんがやっとイスの背にしがみついて言いました。

「なんだって」
 艦長がテーブルの足にしがみついたまま聞きました。

「ここは地面のしたでヤす。見てください、窓に石や岩が押し付けられて流れていくでヤす」
 なるほどもこりんの言うとおり。

 スケール号の窓をよく見ると、たくさんの石ころや岩や、それに時々恐竜の化石などがごうごうと流れていくのです。

「どうして地面なんだよ」
 ぴょんたが泣きながら言いました。

 そのうちにスケール号の地震はおさまって来ました。
でもその代わりにスケール号のの中が焼けるように暑くなんてきたのです。
窓の外が真っ赤に変わりました。

 そうです、スケール号はいつのまにか地面を抜けドロドロに溶けた溶岩の中を泳いでいるのです。

「もうダメだス、暑くて死にそうだス、艦長何とかしてください」
 ぐうすかが汗をたらたら流しながら言いました。

「スケール号、戻れ!戻るんだ!」
 艦長がどんなに命令してもスケール号には伝わらないのでしょうか。

「ニャゴー!ニャゴー!」
 スケール号は狂ったように走り続けるばかりです。突然スケール号の目の前が緑色に変わりました。

「艦長、ここはきっと地球の真中でヤす」
 もこりんはモグラですから地面の中は詳しいのです。
でももちろん溶岩を突き抜けて地球の真中までやってくるモグラなんていません。
もこりんの声は恐ろしさのためにふるえています。

「艦長、助けてください」ぴょんたは耳をたらして言いました。

「スケール号、何とかしろ」
 艦長が叫びましたがスケール号に止まる気配もありません。

「ニャゴー!ニャニャゴー」
 スケール号は再び真っ赤な溶岩の海の中に入っていきました。

 

(つづく)

 

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本日はたぶんtラックの中

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2017/2/8~2/26

  

 

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修羅場 6

2017-02-05 | 私の絵画論

宇宙のひも  S50号

 

己の心と宇宙の境界線にある紐

イメージに技術がついてこない

何度かあきらめかけてようやく形を見た。

 

自分の中では今日までがタイムリミットだ。

個展オープンまでには形にしたかった。

 

見得と欲望の修羅場を何とか潜り抜けたような気がする。

当初の思いが描き出した形は

ことごとく消え去った。

 

白いキャンバスが真っ黒になった。

光と闇の相克の

その薄い皮膜に

春の修羅がふってきた。

 

結局完成まで行かなかったが

門を越えた

 

ここから

大きく崩れることはない

心につながる絵として。

 

 

 

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今日から一週間ブログはお休みです。

この間、童話スケール号の冒険 第一話を自動投稿いたしますので、引き続きお楽しみください。

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ナウイズム旗揚げ展に向けて(18)

2017-02-04 | ナウイズム(実在主義)

久しぶりに図書館に行ってきました。

梅が見ごろの満開です。何年も通っていますが、こんな見事な花は始めてのような気がして、写真に収めました。

しばらくアトリエから出ていませんので、今年、初めて感じる春です。

 

1週間ほど名古屋でホテル住まいになりますので、灯台元暮らしと言いますか、絵から離れる生活を強いられます。

そこで、その時間をどう使うか。

ひとつは予約の本があるのですが、宮沢賢治の詩集をじっくり読んでみようと思いまして、図書館に足が向いた訳です。

 

あいにく見つけた詩集は、超若者向けで、文字が小さく、メガネをかけても判読しづらい漢字があるので、あれこれ探しましたが、結局見つかりません。

司書の方に尋ねたら、何冊か探し出していただきましたが、目当ての詩集が掲載されていませんでしたので、あきらめて、小さい文字を借りてまいりました。

それにもう一冊、

科学雑誌Newton(ニュートン)。

最新号は貸してもらえませんが、バックナンバーはOKですので、物色して超ひも理論の特集号を発見。これもゲット。

ニュートンは、素人に分かりやすく、図画を中心にして科学を解説してくれますので、私の大好物。

借りた特集号はとてもおいしそうで、名古屋の空き時間用に借りたのに、ついつまみ食い。さっそく五次元との接点を見つけて、あと仕事にならず。

そんな一日となりました。


科学が最先端で行き詰っている。

まさにその先端に、五次元との接点がある。

数日前に書いた、あのゼノンのパラドックスです。

結局科学はそのパラドックスを越えられないのでしょうか。


「素粒子より小さな存在を記述できないのは、スケールの概念がないからだ。!!」

と、一人突っ込みながら、読み進んでいますと、確かに超ひも理論は面白いと思いました。

それは、ひも(波)を想定することで、見る対象を「物」から「空間」に切り替えているのです。

 

波は空間に属する形ですから、これならスケールの問題をクリアできる。

面白いのは、素粒子にはいろいろな種類があるというのですが、その種類というのは、ひもに象徴される波の違いが、素粒子の種類をつくっているというのです。

つまり、存在するのは一つのひもだけであって、そのひもの振動の種類が、様々な素粒子に見える。

見事な解釈です。

これで、物とは、実は空間だという理解に直結するわけです。

 

さらに、「時間ゼロ」ということばが頭の中に生まれました。

科学の数式は、時間ゼロに入っていけない。ということです。

時間ゼロに入ったら、数式は突然無限大に襲われて機能しなくなる。

ゼノンのパラドックスに近づけない。

 

当然のことです。

数式は実在を表現しようとする人間の努力の最先端。

時間ゼロは実在そのもの。

実在=表現とは決してなり得ない。

実在は表現しえないものだということを、まさに科学が証明しているということです。

 

時間ゼロとは、スケール軸に沿って、私たちが体感できる五次元の世界なのです。

 

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ナウイズム旗揚げ展に向けて(17)

2017-02-03 | ナウイズム(実在主義)

のしてんてん「ナウイズム」  (F6号キャンバスに鉛筆、新聞紙)

 

この五次元を正しく認識することが出来れば、私たち人類は、この宇宙に争いの無い新しい文明を築くことが出来る。そう思うのです。

次元をひとつ得るということは、それだけの力をつかむということなのです。

 

昨日、ここまで書きました。

 

 

以下、引き続き、五次元の展望を書いてみます。

 

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スケールの概念は、私たちをひとつの宇宙に導いてくれます。

己の存在は。この一つの宇宙の一部分だという理解が得られるのです。

 

そこから見えてくる社会は、一人の個の中にある充足を第一とする社会です。それは時間文明からすれば時代に逆行する社会に見えるかもしれません。

そのことを私たちはしっかり意識しておかなければならないでしょう。無理な変革は社会に不要のあつれきを生みます。

時間文明から迫害の目を向けられる可能性だってあるかもしれませんね。

大事なことは自然の流れです。

時間概念のよいところを認めつつ、そこで傷ついた心を、五次元思考で癒す。

それが正しい五次元思考の使い方だと思います。

 

ありがたいことに、五次元は、対立より融和の思想が生まれやすい思考ですから、実際には、四次元社会のひずみである苦悩を五次元思考で救うという形で社会に貢献できると思われます。

 

五次元は宗教の描く神や覚醒の世界を、日常の感覚で触れることが出来る思考ですから、科学と宗教が並び立つように、四次元と五次元は互いに補完し合って理想の社会を目指すことは充分可能だろうと思えるのです。

 

私たち人類が時間を手に入れたように、五次元を手に入れることが出来るなら、

その時五次元は、人間に実在の大きさとその姿を見せてくれるでしょう。

 

そうなると、私たちは自分で自分の存在が見えてきます。

私たちの生死観が変わるのです。

 

私たちは、物の世界に属するこの身体を自分と思っています。その身体は、姿を変えながら時間旅行をしていますね。しかしそれが、老病生死を意味するものではないということを子供でも知る常識となるでしょう。

 

どこで私たちは誕生したのか、探すことは出来ませんね。どこまで遡っても、私のいのちがここから始まるという瞬間を観ることは出来ません。なぜならそれは存在しないからです。そして誕生しないものが死ぬわけもないのです。

 

ものの変化、無常の移ろいは、空間の波にすぎなかった。

「吾は空なり」という理解は、私たちの意識を人という執着から解放してくれるのです。

 

人が存在しなくなるのではありません。

この世に人として生まれた奇跡を存分に楽しむ。人類が己を知り、己の中にある至福を謳歌する社会が生まれるのです。

 

人がなぜ美しいものを美しいと感じるのか、音楽に心を許すのか、美しい話に感動を呼び起こすのか、深い香りに懐かしさを覚えるのか。

くつろいだ体になぜ糖蜜のような波動が生まれるのか、味わいの喜びがなぜ全身に広がるのか。

それらの秘密が、その時すべて解き明かされるでしょう。

 

しかし何度も言いますが、急いではいけません。

五次元は至福を見せてくれますが、手に入れさせてはくれません。そのことをよく認識しなくてはならないのです。

 

至福を力で捕まえようとするのは愚の骨頂で、そのとたんに私たちは時間思考にとりつかれます。五次元を知ったと言っても、その瞬間に修羅に身を落とすでしょう。

 

あるいは狡猾に、自分の心を隠してつかまえようとしても同じことです。

四次元と五次元の相克はどんな時にでも顔を出しますし、どんなに高い意識を持った者にも現れます。

 

欲を見せた途端、チャンネルは四次元に切り替わるのです。

ですから常にその意識を持たねばなりません。

 

至福はつかまえることが出来ないのです。握りしめた手をひろげ、至福の蝶がやってくるのを見守るだけです。

 

すると、その見守りが、実は至福だったと、私たちは初めて、その至福の中で理解するのです。

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