のしてんてん ハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

吾は空なり

2016-07-24 | 5次元宇宙に生きる(一人旅通信)

(9月の小品展のための作品 P0号)

 

「吾は空なり」

正月から半年をかけて皆様とともに五次元宇宙を旅してまいりました。(、カテゴリー5次元宇宙に生きる(空間) から初めて、5次元宇宙に生きる(心)、そして5次元宇宙に生きる(神) )

その行き着いた終着駅で発見したものが、この「吾は空なり」という達観でした。


この「空」とは、結果、「色即是空」や禅の「無」に通じるものなのかもしれませんが、私の着地した地点は、もう少し科学的なニュアンスの強い場所でした。

すべてを投げ出して神に帰依するという次元からすれば、もっと手前の、凡人が、特殊な勉強も、修行もせずに、普通に理解してつかむことのできる境地だと感じたのです。

つまり、私の言う「空」とは、精神的鍛錬によってしかつかみとれないような、覚者の「空」ではなく、ただの空間にすぎません。

そうです、手を握りしめれば、その手の周りにある空間、私とあなたの間にある空間、宇宙にある空間、そしてわたしをつくっている原子を浮かべている空間。

まさにこの目に見えない空間を指すのです。

現実にこの身を浸している空間であり、物質としての「私」を浮かべているこの空間です。

上の図は、五次元の概念から見た宇宙のモデルです。この図で、黒い点を原子だとすれば、こ原子が集まってできている人の姿が「私」の肉体ということになるわけです。

「私」とはこの黒い点の集まり、すなわちこの肉体は物質であるという認識が、私たちの常識であり、四次元(時間軸)の中で生きている人間には疑う余地もないことでした。

しかしこの認識は反転するのです。黒い点が「私」という認識が可能なのと同じだけ、白い地(空間)が「私」だという認識は可能なのです。

上の図は、まさにそのことを証明してくれる図です。空間に浮かんでいる物質を意識すれば、白い壺が見えますね。しかし空間が本体だと認識すれば、黒い空間に「私」を見ることが出来るのです。

つまり、私たちは労せず、生まれながらに持ち合わせている認識の力だけで、「吾は空なり」という認識が可能なのです。

知らないうちに私たちは四次元の概念を身につけていますが、それと同じように、私たちは五次元をごく普通に身に着ける能力を持っているのです。

 

しかし、この地点に立って、私は一人旅の必要性を感じました。皆様とともに進むには、あまりにも未知の領域に足を踏み入れることになると思ったのです。

ここから先は、高村光太郎の「道程」さながら、道はなく、手探りで失敗を繰り返すことで道を探すしかありません。

私のこの思いが、本当に正しいのかどうか、それをこの身を使って実証しなければなりません。

しかし正しい道を見つけるためには100%失敗が必要です。失敗を繰り返しながら、誤りを削り落とすほかに方法はない世界であり、一人で行くしかない道ということです。

幸い私にはのしてんてん絵画があります。

どんなに失敗しても、キャンバスに向かって心を癒す方法を身に着けておりますので、この一人旅の同伴者は絵画ということになるのです。

「吾は空なり」

その認識に成功すると、意識はそこから落ちることはありません。どんなに苦悩がやって来ても、意識はそこから下には落ちないのです。

これは私が実証した最初の真実と言えそうです。

その意識のもとで、私は自分の身を空間に捧げます。その空間が絵を描く。空間という私が絵を描くということは、結果すべてを神に任せる。明け渡して空間の力を解放する。ということになるのでしょうか。

そのような経験を、今自分の中で繰り返しているところです。

どんな道が見えてくるのか、いまだ籔の中ですが、元気に進んでいます。

 

ところでスケール号ですが、ようやく中盤に差し掛かりました。

次回から、冒険の再開です。ご期待ください。

 

 

 

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5次元宇宙に生きる一人旅

2016-07-23 | 5次元宇宙に生きる(一人旅通信)

(イタリア美術雑誌掲載:FORVM artis)

 

(SYSTEMA BIENNARE 2016  ARTE CITTA Di MONTESE)

 

7月7日~7月31日、イタリヤ、モンテーゼで行われているSYSTEMA BIENNARE 2016に参加しています。

 

会場は丘の上の塔が立っているお城。

といっても、私本体は日本に留まったまま、いわゆる気だけを会場のモンテーゼにあるお城に送り続けております。

「吾は空なり」この達観は、けっして私だけのものではありません。すべての人が持っている真実です。必ずいつかそれを皆様にお届けする。その思いで続ける一人旅です。

今、この達観を意識しながら、我がアトリエにあって、意識をボローニャに飛ばすのも、この一人旅から見えてくる風景なのです。

システマビエンナーレのオープニング。たくさんの人たちが集まってくれたようです。

主催者石田克氏による、出品者紹介。

まさにこの、石田克氏 が交流を成し遂げ、実現させた展覧会。いったいどこまでビックになるのか、もはや私など足元にも及ばない人物。作家であり画廊オーナーであり、奇態の収取家。若手を育てる先覚者でもある。

 

私の作品

城の壁面にセットでかけて頂いた。

気をおくろう。吾は空なり、身はそこになくとも、宇宙は私そのものなのだ。

この一人旅、次なる目標は、

もっか作品制作中。

 

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五次元宇宙に生きる(一人旅通信)は、連載「スケール号の冒険」の合間にお送りします。

「吾は空なり」この達観が私をどう変えるのか、それは絵画を通して実践する私の一人旅であり、残念ながら皆様とともに進める道ではありません。

そんなわけで、不定期ですが、こんな形で始める一人旅通信です。野垂れ死にしていないか、安否を気にかけて頂ければ幸いです。

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七、ブラックホールからの脱出(2)

2016-07-22 | 童話 スケール号の冒険(第4話)

(ブラックホールに現れたパルサーの青白い光の川。脱出できるかスケール号)

 

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 スケール号は原子よりも小さな素粒子より、もっと小さな体になっている。そう、スケール号は今、素粒子の上に着陸できるほどの大きさなのだ。

そこから見る 原子は宇宙に浮かぶ太陽のようだ。自分の大きさを変えることで同じ物でも全くちがった世界に見える。この不思議な出来事もスケール号の乗組員達にはもう慣れっこになった。

その太陽原子が、次々と揺らめいて素粒子を手放し、空は、好き勝手に飛び交う素粒子で大混乱が起こっていた。一瞬たりとも気は抜けない。

  スケール号はゆっくりと光の川に近づいた。無数の光の球が同じ方向に飛んでいる。まさに大きな川だ。  スケール号はその川の真上に来た。

  「よし、あの粒にしがみつけ。」

  「ゴロニャーン」

  スケール号は川の流れに沿って進みながら、流れてくる球体に目標を定めて近づき、両腕を広げて抱え込んだ。子猫が毛玉にじゃれ付くような感じだ。

 つかまれた光の球は、迷惑がりもせず、進路も変えずに仲間とともに流れていく。  スケール号はまるで川の上に浮かんで、流されて行くように見えた。

 「ひえー、ジェットコースターみたいでヤす」

 「らくちんだスな」

 「光になったみたいです」

 窓を見ながら、みな口々に感想を言っている。誰も聞いていないし、言っている本人もそんなことは気にしていない。みなその光景に心奪われているのだ。

 「すごい圧力です、博士、スケール号は大丈夫でしょうか」

 「心配いらない。スケール号は艦長の意識とともにあるのだからね。不安を持たずに、前を向いていればいい」

 こうしてスケール号は原子の宇宙を移動し始めた。

 原子宇宙の空は、何連発もの花火を見るように華々しい光の洪水だった。あの光の数だけ、この宇宙に新しい物質が生み出されているのだ。そう考えると、それは何か命の誕生を祝うお祭りのようにも思われた。スケール号の乗組員達は、その美しい光景にただ見入るばかりだった。

 ただスケール号だけが、必死で光の玉を抱えている。

 「ふるにゃゴ~」

 気の毒に、周りを観察するゆとりなどなかったのだ。

 やがて光の川は、お祭り騒ぎの空間から、静かな、ほとんど何もない空間に出た。真っ暗な空間がどこまでも続いて、ときおり星のような原子の姿がちらほらと視界に入って来る。その他には雲ひとつない闇の空間だ。 

 「やっとブラックホールから脱出したぞ。」博士が喜びの声を上げた。

 「でも、まだここはブラックホールみたいですけど、博士。」

 「そうだス。にぎやかな空ではないだスが、真っ暗だス。何も見えまないだスよ。こっちの方がブラックホールみたいだス。」

 「博士、本当にブラックホールから抜け出たんですか。」艦長が聞いた。

  「間違いない。ここは通常の宇宙空間だよ。」

 「でもここが宇宙だったら、もっと星が一面に見えていませんか。」ぴょんたは、まだ納得しない。

 「スケール号は今、原子より小さな体になっているのを忘れてはいけないよ。」

 「というと・・・」

 「ああ、そうでしたでヤすね。でも、ここは土の中のように何も見えないでヤすよ・・・」

 モグラのもこりんにしたら、真っ暗で何も見えないのは土の中だ。でもその時には体の周りにしっかりと土の香りがしているものだ。真っ暗で、見渡す限り何もない世界なんて、見たこともなかった。スケール号は何もない真っ暗な空間にポツリと浮かんでいるのだ。

 「宇宙空間を原子の世界から見るとこうなっているのだよ。何もないのじゃない。これが宇宙の本当の姿なのだ。」

 「本当の・・・ですか」

 「宇宙の基本形とでもいえばいいかな。」

 「基本形だスか・・・」

 「わからなくてもいいから、覚えておきなさい。すべてのものは、この空間がつくっているのだ。さあ艦長、もういちど星の大きさに戻ろう。ピンクの銀河だ。」

  「それでは博士、スケール号をもう一度星の大きさに戻します。」

  「ゴロニャーン!」

  スケール号は急速に大きくなり、ブラックホールに飲み込まれる前の大きになった。見慣れた宇宙が戻って来た。爆発した星の周辺には幾つかの明るい星が生まれていた。しかし辺りをくまなく見渡しても、あのパルサー星は見当たらなかった。やはりブラックホールに落ちこんだのだろう。

 「チュウスケもブラックホールに落ちたのでしょうか。」

  「さあ、どうだろうな。」

 「もしそうなら、もう二度と悪いことは出来ないでヤすかね。」

 「分からないだスよ。チュウスケの事だスからね。」

 「さあ、チュウスケの事はもういいだろう。それよりこの眺めをよく見ておくんだ。」博士はみんなに言った。

 「ハハ~ハハハハ~ハハハハ~ハハ~ハハハハ」

 突然スケール号のスピーカーから奇妙な声が聞こえて来た。笑っているのか、叫んでいるのか、歌っているのか、分からない、悲しいような、楽しいような響きがひとしきり続いた。

 「何でヤすか、この声は。まさかチュウスケではないでヤすか?」

 「いや、そうじゃない。危害を与えるような悪い感じじゃないよ。悲しんでいるような声に気こえる。」艦長が言った。

 「ハハハハハッハハッハッハハッハハハッハッハハハ」

 「星の死は、とてつもなく大きな出来事だったが、それ以上に大きな宇宙の意志がどこかにあのかもしれない。」

 「どういうことですか博士。」

 「星の死に対してか、なにか別のことかもしれない。宇宙から何らかのメッセージが発せられているのだ。それがスケール号にまで届いているのだろう。」

 博士はこの神秘的な宇宙の歌声に耳を傾けながら言った。

  「なんだか母親の子守歌のように聞こえます。」ぴょんたが言った。

  「子供の死を悲しんでいるようだス。」

  「友達を呼ぶ声に聞こえるでヤす。」

  「ハハ~ハハハハ~ハハハハ~ハハハハ~」

  切ないような、甘いような。冷たいような、暖かいような不思議な声は次第に小さくなってやがて消えた。

  「今のは何だったのだスかね。」

  「気味が悪いような、懐かしいような、夢を見ているような。」ぴょんたがしんみりして言った。

  「宇宙は分からない事だらけだ、考えて立ち止まるよりも、進もうじゃないか。」艦長が言った。

 「分かりました。」

  「分かったでヤす。」

  「分かりましただス。」

  「よし、スケール号、ピンクの銀河に向かって出発する。」

  「ゴロニャーン」

  スケール号は再び光速航行を始めた。全天の星がスケール号の前方に集まり白い光の束になった。

 

つづく

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初めての方へご案内。この物語は、のしてんてん系宇宙(五次元)の概念をイメージしていただくために書いたものです。

また、2016年正月から半年をかけて、皆様とともに五次元の世界を旅してまいりました。いわばスケール号の実写版です。

お時間の許す範囲で、そちらも合わせ読んでいただけましたら幸いです。

カテゴリー5次元宇宙に生きる(空間) から初めて、5次元宇宙に生きる(心)、そして5次元宇宙に生きる(神) へと読み進めて頂ければ、スケール号の冒険をより楽しんでいただけるものと思います。)

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七、ブラックホールからの脱出(1)

2016-07-21 | 童話 スケール号の冒険(第4話)

(もこりんのおいしい食事でお腹がふくれた面々。元気いっぱいだ。)

 

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       七、ブラックホールからの脱出

 

 静かだった原子の空間に激しい変化が起こったのは、食事を終えてくつろごうとしたその時だった。

 原子のひしめく空間が突然激しく動き始めたのだ。原子はまるで波打つように揺れ動き、それぞれが勝手気ままに動き出した。光の点滅が全天で花火のように始まった。

 手をつないで原子をつくっていた素粒子たちが一斉に手をはなし、てんでバラバラに動き出したのだ。

 「気をつけろ、いつ粒子が飛び込んでくるか分からないぞ。」博士が注意した。

 「みんな、配置につけ!粒子の動きから目を離すな。」

 「艦長、右から赤い粒子が飛んで来ます。」

 「よし、スケール号、あれを避けるのだ。」

 「ゴロニャーン」

  右に進路を変えると、赤い粒子がスケール号の脇腹をかすめて飛んで行った。そしてその先で、緑の光を放った。粒子同士がぶつかったのだ。

  様々な粒子が次々とスケール号を襲って来た。その度に体をかわしてスケール号はジグザグに進んだ。

  粒子達はますます激しく動き始め、まるで沸騰するお湯の中のような混乱が起こり、スケール号はその中で右往左往するばかりだった。

  「いったい何が起こったのです。」

  「ブラックホールに質量の大きなものが落ち込んだのだろう。」

  「質量って何でヤす。」

  「物の重さのようなものだよ。この様子だとあのパルサー星が飛び込んだのかもしれない。」

 「パルサーと言うと、チュウスケもブラックホールに吸い込まれたのでしょうか。」

 ぴょんたが聞いたが、それに答える者も、考える時間もなかった。予想もつかない方向から素粒子が吹っ飛んで来て、スケール号を襲ってくるのだ。世界が一段と明るくなり、至るところから原子が線香花火のように弾けて光のエネルギーを放出するのだ。まさに四方八方を線香花火で取り囲まれてしまったような賑やかさだ。

 スケール号にとって、身を隠す場所はどこにもなく、ただ次々とやって来る素粒子の突進を避け続けるしかなかった。どこまで行っても沸騰する素粒子の世界から抜けることが出来ないのだ。

 「ひえーっ、もうだめでヤす。」

 「これではきりがないだス。」

 「諦めるな!もこりん、ぐうすか!」艦長が怒鳴った。

 「気を緩めたら最後だぞ!」博士もみんなを励ました。

 「艦長見て下さい。」ぴょんたが指さした。

 その指さす方向に一直線伸びている光の道が見えた。それはまるで、まっすぐな川の流れのようだった。沸騰する素粒子の空間の中を、青白い光の川がこうしてスケール号の目の前に突然現れたのだ。

 「あれは何ですか。」艦長が博士に聞いた。

  「これは・・・」博士はしばらく考え込んだ。

  「一体どこまで続いているのでヤすかね。」

  「その先は見えないだす。」

  「これはおそらく、パルサー星の出していたあの光にちがいない。」

  「あのパルサーの剣の事でヤすか。」

  「そうだ。」博士はしきりに何かを考えているようだった。

 「あの光の剣が、原子の世界ではこんなふうに見えるんだスね。」

 「艦長、これはうまくすするとブラックホールから脱出できるかも知れないぞ。」博士が光の川から目を離さないで言った。

 「あの川は、青白い光の粒が束になって飛んでいるのだ。無数の光の粒がみな同じ方向に飛んでいる。それが川のように見えるのだ。」

 「本当ですか。」

 「おそらくな。」

 「どうするんですか。」

 「あの川に乗るんだ。」

 「あの川にですか。」艦長はまだはっきりと博士の言っている意味がつかめないらしい。

 「あの川も、一つ一つの粒から出来ているのだ。強いエネルギーによって一直線に飛んでいるんだよ。あのパルサーの粒に乗っていけば自然にブラックホールの外に連れて行ってもらえるだろう。助かるぞ!」

 「ほんとですか博士」

 「ほんとでヤすか!博士」

 「ほんとだスか、博士」

 「つまり、あの光はブラックホールの外に飛び出して行く事が出来ると言うことですか。」

 「そういうことだ、艦長。」

 「分かりました、博士。」艦長はスケール号に思いを伝えた。

 スケール号は音もなくパルサーの白い川に近づいて行った。

 つづく

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初めての方へご案内。この物語は、のしてんてん系宇宙(五次元)の概念をイメージしていただくために書いたものです。

また、2016年正月から半年をかけて、皆様とともに五次元の世界を旅してまいりました。いわばスケール号の実写版です。

お時間の許す範囲で、そちらも合わせ読んでいただけましたら幸いです。

カテゴリー5次元宇宙に生きる(空間) から初めて、5次元宇宙に生きる(心)、そして5次元宇宙に生きる(神) へと読み進めて頂ければ、スケール号の冒険をより楽しんでいただけるものと思います。)

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六、かたちを生み出すもの(2)

2016-07-20 | 童話 スケール号の冒険(第4話)

(ブラックホールの中は、意外にも暗くなかった)

 

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博士は窓の外を指さした。

素粒子の宇宙空間は、地球で観る星空とは大きく違っていた。

そこは光の洪水だったのだ。

あなたは地上から天の川を見た記憶はあるだろうか。暗い夜空の真ん中を、星の集団が輝き、まるで白い川が流れているように見える。街の明かりのせいで、今はそんな星の姿さえ見えないのだが、ブラックホールの空は、そんなものではなかった。

天の川が何百、何千も集まったように、全天に星が密集して瞬き、闇の空間はほとんどどこにも見えなっかった。

 「こんな星空見たことないだス」

 「やっぱり不気味でヤすな・・・」

 白く輝く全天のいたる所から、時々。様々な色の光が点滅している。流れ星のようだが、その光は動かないで一瞬輝くのだ。

 「博士、あの光は何ですか」艦長が聞いた。

 「あれは素粒子同士がぶつかり合って出している光なんだ。」

 「これだけぎゅうぎゅう詰めじゃ、ぶつかりますよね。」ぴょんたが感心したようにつぶやいた。

 「ぐうすか、原子は原子核と電子で出来ていると、言ったのを覚えているかね。」

 「覚えているだス。ほら、太陽を中心に地球や火星が回っているように、原子核の周りを電子が回っているっていうのだスな。」

 「その通りだ。よく覚えていたねぐうすか。」

 「眠っていても、頭だけはいいでやスからね、ぐうすかは。」

 「当然だス。」ぐうすかが胸を張った。頭の包帯が目に垂れ下がった。

 「原子核というのはね、あの素粒子星がいくつも手をつないでできている大きな星のことなのだが、これだけたくさん集まると、お互いにぶつかり合うだろう、もこりん。」

 「は、はいでヤす」急に振られてモコリンはちょっとうれしかった。

 「ぶつかり合うと、どうなる?ぴょんた。」

 「つないでいた手を放して喧嘩になりますね」

 「喧嘩はいけないだス」

 「みんなで、はないちもんめやったらいいんでヤす」

 「艦長はどうだ?」

 「ぶつかったら、喧嘩して違うグループが出来るということですか」

 「そういうことだ。素粒子の手をつなぐメンバーが増えて、大きな集団になったり、つながるメンバーが変わったりして、新しい原子核が生まれて行くんだ。それがあの光なんだ。」

  「なるほど、皆、はないちもんめが好きなんでヤすな、ほら、あそこも、あそこも。」もこりんはたのしそうに点滅する光を探し始めた。もう暗い気分は忘れたようだ。

 博士の話はとてもむずかしかった。だがもうみんなはむずかしい話に慣れてしまっていた。

 分からないことはそのままにしておいてもかまわない。分からなくったってかまわない。とにかく前に進むんだ。

 頭を打ったせいか、今回はぐうすかも眠らずに博士の話を聞いている。

  「でも博士、あの光にはいろんな色があるだスが、あれはどうしてだスか。」ぐうすかは眠るどころか、博士に質問し始めた。

 「よく気がついたね。色が違うのは、素粒子のメンバーが違うからなんだ。つまりあの様々な光の色は、それだけ種類のちがうたくさんの物質が生まれているということなんだよ。ほら、ここが墓場じゃないってことが分かっただろう。」

 博士はゆっくりとかみ砕くようにしゃべった。みんなは途方に暮れたような顔をして、それでもうなずいている。とにかくここは墓場じゃない事だけは分かったのだ。 

  「先程、星が一生を終えたと言ったね。大爆発があって、星の物質は宇宙に撒き散らされた。その星の一部がここに集まって来ているんだ。分かるかね。死んだと思った星はここで新しい命として生まれ変わっているんだよ。宇宙に、新たな形を生み出そうとして、再生しているんだ。」

  「原子と言うのは、世界に形を生み出すための一番小さな材料と言う事なんですね。」

  「そうだな。すべての物は原子が集まってできている。だから新しい原子が生まれれば、それだけたくさんの種類の物が形となって世界に現れると言う訳なんだね。」

  「博士、原子を積み木に例えるといいんですね。」ぴょんたが得意そうに話に加わって来た。

 「ほーう、積み木に例えるとどうなるかね。」

 「だからこう言う事でしょう。積み木が一種類だと決まった形しか出来ないけれど、何種類も積み木があれば、それでたくさんの形を作ることが出来るじゃありませんか。」ぴょんたが胸を張って答えた。

 「ぴょんた、それは素晴らしい例えだ。偉い偉い。」

 博士がほめると、ぴょんたは知らないうちに耳をひらひらさせて宙に浮いていた。

 「それにしても博士、原子の世界と言っても、物がみんな空に浮かんでいて、宇宙と似ているのはなぜでヤすか。」

 「もこりん、面白い事に気がついたね。これは大変大事なことなんだが、原子の世界の空も、太陽の浮かんでいる空も、みな別々の空じゃない。それはつながった、たった一つの空間なんだ。だからここが宇宙と似ているんじゃなくて、宇宙そのものなんだよ。どこまで行っても空間はただ一つしかないんだ。」

 「博士、それは何とも不思議なものですね。」艦長が見知らぬ物を見るような顔付きで言った。

 「世界は不思議だらけだね。私達の目にはたくさんの世界が在るように見えているが、実際はただ一つの世界しかないと言うのが私の研究の結論なんだよ。」

 いつの間にか、博士の授業のようになってきた。しかし、そんな堅苦しい話にも気づかないくらい、スケール号の窓から見える光景は神秘的で、何とも言いがたい真実の重みがみんなの心を圧倒していた。

 「あの星のきらめきをしっかり見ておくがいい。あれこそが世界に形が生み出されて行く最初の産声なのだ。」

 全天に点滅する光を見つめながら博士がしみじみ語った。みんなは無心にその空を眺め続けた。

 無数の原子が発するエネルギーのために、白と思えた空はうっすらとオレンジ色に染まっていた。

  「みなさん、食事でヤすよ~。」

  いつの間にか、もこりんがキッチンから食事を運んで来た。もこりんはスケール号の食事係なのだ。

  「今日のお昼はなんだス。」ぐうすかが真っ先にテーブルについた。

 「もこりん製シチューと、黒パン、子えびのトマト煮でヤす。」

 もこりんはレストランのコックさんのように、腕にナプキンをかけてお辞儀をした。

 「これは御馳走だ。」

 「いい香りです。」

 「ありがとう、もこりん。」

  「どういたしましてでヤす。飲み物はオレンジジュースに冷たい水もあるでヤす。」

 みんなは笑顔で食卓についた。

 「さあ、それではみなさん、いただきます!」

 「いただきます!」

 みんなは一斉に食べ始めた。久しぶりになごやかな食事になった。

 

 

つづく

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初めての方へご案内。この物語は、のしてんてん系宇宙(五次元)の概念をイメージしていただくために書いたものです。

また、2016年正月から半年をかけて、皆様とともに五次元の世界を旅してまいりました。いわばスケール号の実写版です。

お時間の許す範囲で、そちらも合わせ読んでいただけましたら幸いです。

カテゴリー5次元宇宙に生きる(空間) から初めて、5次元宇宙に生きる(心)、そして5次元宇宙に生きる(神) へと読み進めて頂ければ、スケール号の冒険をより楽しんでいただけるものと思います。)

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六、かたちを生み出すもの(1)

2016-07-19 | 童話 スケール号の冒険(第4話)

 (煙と消えたスケール号は今どこに)

 

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          六、かたちを生み出すもの 

 

 「スケール号!原子の大きさになれ!」

  スケール号への命令は声にならずに、艦長の心の中だけに響き渡った。ほんの数秒の間に、艦長は精一杯、宇宙の広さと、その宇宙を作っている小さな原子の世界を思い描き、太陽系のような形をした原子の姿にまで意識を広げて行った。

  そしてチュウスケの打ちおろすパルサーの剣の切っ先がスケール号を切り裂くその瞬間、艦長の意識がついにスケール号に届いたのだ。

  スケール号は無条件に反応した。

 全身に強い圧力を感じたと思うと、次の瞬間にはスケール号の外の光景が一変していた。そこはまさに小さな原子の世界だったのである。というより、スケール号は無数の原子のなかにうずもれているのだった。

 「艦長!見てください!ここは遊園地のボールのプールでヤすよ」

 「ほんとだ!」

 「ほんとだス。ボールのプールだス。きもちよさそうだスねぇ」

 「博士、遊びに行っていいでヤすか。ボールもぐりが最高でヤすからね。」

 「待て待てみんな、ここはブラックホールのお腹の中なのだ。」博士が注意深く周りを観察しながら言った。

 「えーっ!それじゃ、飲み込まれたのですか、いやだよ」ぴょんたが耳をくの字のまげて言った。

 「博士、これからどうなるのですか」艦長が博士の方を見た。

 「それより艦長。よくやった。君はこれで、本当に一人前のスケール号の艦長になった。」

 「よくわかりませんが」

 「君の意識がスケール号と繋がったのだ。忘れないようにな。」

 「は、はい」

   「やった、やった!艦長万歳!」ぴょんたが耳をばたばたさせて跳び上がった。

 「艦長、すごいでヤす。」

 「すごいだス、艦長。」

 「よくやった。艦長。おかげでみんな助かったのだ。」

 みんなは一様に喜びの声を上げた。ぐうすかともこりんは抱き合って何度も跳びはねた。博士は艦長の肩をしっかり握り締めた。

 追い詰められた艦長の心からの叫びは、スケール号に通じた。意識がスケール号を動かしたのだ。

 スケール号はブラックホールに吸い付かれたまま、一瞬の間に巨大な星の大きさから目に見えない小さな原子に縮小した。

 しかしその一瞬の間に、スケール号はブラックホールの内部に落ち込んでいた。

 ブラックホールに飲み込まれながら、間一髪で、スケール号は原子の大きさにみずから縮む事で、ぺシャンコにされるのを免れたのだ。原子の大きさになったスケール号はブラックホールの中を自由に動くことが出来る。しかしその空間は、原子のぎっしり詰まった超過密空間だった。どこを見回しても原子が群がっており、スケール号は真っすぐに飛ぶことが出来なかった。スケール号は原子のプールを泳ぐようにしてブラックホールのお腹の中に漂っているのだ。

 「でも、それじゃ、スケール号はこのまま外に出られないということでヤすね。」もこりんが初めて気付いて言った。

 「もこりんの言うように、確かにここはブラックホールの中なのだ。」博士が言った。

 「ブラックホールに飲み込まれて、どうやって助かるのですか。」

 「もう助からないんだスか。」ぐうすかが情けなさそうに質問した。

  「心配はいらない。大丈夫だ、きっと助かるよ。」博士が落ち着いて答えた。

 「でも、ブラックホールに落ち込んだら、光さえ外に出られないって言うでしょう。」

 「我々はスケール号のおかげで、ぺシャンコになる所を助かったのだ。このぎっしり詰まった原子の空間は、押し潰された物の成れの果てなんだよ。我々はそうならずにこうして生きているじゃないか。それに我々はこうして、この中を進むことが出来るんだ。希望はあるさ。」

 「それより艦長、このままでは窮屈だ。スケール号をもっと小さくしてみようじゃないか。この原子はもっと小さな素粒子の粒が集まってできているんだ。その素粒子の粒の上に乗っかれるくらい小くなってくれないか。」

 「はい」

 「ゴロニャーン」

 今やスケール号は、艦長の命令を口で伝える必要はない。思うだけでスケール号は動くのだ。瞬く間にスケール号は小さくなっていく。それをスケール号の窓から見ると、ボールだった原子が金星のような大きさになっていく。金星のように見えたボールは、いくつもの小さな粒の集まりだったことがわかり、その小さな粒の間には宇宙空間が広がっているのだ。その空間の中に浮かんでいる小さな粒がどんどん大きくなって、とうとう地球のような大きさになった。

小さくなったスケール号は、地球のような素粒子を眺めながら、原子の宇宙空に浮かんでいるのだ。

 スケール号の乗組員たちは、窓の、移り変わる風景に、ただ言葉もなく見とれていた。

 「でもここは、ブラックホールの中、そう思うと、ここは墓場なんでヤすね。気味が悪いでヤす。」

 もこりんがだれよりも早く気付いて言った。モコリンはモグラだけに、暗いところに気付くのが得意なのだ。

 「みんな、暗く考えるのはよそう。何とかなるさ。」艦長がみんなを励ました。

 「ここは墓場なんかじゃないよ。逆に新たらしい命が生み出されている場所なのだよ。」博士は優しい口調で言った。

 「ほんとだスか。」

 「あれをご覧。」

 

つづく

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初めての方へご案内。この物語は、のしてんてん系宇宙(五次元)の概念をイメージしていただくために書いたものです。

また、2016年正月から半年をかけて、皆様とともに五次元の世界を旅してまいりました。いわばスケール号の実写版です。

お時間の許す範囲で、そちらも合わせ読んでいただけましたら幸いです。

カテゴリー5次元宇宙に生きる(空間) から初めて、5次元宇宙に生きる(心)、そして5次元宇宙に生きる(神) へと読み進めて頂ければ、スケール号の冒険をより楽しんでいただけるものと思います。)

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谷口勇個展行ってきました。

2016-07-18 | 展覧会

友人と二人で、出かけました

 

頂いた作品の画像です。昨年個展の作品だそうです。

  

 以下、会場の風景です。私が感じた谷口さんの人柄がそのまま表れているような会場でした。

外連味がなく素晴らしく明るい画風。子供がそのまま無傷で成長してきたような絵。

私が必死でペたるをこいで進んでいる、そんな場所を無垢のまますり抜けていったような絵。

五次元を理解し、それを超えていかれた。谷口さんの絵です。

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 そしてこれが最新作

五次元を意識して仕上げた作品だそうです

心が洗われるような一日でした。

 

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のしてんてん絵画の楽しみ方 お時間のある方はどうぞ

 (瞑想の絵画)

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五、チュウスケの復讐(2)

2016-07-17 | 童話 スケール号の冒険(第4話)

(チュウスケの渦巻攻撃、スケール号はこのまま罠にはまってしまうのでしょうか)

 

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 スケール号は上に飛んでそのまま後ろにさがった。パルサーの剣のために、前に飛べないのだ。するとまたしても渦巻攻撃がスケール号を襲って来た。それを避けようとスケール号が後ろに跳んだ時、スケール号の船体がぐらりと傾いた。ついにスケール号はブラックホールの引力に捕まってしまったのだ。

 スケール号はまるで洗濯機の中にほうり込まれたように、ぐるぐるとブラックホールの不気味な穴の周りを回り始めたのだ。

 

  「チュハハハ、ついにやったぞ。」チュウスケは躍り上がって喜んだ。

  「どうしたんだ、何が起こったんだ!」艦長が叫んだ。

 「分かりません、スケール号がとてつもない大きな力に押し流されています。チュウスケの渦巻き攻撃でしょうか。ち、力が強すぎます。」

 その時、みんなはその渦巻きの中心にぽっかりと口を開けた、黒い穴を見た。

 「いかん、これはブラックホールだ!」

 「何ですって、それは一体、」

 「説明している暇はない。艦長、今すぐここから脱出するのだ。さもなくば、ぺしゃんこになるぞ!」

 「ひえっ、いやだス、いやだス。」

 「死にたくないでヤす。」

 「神様!」

 「スケール号跳べ、この渦から逃げるのだ。」

 「ゴローニーャーーンン」

 しかし、スケール号はすでに身動きが出来なかった。巨大なブラックホールの引力にしっかり捕らえられ、もはや逃げ出すには遅すぎたのだ。その逆に、ブラックホールの引力はますます強くなり、スケール号は丸い漆黒の穴の周りを猛スピードで回り始めた。

 回転の円が小さくなって行くと、同時に黒い穴に引き込まれるスピードが増し、スケール号はその度にブラックホールの丸い穴に近づくのだ。もはやスケール号にはその力に抵抗する方法がなかった。

 「チュハハハ、チュハハハハ、押しつぶされて、永遠に宇宙のちりになるがいい。わたチュの力を思い知ったか。チュハハハハ!」

 チュウスケが声高に笑った。その笑い声が全天に響いた。

 「艦長、もうだめです。」

  「ぺシャンコになるだスか。」

 「神様仏様、助けてほしいでヤす。お願いでヤす。」

 ミシミシとスケール号の船体がきしみ始めた。

 もうすぐそこにスケール号を飲み込もうと、漆黒の闇が、ぱっくりと丸い口を開けているのだ。

 「艦長!スケール号の体を大きくするのだ!」博士が叫んだ。

 博士の一声が、艦長の頭に一瞬のひらめきを起こした。助かる方法が一つだけあったのだ!

 「スケール号、ブラックホールより大きな体になれ!」

 「ボロニャーンン」

  スケール号の鳴き声はおかしかったが、体のほうは見る見る大きくなり始めた。そしてとうとう、ブラックホールの丸い穴よりスケール号の方が大きくなった。ちょうどその時スケール号はぴったりとブラックホールの穴に吸い寄せられたのだ。

  スケール号のおなかに、ブラックホールが吸い付いた。スケール号はブラックホールに飲み込まれる危険から逃れることが出来たが、しかし今度はそこから動けなくなった。

  ところであなたはこんなことをした事がないかな?

  空のプラスチックコップをへこませて、手のひらに付けて離すと、コップは手のひらにぴったりと吸い着く。コップがなければペットボトルでも構わない。うまくやればペットボトルでも吸い付くだろう。

  もしまだやったことがなかったら、さっそく台所からちょうどいいコップを探してやってみてほしい。

 スケール号のおなかは、ちょうどそんなふうに、ぴったりとブラックホールの口が吸い付いてしまったのだ。足をばたばたさせても、スケール号は動くことが出来ないのだ。

  しかもその向こうにはチュウスケが仁王立ちになっていた。

  「往生際の悪いやつめ、こうしてやる!」

  チュウスケはパルサーの剣を振りかざして、動けないスケール号に突進して来た。

  「艦長、チュウスケが攻撃して来ます。」

  「逃げられないだス!」

  「何とかしてほしいでヤす。」

  「艦長、今度は一瞬で、スケール号を原子の大きさに出来ないか。」

  博士が艦長に言った。

  人間も花も、そうそう、クリームソーダーだって何だって、この世にあるものは何でも原子と言う目に見えない小さな粒によって出来ている。それは今いる宇宙とは反対に、とても小さな世界で、そこにあるのが原子なのだ。

 つまりスケール号が最初に行ったクリームソーダーの世界で、スケール号が原子の大きさになって、グラスの壁を通り抜けた時の事を思い出た。博士はその時の大きさに一瞬で縮んでほしいと言っているのだ。 十分の一や百分の一などというものではない。一億分の一の大きさの、その一億分の一の、さらにその一億分の一にまでスケール号の体を縮めなければならないのだ。分かるかな?

 スケール号は今、ブラックホールより大きな体になっている。太陽の何百倍もあるかもしれない。そんな大きさから原子なんていう、目に見えない大きさに、どうして一瞬に縮まる事なんか出来るだろう。そんなことはとても考えられないことだった。

  「博士、とても無理です。光の速さで小さくなって行っても、長い時間かかるのですよ。」

  「意識だ、意識を使うのだ艦長。」

  「しかし、」

 博士は、艦長の両肩を抱いて目を瞑った。

  「心を鎮めてスケール号に命令するのだ。必ず出来る。自分の力を信じるのだ。さあ、意識を宇宙から原子の世界に広げてごらん。宇宙が見えるだろう。そのまま原子を意識してごらん。その意識だけを信じてスケール号に伝えるのだ。」

 博士は艦長の肩に手を添えたまま折るようにささやいた。

  チュウスケが目前に迫って来た。パルサーの剣がキラリと光った。スケール号めがけて剣の切っ先が打ち降ろされたのだ。

  「スケール号!原子の大きさになれ!」

 追い詰められた艦長は自分自身が命令そのものになったような気持ちで、スケール号にその思いを伝えた。

 

  勢いをつけて、チュウスケはスケール号に飛び掛かった、思い切りパルサーの剣を振り下ろした。

  「スケール号かくごだチュウ!」

  パルサーの剣がスケール号の体を切り裂いたと思った一瞬、スケール号の体が煙のように消えてしまった。

 「何!」

 チュウスケがひるんだ一瞬、今までスケール号に吸い付いていたブラックホールの引力が一斉にチュウスケの体を捕らえた。チュウスケの体が猛烈なスピードでブラックホールの入り口を回り始めた。

  「これは一体、どうチュたわけだ。」

  チュウスケの体がパルサー星と共にブラックホールに飲み込まれ始めたのだ。洗濯機の中にほり込まれた黒い靴下のように、チュウスケはもみくちゃになりながら渦の中に巻き込まれ、引き伸ばされてブラックホールの穴に吸い込まれて行った。

  「チュワワーッ、たチュけてくれチュウウウチュウウウウワワー」

  チュウスケはそのままブラックホールの中に飲み込まれた。

  「チュくしょうーーおぼえていゆチュチュウウウウーーー」

  チュウスケの最後の言葉は途中で、ブラックホールの中に消えてしまった。

つづく

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初めての方へご案内。この物語は、のしてんてん系宇宙(五次元)の概念をイメージしていただくために書いたものです。

また、2016年正月から半年をかけて、皆様とともに五次元の世界を旅してまいりました。いわばスケール号の実写版です。

お時間の許す範囲で、そちらも合わせ読んでいただけましたら幸いです。

カテゴリー5次元宇宙に生きる(空間) から初めて、5次元宇宙に生きる(心)、そして5次元宇宙に生きる(神) へと読み進めて頂ければ、スケール号の冒険をより楽しんでいただけるものと思います。)

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五、チュウスケの復讐(1)

2016-07-16 | 童話 スケール号の冒険(第4話)

(お待たせいたしました。チュウスケ。宇宙の極悪大怪盗が満を期して登場いたします。さてどんなあくどい手でスケール号に立ち向かうのでしょうか。)

 特技 魔法使い 手のひらから渦巻ビームを発射する

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           五、チュウスケの復讐

 

 パルサー星の背後に巨大な黒い影があった。注意深く見れば、パルサ星の向こうに広がっている星空が、奇妙な形に切り抜かれたように見えているのに気づいたはずだ。

  その影の部分だけ、まさに星空を切り抜いたように真っ黒な形を作り出しているのだ。そしてその形は、巨大なネズミの輪郭を描いていた。その黒い影はチュウスケだった。

  「今に見ていろチュウ、スケール号め、今度こそ宇宙のちりにしてやるだチュウ。」

  チュウスケはニヤリと笑った。

 チュウスケはネズミで、魔法使いの大怪盗、どこにでも出没して悪事をたくらむ。

  しかし、その度にスケール号に阻まれて悔しい思いをして来たのだ。機会さえあればスケール号をやっつけてやろうと、チュウスケの思いはますますつのっていき、今や巨大な星をしのぐ大きさになっていた。

  チュウスケはここでスケール号を待ち伏せしていたのだ。

  長い間、スケール号の様子をうかがいながら宇宙を漂い、チュウスケはようやくチャンスをつかんだ。

 スケール号はまだ気づいていないが、チュウスケには大きな切り札があったのだ。それはチュウスケの後ろに隠されている漆黒の穴、ブラックホールだった。

  ブラックホールと言うのは、宇宙に出来た大きな穴のことで、そこに落ち込んでしまうと、光さえ外に出ることが出来ないと言われている、魔の空間なのだ。

  そこでは強い力が働いていて、その穴に飲み込まれたものはどんなものでも、その圧力によって、跡形もなく押し潰されてしまうのだ。

  ブラックホールに飲み込まれたものは、一生そこから逃げ出すことが出来ない恐ろしい宇宙の穴、そんな不気味な真っ黒い空間がチュウスケの背後にぽっかり口を空けているのだった。

  チュウスケはその穴に、スケール号を誘い込もうと企んでいるのだ。

 「今度こそ思い知るがいいだチュ。」

  チュウスケはおもむろにパルサー星をつかみ、パルサー星から出ているレーザー光線を剣にしてスケール号に挑みかかって行った。

  「艦長、パルサーの光線がこちらに向かって来ます!」ぴよんたが耳をピンと張って叫んだ。

  「何!」

 「危ないでヤす!」

 「スケール号、横に飛んで光線を避けろ。」

 「ゴロニャーン」

 スケール号はヒラリと身を横に移して、パルサーの一撃をかわした。パルサー星の向こうに、巨大な影が見えた。その部分だけ星のまたたきがなく、漆黒の闇になっていた。それは見たことのある形をしていた。

 「あっ、あの影はネズミでヤす。」もこりんが叫んだ。

 「艦長、もしかしてあれはチュウスケネズミではないだスか。」

 「あるいはな。」艦長が巨大なネズミの影をにらみつけた。

 「チュウスケ、こんな所にいたのか。」ぴょんたが、耳をいなずまのように、曲げて叫んだ。

  「チュハハハハ、待っていたぞスケ-ル号、こんどこそ終わりだチュウ。」

  ヒラリと、かわしたスケール号を、今度は左から、パルサーの剣が、襲い掛かった。

  スケール号は大きく横に回り込んで、パルサーの剣先をかわしながらチュウスケに接近した。

 すると、パルサーの反対側の剣がスケール号を迎え撃った。

  「艦長、前から来ます!」

  「スケール号飛べ!」

  「ゴロニャーン」

  スケール号は真っすぐ上に飛んで、そのままチュウスケを飛び越えた。スケール号はチュウスケを真下に見たとき、ビームを発射した。チュウスケは前に飛びのいてスケール号の攻撃をかわし、パルサーの剣を大きく振り回した。

  スケール号とチュウスケはそのまま体を入れ替えた。チュウスケの背後に隠れていたブラックホールの不気味な丸い口が、今度はスケール号の後ろになった。

  チュウスケはパルサーの剣を車輪のようにくるくる回し始めた。パルサーの両刃の剣はだんだん勢いをつけて、ぶんぶんプロペラのように回りだし、宇宙空間に果てしなく大きな円盤の壁を作り上げたのだ。その円盤がじりじりスケール号に迫ってくる。その度にスケール号は後ろに下がった。

  「スケール号、出来るものならこのパルサーの剣の壁を破って見るのだな、チュウチュウ。」

  チュウスケは巧みに、スケール号の注意を前のほうに引き付け、じりじりとスケール号を背後に押しやって行った。そこにはブラックホールが、ぽっかりと不気味な口を開けて獲物を待ち構えているのだ。スケール号はそれを知らない。

  ぐるぐる振り回すパルサーの剣はスケール号に逃げ場を与えなかった。スケール号が動けるのは後ろにさがるだけだった。

  後ろにさがりながら、スケール号は二発目のビームをパルサーの中心を目がけて発射した。しかしそれはいとも簡単にパルサーの剣の壁に跳ね返されてしまった。

  「ばかめ、むだだチュウ。そんなものでこのパルサーの両刃の剣を破れると思うチュウのか。」

  チュウスケはスケール号を挑発しながら前に踏み出して来る。そして巧妙にスケール号をブラックホールの方に追い詰めて行った。

  だが、艦長以下乗組員の全員がパルサーの剣に気を取られていた。まさにその背後にブラックホールの真っ黒な口が迫っている。その魔の穴の引力がすでにスケール号を捕らえ始めていた。スケール号の計器類が最初は気づかないほどに、やがて少しずつ震え始めたのだ。

  「艦長、何かおかしいでヤす。」

 もこりんが言ったその時、ぐるぐる回るパルサーの剣のすき間をぬってチュウスケの渦巻攻撃が飛び出して来た。

  「死ね、スケール号!」

つづく

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初めての方へご案内。この物語は、のしてんてん系宇宙(五次元)の概念をイメージしていただくために書いたものです。

また、2016年正月から半年をかけて、皆様とともに五次元の世界を旅してまいりました。いわばスケール号の実写版です。

お時間の許す範囲で、そちらも合わせ読んでいただけましたら幸いです。

カテゴリー5次元宇宙に生きる(空間) から初めて、5次元宇宙に生きる(心)、そして5次元宇宙に生きる(神) へと読み進めて頂ければ、スケール号の冒険をより楽しんでいただけるものと思います。)

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四、命のおわりに(2)

2016-07-15 | 童話 スケール号の冒険(第4話)

(何億光年のかなたにスケール号はたどり着けるのか)

 

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「よし、みんな、探査レーザーから目を離すな、何か変わったものがあったらすぐに報告するんだ。」艦長が元気一杯に命令した。

 「アイアイサー!」

 「アイアイサーでヤす!」

 スケール号は順調に飛び続けた。

 「艦長!斜め前方に何か巨大なものを発見!」ぴょんたが叫び声で報告した。

 「何か分かるか。」

 「多分、星だと思いますが、形がおかしいです。」

 「よし、スケール号、通常航行に戻れ。」

 艦長がスケール号に命令した。通常航行と言うのは、つまり普通の速さで飛ぶということだ。艦長もだいぶ操縦に慣れて来たので、つい専門的な言葉が出るようになって来たのだ。

 「ゴロニャーン」

 今まで光速で飛んでいたスケール号が通常航行に戻った。すると同時に、前方に集まっていた星たちが、全天に散らばって広がった。その前のほうにぴょんたが言った奇妙な星が見えている。

 それは星というより、雲の固まりのように見える。赤銅色の不定形な雲の広がりの中央により明るい球体の輝きがかすかに見えている。

 その中心の天体から、赤銅色のガスが全天をおおわんばかりに押し広がっているのだ。ガスの広がりは引き伸ばされるように横にたわみながら、今にもつぶれていきそうなゆらめきを見せている。

 「不気味でヤす。」

 「何か、ゾーッとしますね。」

 「これは星雲だが・・・、艦長、気を付けろ、この星は死にかかっているんだ。」博士が興奮した声で言った。 

  赤銅色のガスを撒き散らすことで、星がどんどん膨張しているのだった。おそらく元の星の何十倍も膨れ上がっているはずだと、博士は説明した。

  「それにしてもすさまじい光景ですね。」ぴょんたが耳をくるくる巻にして言った。

  それは確かにすさまじい光景だった。赤銅色のガスはもやもやと宇宙を征服するように広がって来て、スケール号をも飲み込むような勢いになって来た。

  「艦長、これ以上は危険だ。この星から離れるんだ!」博士が叫んだ。 スケール号は方向を転換して、ガスから逃げるような形になった。そのとたんに猛烈な爆発が起こった。

 一瞬、全天が目を開けていられないような明るさになり、スケール号は背中を思い切り突き飛ばされるような衝撃を受けて宇宙空間に弾き飛ばされた。

 スケール号の操縦室に激しい振動が伝わって来て、思わずみんなは手近にあるものにしがみついて自分の身を守った。が、眠ったままのぐうすかはそのまますっ飛んで行って、壁にぶち当たった。

  スケール号はぐらぐら揺れて、赤銅色のガスと共に宇宙のかなたに飛ばされて行く。

  「ぐうすか、大丈夫か。」艦長がぐうすかに駆け寄ったのはこれで二度目だ。しかし、ぐうすかは返事をしないし、いびきもかいていなかった。そこでぴょんたが駆け寄った。

  「ぴょんた!ぐうすかは寝ているのか、気を失っているのか、どっちだ。」艦長がたずねた。

 「頭に傷があります。」そう言ってぴょんたは救急箱をを取り出し、手際よくぐうすかの傷の手当をした。

 「ぐうすかの奴、眠ったまま気絶したようです。でもたいしたことはありません。すぐに気が付くでしょう。」

 そのうちにスケール号の揺れはおさまって来た。爆発によって、一瞬に大量のガスを吹き飛ばしたが、宇宙に広がるにつれてガスは希薄になって行き、スケール号も自由に動けるようになって来たのだ。振り返ると、もともと星があった位置のその中心に、青白く輝く小さな星が見えた。不思議なことに、その小さな星からは二本の鋭い光の帯が、正反対の方向に一直線に伸びていた。その光線は天を二分するようにどこまでも伸びており、宇宙を切り裂く刃物のように見えた。

 「星の一生が終わったのだよ。」博士が静かに言った。

 「これが星の最後なのですか。」

 「軽いガスは膨張して、爆発の勢いで吹き飛ばされた。その後に残ったのは星の重い部分だ。その重みのために、自分の体を支え切れずにどんどん小さくなってあんな大きさになってしまったんだ。あの小さな星をパルサーと呼んでいるんだ。」

  「あの刀のような光は何なのですか。」艦長が聞いた。

 「一種のレザー光線のようなものだ。あの光には触れない方がいい。スケール号がすっぱり切られてしまうかもしれない。」

 「まるで、ライトセイバーのようですね。」

 「そうだな。しかしこれは自然の営みなのだ。人間が造ったものとは違う。」

 「不思議ですね。」

 「宇宙の神秘って、こういう事をいうのでヤすね。」

  「ほんとに宇宙って不思議だスな。いったいどうなっているのだスか、さっぱり分からないだスが、頭がヅキヅキするほど不思議だス。」

  ぐうすかが頭を包帯だらけにして起きて来た。その姿を見て、みんなはどっと笑った。

  しかしその時、パルサー星の明るい輝きの後ろに、黒い影が潜んでいるのに気づく者はなかった。

(つづく)

 

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初めての方へご案内。この物語は、のしてんてん系宇宙(五次元)の概念をイメージしていただくために書いたものです。

また、2016年正月から半年をかけて、皆様とともに五次元の世界を旅してまいりました。いわばスケール号の実写版です。

お時間の許す範囲で、そちらも合わせ読んでいただけましたら幸いです。

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四、命のおわりに (1)

2016-07-14 | 童話 スケール号の冒険(第4話)

(シリウスから聞かされた、神ひとさまへの道とは・・・・)

 

 

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         四、命のおわりに

 

 スケール号は暗い宇宙空間を一直線に飛んでいる。それはまるで定規を当てて線を引くような正確さで星と星の間を移動しているのだ。

  スケール号は光速で飛んでいた。

 横からスケール号を見ているものがあったとしても、光が一瞬前を横切ったと言うぐらいしか分からなかっただろう。と言うのも、光は一秒間に地球を7回り半も走ることが出来るんだ。一緒に走りだしたら一歩進む間に地球を一周した光に7回も追い越される。スケール号はそんな速さで飛びつづけている。

 土星のような星の影の中でキラリとネズミの目が光り、その目の中にスケール号が光の線となって映し出された。まぶたのまたたくその一瞬の出来事だった。

  その光の速さで、スケール号は飛んで行く。目指すは、はるか彼方にあるピンクの銀河、そこがどれだけ離れているのか、だれも知らない。

  とにかく宇宙はとてつもなく広いのだ。何億年、光の速さで進んでも、その果てに行き着くことはないのだ。ピンクの銀河がもし宇宙の果てのほうにあったら、スケール号がどれだけ頑張って飛んで行っても何億年もかかってしまう。もしそうだったら、艦長も乗組員も、生きてはいないだろうし、スケール号だってすっかり溶けてなくなっているだろう。

  それでもスケール号はピンクの銀河を目指して飛んでいる。

  「神ひと様に会いたければ、まずピンクの銀河を見つけるがよい。」

  長老シリウスはそう言ったのだ。

 「ピンクの銀河、それは何処にあるのですか。」

  「あの十字架の形をした星座の中心に向かって進むのだ。だが、」

  「だが、何なのですか。」

  「どれぐらい遠いものやら、光の速さで行っても、何万年、何億年かかるやも知れぬ。それでも行くのか。」

 「行きます。」

  艦長はいきおいで答えた。しかしそれがどんな事を意味するのかよく分かっていなかった。 

  「艦長、何億年もかかったら、とても生きて行ける所じゃありませんよ。どうするんです。」ぴょんたがびっくりして聞いた。

  「心配するな、何とかなるさ。」

  艦長は無理をして答えたが、さすがに自信がなくなって、博士を見た。その目は無言で博士に助けを求めていた。

 「時間にこだわる事はない。我々は今、シリウスの二倍の大きさになっている。つまり宇宙の、星の時間の中にいるのだ。人間の一億年など、星の時間から見れば一日程の長さにすぎないんだ。心配することはないだろう。」

 「へーっ、そんなものでヤすか。」

 「それにこのスケール号はまだすべての能力を出し切っている訳ではない。」

 「もっとすごい事ができるんですか。」ぴょんたが耳をピンと伸ばしてたずねた。

 「スケール号は艦長と共に進化して行くのだ。艦長の意識が高まって行けば意識の速さで飛ぶことだって出来るだろう。」

  「なんだかよく分かりませんが、それって光よりも速く飛ぶことが出来ると言う事ですか。」

 「その通り。意識の働きは光よりも速いのだ。どんな所にでも一瞬で行くことが出来る。もっともそのためにはこの世界をより深く理解する意識の働きが必要なんだがね。」

 「どこにでも一瞬で行けると言うのは、ワープの事ですか。」

 「いや、ワープは、あらかじめスケール号に行き先を覚えさせておかねばならないんだ。だから、行き先の位置がはっきり分からなければワープすることが出来ない。だから今、我々が行こうとしているピンクの銀河もその位置がはっきりしないためにワープ出来ないんだ。」

 みんなは博士の言葉に聞き入っている。

 「ところが、艦長の意識が高まると、それがスケール号に伝わって、艦長がピンクの銀河を意識するだけで、一瞬のうちにピンクの銀河に移動することが出来るようになるんだ。」

 「ああっ、むつかしいだス。もうだめだス・・・」

 ぐうすかが頭を抱えて、うめくように倒れ込んだ。そしてそのまま床に転がって動かなくなってしまった。

 「どうした、ぐうすか。」

  艦長がぐうすかに駆け寄った時には、すでにぐうすかは、いびきをかいていた。 

  「やれやれ、ぐうすかの奴、これで結構頭がいいんだから、嫌みなやつだよ。」ぴょんたがぐうすかを蹴飛ばして言った。

 「えっ、ケーキだスか。うれしいだス。ムニャムニャ」

 蹴っ飛ばされたぐうすかは、眠ったままうれしそうな顔をして、口をモグモグさせた。よだれがあふれて来た。夢を見ているのだ。

 「汚ねー。」ぴょんたが呆れた顔をした。

 「幸せな奴でヤすな。」

 「まあまあ、」艦長が二人の間に入った。

 「ぐうすかにはぐうすかのやり方があるのだ。それを認めてやろうじゃないか。」艦長が笑いながらぐうすかを見て、そう言った。

 「分かりました。」

 「分かったでヤす。」

 二人共、首をすくめて笑った。

 「ようするに、我々は必ず、ピンクの銀河に行くことが出来ると言うことだ。」

 博士にそう言われて、艦長はやっと安心した。

 それにしても、意識が高まればスケール号を光よりも速く飛ばせると博士は言ったけれど、どう言うことなのだろう。

 そういえば、彗星モクモクを助けに行ったときだったが、捕らえられていた地下室から、心の中でスケール号を呼んだら、助けに来てくれたことがあった。もしかしたらその事と関係があるのだろうか。

 どうしたら、そんなすごいことが出来るんだろう。艦長はひとしきり考え込んでいた。

 すると、艦長の心を見透かしたように、博士が言った。

 「艦長、むつかしく考える必要はないよ。」

 「えっ、でも、博士。」

 「君はスケール号の立派な艦長だ。どうしようなどと考えることはないんだ。ぐうすかが、ぐうすかのままでいいのと同じように、君は君のままでいい。そうすればいつか時期が来る。時期が来れば花が咲くように、自然にスケール号を意識のままに操れるようになるだろう。」

 艦長はうれしくなった。博士の言っていることはよく分からなかったけれど、少なくとも、自分はこのまま頑張っていればいいという事が理解出来たのだ。

(つづく)

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初めての方へご案内。この物語は、のしてんてん系宇宙(五次元)の概念をイメージしていただくために書いたものです。

また、2016年正月から半年をかけて、皆様とともに五次元の世界を旅してまいりました。いわばスケール号の実写版です。

お時間の許す範囲で、そちらも合わせ読んでいただけましたら幸いです。

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心と心のジョイント展(4)

2016-07-13 | のしてんてん絵画を知っていただくために

心と心のジョイント展(3) で交わした、文筆と のしてんてん絵画 のジョイントが実現いたしました。 もしお時間がありましたら、こちらをご覧の上、ジョイント作品をお読みいただければ、より臨場感をもっていただけるかと思います。

「こがらしのほこり」を表題にして、物語と絵画に挑戦する。それを持ち寄り、ジョイント展を開く。その約束で始まりました。響きあいが生まれたら、心の交流のよき実践になりはしないか。そう思いながらここに公開いたします。

文筆作家 かわかみ れい 「こがらしのほこり」

絵画 のしてんてん 「こがらしのほこり」  

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『こがらしのほこり』

           文 かわかみ れい 絵のしてんてん

 

 

 

 これは私が、知り合いの風からきいた話です。

 

 ある年のこと。
「もう冬なのですね、こがらしさん」
と、大きなくすのきが、通りかかったこがらしへ話かけました。
「わたし、冬がきらいじゃないんですよ」
くすのきはのんびりとそんなことを言います。暑さにあえぐことも寒さにふるえることもない、大地にどっしりと根をおろしている木でした。
「……あなたはそうかもしれませんね」
こがらしはちょっと足を止め、こたえました。
「でも、みんながあなたのように暮らせるわけでもないでしょう?冬になったらこごえてしまう鳥や、葉っぱを手ばなすしかない木は、今の言葉にはらを立てるんじゃないですか?」
かるく頭を下げ、こがらしは先へすすもうとしました。
「こがらしさん、あなたはどうなんですか?」
くすのきはもう一度、声をかけてきました。こがらしはふしぎそうにふりかえりました。なにをきかれたのか、よくわかりません。
「……いえね。ちょっと前まであなた、時々なみだぐんだりしてましたよね?ひょっとすると冬がきらいで、なのにそのきらいな季節をつれてくるのがお仕事で、本当はとてもつらいんじゃないのかな……と。いやその、大きなお世話なんですけどね、わたし前からそれがちょっと、気になっていまして……」
こがらしはおどろきました。
 神さまから『こがらし』を務めるよう命じられたばかりのころ、こがらしはこの仕事がいやでたまりませんでした。
 こがらしが歩くと、みんな顔をそむけます。たとえそれまで楽しそうにわらいあっていても、こがらしがあらわれたとたん、だれもが顔をこわばらせ、にげるようにいなくなるのです。
 なかでも葉をおとす木々の様子に、こがらしのきもちはくらくなりました。そういう木はこがらしが来ると、みんな大あわてで葉を手ばなします。こわいみたいに手ばなします。手ばなされた葉っぱたちは茶色くかわき、こがらしのまわりでかさこそ音を立て、舞います。自分が来なければ葉を手ばなすこともないんだろうな、と、そんなことも思いました。
 小さいころからこがらしは、いろいろな友だちをたくさん作りたいな、と夢見ていました。でも、二年、三年……とたつうちに、その夢をあきらめてしまいました。お仕事をきちんと務める、ただそれだけを考えることにしたのです。
 そう決めてからもうずいぶんになります。そもそも『こがらし』の顔なんて、だれもが覚えてやしないだろうと思いこんでいました。
「……そんな……前から。ぼくのことを気にかけてくれていたのですか?」
今度はくすのきがふしぎそうでした。
「……だって。あなたは毎年、来てるじゃないですか。顔みしりなんですから、気にかけるでしょう?」
その言葉をきいたとたん、こがらしの胸はじわんとあたたかくなりました。冬の空気が自分の心までこごえさせていたことを、その時はじめて、こがらしは知りました。

 そんなことがあってしばらくたったころ。
「ちょっとお話ししてもいいですか?」
と、メタセコイヤが話しかけてきました。
「実はぼく、前からこがらしさんにお礼を言わせてもらいたいなって思ってて……」
「……お礼?」
思いがけない言葉に、こがらしは首をかしげました。メタセコイヤはうなずきます。
「冬の支度のことなんです。ぼくらは冬に葉をおとすんですけど、おひさまの光をあびてる方がすきだからつい、ぐずぐずしちゃって。早く冬の支度をした方がいいってわかってても、自分だけだとなかなかできないんです。でも、そんな時にこがらしさんがいらっしゃると、ぼくらははっとして、やっと本気で冬の支度をはじめられるんですよ……」
メタセコイヤは、こがらしをまっすぐ見つめています。
「ありがたいと思っています。おかげで春に、元気な新しい芽を出せます。こがらしさん、いつもちゃんと来て下さって、本当にありがとうございます」
 きびしい季節を知らせる、みんなからいやがられるだけの、仕事。それが『こがらし』だと、ずっと思ってきました。……でも。こがらしの目に、茶色くかわいた葉っぱたちがくるくるまわって消え……やがて明るい日ざしの中、きみどり色の葉っぱの赤ちゃんたちがえだですやすやねむっている、そんな景色が見えました。
「……こがらしさん?」
だまってしまったこがらしへ、メタセコイヤは心配そうによびかけてきました。われにかえり、こがらしはほほえみます。
「いや……お礼を言わなきゃならないのはたぶん、ぼくの方だよ。……ありがとう……」

 今日もこがらしは歩きます。こがらしが歩くと、あたりはつめたい灰色にしずみます。
 けれどこがらしの胸の中は、ほんのり火がともったようにあたたかでした。
『風の大切なお役目は、みんなに季節を知らせること』
生まれたころから教わる、風ならだれでも知っている大切なこと……です。
 今、こがらしはその大切なことを、心の底から、信じられるようになりました。

                            《おわり》

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ジョイント開催にあたって

 

『こがらしのほこり』をよろしく
 実は私、お話らしいものを書くようになってかなりになります。が、どうやら今まで、過保護で心配性なお母さんのように作品に接してきたようです、無自覚でしたが。
『こがらしのほこり』と格闘をし始め、2ヶ月ばかり。ようやく私は子供の手を離し、独りで歩いて行く子を静かに見送れる気持ちになれたようです。
 よろしければ、この子を可愛がってやって下さい。今、私に言えるのはそれだけです。

  かわかみ れい

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縁あって れいさんと、コラボさせていただきました。

人はこれほど、ことばと格闘するものなのか、あらためてそんなことを思わされました。文筆にかける熱意に焼かれそうになりながら考えました。

何気ないことばですが、その後ろにはとてつもなく大きなものが潜んでいる。それを見つけ出す行為は、私が絵に求める以上に険しいのかもしれないと。

それにふさわしい絵が描けたのか・・・・・・・

そう思いながら、文と絵を並べて見たら、いいものが出来たと確信いたしました。

自信を持って、こがらしのほこりを皆様にお届けいたします。

  

  のしてんてん

 

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三、長老シリウス(2)

2016-07-12 | 童話 スケール号の冒険(第4話)

(居眠りシリウスを前にして、スケール号の運命はいかに)

       スケール号のメンバー

娘が小学生時代に描いてくれた登場人物と特技

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 「これはだめですよ艦長。」ぴょんたが言った。

  「どうします博士。」艦長が博士にふった。

  「どうしよう。」博士がみなに返した。

 みんなの目がぐうすかに集まったときだった。

  「ゴロゴロニャーン!」スケール号が大きな声で鳴いた。

  スケール号がオレンジ色に輝き始めたのだ。

  「どうしたんだ、スケール号。」艦長があわてて聞いた。

  「ゴロニャオーン!!」スケール号の声は悲鳴と言うより、雄叫びのように聞こえた。

  「どうしたのでしょう博士。」

  「艦長、見てください。」ぴょんたが叫んだ。

 「おお、これは!」艦長も驚いた。

  おひさまにもらった太陽の紋章からオレンジの光が放たれているのだ。その光がスケール号をつらぬいて外に出ている。

  いつの間にかスケール号が太陽のように光り輝き始めた。すると今まで眠っていたシリウスが動き出した。

  「朝?・・・にしては明るすぎる・・・。おやもう昼なのか。」

  「シリウス様。」艦長が呼びかけた。

  「おお、この光はおひさまか。」

  「いえ、私達はスケール号、」

  「どうしたのじゃ、おひさま。こんなところに来てくれるとは。」

  シリウスは寝ぼけているのか、艦長の呼びかけをよく聞かずに、スケール号を太陽と思い違いをしているらしい。

 「このままおひさまになりすまそう。」博士が艦長に言った。

  「しかし博士。」

  「おひさまの紋章のおかげだ。いいからこのまま話を続けるんだ。」

  「分かりました。」

  艦長はおひさまになったつもりでシリウスに話しかけた。

  「長老様、教えて頂きたいことがあってやって来ました。」

  「いったい何事じゃ。せっかくいい気持ちで寝ておったのに。」

  「はい、じつは、神ひと様の事を聞きたいのです。」

 「神ひと様じゃと。」

 「はい、神ひと様の事が知りたいのです。ここにありて、しかもはるか彼方にあるもの、そこに我らの生まれた理由があるという太陽族の伝説は、どういう意味なのでしょう、シリウス様。」

 「なぜ、神ひと様に会いたいのじゃ。」

 「はい・・・博士、代わって下さい。」艦長は博士をマイクの方に引っ張って無理やり交替した。

 「実は、我が子地球が病気なのです。」

 「何じゃと、あの美しい地球が病気だと言うのか。」

 「はい、私の自慢の子供ですのに、今や大気は汚れ、川も海も死に始めています。」

  「地球はお前だけでなく、我々太陽族の宝じゃ。それがどうしてそんな事になったのじゃ。」

 「申し訳ありませんシリウス様。私はいつも通りちょうどいい分量の光を与えておりましたのに、地球に住む人間がおろかにも地球を傷つけ始めたのです。」

 「ならばその人間を退治すればよかろう。」

 「しかし長老様、そうすれば地球も死んでしまいます。私は地球を救いたいのです。」

 「だからどうすると言うのじゃ。」

 「私達の生まれた理由を神ひと様に聞きたいのです。そうすれば地球を救う方法が分かるかも知れません。」

  「神ひと様か。」

 「あの伝説の意味は、それにどうすれば神ひと様に会えるのでしょうか。教えて下さい。シリウス様。」

 「神ひと様に会うことは出来ぬ。あきらめることじゃ。」

 「しかし・・・」

 「伝説の、ここにありてと言うのは、我々太陽族のことを指しているのじゃ。分かるかな。」

 「はい」

 「はるか彼方と言うのはの、その大きさを言っておる。」

 「大きさですか、・・・そ、そして?」博士の背中が雷に打たれたように硬直した。何か重大発見をしたときの、博士の癖だ。

 「そして太陽族の生まれた理由と言うのは、我らが無数に集まって神ひと様の体が造られていると言うことなのじゃ。」

 「私達が神ひと様の体を造っているのですって。」艦長が横から叫んだ。

 「そうじゃ。だがその体は、とてつもなく大きいのだ。とてもお前のその大きさでは神ひと様を見ることさえ出来ぬ。」

  「シリウス様、見て下さい。」

 博士は、艦長にシリウスよりも大きくなるように頼んだ。艦長はスケール号に同じことを命令した。

 「ゴロニャーン」

 スケール号が、ぐんぐん大きくなってシリウスの二倍の大きさになった。

 「おお、これはどうしたことだ。お前はいったい何者なのだ。おひさまではないな!!」

 「私達は地球からやって来たスケール号。おひさまの許しを得て、神ひと様に会いに行く旅をしています。」

 「それを信じろと云うのか。」

 「私達は自由に体の大きさを変えることが出来ます。」

 「すると神ひと様の大きさにもなれると云うのか。途方もない事じゃ。」シリウスの青い大気が揺れた。

 「スケール号は神ひとさまにも、その何倍もの大きさにもなれるのです。」

 シリウスは目の前で、自分の倍の大きさに膨らんだスケール号を見つめるだけだった。

 「シリウス様、神ひと様に会うための方法をお教え下さい。」

  「わしも会ったことのないお方じゃ。しかしお前達なら、あるいは神ひと様に会えるかも知れぬの。」

  シリウスはしみじみした表情になって、スケール号と向かい合った。

つづく

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初めての方へご案内。この物語は、のしてんてん系宇宙(五次元)の概念をイメージしていただくために書いたものです。

また、2016年正月から半年をかけて、皆様とともに五次元の世界を旅してまいりました。いわばスケール号の実写版です。

お時間の許す範囲で、そちらも合わせ読んでいただけましたら幸いです。

カテゴリー5次元宇宙に生きる(空間) から初めて、5次元宇宙に生きる(心)、そして5次元宇宙に生きる(神) へと読み進めて頂ければ、スケール号の冒険をより楽しんでいただけるものと思います。)

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三、長老シリウス(1)

2016-07-11 | 童話 スケール号の冒険(第4話)

(スケール号はあっという間にシリウスまで飛んでいきます。そこで見たものは・・・)

 

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        三、長老シリウス

 

 スケール号は、長老シリウスにむかってワープした。

 ワープと言うのは宇宙空間を瞬間移動する事なのだが、そのとき、空に浮かんでいる星がいっせいにスケール号の前に集まって来るように見える。星が集まって出来た光の中にスケール号が突っ込んで行く。するとその瞬間に、集まった光が再び空に散らばり、スケール号は目的の星に着いているのだ。

  長老シリウスはすぐ目の前に浮かんでいる。その姿は神秘的な宇宙の王にふさわしく全天を青色に染めている。

  「すげー」

  「きれいだス。」

  「なんだか引き込まれそうでヤすな。」

  「言葉が出ませんね。博士。」

  「うむ、シリウスは太陽の三倍もあるんだ。それに、あの青い光は太陽の何倍も明るいのだ。ごらん」

  博士はシリウスの中心に輝く青白い球体から、それを包むように広がっている青く巨大な球体に向かって指さした。

  「あの青白く輝いている所がシリウスの本体なんだ。そしてそれを取り巻く青い所がシリウスの大気だ。」

  「すずしそうでヤすね。」

 「だが、シリウスの温度は身が解けるほどもあるんだ。あの中に入ったら大やけどでは済まなくなる。」

  「だから、シリウスも太陽の仲間なんだスか。」

  「まあ、そうしておこう。」博士はぐうすかに説明するのをあきらめた。

 シリウスは、太陽族のなかではひときわ大きな星だった。

  太陽の大きさになっているスケール号でさえ、すっぽりとシリウスの大気の中に入ってしまうのだ。

  しかし、太陽に比べて、シリウスは静かだった。青い大気を広々とたなびかせて、ゆったり居眠りをしているように見えた。

  「シリウス様、あなたはシリウス様ですね。」

  スケール号から艦長が呼びかけたが、シリウスからはなんの返事もなかった。

  「シリウス様、聞こえますか。こちらスケール号。シリウス様、返事をして下さい。」

  何度か交信したが、シリウスは静まり返って、返答する気配はなかった。

  「やはり、居眠りをしているんだろう。」博士が言った。

  「困りましたね。」

  「何か起こす方法はないでヤすか。」

  「それはやめたほうがいいだス。」

  「どうしてでヤす、ぐうすか。」

  「寝起きが悪かったら大変だス。」

  シリウスの居眠りは、気の遠くなりそうな長い時間の中にあって、まだまだ百年は起きて来そうになかった。

  「あれはなんでヤすか。」もこりんがシリウスの地平線を指さしながら叫んだ。

 「何だ。」

 みんなはいっせいにその方向を見た。すると、地平線から巨大な月が出て来る所だった。

 「これは・・・」博士も言葉に詰まった。

 ものしりの博士にも分からないものらしかった。よく見ると、その月は半透明の薄い膜で、できていて、地平線からゆっくり昇って来たかと思うと、その瞬間、パチンとはじけて消えてしまった。 

 「何だ、これは。」博士が独り言をいった。

 すると、また地平線の方から新しい月が昇って来た。それは地球よりも大きなシャボン玉だった。巨大なシャボン玉は、ふわりと浮き上がり、たわんで揺れて、そのひょうしに、はじけて消えるのだった。

 「艦長、あれはシリウスの鼻ちょうちんじゃないですか。」ぴょんたが耳を立てて言った。

  「うむ、そういえば時々ぐうすかが出している鼻ちょうちんににていなくもないな。どうだ、ぐうすか。」

 「そうだスな、あのはじけ方は確かに鼻ちょうちんだス。」

 「シリウスは居眠りどころか、ぐっすり眠り込んでいますよ、博士。」 シリウスの鼻ちょうちんは、次々と出て来て、はじけ飛んでは青い大気のちりになっているのだった。

 

つづく

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初めての方へご案内。この物語は、のしてんてん系宇宙(五次元)の概念をイメージしていただくために書いたものです。

また、2016年正月から半年をかけて、皆様とともに五次元の世界を旅してまいりました。いわばスケール号の実写版です。

お時間の許す範囲で、そちらも合わせ読んでいただけましたら幸いです。

カテゴリー5次元宇宙に生きる(空間) から初めて、5次元宇宙に生きる(心)、そして5次元宇宙に生きる(神) へと読み進めて頂ければ、スケール号の冒険をより楽しんでいただけるものと思います。)

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二、大きな世界へレッツゴー(2)

2016-07-10 | 童話 スケール号の冒険(第4話)

(神ひとさまを何故探すと問われた艦長は答えられない。どうした艦長)

 

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「どうした。理由もなく神ひと様をさぐろうとするのか。我らの伝説を汚す者は許してはおけぬ。」太陽の炎がごうごうと燃え立った。

  「待ってくれおひさま。理由はあるのです。」博士が代わりに言った。

  「何のために、神ひと様を求めるのだ。」

  「私達は地球からやって来ました。」

  「なに、地球は大切な我が子だ。そこからやって来たと言うのか。」

  「はい、地球にはたくさんの生き物が住んでいます。人はみな、平和と幸せを望んでいるのに、どうした訳か苦しみと戦争の絶える事がないのです。どうすればいいのか、神ひと様に会えば、その答えが分かるかも知れない、そう思うのです。」

  「地球は出来のいい子だが、最近体調がすぐれぬようだ。宇宙一美しい我が子なのに、最近空気の汚れがひどくなった。お前がその原因なのか。」おひさまは激しく問い詰めた。

  「地球は私達の母なのです。だから私達も地球を守ろうと思っているのです。地球と人間が互いに生かし合うために、その方法を神ひと様に聞きたいのです。」

  「その言葉を、どう信じろと言うのだ。」

  「おひさま、私達は前にも一度、おひさまの子供、彗星モクモクを助けました。煙のために目が見えずに道を見失っていたのです。」

  「なに、あの彗星モクモクを助けたと。あれはお前達だったのか。ムムム、それが本当なら、礼を言わねばなるまい。」

  「そのままでは地球と衝突するところでした。それで私達は、地球を守るために彗星モクモクを助けたのです。」

  「そうか、分かった。彗星モクモクのことは我が子ながら頭を痛めておった。改めて礼を言う。」

  太陽は穏やかな表情になって、スケール号を見た。

  「疑って悪かった。」

  「分かって戴ければいいのです。」

  「おひさま、神ひと様に会うために、何か分かっていることがありましたら教えてください。」艦長が言った。

  「それなら、我ら太陽族の長老シリウスに聞くがよかろう。」

  「シリウスですね。」 

  「そうだ。」

  太陽の表面から、一条のフレアがスケール号目がけて飛んで来た。その先端には真っ赤な太陽の紋章がくわえられていた。  

  「さあ、この紋章を受け取るがよい。これを持つものは我が友である印だ。この先々役に立つだろう。」

  スケール号は口にくわえて、太陽の紋章を受け取った。

  「ゴロニャゴーニャゴーヒー!」

  とたんにスケール号が悲鳴を上げた、太陽の紋章がフレアの熱で暖められて、熱かったのだ。スケール号は猫舌だった。

  スケール号は目を白黒させて太陽の紋章を無理やり飲み込むと、舌を出して、しばらくヒーヒーと風を送って舌を冷やした。

  「スケール号、大丈夫か。」艦長が心配して聞いた。

  「ゴロンーニヤーン」

  声は少しおかしいが、まずたいしたことはないだろう。

  太陽の紋章は、スケール号のおなかから、自動的に操縦室まで届けられた。そのころにはもうすっかり紋章は冷えていた。気の毒なのはスケール号だけだった。

  「ありがとう、おひさま。」

  「まず、長老シリウスに会いに行って見るよ。」

  「気をつけてな。」

  スケール号はおひさまに礼を言って、その場を飛び去った。見上げる宇宙空間に、無数の星が輝いていた、それはみな、太陽族の王達だった。その中に長老シリウスがいる。

  スケール号の旅はいま始まったばかりだ。スケール号は舌をヒーヒーさせながら宇宙を飛んで行く。

 つづく

(注)彗星モクモクはスケール号の冒険第2話で、悪い雲に覆われて目が見えなくなった彗星モクモクを助けるお話です(当ブログではまだ未公開です)

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初めての方へご案内。この物語は、のしてんてん系宇宙(五次元)の概念をイメージしていただくために書いたものです。

また、2016年正月から半年をかけて、皆様とともに五次元の世界を旅してまいりました。いわばスケール号の実写版です。

お時間の許す範囲で、そちらも合わせ読んでいただけましたら幸いです。

カテゴリー5次元宇宙に生きる(空間) から初めて、5次元宇宙に生きる(心)、そして5次元宇宙に生きる(神) へと読み進めて頂ければ、スケール号の冒険をより楽しんでいただけるものと思います。)

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