クロスバイクで元気

念願叶った定年退職の身は、先立つ物は細く時間は太くの狭間。
歩いて、自転車に乗って感じたことを、気ままに書き続けます。

鵜飼和子さんの「木の実」と、糸井優さんの「時を越えて」の非日常世界

2015年11月27日 19時12分13秒 | 美術展
鵜飼和子さんの「木の実」。
変哲もない植物の部分、部分が組み合わされて描かれています。
柘榴の実、瓶に活けられた花、そして葉っぱ。
うっすらと紗を通して見たような、でも手を伸ばせば触れそうな不思議な感覚。
画面全体を覆う静かな響きが、2重にも3重にも誘われ、いつまでも身を任せたい誘惑にかられます。

糸井優さんの「時を越えて」。
大胆な描写です。
ホンダのN600(違っていたら、申しわけありません)が正面を向いています。
そして、斜め右奥へと、左奥へと、色の違ったこれもホンダでしょうか、それぞれの車をN600が従えています。
更にその奥には、古代のコロシアムでしょうか、斜め上から俯瞰した姿で描かれています。
男の生きる力が、誇らしげに威風堂々とみなぎっています。

「第66回 一線美術会展」は、愛知県美術館ギャラリーで29日(日)まで開催中です。
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林典子さんの「遠い刻」に籠められた愛情

2015年11月25日 21時17分45秒 | 美術展
林典子さんの「遠い刻」。
真上に近い斜め上から俯瞰した先には、一心に机に向かう、広げたノートに鉛筆を持った二人の子供が描かれています。
兄と妹でしょうか、それとも姉と弟でしょうか。
よくみれば、向かう机が違います。
画面左上の男の子は、脚が固定のがっしりとした机。
中央の女の子は、折りたたむ脚の机。
ということは、男の子が年長なのでしょうか。
それとも年少だけれども、男の子が大事にされてるのでしょうか。
いやいや姉が弟にいい机を譲っているのかもしれません。

いろんなことが想起される2人の子供の関係。
それ以上に感じるのは、画面全体に優しく安心しきって子供たち2人を眺める母の目。

素敵な絵です。
単純な画面構成に込められた愛情が、静かに静かに滲み出てきます。

「第66回 一線美術会展」は、愛知県美術館ギャラリーで29日(日)まで開催中です。
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南木曽町等覚寺の仁王さん

2015年11月23日 19時08分07秒 | 円空さん
厳しいお顔の仁王さん。
昨日、円空学会の研究会でお邪魔した等覚寺さんの山門です。
JR中央線南木曽駅から旧中山道の急坂をよっこらしょよっこらしょと登って到着した古刹。

円空さんも、きっと同じように坂を登ったことでしょうね。
周りに見える景色は大きく変わっていることでしょうが。
1686年(貞享3年)、円空さん53歳の時のことだそうです。


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“はやく酔いをさましたい”の美女の右手の裏表が反対???

2015年11月22日 20時51分26秒 | 美術展
丹念に時間をかけ塗り込められ、そして刷り込まれた国芳さんの世界。
長い時をかけて解きほぐす楽しみを味わいながら、目の玉をきょろきょろさせ国芳さんの世界を眺め回します。
今日で5回目、名古屋の松坂屋美術館。
見れば見るほど新しい国芳さんと出会います。

私の一番好きなのが『浅茅原一ツ家之図』、緑と赤が生きてます。
緑と赤だけで10色ほどの微妙な色づかい、登場人物の鬼婆と娘と観音さんへの緑と赤の配色。
性格描写と動きが、見事に表されています。

そして今日の新発見。
“はやく酔いをさましたい”の美女の右手の裏表が反対に描かれているように見えるんだけど、発見か、勘違いか???
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ジェームス・F・ゴーターさんが描く家屋が持つ美

2015年11月21日 19時14分13秒 | 美術展
画家の目が真正面から捉える古びた家屋。
木で造られ何十年も経った家屋。
壁板の目も鮮やかに、土壁の吐息も聞こえてきそうな。
一部は朽ち果て、その勢いは静かに進行してるよう。

『正面から見えるのは、その家の顔。顔は、その家の性格を表します。』と画家は、静かに、しかし、情熱を湛えた眼差しで語ります。
『描いて記録として残していきたい。』とも語る画家。

残したいのは何か。
古びた家屋が発する気。
長い間雨露に晒されながらも、ずっと同じ表情をして前を見続けてきた壁板や土壁が気候と同化した美なんでしょうか。

「10周年記念 ジェームス・F・ゴーター個展」は、名古屋市中区錦3丁目の大黒屋画廊で24日(火)まで開催中です。
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