パールライスのつれづれなるままに

日常のちょっと気になった事を気ままに書くブログ
最近は、美術鑑賞・ガジェット紹介が中心です。

宮川香山展 at サントリー美術館

2016年04月10日 | アート・文化
超絶技巧の先駆者。
陶器の表面を写実的なオブジェで装飾する「高浮彫(たかうきぼり)」の開発者。
その後、磁器に釉薬を施すことで、磁器の新世代を切り開いた、偉大なる陶芸家
この人の終生にわたる革新者としての気負いに唯々頭が下がる思いです。


京都の真葛ヶ原(まくずがはら)の陶工の家に生まれました。父・長造から陶器や磁器の製法を学び、家督を継ぎます。その頃はごくオーソドックな京焼き。
評判の陶芸家でしたが、明治維新後、武家からの受注が無くなり、横浜へと移住。それは、外貨獲得のために外人ウケする陶器の作成。
今までの経験とプライドをぬぐい去り、心機一転新たなる世界に挑む精神。感服です。
     

ユーモラスなセンスも持ち合わせています。
この展示会を観ていた途中、ふと、思いつきました。「アールヌーボーの王、ガレは宮川香山をパクったな」と。
19世紀後半のフランス芸術は、印象派を初めあらゆる芸術家が、ジャポニズムに影響されましたが、「ガレも例外ではないな」と。
 

確かに、驚嘆すべき技術です。後年、帝室技藝員に任命されます。技術は素晴らしいが、これは「美」と言えないのではないか?
表面の外観だけを賛美する外人は良いとして、花鳥風月を愛する日本人には「美」とはとらえることが出来るのか?帝室技藝員に任命されるほどの美術品かな?と疑問に思いました。しかし、それは、この展示会の下階での展示物を観て、払拭されました。

趣向が陶器から磁器に移り変わった、からです。陶器よりも高温で焼くので、釉薬がどのよう変色するのか?膨大な試験を繰り返し、到達した結果に驚きました。これなら、任命されるに足る作品群ですね。
この執念と、過去にとらわれない前進し続ける心。お見事です。
 
コメント (2)
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