【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

春夏秋冬

2008年04月05日 12時48分20秒 | 無くした世界 





私は あなたが生まれてくれたとき

嬉しくて嬉しくて 込み上げてくるものを如何してもとめる事ができず 

みんなに見られるのが恥ずかしかったので トイレで隠れて泣いてしまいました

おまえが生まれてくれるまでの間 無事に生まれるのだろうかと

心配で心配で 如何し様もなくて 毎日毎日 大丈夫 そうかなぁ

何かあったら 心配ないよなぁ っと 心が揺れていました

あやふやな気持ちが続きました 心が堪らない不安で落ち着きませんでした


初めてあなたの顔を見ました 皺まみれでした 赤くて

私が想像していた以上の赤ちゃんでした

白い着ぐるみからのぞく小さな手が 濡れた微かな髪の毛がです

見ていると また 水の底になってしまいました


なんでもが 私には始めてでした あなたにしてあげることがです

抱くことも あやすことも ミルクをあたえることも お風呂も おしめも


深夜に泣いてくれたから 寝ずにあやしました

やっとのお座り 転んだから起こしました

また なにかを呟きながら転びます それが可愛かったからです

愛しくて愛しくて 何回もおこしました

普通の子供に育ってくれゝばと ただそれだけが願いでした






学校からの呼び出し 何回もの 物心がつくとはこんなことかと想いました

悪さをしたことがです

私は別にそれを 咎め立てしようとしているのでありませんでした

正しいことしか知らないよりもです その方が将来この子の役にたつだろうから
 
人間らしく育つだろうからと想っていました

世間様に謝るのは親の務めだから 何度も頭を下げました 


若者の激しさが眩しかったです 何をするにも輝きながらしている様でした


でもね 親が自分の子と付き合う 向き合う 当たり前だと想っていました

どんな付き合いでも 嬉しかったです


一度 激しい取っ組み合いをしました

お互いの躯がぶつかりました 怒鳴りあいました 掴み合いです唯一回のでした

その時 私は嬉しかったんです 怒鳴っていましたが

心では あの状況を楽しんでいました

傍で妻が止めようとしてましたが 止めるなぁって心でゞす

何時までも 子供のままじゃぁ無いんだなぁ


言うことを聞かない 親に対する態度が悪い 世間を舐めてる

自分で稼げそして その範囲で遊べ 色々と言いたいことばかり

本当は 教えてあげたいことばかり

教えてあげられない状況が 心底恨めしかったかなぁ






息子が連れ合いをと 一緒になると 決めてからの親への相談

寂しさが少しです いぃえ 大いなる寂しさでした

それと共に安心感がです 私の心に湧いてきました

やっと 私たちの手から離れるからです


何かを育てゝいたい が それが当たり前になっていました

気づかない内にです きっと何かが芽生えていたんでしょう

いつの間にか 花も咲いていたんでしょう


気づかなかったことが悔しかったなぁ


お袋が 認知症になりました 記憶が定かではなくなりました

少しずつ 少しづつ 記憶がです 消えて逝きます

毎日を楽しく生きてゝくれたらと そお願っています

手が離れていく子供の代わりが お袋でした

誰かに何かをしてあげれる事が 良いことかと







まだ来ていません 多分です 

知らないうちに何かの知らせが すでにあったのかも

でもねぇ 冬が来ても良いじゃぁないですか

いまならね その冬をぉ楽しめそうです

早く来いとは決して想いません でも覚悟がです 定まっていればと


雪化粧の静かなたたづまいの山々 遥か向こうまで粉雪が舞う 凍てつく海

凍った石のお墓 雪が真っ白に積もります

赤い椿の花が 両側に一輪 活けられています

年老いた私と妻が手を繋いで ものも言わずに立っています


私の願いは 一緒にです 出来る事ならです


願いは 願うです




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