【昨夜のボン っと 赤い髪の女】
っの、お話しの心算がぁ 番外です。
ボン最初、夜更けに清美の身柄を貰い受けに 此処(H警察署)に来た時は
未だ、騒ぎの始まりで、署内の様子は騒然として苛立ち雰囲気が在った。 っと
次の一晩で二回目の強制御訪問時(警察署に連行された時)は、
初回時よりも、所内は殺気立っていました。 っと
だけど不思議と、取り調べ担当の刑事(縄澤)の態度は、妙に優しかった っと。
ボン、随分後になって事件が凡て片付き落ち着いてから、そぉ話してくれました。
話してくれた其の飲み会、あの時の騒動の関係者一同で集まり、
昔ぃのぅ其の当時の 想い出話を話し合っていました。
飲み交わす酒の酔い、想い出に耽って懐かしむ仲間たちの口を滑らかにします。
場所は知り合いが当時遣っていました、路地裏場末に在った 「某」スナック。
其の晩、路地裏入り口付近に置いてます、店は此処よと案内の行灯看板
今夜はハナから明かり消し、少し路地奥にと引き込んでいました。
店は普段、夜の水化粧を落とすと能面顔! っのママと、
ママの娘と同い年な感じの若い女二人、の、三人で遣っていました。
其の飲み会のあった夜 此の店、何時もなら、夜晩くまで、薄暗い路地奥の店の扉の上で
ネオン蛍光管が古くなって消えかかっている、かのように瞬いていた、
扇形に形取ったネオンのピンク色蛍光管 宵の口から消されてました。
ケバイネオンや看板が、派手に光った飲み屋が軒を連ねる
酔眼には 殊更明るかった魚町通りから狭い路地に踏み入ると、
其処、街灯照明など在る筈もない暗がり。
夕方に、縁起担ぎの水打った狭い歩き道、乾きかけてます。
此処ならもぉ自分、目を瞑ってもっと表通りの明かりを背に、
地面に浮かんだ長い自分の影 追いながら歩いて突き当たり。
手探りでっと、ドアの取っ手を掴み引き開けばぁ・・・・!
薄暗い普段よりも 随分と明るく照明を点した中は、
此の辺りの界隈で家業(水仕事)で巣食う、古狸ぃらの貸し切り状態。
有線チャンネル、音楽ジャンル設定ダイヤルは、ドッ演歌止め合わせ。
聞こえるかどうか程度に音量落とし、微かに流れ聞こえる曲
騒動当時の 流行り演歌。 啼きのでした。
全員で廻し呑みいたしまする、可也な量の酒が満たされた大きな硝子の器。
化けモンみたいにぃ怖ろしくデッカくて重い、物騒なブランデーグラス。
呑口口径、直径一尺余り、中には麦酒の中瓶ぅ、七ぃ八、九ぅ、十っ本んぅくらいは軽くぅ
難なく真にナンナク 注げ込めましたでしょうぉか っと。
此れぇ以前は、色々な種類の綺麗な乾き花束ぁ っが飾り盛られていました。
その次は、店のマッチが山盛りっで、マッチが減るにしたがって、
店に勤める女の娘らが、ポーチや財布等の私物入れにと、成り果てます。
「なぁ、イチイチ注ぐんも邪魔臭ぁないかぁ? 」 誰かが
「そぉぅやなぁ、べつにぃ気ぃ使う相手もおらんしぃなぁ 」 ヨッパライが
「ここられでなぁ、一服したってぇナンかせぇへんかぁ? 」 多少ましなヤツが
「飲む以外にぃなにやぁ? 」 飲み足らんお人がぁ
「ぁ!そぉや、此の前なぁゲ~ムしたわぁ 」 店のママが
「なにぃ? 」 カウンターで腕を枕にぃお眠りしていた、もぉ可也なヨッパライがぁ
「アンタぁ寝とったらえぇねん、あんなぁチョッドってんかぁ 」
っで、店の奥の着替え室ケン厨房ケン仲間内でのヒソヒソ謀議室ケン・・・・
から、持ち出したのが デッカイブランデーグラス。
「ホナ、ワイからいくで~ 」
「ハイハイやったらんかぃ 」
「ホンマニ参ったゆうたヤツがやなぁ 罰金なんやからなぁ 」
「分かっとぉ! 早にぃせんかい 」
っで、栄誉ある一番目ぇジャンケンでぇボンやった。
(この時にはもぉ 「若ボン」 じゃぁなかった。 けど、全員がボンゆうてた。)
「おぃ、ナンボも減らんで 」
「ムゥフフムゥぅぅぅぅ・・・・ぅ! 」 ボン、飲みながらの返事ぃ
「ぁ! 離したれ、溺れよる !! 」
「ホンマかぁ! 」
まぁ、最初からの遭難者一号やった。
其れぇ 両腕で抱え込むようにして持ち上げ、両脇のお方ラにお手伝いして貰い、
口をつける時に、前歯の二三本も欠けるくらいの覚悟を決めまして、
そぉっと唇を近づけますと、顔がっ!グラスの中にぃ!
目前には真っ白き微粒子たる細かき泡がぁ~!
チョイ目線を上げれば、泡の上の硝子越し、夜の店内世界が、望めました。
泡立ち琥珀色液体、啜るコとなく喉へと・・・・自然とな、流れ込みかと!
息継ぎは、出来ませぬ。 すれば肺にと琥珀泡立ち液体自然とぉ・・・・!
溺れる覚悟で、時間の遅しな感覚世界。
口の端より、多少は零れる儘にぃ・・・・!死ぬ
逝きつく先は、トッテモなぁ酩酊村までかぁ!
酔いどれ村かのぅ村長はぁ、俺様かぁ!
何処じゃ此処どこじゃぁ~!
一口三口呑むだけじゃぁ
満々と注がれましたる琥珀色液体表面の泡の、上限赤色マジックペン印から、
殆どと言っていい程 マッタク下がりません。
一口三口ぃじゃぁ・・・・・途中で数を数えるのが無駄なコトぉ・・・・・っで、
何回目かは、もぉ数がイッパイやぁ~!・・・・ っとしかぁ
ゴクンッ、ゴクゴクゴックン!
喉の動きに合わせて、胃袋がどぉにかぁ!
腹が今まで考えた事無いほどにぃ、無茶苦茶張り出します。
徐々に酩酊気分真っ盛りにぃなるのが 自分でもハッきりっと、解かって来ます。
す~っと、ドッカに逝きますなぁ・・・・スゥット!
「今となってはあの時にぃ ナニが善くって、どうやったらモット巧く遣れたか。
今更なぁ・・・・との感慨だけで、ものノ言いようがぁ・・・・ 」
自分、ついヨッパラッテ喋って、即、「しまったっ!」 っと遅い感づきやった。
くの字のカウンターに腰据えたみんなの 咎める眼差し視線
全部、お引き受け致しておりました。
「場持ちの解からんヤッチャデ! 」
誰が言ったかは解かります。 けど、何も言い返せませんでした。
麦酒グラスから生還し、場を見かねたボン話し出しました。
あの夜の出来事をぉ 店の中に再びのぉ静かな演歌の流れがぁ!
ボン、取調室から嫌いな男と一緒に出て来がけに
その嫌いなサッギで部屋の中の机の向こうに座り続けてた、デカ(古強者)が
出口のドアを開け、妙に馴れ馴れしく肩を組んできた。
縄澤が厳つい顔に似合わぬ 猫撫で声、耳元近くでぇ!
「ボォゥン 話したらんかいぃ、なぁ? 」 嘗めつけるような口振りでぇ!!
若ボン 無理矢理肩組んだまま俯いて歩き、無言で応じます、
心で 「クソがぁ!・・・・ケッ!! 」 っと。
それから、ボンの顔を下から覗き込むように近づいてる不細工な顔に
思いっクソ 唾棄したかった。 とも
けどっ歩きながらの目線、
リノリュームがアッチコッチと剥げている汚い床から外しませんでした。
「君ぃなぁ、何時までも黙っててえぇねんで、出るんが遅ぅなるだけや 」
言い終わると、ボンの耳元で ジュルジュルジュルっと何かを啜る音がっ!
音に釣られ見ました。 間近のクソ刑事(デカ)を。
サッキの取調室の備品、プラスチックの湯飲茶碗を
アポたいにクソ大きな掌で包み込んで、歩いてた。
中の白湯を喉を湿らす程度に啜り 唇ピチャっと鳴らして嘗めまた。
ボン、後から此の時のコトを散々喋った挙句
「縄澤の遣り口なぁちぃふぅ、厭らしくってイチイチ癇に障るんよぉ
もぉ背筋に怖気が這い上がるねん、寒疣がなぁザザザって来るで~! 」
店の中の雰囲気ぃ あの夜になぁ、戻りますねん。
みんなの眼ぇ、酔い以外のなぁナニヤラナなぁ
目尻が吊るされたようなぁ酔眼にぃ なりましたぁ!