【 rare metal 】

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死に逝く心

2009年01月20日 01時18分53秒 | 店の妓 ツネ嬢
 
 (画像はイメージ 無関係)



【閉塞感】


四方を囲む壁には、ナンの装飾も施されてはいなかった。

コンクリ土間の真ん中に、犯罪者と取り調べる者が相対して向き合う机を置き、
部屋の隅、壁際に取り調べ記録用の机を置けば、イッパイいっぱいの室内。


空間を圧するように囲む壁には、マッタク味気ないほどナンの塗装も施されず、
荒れたコンクリ地肌が剥き出しだった。
其の飾りっ気もない壁が、今の自分の置かれている状況を見透かすように、
静かに、段々と、心が味わうように胸に迫ってくる。っかとな感覚に陥ってくる。

天井辺りに一つだけある小窓には、頑丈そうな太い鉄格子が嵌っていた。
部厚い窓硝子は金網入り。オマケニその上からご丁寧にも粗目の鉄網が。
歴代の徒が人たち(罪人、犯罪者、役立たず、ナラズ者)らは此処で、
折りたためないパイプ椅子に座らされる。
座面は前下がりで、座ると自然と滑り落ちそうになる。


鬼面な感じする容貌の刑事から、厳しく容赦ない追究で追い込まれる者。
俯きながら、諦め気分で周りを盗み観れば、何処にも逃げる事も叶わずと納得。
心萎えるしかなく、深まる心細さで滅多と遣られるしかないと。
徹底的に何処までもと堕とされそうな、殺伐風景なだけの取調室。

如何にもならない情けなさと悔しさで俯けば、ベルトを取り上げられたズボンがズリ落ちない様にと、
両手揃えてズボンの前を掴んだ手首をキツク締めるは、冷たき鉄輝きする金(カネ)の輪っ枷。
揃えた膝の下、便所スリッパ履く足首にも足枷が。
出かけた嘆きの溜息、奥歯噛んで押し殺した。


「ナニ思うてんねん?」


っと不意に、呟くような低い声で訊かれた。
上目づかいで机の向こう、中年刑事の頭のテッペン、白髪混じりな渦巻き視た。
疵だらけの小汚い取り調べ机に、広い肩幅で覆い被さるようにしながら、
ワイの調書を清書していた刑事、顔も上げずに再び訊いてきた。


「返事はぁ?」


頑丈そうな太い手指、爪を白っぽくさせ握るボールペン。
紙の上で滑りながら文字書く音、聴こえさせていた。


「ナンも想ぉてないですわ 」


刑事が顔を上げそうだったので眼を逸らし、刑事の肩越しに窓を見上げた。
外は真っ暗やった。其の黒色を眺めれば心に寒さが募る。
無性に小便がしたかった。ソロソロ我慢の限界に近かった。


「一服点けよか、なっ?」

「小便させてもらえませんやろか?」

「もぉ少しや、辛抱でけんか 」 


薄ら笑いしながら言いよった。自分だけ煙草を銜えた。
ハイライトの濃い紫煙ぉ、天井めがけ噴いた。
次は、ワイの顔に向けてやった。
小便を堪える必死な我慢の形相を観られるのが嫌で、俯いた。
胸の奥底で燃えるものが広がりだし、散々毒突いてました。


噛みしめる顎の筋肉、此れ以上なく固まった。


糞ダボがぁ~!ボケっ!薄ら弩アホのクソバカお頭テンテンオブラートロクデナシ
ブッサイクな顔しやがってクッソ生意気な根性無しがぁ~!!・・・・・・ハヨ(速く)死にクサランかいっ!
ボケ!滓っ!死にぞこない!厄病神・・・・・ッチ!

コン時に想いつく限りの悪態やった。



小便。限りなくと漏れそうやった。

我慢もぉ・・・・心が想いっクソっ!死にそぉやった。





【店の妓ツネ嬢】(9)