横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

位置情報、地理情報に関するサービス、その他日常生活から思ったことを気ままに記す不定期のんびり日記

「Web時代のGIS技術」勉強会に参加して

2010年07月03日 23時53分08秒 | 地理情報関連
 もう、1週間前であるが、「Web時代のGIS技術」勉強会に参加した。
 この勉強会は、niyalistこと慶応大の伊藤さんのtwitterでの呼びかけで開催されたもので、twitterで日頃から示唆に富んだコメントを発しているwata909, hfu氏を講演者として招き、講演に続きパネルディスカッション(講演者+mapconcierge+jg2tkh)、最後に懇親会を行った。勉強会はUstreamで中継され、関西のアクティブなメンバーもtwitterでコメントを発して参加した。

 最近は、twitterとブログメディアを一種の”人集めツール”として上手に使うことで、参加対象者を美しくターゲティングした集いを開催することが容易に実現するようになっている。そういう場では、企業名やブランド、権威から解き放たれた素のままの議論ができる。私は、こうし健全で自立した個人による平和な時代の到来をありがたく思う。私が力を入れているOSGeo財団の活動もこうした時代であればこそ成り立つものだ。


 参加者は東大農学部の会場を埋めるほどの人数が集まった。私の顔見知りの方も多いが、参加者はtwitterのIDを胸につけるだけで、所属先や氏名を告げる必要もない。しかし、皆の関心事項はこのテーマであり、自由な立場から熱心な質疑応答が繰り広げられた。既に、嘉山さんのブログで、技術者としての経験と示唆に富んだコメントが読めるので、ぜひご覧いただきたい。

 非技術者としての私の目には、技術論というよりも、文化論のような視点でこの勉強会を体験すると書いた方がしっくりする。

 長らくジオ業界に生息している私の目からは、GISがいよいよWebの一部としてコモディティ化する非可逆的な流れを、ジオな関心を持つ技術者達がどう認知して咀嚼していくのだろうか、ということが関心事の一つである。この流れは2005~6年頃から始まっているが、いわゆる旧来のジオ業界人でそのことを明示的に肯定する人はあまり多くはなかったように記憶している。時が経って、今やWebを知らずにして、GIS技術論を語れない時代である。レガシーとして時には見なされる「デスクトップGIS」ですら、GeospatialなWebが存在していることを前提に機能が実装されている時代だ。そして、そこでは旧来の業界技術者ではなく、ジオなことに関心のあるWebの技術者によるアプローチの方が、社会的にな力をどんどん増している。今回の集いは、幅広いバックグラウンドを持つ人達による「勉強会」であり、今までになかった類の場が出現したと言える。

 似たような場としては、ジオメディアサミットが有名である。2008年1月当初から、ジオメディアサミットは「メディア」と記されているように、Webメディアとしてのジオ領域がテーマである点で、旧来のジオ業界ではないメンバーによるイベントである。また、これはサービスの交流会であり、技術の勉強会ではない。このイベントは、1回やってみて、次も参加したい、もう一回やると、また参加したい、という繰り返しで、これまでに大きくなってきた。この過程で、参加者は回数を増す毎に技術者からWebメディア事業の企画者へと主たる比重を変えていっている。最近では300名もの参加者がいて、メディアの取材が相次ぐようになっており、もうこれは商業イベントとしても成功の部類に入りうる。

 一方、今回の勉強会、今後どのように継続する(しない?)かはわからないが、私は「次も参加したい」と思う。

 ところで、参加するだけなら誰でも出来るのだが、そういう集いを企画運営するとなると、誰にでも出来うるほど容易ではない。さらに、これを継続させようとなると、苦労は一桁多くなる。なので、今回の伊藤さんの努力に大変感謝すると共に、これからもやりましょう!とエールを送りたい。