横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

位置情報、地理情報に関するサービス、その他日常生活から思ったことを気ままに記す不定期のんびり日記

Where2.0雑感

2007年06月01日 04時10分44秒 | 地理情報関連
Where2.0に今年も参加した。
今回は仕事がとにかく忙しくて、直前までキャンセルするかどうかいろいろ悩んだ末に、参加することにした。わざわざ時間とお金をかけて参加する意味は何だろうと疑問に思う向きもあるだろうが、私はこう考えている。残念ながら日本国内にはこういう催し物は無い。

1年の変化は大きい。
昨年は、マッシュアップとオープンソースに対する、一種の熱狂があったのだが、今年はそれらは当たり前で、さしたる話題にすらならない。むしろそれを前提に何をするか、何をしたかがテーマである。昨年はたくさん発表があった「Pushpin Service Providers」はほとんど死滅した感がある。それもあって、参加者は昨年よりもやや少ないような気がする(主宰者発表で800名)。地に足がついたまでは言えないが、現実の中でどうするか、ということを皆が考え、その問題意識を持ち続けている人が参加しているのだ。

■さて、以下、セッションの中で印象に残ったところのメモであるが、、

・GoogleのGoogle Street Viewは気に入った(ツールとか技術の話ではなくて、欲しいものをやっちゃうことがすごい)

・Yahoo!は昨年以降あまり進歩が見られない(pipeというのを提供していることくらいかな)

・Microsoftも完全にGoogleに先を行かれてしまっている。ただ、彼らは法人向けのサービスとして提供する戦略なので、”Googleの真似をして法人に売る”ことに徹すれば商売は成り立つだろう。

・昨年はOSGeoを強力にバックアップしたAutodeskだが、今年はブースのみでやや静か。昨年の反動で予算が減ったのだろう。

・セッションの多くに共通するのは、地図上にどのようにコンテンツを関連づけるかである

・イギリスのOrdinance SurveyもGeoRSS採用を明言。そういう時代か。

・dashはおもしろい、良くできている(PNDの一種だが、KMLとGeoRSS対応など、単なるカーナビの概念ではなくて車載のネットワーク端末のようなもの)。この国ではカーナビとWebの世界は結構近い(日本は”隔絶”って感じだが)。

・ESRIはWeb2.0的世界への対応に躊躇していた昨年とは方針を180度転換。怒濤のようなスタンダード対応で、KMLを含めてOGCフル対応、GoogleMapsやGoogleEarthとの連動デモなど、”GISのユーザーをWeb2.0に引き上げる”方針に転換。Jackさん自ら説明の熱の入れよう。わずか1年でここまでやれるのは大したものだが、世界最大のGISベンダとしてはユーザーの強い要望に対する当たり前の責任だろう。

・OGCのCTOであるCarlによる講演
Carlはまず、Webのメインストリームが求める「単純さ」と地理情報が本来的に持っている「複雑さ」との葛藤を述べたのが印象的である。OGCは、後者による標準化(WMS、WFSなど)を進めてきたが、それがWeb界からの批判を浴びてきた経緯があるので、興味深い。
ちなみに2004年に概念が提唱されたGeoRSSが異例の早さでOGCのプロセスに乗ったし、GoogleのKMLも昨年12月からOGCのプロセスに乗った。ということは、これらは地理情報分野におけるWebアプリケーションにおいて、安心して使えるスタンダードになる。

・GeoImmersive Imagery
とても面白い撮影方法 この技術がGoogle Street Viewnに採用されているそうだ
小さなプラネタリウム撮影機みたいなカメラは1台いくらするのだろうか。欲しいけど。

・OSGeo関係はブースがないこともあって目立った動きはない(が、関連メンバーがあちらこちらにいる)。MapServerの開発者であるDanielと近況交換。DMSolutionsからのスピンアウトに関する内輪話を聞かせてもらう。勉強になる。GeoServerのChris、MapGuideOSのBobも元気である。ところでOpenLayersは商用事例がいくつも発表されたので、かなり普及し始めているようだ。