いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

パリの反テロ大行進・・・なぜ日本の安倍首相は参加しなかったのでしょう。惜しいことをしました。

2015年01月13日 17時06分21秒 | 日記

 フランスの新聞社を狙ったテロに対し、11日午後(フ
ランス時間)、テロには屈しないという大規模な行進がパ
リでありました。この行進には、各国の首脳が参加しまし
た。残念だったのは、日本の安倍首相が参加しなかったこ
とです。
 
 パリの大行進は、新聞の写真やテレビの映像を見ても、
ものすごい人数です。しかも、その先頭に、各国の首相が
立っており、それが写真や映像にうつっています。

 行進には、フランスのオーランド大統領はもちろんとし
て、欧州からは、ドイツのメルケル首相、イギリスのキャ
メロン首相、イタリアのレンツィ首相と、主要国の首脳が
そろって参加しました。

 中東からも、イスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナ
自治政府のアッバス議長が参加しました。イスラエルとパ
レスチナの首脳が、同じ場に集まるというのは、極めて異
例なことです。正直、驚きました。その2人が、同じ一枚
の写真におさまっています。

 アフリカからもマリの大統領が参加しています。

 ところが、日本の安倍首相と、アメリカのオバマ大統領
が、参加していないのです。
 
 この日、日本は、2015年度予算案をとりまとめて発
表する日でした。予算というのはすべての基礎ですから、
政府にとって、これほど大事なものはないということは間
違いありません。
 それでもなお、安倍首相があの大行進に加わるべきだっ
たと思えてなりません。
 
 それはなによりも、日本もテロには屈しないということ
を世界に表明するためです。
 テロというと、なにか、日本は縁遠いように思えてしま
いますが、いや、そんなことはありません。
 日本でもテロは、何度もありました。
 いちばん最近のテロは、1995年、当時のオウム真理
教が東京の地下鉄に猛毒のサリンをまいた地下鉄サリン事
件です。
 1987年には、朝日新聞の阪神支局が襲われ、記者が
死亡しています。
 それより前、1974年には、東京の丸の内という都心
で、三菱重工ビルが爆破され、大勢の人が犠牲になりまし
た。

 日本も、決して、テロとは無縁ではありません。
 日本もテロには屈しないという姿勢を国際的に示すた
め、なんとか参加できなかったかと思います。
 
 第二に、日本は、欧州とくにドイツで、イメージが低下
していると伝えられます。BBCが毎年実施している各国
の好感度調査によると、2012年の調査と2013年の
調査で、ドイツ人の対日好感度は、良い印象は58%から
28%に急落し、逆に、悪い印象は29%から46%へ急
上昇しています。
 どれが原因ということは言えませんが、この時期、中国
の習近平主席や、韓国のバククネ大統領がドイツを訪問し、
盛んに、いわゆる「告げ口外交」をしました。わざわざド
イツまで行って、「慰安婦問題」や「日本の右傾化」を批
判したのです。

 パリの大行進で、安倍首相がオーランド大統領やメルケ
ル首相と一緒に先頭に立てば、そういう変なイメージを払
拭することができたかもしれません。
 日本は、本当に外交が下手です。
 国際社会では「不言実行」というものは、まったく通用
しません。「沈黙は金」という格言がありますが、国際社
会では、「雄弁こそ金」なのです。

 いま、韓国で産経新聞の記者が、朴大統領を揶揄した記
事を書いたというので、起訴され、出国停止になっていま
す。
 国際社会で、韓国には言論の自由がないのかという批判
が起きています。
 安倍首相がパリの大行進にアジアからただ一人参加して
いれば、そういう点でも、良いアピールとなったでしょう。

 まったく、日本は、惜しい機会を逸しました。

 と、ここまで書いていたら、アメリカからニュースが入
ってきました。
 アメリカのアーネスト報道官が、12日の記者会見で、
「パリの大行進に、オバマ大統領やバイデン副大統領が参
加するべきだった」と述べたというのです。
 やはり、アメリカでも、あの大行進に参加しなかったこ
とは失敗だったと認めているということです。
 オバマ大統領もバイデン副大統領も、その日は、休養し
ていたというのですから、「しまった」という思いはなお
さらでしょう。

 不思議なのは、日本で、安倍首相は参加するべきだった
という声が、その後も、まったく聞かれないことです。
 国際社会では、「雄弁こそ金」です。
 惜しいことをしたと思います。