いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

小池百合子氏は立ちませんでした・・・衆院選が公示されました。小池氏が立たない希望の党は、勢いを失い、ピークアウトしてしまいました。

2017年10月11日 00時46分11秒 | 日記


 第48回衆議院選が、10日、公示されました。投票日は、22
日です。
 結局、希望の党の小池百合子代表は、立候補しませんでした。
 正午現在で、自民党は324人が立候補しました。
 希望の党は218人が立候補しています。

 定数は465議席ですから、2で割って、233議席を獲得すれ
ば、過半数を制します。
 
 メディアは獲得議席の予想を出し始めていますが、いまのところ、
自民・公明の両党合わせて233議席を上回り、自公で政権を維持
するのではないかという見方が強いようです。

 さて、問題は、希望の党です。
 メディアでは、100人前後が当選するのではないかという予想
が出ています。
 100議席というと、かなりの勢力です。
 解散前の民進党の議席が80議席台でしたから、予想通りだとす
れば、希望の党は、旧民進党を上回る勢力になります。
 しかし、肝心の小池代表が立候補しませんでした。

 私の予想、というか、懸念をいうと、希望の党は、今回、首尾良
く100人が当選したとしても、すぐに内部で対立が顕在化し、半
年なり1年なりで、分裂し始めるのではないかと思います。

 衆議院は、総選挙の後、すぐに国会を開き、首班指名をします。
つまり、次の首相を選びます。
 自公は、当然、安倍首相に投票します。
 希望は? 
 公示前に日本記者クラブで開いた党首討論会でも、小池代表は、
選挙後の首班指名で、だれに投票するのか、首班指名でだれを立て
るのかと、かなり厳しく質問を受けていました。
 この質問に、小池代表は、答えられませんでした。
 これは、致命的です。

 本来なら、小池代表が、立候補するべきでした。
 小池代表は、「初めから立候補するつもりはありませんでした」
と語っています。
 本人の本当の心の中は、だれにも分かりませんから、それが本音
だったのかもしれません。
 なにしろ、まだ去年、都知事になったばかりです。
 目の前には、豊洲市場への移転という問題がある。
 2020年には、東京五輪がある。
 そんな中で、都知事を辞めることは出来ない、というのは、本音
かもしれません。
 たぶん、今回の衆院解散が、予想外の早さだったのでしょう。も
う少しあと、豊洲や東京五輪が軌道に乗ったあとに衆院解散があっ
たのなら、小池代表は、都知事を辞めて、衆院選に立候補したので
はないでしょうか。
 もしかすると、本人はそのつもりだったのかなと思います。

 しかし、いま都知事を辞めたら、都知事としては何もかもほっぽ
り出して国会に転じることになってしまう。
 都知事の後任さえ、決まっていない。
 衆院解散が、もう少し後だったらなあ、というのが、本音だった
のではないでしょうか。

 希望の党は、小池さんの党です。
 若狭議員は、当初から一緒に活動してきたのですが、公示前に、
希望の党としての首相候補について質問を受けて、「今回は、政権
を狙っているわけではない。次か、次の次ぐらいで政権を取りたい」
というような答え方をしていました。
 私は、そのやりとりをテレビで見ましたが、第一感は、なんとま
あ、政治家としてはセンスの悪い人だなあ、というものでした。今
回は政権を狙わない。次か、次の次だ、などと発言してしまうと、
政党としての求心力をいっぺんに失ってしまいます。なによりも、
前回のこのブログでも書きましたが、政権を取るなら一気に取らな
いといけない。なぜなら、希望の党は急造の政党ですから、分裂の
要素を内部に持っている。選挙の後には、分裂の動きが出るに決ま
っている。そういう分裂の動きを抑え込むには、政権奪取という旗
印を掲げておかなければなりません。なによりも、いまの勢いがあ
るうちに、何かをしなければなりません。
 それを、「今回ではなく、次の次」とか言ってしまうと、勢いは
そがれ、なにもかも、終わってしまいます。
 きょう、今週号の週刊文春を読んだのですが、この若狭議員の言
葉を聞いた小池代表が、「まあ、政局勘の悪い人だこと」と言って
嘆息したという記事がありました。
 この言葉を本当に小池代表が言ったのかどうか分かりませんが、
まさしく、さもありなん、という感じの言葉です。
 小池代表は、若狭議員を信頼していないのが分かります。
 若狭議員のほかに、一緒に活動していた仲間というと、みな、東
京都議です。
 あとは、細野議員にしても、前原議員にしても、民進党から来て
人ばかりです。もし万一、前原氏を首班指名の候補にしたら、なん
のことはない、希望の党として、首班指名に民進党の代表を出すと
いう事態になります。それでは、希望の党のはずが、なんだ、民進
党だったのか、ということになってしまします。
 結局、小池代表には、首相候補にするべき人材がいないのです。

 であれば、小池代表は、今回、どんな大きな批判にさらされても、
衆院選に立つしかありませんでした。
 そうすれば、首相になれないにせよ、衆院議員である小池代表を
核にして、希望の党は、結束を図れたでしょう。
 
 希望の党は、今回、千載一遇の好機を逸したのではないでしょう
か。
 きょうの公示をピークに、希望の党は、衰退に向かうように思え
てなりません。

 ただし、小池百合子氏という人は、これまでに、何度も大きなサ
プライズを演出しています。
去年の都知事立候補は、その典型でした。
 今回、安倍首相が解散を発表した記者会見の日にあわせて、「新
党をめぐる若狭、細野氏の動きは、リセットします。リセットして、
私が新党の代表になります」と、自ら記者会見をしたのは、都知事
選の立候補を上回るサプライズでした。

 だから、もしかすると、小池百合子氏は、今回も、また何かサプ
ライズを用意しているのかもしれません。
 何か、あっと驚くようなサプライズがないと、希望の党は、これ
でピークアウトして、衰退に向かうと思います。