いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

アジア大会と選手村・・・「アウェーの洗礼」などというのは、もうよしましょう。おかしいことはおかしい。

2014年09月18日 13時22分00秒 | 日記

 朝日新聞と慰安婦の問題から、一回、離れます。
 アジア大会の話です。
 具体的には、「アウェーの洗礼」の話です。
 「アウェーの洗礼」って、変だと思いませんか?

 韓国でアジア大会が始まりました。
 すでに、サッカーの試合が始まっています。
 日本をはじめ、各国の選手団も選手村に入りました。

 そこで、困ったことが起きているようです。
 9月18日の読売新聞の朝刊に、こんな記事が出ています。

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 「選手村 悲喜こもごも」
「22階の部屋まで徒歩  食堂24時間OK」


「16日に日本選手団の入村式が行われた選手村・・・(略)・・・
選手たちは思わぬハプニングに迎えられた。
選手村は仁川市内に建設されたばかりの22棟の高層ビル。大
会後はマンションとして活用される予定だ。しかし、入居選手
によると、エレベーターは時々止まる。エアコンなしの扇風機
だけの部屋もあり、網戸がなく蚊に悩まされる選手もいるとい
う。
 バレーボールの越川優は、『17階まで階段で上がったが、ぼ
くの棟は二十数階まである。上の人は大変だったのでは』と苦
笑い。サッカー男子の鈴木武蔵は22階まで歩いたという。F
Wの野津田岳人は、『びっくりするようなことがたくさんあるが、
こういうところでやならいと上に行けない』と話、“アウェー”
で戦う覚悟をにじませた」
「一方、セーリングの松尾虎太郎は、『いろいろ設備がそろって
ごはんもすごくおいしい』。24時間多様な料理が楽しめる大食
堂や・・・(略)・・・娯楽施設も多数そろえる選手村に驚いた
様子だった」

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これ、おかしいでしょう?
24時間、食事ができて、おいしいというのは、なによりです。
しかし、高層ビルのエレベーターが止まるとか、エアコンがな
くて蚊に悩まされるとか、それを、
「こういうところでやらないと上に行けない」 
と言うのは、おかしい。
まして、
「アウェーの洗礼」
と言うのは、どこかが決定的に間違っています。

こういうところで戦えないと、という意気込みは買います。し
かし、高層ビルのエレベーターが止まるというのは、「こういう
ところで」の限度を超えています。
まして、それを「アウェーの洗礼」と言ったり書いたりするの
は、問題の筋が違います。
まず第一に、高層ビルでエレベーターが止まるというのは、も
う、それ自体が、間違っています。
そんなビルは、欠陥建築です。
22階まで歩いて上るのは、鍛えた選手であっても、疲れるで
しょう。

第二に、そもそも、高層ビルで止まるエレベーターなんて、危
険でしょう。エレベーターが動かないから階段を使うので危なく
ないということなら、それはブラックジョークでしょう。

第三に、エアコンがなくて扇風機だけの部屋があるというのも、
それは、差別でしょう。エアコンのある部屋とない部屋と、ど
の国の選手団が入るか、だれが決めるのでしょう。

第四に、エアコンもない。網戸もないという部屋は、エレベーター
が止まるのと同じように、欠陥です。

この選手村は、あとでマンションとして売るということですが、
そのままでは、だれも買いません。当然、マンションと
して売るときには、エレベーターもエアコンも、ちゃんとして、
売り出すのでしょう。

そう。
これは、手抜きの選手村なのです。
欠陥選手村です。

それを、「アウェーの洗礼」などと言ってしまっては、いけません。
これは、「アウェー」だから許されるものではありません。
「アウェー」だからと、黙っていていいというものではありま
せん。

これは、失礼な話なのです。
海外からやってくる選手に対し、非常に失礼な話です。
「おもてなし」とは対極の、いい加減な対応です。

日本の選手団、そして、各国の選手団は、こういうことには、
正式に抗議しないといけません。

何かあったとき、それを「アウェーの洗礼」といってしまうの
は、間違っています。
「アウェーの洗礼」と言ってしまった瞬間に、もう、あきらめ
てしまったことになるのです。
何も、むやみに文句をいえというのではありません。

いいことはいい。おかしいことはおかしい。

おかしいことには、おかしいと言わなければならないのです。
もう、選手もメディアも、「アウェーの洗礼」などというのは、
いい加減、やめましょう。