いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

朝日新聞と慰安婦・・・ひとまず、問題点を、ポイント整理しておきます。

2014年09月08日 12時44分00秒 | 日記

 朝日新聞が、慰安婦の強制連行に自ら関わったとした故・吉田
氏の証言は虚偽だったと認め、吉田証言に基づく記事を取り消し
ました。これが大きな波紋を呼んでいます。
 これについて、何か書くべきかどうか、正直迷っていましたが、
少し、整理をする意味でも、書いておきたいと思います。

 ポイントは、いくつかに分けられます。
 第一は、朝日が自ら記事を取り消したことをどう評価するかで
す。具体的には、肯定的に評価するのか、なにをいまさらと否定
的に見るのか。
 第二は、朝日は記事を取り消した後、論点をすり替えようとし
ているのではないかということです。朝日は、強制連行はなかっ
たが、それでも、慰安婦に対する「強制性」は認められるとして、
慰安婦問題の本質は変わらないとしました。しかし、それは、論
点のすり替えではないかということです。
 第三に、韓国が慰安婦問題で日本に反発し、国連までもが日本
は慰安婦を強制連行したという報告書を出したのは、とりもなお
さず、朝日新聞が報じてきた吉田証言がベースになっているとい
うことです。その吉田証言が虚偽だったと朝日が認めたのだから、
では、韓国の反発や国連の報告は、根拠を失うのではないかとい
うことです。
 さらに言えば、韓国も国連も、よくまあ、朝日新聞という新聞
一紙の報道だけで、日本を非難してきたものだということにもな
ります。
 第四に、朝日が慰安婦の強制連行を記事にしたのは30年前の
ことですが、ではどうして、そんな記事を掲載してしまったのか
ということです。
 第五は、30年間も放置しておいたものを、どうしてまた、い
まごろになって取り消したのかということです。
 第六に、朝日新聞の影響力の大きさ、新聞というメディアの影
響力の大きさを、いろんな意味で感じさせたということもいえる
と思います。

 慰安婦の問題は、日韓の間に、大きな溝を作ってしまいました。
韓国がこの慰安婦を問題にし始めたのは、朝日が強制連行を記事
にした30年前からです。
 その意味では、日韓の間に溝を作ったのは、朝日に大きな責任
があります。
 なによりも、慰安婦の問題で、日本のイメージは、国際的にか
なり傷つけられました。いま、あの記事を取り消して済むという
話ではありません。
 
 ここから先がいちばん大事なのですが、では、そんな30年間、
日本政府、とくに外務省は、海外に向けて、いったい、何をして
いたのでしょう。日本のイメージが傷ついていくのに、政府、外
務省は、ほとんど何もしてこなかったのではないかと、そう思わ
ざるをえません。
 ここからは、政府、外務省は、日本の傷ついたイメージを回復
する方策を、目いっぱい、やってもらわないと困る。吉田証言は
虚偽だった。日本は強制連行などしていない。国際社会に向けて、
そう発信しなければなりません。それが、政府、外務省の仕事で
す。
 それが、これから、一番大事なことです。

 次回から、ここで整理したポイントを、ひとつひとつ見ていき
たいと思います。