シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

若松孝二監督「キャタピラー」(2010年、84分)☆☆☆

2022-11-01 19:45:00 | 日本・2000年~
「キャタピラー」は「芋虫」という意味です。戦争で四肢を失った人間の象徴です。

似たような状況設定の映画と言えばダルトン・トランボ監督「ジョニーは戦場へいった」(1971年)が有名です(展開はまるで異なりますが)。第一次大戦で両手,両足を失った青年の苦悩,過去の記憶,夢,現実,死を描いています。「キャタピラ」は、この映画を
彷彿させます。

舞台は、1940年のとある農村。

青年、黒川久蔵(大西信満)は日中戦争に駆り出され、それから4年後、頭部に深い火傷を負い、四肢を失った姿で村に帰還します。戦線で爆弾の爆発に巻き込まれた彼は、声帯を傷つけ話すことができない上、耳もほとんど聴こえない状態です。

「不死身の兵士」と新聞に書き立てられ、少尉に昇進。久蔵を村人は「軍神様」と崇めたてまつり、称えます。しかし、親戚は、妻のシゲ子(寺島しのぶ)に世話の一切を押し付けます。

シゲ子は変わり果てた久藏に絶望し、無理心中を図り久蔵を殺そうとしますが果たせず、軍神の妻として献身的に尽くしますが・・・・。
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