題名の「女が階段を上る時」は、主人公の矢代圭子(高峰秀子)が勤めるBARが二階にあり、彼女が夕方から仕事に就くときに必ず上がる階段で日々感じる切なさを象徴したものです。
舞台は銀座界隈と佃島(つくだじま)。銀座は圭子が働いているところ、佃島は彼女の実家のあるところです。
チャーミングにみえる銀座のマダムそしてホステス。それは表の姿です。圭子は雇われマダムです。彼女の仕事と生活をとおしてこの世界の女性の危うさ、辛さが描かれます。
華やかなのはみかけだけです。綺麗な和服、高価な香水、化粧はみな、お客に対するマナーです。それらは圭子が自分で調達しています。給料はほとんどそういう持ち出しで消えていきます。
彼女の稼ぎをあてにしている実家の母と兄。生活費を無心して、みな圭子にぶらさがって生きています。
職場は戦場のようなもの。ホステスが引き抜かれたり、自分で店をもったかつての同僚が借金におわれて自殺したり・・・・。
高峰秀子は、夜の銀座で働く女性の実像を秀逸、圧巻の演技で見せます。
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