いせ九条の会

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同じ価値観の共有でも/山崎孝

2006-06-28 | ご投稿
【米国にモノ言う欧州】6月28日の朝日新聞記事抜粋

(前略)冷戦での共産主義、そして第2次世界大戦での全体主義、欧州を舞台にした二つの戦いの勝利に米国は大きく頁献した。イラク戦争終了後の3年間、ブッシュ大統領が訪欧するたびに力を入れたのが、この歴史的記憶を呼び覚ますことだった。

 「民主主義と自由という価値観を共有する米欧同盟」というレトリックがしばしば使われた。(中略)

 今回の訪欧で欧米間の傷を癒し、大西洋の両岸の友好と連帯をうたい上げたい。そんなブッシュ氏の期待は、他の欧州メディアによって冷や水を浴びせられてもいる。

 「欧州世論はイランやイラクよりも米国を世界への脅威と受け止めている」。英フィナンシヤル・タイムズ紙が19日、こんな世論調査結果を伝えた。5カ国のうち英仏、スペインなどではイラク戦争によって生まれた嫌米感情は好転するどころか、より深く大衆に根を広げていた。

 21日、他の主要紙が掲載した欧州連合(EU)欧州委員会のバローゾ委員長のインタビュー記事も痛烈だ。バローゾ氏は、世界貿易機関(WT0)交渉での米国の一層の譲歩を要求。さらにキューバ・グァンタナモ基地に設けた取り調べ施設で自殺者が出たり、拷問疑惑が浮かんだりする問題を批判した。

 そもそも欧州と米国の価値観、理念はどこまで重なり合うのか。EU議長国オーストリアのシュッセル首相は、ウィーンでの米・EU首脳会議後の会見で、「我々の共通する価値観を損なわない時にのみ、テロとの戦いに勝利できる」と基地収容者の扱いに行き過ぎがないよう米国にくぎを刺した。ここでは欧米がともに掲げる人権理念から批判の失が放たれている。

 一方仏ルモンド紙は23日の社説で、「米欧はテロ撲滅という目標では一致していても手法などで違いがある」と指摘、基地収容者を戦争捕虜と認めないなど、米国は国際法順守の姿勢に欠けると非難した。

 アフガニスタンヘの欧州部隊の増派、対中武器禁輸解除の先送りなど、この間、欧州は米国の戦略的要請を受け入れてきた。その見返りに欧州が求めてきたのは、単独行動主義に陥った米外交を国際協調主義の方向に一歩でも引き寄せることだった。

 核開発疑惑を持たれるイランと米国との対話の可能性を開いた5月末の米政権の決定は、この欧州の努力が実りをもたらした例だ。米ワシントン・ポスト紙の4日付社説は「経済制裁の前に平和的な方法を尽くすよう、ライス国務長官とメルケル首相ら欧州勢が大統領を説得することに成功した」とした。(後略)

EU議長国オーストリアのシュッセル首相「我々の共通する価値観を損なわない時にのみ」に協調という原則が大切です。

自民党政府は無原則に「共通する価値観の共有」するとして、米国と一体という姿勢でアジアなどに顔を向けています。この態度を改めない限り真の「国際協調」はありえません。