いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
会の趣旨に賛同される方、メールでご投稿ください。

平和主義を貫く沖縄の新聞/山崎孝

2006-06-15 | ご投稿
評論家の鎌田慧さんは、「痛憤の時代を書く」(2006年5月刊行、アストラ社)で次のように述べています。

いま、(2003年12月23日)沖縄にきてこの原稿を書いている。『沖縄タイムス』、『琉球新報』ともに、自衛隊のイラク派遣には、きわめて批判的なあつかいでたのもしい。

各ページともに、さまざまな角度から、批判的な記事を掲載している。戦場とされて多くのひとびとが殺された沖縄らしく、新聞の責任を果たそうとする心意気が感じられる。

『沖縄タイムス』2003年2月11日は、「銃は向けられたら先に撃て」の見出しが、一面トップである。

 これは、防衛庁が作成していた武器使用のための「対処図」(共同通信発)の紹介で、『琉球新報』も一面のサブトップあつかいである。

 前日は、イラク派遣基本計画の閣議決定を受けて、「戦時本格活動の道開く」の見出しである。小泉首相の、米軍イラク侵略にともなう、「大量破壊兵器の脅威」から、「テロに屈してはならない」までの発言の変遷を跡づけ、無原則、場当たり主義ぶりを批判している。

 これにくらべると、本土マスコミは、小泉首相とさして変わらない無原則主義で、おのれの立っている軸足がどこにあるかわからない。読売、サンケイは論外としても、NHKの国営放送ぶりも露骨である。

 このなかで、『沖縄タイムス』『琉球新報』の健闘ぶりはさわやかだ。かつて、軍部の宣伝機関になっていた自分たちの戦争責任を忘れていないのなら、本土の新聞はここでこそ反戦の気を吐くべきだ。

 小泉首相の「自衛隊派遣は憲法の理念にかなう」にたいして、沖縄の二紙は猛反発だった。

 『琉球新報』は、1面トップで憲法前文を掲載、首相が前段の戦争をなくすという理念を無視して、その目的達成のための努力を「参戦」にかすめ盗ろうとするやりくちを暴露している。

 このペテン師的、盗っ人猛々しい政治手法を弄した、とにかくブッシュのご機嫌を損ねまいとする、哀れで無法(憲法無視)な首相のギマンを、わたしたちはいつまで見つづけなければならないのか。

 なぜ、いま、ここで反政府運動をつくりだせないのか、その責任もまた、わたしたちのものなのだ。

2006年4月「しんぶん赤旗」日曜版で、琉球新報論説委員長の宮良健典さんは次のように述べています。

 憲法改定の主な狙いはやはり9条です。米軍の戦争に「国際貢献」という名のもとに自衛隊を海外派兵していくということが見えるわけです。自衛隊のイラク派遣も9条があるからこれだけ論議になります。9条が海外派兵への抑止力になっているのです

戦前、日本に侵略されたアジア諸国から改定の意図は何かということが問われます。戦後営々と築いてきたアジアへの平和のメッセージが、9条改定で損なわれる可能性があると思います。

 いま私たちは普天間基地の問題を連日取りとげていますが、全国紙の扱いをみるとそうはなっていません。米軍再編や安保の問題は、沖縄からみると全国的な非常に大きな問題なのに、温度差を感じます。全国紙は大きな問題が起きたときには沖縄に来るんですけど、その後はあまり問題にしません。

 沖縄は沖縄戦、米軍統治下をへて本土復帰はしたものの、米軍基地は居座ってあらゆる被害を受けています。こうした経験をへて、県民には9条改定に反対する人が多い。「命どぅ宝」という平和への意識です。人権が認められなかった経験が、日本国憲法を大事に守りたいという思いにつながっています。

 国会で与党などによって憲法改定が発議されたとしても、国民投票にゆだねられます。憲法9条のもつ意味をどう伝えていくか 今年もいろいろな企画に取り組んでいきたいと思っています。