いせ九条の会

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憲法を守る立場に立つのは誰か/山崎孝

2006-06-09 | ご投稿
2006年6月9日付け長崎新聞電子版「FLASH24」より

歌わない自由の指導不適切 国歌斉唱で文科相

 小坂恵次文部科学相は8日午後の衆院教育基本法特別委員会で、学校現場での国歌斉唱の指導の在り方に関連し、「指導的立場の教師が『内心の自由があるから歌わなくてもいい』という言い方をすれば、逆の指導をしていると取られてもやむを得ない場合もある」と述べ、歌わない自由を生徒に伝えるのは適切な指導でないとの認識を示した。

 文科相はその上で「日本の国には国旗、国歌があることを客観的に教える。歌うか歌わないかは最終的に生徒がその場の状況で判断することはあるかもしれない。学習指導要領に従った方法で適切な指導が行われれば、(生徒に)素直に受け入れられる」と強調した.

 これに関連して、安倍晋三官房長官は「最初に立っても立たなくてもいいと教えれば誤解を与える」との考えを示した。(以上)

指導的立場の教師が『内心の自由があるから歌わなくてもいい』という立場を考えて見ます。近代憲法である日本国憲法は、国家に対しての命令書であるとも言われています。公務員である教師が、最優先させなければならないのは、憲法の規定を守ることです。東京都教育委員会の命令ではありません。

教育基本法「第10条(教育行政)教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」となっています。

東京都教育委員会の行政は、憲法の規定に反し、国旗・国歌に関する法律の精神も逸脱しています。これらを考えれば、この行政に反対した教師の立場は「不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負う」という教育基本法の精神を実践したと言えます。

小坂恵次文部科学相の考え「学習指導要領に従った方法で適切な指導」は、適切ではない東京都教育委員会の行政の違法性を考慮に入れない考え方です。教育現場で国旗・国歌を教えなくても、スポーツの祭典を見ますから、小学校に入学してくるまでに子供たちは知っているし、学校在学中にも日の丸や君が代に接する機会はいくらでもあると思います。

日の丸や君が代の問題の本質は、東京都教育委員会の教師を大量に処罰して、国旗・国歌を教育現場に押しつける行政を見れば、国家の定めた権威には絶対的に従えという教育方針につながることだと思います。

教育基本法の改定案は、現場で教育に携わる人たちがときどきの政治に左右されないための、子どもや保護者、国民に直接責任を負うという規定を削除した。その一方で、法令に従うことを明記し、法令をたてに教育への権力的介入を正当化する。行政権力が教育の内容に口出ししないように教育行政の任務を「諸条件の整備確立」に限定した部分を削除した。競争をあおる全国学力テストの実施を「基本計画」に盛り込み、自治体や学校に押しつけるなど、教育基本法を根拠にして国家権力が教育に介入できるようになる、と指摘されています。

東京都教育委員会が行っている行政は、この改定教育基本法の先取りとも思えます。

自民党の政治家は、国民を整然と統率したい国家主義的なイデオロギーを持っています。教育基本法改定はこれにつながるものと言えます。これは日本国憲法の理念とは相容れないものです。