いせ九条の会

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額賀防衛庁長官と各国防衛首脳会談から浮かび上がるもの/山崎孝

2006-06-05 | ご投稿
2006年6月4日付け毎日新聞電子版より

防衛首脳会談 米国防長官「空自活動の拡大を」

額賀福志郎防衛庁長官は4日、シンガポールのホテルで米国のラムズフエルド国防長官、オーストラリアのネルソン国防相、英国のイングラム国防担当閤外相とそれぞれ会談した。額賀氏は、イラク・サマワで活動する陸上自術隊の撤退時期に関し、米国防長官に「今後の動きは米、英、オーストラリアとよく調整していきたい」と表明、一連の会談で4カ国が緊密に連携していく方針を確認した。

国防長官はイラクでの航空自衛隊の輸送活動について「運航範囲を広げることはどうか」とバグダッドなどに拡大するよう直接要請。額賀氏は「ニーズに応じて考えていきたい」と前向きに検討する意向を伝えた.

防衛庁によると、国防長官から陸自の活動継続を求める発言はなかったという。同長官は撤退時期に関して「(イラク駐留多国簿軍の)ケーシー司令官、オーストラリア、英国とよく調整してほしい」と述べた。(以下略)

★米軍人の本音が表れた情報を紹介

2006年6月4日「しんぶん赤旗」電子版を編集

【ペース米統合参謀本部議長の発言】日本の経費負担で海兵隊グアム移転 「機会くれた」と米軍トップ

 米軍制服組トップのペース米統合参謀本部議長は二日、グアムを視察し、海兵隊増強計画の説明を受けました。米国防総省のホームページによると、同議長は在沖縄海兵隊八千人のグアム移転計画について、「グアムに我々が駐留する機会をつくってくれた」と述べ、“沖縄の負担軽減”とは無縁の、海兵隊の強化の一環であることを強調しました。

 ペース議長はグアムについて、「太平洋全域の潜在的な紛争地域にただちに接近できる、最重要の戦略的位置を提供している」と評価。日本、韓国、台湾、フィリピン、インドネシアなどに空路で二、三時間、海路で二日で到達できるとし、「グアムは地球規模のテロとのたたかいに完全に適している」と強調しました。

【レイディグ司令官】グアムの米軍を代表するレイディグ司令官は「最大の課題はインフラ整備を着実に進めることだ。海兵隊だけで三千八百戸の住宅が必要になる」と述べました。

 作成中の基地整備計画「統合グアム軍事マスタープラン」によると、今後十五年間で百億―百五十億ドルのインフラ整備費用が必要になるといいます。在日米軍再編「最終報告」では、日本政府がこのうち六十一億ドル(約七千億円)を負担することになっています。

 同計画は七月中に米太平洋軍司令部に提出される予定です。

額賀氏は、イラク・サマワで活動する陸上自術隊の撤退時期に関し、米国防長官に「今後の動きは米、英、オーストラリアとよく調整していきたい」と表明、一連の会談で4カ国が緊密に連携していく方針を確認した。

★ 2006年6月5日付けの朝日新聞記事を抜粋

【ラムズフェルド国防長官、グアム移転費について、しつこく質問攻め】シンガポールでの日米首脳会談で、ラムズフェルド国防長官が、グアム移転費について、「別枠の予算枠ということか」と尋ね、さらに「日本の防衛関係費は国内総生産の(GDP)の1%程度だが、海兵隊のグアム移転費を出せるのか」などと矢継ぎ早に質問した。

額賀氏は、再編経費について、中期防衛力整備計画とは別枠の措置を検討すると同時に「財政事情が厳しいので、全般に予算の合理化を図る必要がある」と説明。「ラムズフェルド長官に心配をかけないように最大限の努力をしていきたい」と述べた。それに対して、ラムズフェルド国防長官は、ようやく「グッド」と答えた。(以上)

額賀氏が「ラムズフェルド長官に心配をかけないように最大限の努力をしていきたい」と返答し「全般に予算の合理化を図る必要」と述べたことは、その裏返しとして、日本国民には大いに迷惑をかけることは確実です。

★普天間移設で機能強化、政治学者ケント・カルダー氏

2006年6月2日付け琉球新報電子版より(抜粋)

駐日米国大使の顧問を務めるなど知日派で知られる米ジョンズ・ホプキンス大学ライシャワー東アジア研究所のケント・カルダー所長が28日までに東京都内で琉球新報社のインタビューに答え、在日米軍再絹に伴う普天間飛行場の新移設案について「防衛の観点から新施設はさらに精鋭化されたものとなるだろう」と述べ、基地機能強化の側面を指摘した。

普天間の移投先が県内にとどまり、日米特別行動委員会(SACO)当時と同じ「名護市辺野古」への移投で合意した点に関して「クリントン大統領と橋本(籠太郎)首相がもともとの辺野古移投案に署名した。(日米両政府はSACO案に)いくらか似た格好にすることを重視したのではないか」と述べ、今回の再編協議では・両国首脳がいったん合意した内容から大枠で逸脱しない形にすることで、日米関係の借頼性を担保したいという意図が日米両政府にあったのではないかと分析した。

 今回の再編の意義については「海兵隊の存在規模の縮小は大きな項目だが、それだけではなく在日米軍の軍事効率を向上させるものともなった」と評価した。

★2006年5月29日「しんぶん赤旗」電子版から(抜粋)

 自民党国防族の代表格の久間章生自民党総務会長(元防衛庁長官)が五月初めの「日米安全保障戦略会議」(ワシントン)で、「日米関係を一歩でも米英関係や米豪関係に近づけ、地域と世界の安定に貢献したい」とのべた。

もともと米英同盟をモデルにするよう圧力をかけてきたのは米国です。二〇〇〇年の「アーミテージ・リポート」は「米国と英国のような特別な関係は米日同盟のモデル」と明記しました。米政府として口にできないことをアーミテージ氏らが代わって日本につきつけたのです。

 米軍再編の「最終報告」は、日米同盟を「より深く、より幅広く、発展」させるといっています。これは米国防総省が二月公表したQDR(四年ごとの国防計画見直し)にそった米国の対日要求です。QDRは「米軍とともにある英国や豪州との独特の関係」が「他の同盟との間ではぐくもうとしている協力の幅、広さ、深さのモデル」とのべています。米軍再編が日米同盟の攻守同盟化を目標にしているのはあきらかです。

 米国大使館のメア政治部安全保障部長は、防衛庁主催「米軍再編シンポジウム」で、「同盟能力を向上させる」「米軍と自衛隊をもっと融合して、ある意味で統合する必要がある」とのべました。(以上)

朝日新聞の自衛隊の動向を書いたシリーズ記事に、米軍との「融合のゆくえ」という観点で書かれていました。

毎日新聞が伝えている、額賀氏が、イラク・サマワで活動する陸上自術隊の撤退時期に関し、米国防長官に「今後の動きは米、英、オーストラリアとよく調整していきたい」とした表明を、撤退ではなく逆方向で読み、毎日新聞の報道が、「一連の会談で4カ国が緊密に連携していく方針を確認した」と伝えているように、自民党政府が改憲した暁には、すべての軍事行動が伴った、英、オーストラリアと緊密に連携し、米国の有志連合に参加する姿が浮かび上がります。