いせ九条の会

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国連要請は刺身のツマに過ぎない/山崎孝

2006-06-21 | ご投稿
2006年6月21日共同通信電子版より

額賀福志郎防衛庁長官は6月20日午後、防衛庁で紀者会見し、イラク南部サマワの陸上自衛隊撤退後の支援について、現在はサマワ近郊のタリル空港とクウェート間の輸送業務に当たっている航空自術隊の活動範囲を拡大した上、国連や米国など多国籍軍の輸送支援に乗り出すことを表明した。

額賀氏は「国連、米国などの支援要請に応えていく。バグダッドや北部アルビルヘの輸送が可能と考えている」と協調。活動範囲拡大に伴い、多国簿軍などとの連絡調整、情報収集に当たる空自の「バグダッド連絡班」を編成し、クウェートを拠点とする空自要員も約10人増員する方向だ。(以上)

 国連と多国籍軍と言っていますが、国連の要請は本年4月か5月頃からの要請です。国連は付け足しで刺身のツマに過ぎません。

なぜなら2005年秋、アメリカは、サマワでの活動について意見交換した日米英豪四カ国会議以来、陸自の撤退は理解を示しながら、空自の活動継続とサマワに近いタリル空港などに限っている輸送先をバグダッドや北部にも広げるよう要求しています。

 小泉首相は、2005年12月にイラク特措法にもとづく基本計画を変更した際、輸送先拡大問題について「日本で独自に判断していきたい」と肯定的姿勢を示していました。

 国連の要請を受けた部分があるにしても、今までも行なってきた空自の輸送支援で米軍の作戦を支えることは、客観的には罪のないイラク国民の殺りくに手を貸すことにつながる性格は変わらず、さらにこの状況が拡大されてゆくことになります。

国連の担ぎ出しに私たちは騙されてはなりません。小泉首相は20日の記者会見で「国連決議に基いてイラクに行った様々な措置は正しかった。国際社会が開戦時の意見の違いを克服して、支援、協力活動を展開している。日米同盟の重要性を認識しつつ、国際社会で責任を果たしていくのが今回のイラク支援。将来、イラク政府、イラク国民から評価されるだろう」と述べています。

イラク特別措置法は、イラク特別事態を、国際連合安全保障理事会決議678、687号、1441号に基づいて、国際連合加盟国によりイラクに対して行われた武力行使、としていますが、この言い分は多くの国連加盟国には通用しない言い分です。

 イラク特別措置法は1483決議を踏まえとなっています。国連は1483決議でイラクの復興支援を行うことを決めていますが、この決議は米国を国連と協調させるための決議でした。しかし、この決議に基いて有志連合から移行した多国籍軍に参加した国以外で多国籍軍に参加した国はありません。

小泉首相は「国際社会が開戦時の意見の違いを克服して」と述べていますが、国連加盟国と国際世論の多くは、「開戦時の意見の違い」すなわち、イラク戦争が不当な戦争という考えを捨ててはいません。むしろ、米国を支持し、有志連合に参加した政権でスペインとイタリアはイラクから撤退を掲げた政党が、その国の国民に支持されて政権を任される状況となり、参戦した英国のブレア政権は大きく支持を失い、ブッシュ政権の支持も急落しています。イラク戦争を支持して支援した日本には大義はありません。

日本国民は小泉マジックに騙され、小泉首相の意に適う人物でそれ以上のタカ派を後継者に選べば、日本の軍事化を推進する法律が目白押しに控えており(省昇格法案・自衛隊海外派遣恒久法)、終着駅は改憲です。