いせ九条の会

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心と体が向き合わない/山崎孝

2006-06-24 | ご投稿
沖縄タイムズ 2006年6月23日朝刊 同社ホームページより

【非戦の誓い胸に刻み きょう慰霊の日】

終戦から六十一回目の夏。沖縄は二十三日、慰霊の日を迎える。戦争で犠牲となった二十万人余の冥福を祈り、非戦の誓いを胸に刻む日。激しい地上戦が繰り広げられた沖縄戦最後の地、糸満市摩文仁では全戦没者追悼式が開かれるほか、各地の慰霊祭で逮族らが失った家族や友人をしのぶ。激戦の記憶が風化の波にさらされる中で、悲劇を繰り返さないための祈りが、島を包む。

同市摩文仁の平和祈念堂で二十二日夜、追悼式前夜祭が行われ、戦没者を慰める琉球踊、古典音楽などが奉納された。

今年は、憲法改正手続きを定める国民投票法案が、一九四七年の日本国憲法施行後、初めて国会手続きに入った。継続審議となったものの、改憲への流れが加速されそうだ。また、かつての治安維持法をほうふつとさせる「共謀罪」の新設や、愛国心を盛り込んだ教育基本法改正の動きが懸念されるなど、戦後日本の行方を危ぶむ声が強まっている。

琉球新報 2006年6月23日夕刊 同社ホームページより

【命の尊さ心に刻む 慰霊の日、恒久平和を誓う】

沖縄戦で亡くなった犠牲者のみ霊を慰める「沖縄全戦没者追悼式」(県主催)が23日、糸満市摩文仁の平和祈念公薗で行われた。日米同盟が強化された米軍再編協議では普天間飛行場の県内移設が再度決まり、基地の固定化が危惧される状況だ。憲法改正に向けた国民投票法案も国会で初めて審議されるなど、平和憲法が揺らぐ中で迎えた「慰霊の日」。参列者約4500人が犠牲者に祈りをささげた。

稲嶺恵一知事は平和宣言で「世界の恒久平和の実現に向かって、県民の英知と情熱を結集し、力強くまい進する」と決意を述べた。

小泉純一郎首相は「戦争の惨禍を繰り返してはならないとの不戦の誓いを堅持し、国際社会の一員として世界平和の確立に全力を尽くしたい」と誓いを込めた。(以下略)

沖縄タイムズと琉球新報が述べた政治動向は、小泉政権の政策です。これを見れば、小泉純一郎首相が、慰霊の日に述べた「不戦の誓い」の言葉と整合性は無く逆方向の政策です。「不戦の誓い」が本当の心としたら、客体としての体の向き(政策・行動)が合わないのです。自分の思っていることを実践した結果が「不戦の誓い」と逆の事実となってしまう。その事実に当人は気がつかないか、気がつかないふりをしています。

このことは靖国神社参拝でも言えます。ボール・ジアラ元米国防総省日本部長は「A級戦犯合祀されている靖国は、日本が戦争責任を認めたがらないことの表明になってきた」と、6月24日の朝日新聞紙上で指摘しています。正にその通りです。

二度と戦争を起こさない心で参拝する人が、かつての戦争指導者が祭神として祀られている神社に拝礼する行為との矛盾を気がつかない? のです。このような小泉首相の矛盾をまた認識しない選挙民にも残念な思いがします。

6月23日、最高裁は靖国訴訟に対して、憲法に定めた政教分離に違反しているかどうかの判断は示さず、首相の参拝は原告の利益や権利を侵していないとして上告を棄却しました。国民が裁判所に付託した違憲審査権を放棄した最高裁。最高裁自らが持つ権利と義務を放棄して、国民の利益や権利を審査し判定を下す資格はもうありません。

もう一人、心と体が向き合わないことを批判されている政治指導者がいます。2006年6月22日の朝日新聞の記事を紹介します。

「イランや北朝鮮の核問題はあっても、欧州人の大半は、世界の安定に最大の脅威は米国だと思っています」―。ブッシュ米大統領は21日、ウィーンでの欧州連合(EU)との首脳会議後、記者会見で、こんな質問を浴びせられた。大統領は「馬鹿げている」と反論したが、同様の質問が相次ぎ、防戦に懸命だった。

「我々は自分たちの身は自分で守るが、協力相手の国々と積極的に平和と民主主義を広めている。誰が言ったか知らないが、馬鹿げた説だ」。最初の質問を、ブッシュ氏はこう切って捨てた。

ところが、別の記者から「ここオーストリアでは、米国の行為が平和のためになるというのは14%で、64%は平和に反するとみている。英国では、米国はイランよりも世界を不安定にしているという人が多い」と、数字を挙げた上で「なぜ欧州人を説得できないのだと思いますか」と聞かれた。

大統領は、苦笑いを浮かべながら、「我々は透明性のある民主主義だ。議論は表にしている」と指摘。「私の決定に合意しない人がいるのは分かっている」としつつも、「私は世論調査によって動かされる政治はしない」と主張。「必要な時には厳しくなり、同時に思いやりがある」というのが、米国の外交政策の特徴だと訴えた。(以上)

ブッシュ大統領のいう「透明性のある民主主義」であったなら、シンディシーハンさんたちの母親の声を、何故、遮るのでしょうか。人間への思いやりがあったら、何故、イラクの罪の無い人たちを、4万人以上も犠牲にしてしまったのに戦争を止めないのでしょうか。心と体が向き合いません。