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マーケティング研究 他社事例 413 「インバウンドで活性化!?」 ~そんなに簡単では無い実情とは~

2019-09-20 08:30:39 | ビジネス
マーケティング研究 他社事例 412 「インバウンドで活性化!?」 ~そんなに簡単では無い実情とは~


今年1000万人に迫りそうな訪日中国人は、東京や大阪、京都はもとより、中国でまだ知名度が低い観光地でも、訪日客需要にあやかろうと、各地の観光協会や観光関連企業がこぞって中国語サイトを立ち上げてプロモーションをしています。

しかし、中国の検索大手「百度」日本法人の国井雅史マネジャーによると「日本から中国本土に情報発信する簡体字サイトを調べたところ、問題を抱えたサイトが8割にも上がった」と語ります。

いったい何が問題なのでしょうか?

これらのサイトの多くに共通するのは動画投稿サイト「ユーチューブ」などのSNS(交流サイト)やグーグルの電子地図「グーグルマップ」などを組み込んでいる事なんです。

これらはサイトの運営者や観光客がSNSに投稿した内容をそのまま紹介出来る、日本では一般的なサイト制作手法ですが、ところが、これらのアメリカ大手ネット会社のサービスはいずれも中国では禁止されている点を忘れてはいけません。

中国でこれらの簡体字のサイトを閲覧しようとすると、該当の部分が見られないといった不具合が発生してしまうのです。

それだけではありません。

中国当局の検閲システムで非表示にする過程で、サイト内の問題の無いコンテンツであっても、表示されるまで待たされることになるといいます。

読み込み10秒以上かかると、5割以上の人が待ちきれなくなり、閲覧をあきらめるとされていることから、せっかく簡体字サイトを用意しても閲覧する人がほとんどいない、という事になりかねないのです。

簡体字版と、香港や台湾向けの繁体字版の両方があるサイトの知名度を比べると興味深い事がわかります。

例えば、ユーチューブやグーグルマップを埋め込んだ愛知県観光協会の観光サイト「Aichi Now」は中国本土では非表示になるコンテンツも、香港や台湾であれば問題なく閲覧できます。

その影響もあってか、Aichi Nowの知名度は、香港・台湾と中国本土の間で大きな差が生じているのです。

愛知県が2018年11月~12月に中部国際空港から出国する外国人を対象にした実施した調査では、Aichi Now の認知度は台湾出身者で9.1%、香港出身者で7.3%、対して、中国本土の出身者はわずかに0.5%でした。

観光庁の集計によれば、2018年に訪日した中国本土の出身者のうち、愛知県を訪問した人の割合は16.0%、東京都の55.6%や大阪府の54.3%から大きく引き離されています。

東京・大阪には観光資源が豊富で、ネットには観光情報があふれています。

愛知などのマイナーな観光地はそうした恵まれた環境にはありません。

だからこそ地元の観光協会が発信する情報が重要になってくると言えます。

しかし、数百万円の費用をかけてサイトを作っても集客効果が乏しいとなれば、税金の無駄遣いとの批判を浴びかねません。

中国からの訪日客は近年、個人で訪問先を決める個人旅行者が増えています。

サイトを改善せねば、素通りされてしまうという危機感を地方こそ持たなくてはならないと思います。



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