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マーケティング研究 他社事例 406 「ブロックチェーンの賢い使い方1」 ~企業のESG活動にお墨付きを~

2019-09-10 10:30:00 | ビジネス
マーケティング研究 他社事例 406 「ブロックチェーンの賢い使い方1」 ~企業のESG活動にお墨付きを~


ビットコインなど仮想通貨(暗号資産)を支える技術として知られるブロックチェーンですが、現在活用の幅が広がっているようです。

ブロックチェーンの特徴は何といっても、トレーサビリティー(生産や流通の履歴の追跡)に優れ、改ざんが困難といった点です。

ブロックチェーンとはその名の通り、ブロックが鎖状に連なったデジタル情報で、一つひとつのブロックを時系列で順番に連結することで、すべての取引を記録した「台帳」になります。

複数のコンピューターにデータを分散して記録することから、分散台帳と呼ばれています。

取引に携わる関係者それぞれが台帳を保有し、新たな取引が発生するたびに見せ合う仕組みで、一部の台帳が改ざんされれば残りの台帳と整合性がとれなくなる為に、改ざんはほとんど不可能になります。

こうした特徴を持つブロックチェーンに追い風になっているのが、環境や社会への影響に配慮する「ESG投資」や、国連が2030年末までに国際社会で達成すべきだとして定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」を重視する機運の高まりです。

そのような中、企業活動の透明性を高める手段として、ブロックチェーンが脚光を浴びているのです。

代表例が自動車のタイヤなどに使う天然ゴムの取引履歴への応用です。

自動車市場の拡大に伴い中長期的な需要は伸びていくとみられている一方で、乱伐に伴う熱帯雨林の減少や地域住民の権利侵害といった懸念もつきまとっています。

伊藤忠商事は、環境や人権に配慮した天然ゴムの安定調達を目指し、トレーサビリティー管理にブロックチェーンを導入しようと動き始めています。

3月に現地子会社の天然ゴム加工工場があるインドネシアのスマトラ島で実証実験をスタートしました。

天然ゴムは主に東南アジアで栽培されています。

ベトナムでは国有地で大規模なプランテーションを展開するのに対して、インドネシアでは栽培面積3~4ヘクタールの小規模な家族経営の農家が主流です。

工場の年間出荷量は同国3位の年間36万トンとなり、日本の本州の2倍の面積のスマトラ島のうち、約半分のエリアから原料を仕入れています。

取引する生産者は数十万戸にも及び、集荷業者を輸送業者が幾重にも携わる複雑な状況を生み出していました。

そのようなトレーサビリティーはお手上げな状態なので、商流の過程で「買いたたき」のようなケースが生じていても把握が難しかったのです。

(続く)


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