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2016年08月01日 18時11分49秒 | リオデジャネイロ五輪
インターネット配信はオリンピックの“救世主”になるのか?




 8月5日から21日、南米で初の開催となるリオデジャネイロ五輪が開かれる。
 オリンピックのテレビ中継は視聴者が伸び悩んでいる中で、世界の放送機関はインターネット配信に活路を見出そうとしている。新たなターゲットは、爆発的に普及したスマートフォン、全世界で約40億台(民間調査会社予測 2016年)が使用されているとされている。テレビは見ないがスマホは欠かせないとする人が急増している時代が始まっている。果たしてインターネット配信は放送機関の“救世主”になるのだとろうか?


NHK インターネット・サービスの展開ですべての競技が視聴可能に


NHK Rio2016 オリンピック ホームページ

 NHKはリオデジャネイロ五輪のインターネット・サービスを発表した。
ライブストリーミングでは、NHKや民放が生中継しない競技・種目の映像を配信する。音声は原則として会場音声(実況コメントはなし)が基本だが、今回初めての試みとして、1日1種目程度、インターネット独自の日本語実況コメントや解説を付けて配信する。ロンドン大会の倍以上に当たる計2000時間以上にわたって無料でサービスする。このサービスで、開会式や閉会式を始め五輪競技のすべてが、テレビかインターネットで視聴可能になる。
 また、“見逃し配信”として、2300時間程度の動画や競技の模様を短くまとめたハイライト動画もサービスする。



gorin.jp ホームページ

民放は共同公式動画サイト「gorin.jp」
 民放テレビ132社は、地上・BSテレビでの放送に加え、インターネット・サービス「gorin.jp」を強化して視聴者獲得を目指す。
「gorin.jp」は、2008年の北京大会からサービスを始め、今回で5回目となる。競技映像のライブ配信やハイライト動画などの映像コンテンツと共に、毎日のテレビ放送情報や選手・競技の情報など提供して、テレビ中継の視聴者獲得増の相乗効果を狙う。
リオ五輪で大幅に増強するコンテンツはライブストリーミング配信、あらゆる競技を対象に、2500時間以上の配信を実現し、テレビ放送だけではカバーしきれない競技のライブ視聴体験を可能にする。
また、競技ハイライト動画も2000本以上の配信を予定し、日本人選手の活躍を中心にしたオリンピックならではの感動のシーンや選手インタビューを連日配信する。

 
“デジタル五輪元年”と呼ばれたロンドン五輪
 2012ロンドン五輪は、“デジタル五輪元年”と呼ばれている。米国NBCグループや英国BBC、NHKや民放が大規模に五輪映像のインターネット配信に乗り出した。
 NBCグループは、すべての競技をインターネットでライブ配信を実施、総サービス時間は3500時間に及んだ。テレビの総放送時間が約450時間(NBCグループ)に比較すると圧倒的なボリュームである。
NBCグループがサービスしたオンライン配信は、グループのCATVや衛星放送、IPTVの契約者にのみに提供した。すべての視聴者に対してサービスしたのではなかったのである。NBCグループはこのサービス方式を“TV Everywhere”と呼び、Facebookなど主要なソーシャルメディアとも連携した作戦も進めた。 その結果、NBCグループの五輪ウエッブサイトの閲覧回数は、北京オリンピックの2倍以上、約20億ページビューに達し、ストリーミング映像の視聴回数は1億5900万回に上ったという。スマホからのアクセスも好調であった。




“相乗効果”でNBCは米国のテレビ史上最多の視聴者を達成
 一方、NBCの五輪関連番組のテレビ総視聴者数は約2億1940万人となり、史上最多を記録して大成功した。ロンドン五輪では、NBCは人気種目のテレビ放送をライブでは行わずプライムタイムに合わせて時差で放送する編成方針で臨んだ。この方針には、世論から批判が殺到し、視聴者数は減少するのではという懸念がNBCの内部に根強くあった。またインターネット・サービスを拡充すると視聴者の“テレビ離れ”を加速するのでは不安もあった。
 しかし結果、ロンドン五輪のテレビ視聴者数は北京五輪の2億1500万人を超えた。テレビ視聴者数を底上げしたのは全競技をライブ配信したインターネット・サービスだったとされている。テレビ放送とネット配信を連動させ、その相乗効果によって、テレビの高視聴率を確保する戦略が功を奏した。爆発的に普及したスマホにサービスされるオリンピック映像が“呼び水”となってテレビの競技中継に視聴者が舞い戻るという構図である。 NBCグループの親会社でCATV事業者のComcast社 は、今後は“TV Everywhere”おけるライブストリーミング配信の重要性はさらに増すと評価している。
またインターネット・サービスの展開で、オリンピック史上、初めて全試合が視聴することが可能になり、マイナーな競技にも光があたる時代を迎えたというメリットも生まれている。


VRサービスでNBCオリンピックとSamsungと提携
 NBCオリンピックはSamsungとリオデジャネイロ五輪でVRサービスを協力して実施することを発表した。
VRコンテンツは、Samsung Galaxyのスマートフォンに配信され、NBCスポーツ・アプリを使用して、Samsung Gear VRで視聴可能になる。VR映像の制作はOBS(Olympic Broadcasting Services)が担当する。開会式や閉会式、バスケットボール、体操、陸上競技、ビーチバレー、飛び込み、ボクシング、フェンシング、そしてハイライトなど約85時間がNBCスポーツでサービスされる。しかし、VRサービスはライブではなく時差サービスとなるとしている。
 NBCオリンピックのGary Zenkel代表は、「世界で最大のスポーツの祭典、オリンピックは常に映像テクノロジーのショーケースの舞台である。リオデジャネイロ五輪ではOBSとSamsungと協力して、VRサービスで視聴者に圧倒的な臨場感と感動を届けることに興奮している。マラカナン・スタジアムの開会式やコパカバーナ・ビーチのビーチバレーをこれまでにない迫力のある映像で楽しむことができるだろう」と語った。
 OBSのYiannis Exarchos CEOは、「VRサービスは、スポーツ放送サービスでまったく新しい視聴体験もたらすだろう」と語った。「このサービスはLillehammer冬季ユース大会で初めて行ったが、リオデジャネイロ五輪でNBCと協力して迫力のあるVRサービスを本格的に開始することに興奮している。VRサービスは、世界中の大勢の視聴者にオリンピックの臨場感と参加感を楽しんでもらうパワーを秘めたサービスだ」と語りVRサービスへ期待感を示した


NHK 実験的な4Kネット配信を実施
  NHKはBS11チャンネルを使って8月1日に8K試験放送を開始し、リオデジャネイロオリンピックをライブで放送する。この8K映像を4K映像にダウンコンバートしてNHKハイブリッドキャストとNHKオンデマンドで試験的に配信するが決まった。
 ハイブリッドキャストでは、8K試験放送の一部のコンテンツのライブストリーミングや競技のハイライトをサービスする。NHKオンデマンドでは、8K試験放送の中で放送済みの注目競技のハイライトや総集編、開会式のハイライトなどをサービスする。
 NTTぷららは、NHKの二つの4K実験的ネット配信サービスをひかりTV(IPTV)でサービスすると発表した。

 リオデジャネイロ五輪では、HDのテレビ中継だけでなく、8K試験放送、全競技のインターネット配信、VRサービス、4Kサービスが出揃うことになった。東京オリンピックに向けて“主導権”争いの前哨戦が始まっている。





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国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)





2016年8月1日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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