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新4K8K衛星放送 放送開始

2019年11月17日 19時15分29秒 | メディア

新4K8K衛星放送番組表 一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)


徹底検証 新4K8K衛星放送開始
NHK4K8K BSフジ4K BS-TBS4K BS朝日4K BSテレ東4K



Inter Bee2018のオープニングセッションで勢揃いした新4K8K衛星放送を開始する9事業者の代表 それぞれ新4K8K衛星放送の意気込みを語ったが……


新4K8K衛星放送開始セレモニー  APAB

新4K8K衛星放送 苦難のスタート 視聴者は4K8Kに冷やか 腰が引けている民放4K







新4K8K衛星放送の放送事業者  総務省


NHK BS 4K


出典 NHK 

 「NHK BS4K」は「超高精細映像の“入り口”となるチャンネル」と「これまでとは違った別次元の映像を、より身近に、多くの皆様に楽しんでもらう」とし、午前6時から夜0時までの一日18時間、ほぼ全て4K制作番組を放送する。
 番組コンテンツは、HD地上波やBS1、BSプレミアムの番組を4Kで制作し、サイマル放送をする。「NHK BS4K」は「ジャンル編成」を導入し、曜日ごとにジャンルを決めて、そのジャンルの番組をまとめて放送する。


NHK 平成30年度 4Kチャンネル編成イメージ

 地上波の人気番組では、「ダーウィンが来た!」、「日曜美術館」、「小さな旅」、「自然のアルバム」などを4K/HDの一体制作を行い、HD/4Kサイマル放送する。
 また、来年からは、毎週日曜日朝9時に「大河ドラマ いだてん~東京オリンピック噺~」を地上波やBSプレミアムに先行して放送する。「どこよりも早く」がキャッチフレーズだ。
 BSの人気番組からは、「岩合光昭の世界ネコ歩き」、「にっぽん百名山」、「ワイルドライフ」、「美の壺」、「新日本風土記」、日本の絶景を紹介する「ニッポン印象派」や宇宙と地球をテーマにした「コズミック フロント☆NEXT」などを一体制作を行い、HD/4Kサイマル放送する。
 さらに随時、「NHKスペシャル」や「ETV特集」をHD/4Kサイマル放送する。
 ドラマでは、「ドラマ10」(総合TV)、「BSプレミアムドラマ」(BSプレミアム)、「BS時代劇」(BSプレミアム)の定時番組ドラマや宮部みゆき原作のスペシャルドラマ「荒神」などのスペシャルドラマのHD/Kサイマル放送を行う。
 高繊細映像4Kの特色を生かした特集番組では、、葛飾北斎の幻の傑作を再現した「ロスト北斎 幻の絵に挑む男たち」、4K-CGを駆使した「ティラノサウルス 進化の謎」、新たな宮沢賢治像を浮き彫りにする「映像詩 宮沢賢治 銀河への旅 ~慟哭の愛と祈り~」や東海道の日本橋から京都までの55枚の絵の謎解きドキュメンタリー、「浮世絵EDO-LIFE 特別版 東海道五十三次」などを放送する。
 土曜の夜には「4Kスペシャル」と名付けた時間帯を設け、「スーパー4Kプレミアム」や4Kオリジナル番組を放送し、新4K8K衛星放送のキラーコンテンツを揃える。
 12月1日の「4Kスペシャル」は、開局の日に合わせて世界初の南極からの4K生中継を実施する。
 日曜の夜は、「ウイークエンド4K」、NHKスペシャルや大型ドラマ、大型特集を4Kで放送する。地上波制作番組のサイマル放送だ。
 ユニークな企画は「新日本紀行」の16mmカラーフィルムを4KHDR化した「4Kでよみがえるあの番組」を放送する。4KHDR化することで、フィルムに記録されている鮮やかな色や輝度情報などを最大限に引き出し、鮮明な映像でNHKの名作が楽しめる。
 また、放送開始50周年特集として、刑事ドラマの名作、「刑事コロンボ」のシリーズ全69作を、35mmフィルムから4Kリマスター版を製作し、順次、放送する。12月31日-1月3日には計8本を先行放送する。
 フランスと国際共同制作したシリーズ番組「フロム・ザ・スカイ~4K空紀行~」は、ドローンによる日本各地の美しい空撮を軸に、自然とともに営まれてきた日本人の心や技を描く番組である。
 NHKでは、4Kドラマの放送に備えて、今年度は大河ドラマ制作スタジオのCT105を4Kスタジオ化し、来年度は連続テレビ小説制作スタジオのCT106を4Kスタジオ化するとしている。
 また2K/4Kの一体化制作のワークフローを整備し、2K/4Kの一体化制を推進して制作体制の効率化を図りながら、4K設備の整備については、2K設備の更新のタイミングに合わせて実施することで、コスト削減に努めるとしている。

年末年始特集番組
 年末の12月28日には「やまと尼寺 精進日記 師走 ゆずの香りで冬がくる」(夜7時25分~)やSHVスペシャル「天空の“宗教都市”~チベット仏教・紅の信仰の世界~」(午後4時00分~)、12月29日は、日本橋から京まで55枚のボストン美術館所蔵のスポルディングコレクションの名作でつづる、全編浮世絵!謎解きドキュメンタリー、「浮世絵EDO-LIFE『特別版 東海道五十三次』」(夜6時30分~7時30分)、12月30日には「シルクロード 謎の民 タクマラカン砂漠 桜蘭の末裔」を放送する。
 12月31日には、4K特集「若冲VS北斎~夢の天才対決~」(午後6時15分~)やSONGスペシャル「宇多田ヒカル」(午後4時15分~)を放送する。 
 そして「平成最後の紅白」を掲げた「第69回紅白歌合戦~夢を歌おう~」を総合テレビ(HD)、衛星4K、衛星8K、3波を使って放送する。
 紅組の司会は広瀬すず、白組は櫻井翔、NHKの今年の最大のヒット番組、「チコちゃんに叱られる!」のチコちゃんと岡村隆史も登場する。4K8K放送については、地上波(HD)の映像構成とは差別化し、高繊細映像の特色を活かした4K8K独自の映像構成で番組を放送する。4K8Kの威力が発揮できる演出になるかどうかがNHKの真価が問われる。


「第69回紅白歌合戦」 出典 NHK


「岩合光昭の世界ネコ歩き」  出典 NHK


「やまと尼寺 精進日記 師走 ゆずの香りで冬がくる」   出典 NHK

 1月1日にはBS4K開局記念正月時代劇、菓子職人が挑んだ江戸の民のための上水工事のロジェクトを描いた「家康、江戸を建てる(前編)~水を制す~」(夜7時00分~8時15分)
、1月2日には京の職人が挑んだに全国に流通する小判作りを描いた「家康、江戸を建てる(後編)~金貨の町~」(夜7時00分~8時15分)を放送する。
 また1月1日に、「グレートレース 絶景を駆け抜けろ 激走富士山麓」(午後4時~5時30分)、1月2日は「グレートレース 頂上決戦 モンブラン大激走170km」(午後4時~5時30分)を二本シリーズで放送する。
 1月3日は「シリーズ 聖なる建築 地上に現れた祈りの形 ①~④」(午前11時から午後4時)を放送する。①「キリスト教会 いと高きところに光を求めて」(午前11時~)、②「アジアの宗教 寺院 人 自然 小宇宙」(午前12時30分~)、③「イスラム教 モスク幾何学模様 祈りの形」(午後2時~)、④「ユダヤ教 シナゴーグ 救い 絆 集いの場」(3時30分~)の4本シリーズ。

 刑事ドラマの不朽の名作、「刑事コロンボ」の4Kリマスター版の放送が大晦日から始まる。12月31日には(1)「殺人処方箋」(午前8時~9時40分)と(2)「死者の身代金」(午前9時40分~11時16分)、年明けの1月1日には(3)「構想の死角」(午前8時~9時16分)と(4)「指輪の爪痕」(9時16分~10時32分)、1月2日には(5)「ホリスター将軍のコレクション」(午前8時~9時16分)と(6)「二枚のドガの絵」(午前9時40分~11時16分)、1月3日には(7)「もう一つの鍵」(午前8時~9時16分)と(8)「死の方程式」(9時16分~10時32分)放送する。
 1月9日からは、毎週水曜日、夜10時10分から、全69本を4Kリマスター版で放送する。


「刑事コロンボ」の4Kリマスター版 出典 NHK

 1月6日には、いよいよ大河ドラマ「いだてん~東京オリンピック噺(ばなし)」(毎週午前9時~)が始まる。地上波、BS(HD)に先駆けての4K先行放送である。4Kを意識した新機軸の映像構成が見られるかどうか注目される。

 1月14日には、明治から戦後にかけ国宝級も含め10万点もの作品がアメリカへ渡ったが、そこに秘められた物語をひもとく、「江戸あばんぎゃるど」、「➀アメリカ人の愛した日本美術」(午後4時~5時30分)、「②ガラスを脱いだ日本美術」を放送する。NHKならでは取材力を駆使した美術番組で期待ができる。 

 待望の4Kスポーツ中継が1月から本格的に始まる。1月7日には、「第59回ラグビー日本選手権決勝 神戸製鋼対サントリー」、1月12日には、「全日本総合バスケットボール選手権 男子・女子準決勝」(午前11時~)、1月13日には「女子決勝」(午前11時~)、「男子決勝」(午後2時~)、1月19日には「全日本卓球選手権 男女ダブルス準決勝・決勝」(午後2時~)、1月20日には、「男女シングル準決勝」(午前10時~)、「男女シングル決勝」(午後3時~)をライブ中継する。いずれもBS1(HD)とのサイマル放送である。

NHK 4K8K週刊番組表

 12月1日の開局の日に合わせたスペシャル企画、南極中継も悪くはないが、NHKは南極中継をこれまでも何回も行っているし、数々の南極特集番組の名作が放送されている。ことあるごとに南極という発想の貧困が見える。また南極かというのが素直な印象だ。
 大河ドラマの先行放送も、「早く放送する」ことが視聴者サービスになるとするのは大間違いで、じっくりドラマを見る視聴時間は、週末の夜のゴールデンアワーであることは常識である。丁寧な視聴者サービスとはほど遠い。
 そもそも最近の大河ドラマは、製作費を絞っている影響か、セットで撮影された「会議」や「対談」のシーンが多く、スペクタルシーンがほとんどない。海外のコンテンツバイヤーからは「サムライ ミーティング」ドラマとして揶揄されている。せっかくの高繊細・高画質の4Kで見るコンテンツとしては物足りないだろう。大河ドラマの演出自体を4Kを視野に入れた変える必要があると思われる。
 4Kで制作した地上波の人気番組を4Kチャンネルでサイマル放送するのは、もっとも容易な手法で4Kコンテンツをラインアップする手法だが、これではモアチャンネルである4K放送の普及拡大につながらない。4Kオリジナルコンテンツをどう確保してくが課題だろう。
 一方、「新日本紀行」の4KHDR化は、NHKならでの好企画だ。NHKが保有する膨大な貴重なコンテンツを最新鋭の映像技術で蘇らせるのは意義深い。しかし、HD化の時に、同様の作業をすでに行っているので二重投資にならないようように配慮すべきだ。


キャッチフレーズは「4倍美しいBS4K 世界初 BS8K」 Inter BEE 2018 NHK/JEITAブース


4K機材一色 Inter BEE 2018 Panasonicブース


BS-TBS 4K


「吉田類の酒場放浪記」 出典 BS-TBS

 BS-TBS 4Kでは、BS-TBS HDの人気番組、「吉田類の酒場放浪記」(毎週月曜日 夜21時~22時)をBS(HD)とBS(4K)でサイマル放送する。
 ニュース・報道番組では、BS-TBSで放送している「報道 1930」(月~金 夜19時30分~8時54分)や「サンディニュース Bizスクエア」(毎週日曜日 夜9時~9時54分)を4Kで制作して、BS(HD)とサイマル放送をする。
 12月31日から元旦にかけて、「年またぎ酒場放浪記 西国三十三カ所 観音巡り酒場巡り&樽酒開き4時間スペシャル」(夜9時~)を放送する。
 旅・紀行番組では、「極上」をキーワードに歴史の深さや、文化の豊かさに迫るこだわりの大人の旅、「極上のクルーズ紀行」(毎週木・金曜日 夜6時30分~7時30分)を放送する。新年特集では、1月3日、「ノルウエー オーロラ舞う世界で最も美しい航路を行く」(前編:午前10時~11時 後編:午前11時~12時)、そして再放送 1月15日(夜時30分~時30分)前編、1月16)日(夜時30分~時30分)後編を放送する。
 また“お洒落女子旅番組”、「タビフク+VR」(毎週水曜日 夜6時30分~7時30分、夜11時~11時30分)、阿川佐和子が17世紀を代表とする天才画家・ルーベンスの足跡をたどりベルギーを旅する「サワコの一人旅 in ベルギー~画家・ルーベンスを訪ねて~」(毎週火曜日 6時30分~7時30分)、「郷愁の街角ラーメン」(毎週月~木曜日 午後6時30分~7時)を放送する。


「タビフク+VR」     出典 BS-TBS 4K


「極上のクルーズ紀行」  出典 BS-TBS 4K

年始特集番組
 新年特集では、1月3日、「ノルウエー オーロラ舞う世界で最も美しい航路を行く」(前編:午前10時~11時 後編:午前11時~12時 再放送 前編:午後3時~4時 後篇:午後4時~5時)や、「至福の京都ぶらり旅~夏 桂川辺り~」(昼12時~12時30分)、「至福の京都ぶらり旅~秋 伏見稲荷大社辺り~」(昼12時30分~1時)、「天才絵師・伊藤若冲 世紀の傑作はこうして生まれた」(午後1時~2時)を放送する。
 1月11日には、「世紀のご成婚」が4K映像で甦る!皇居と皇室の歴史を紐解くスペシャル番組、「皇居千二百年物語 平安から平成 そして新元号へ」(夜9時~10時54分)を放送する。
 映画では、1月8日には「ダ・ヴィンチコード(吹替)」(夜9時~11時54分)や1月15日には「天使と悪魔」(夜9時~11時45分)の4K版を放送する。

4K開局特集番組
 4K開局スペシャル として「世界・黄金ミステリー 市原隼人 幻のスペイン財宝船を追え! 」を、第1夜「世紀の大発見!失われた黄金のアーク&ロイヤル金貨」はBS-TBS HD(11月17日放送)し、第2夜「大航海時代が生んだ!黄金トライアングルの謎」( 12月1日放送)をBS(HD)とBS(4K)でサイマル放送した。
 また、12月15日には小田和正による恒例のコラボレーション番組「クリスマスの約束」(夜9時~10時54分)をHDと4Kでサイマル放送した。


「世界・黄金ミステリー 市原隼人 幻のスペイン財宝船を追え!」 出典  BS TBS

BS-TBS 4K番組表


BSフジ 4K


「三屋清左衛門残日録」   出典 BSフジ4K
 
 BSフジ4Kは、『超ライブ!超リアル!超オリジナル!』のキャッチフレーズを掲げる。
 『超ライブ!』では、臨場感を越える生放送を目指し、「BSフジLIVEプライムニュース」(夜8時~9時55分)の他、音楽イベント、スポーツ中継、花火中継などをBS(HD)とBS(4K)でサイマル放送する。 
 『超リアル!』は、実際の世界を超える映像美。日本の百名山の美しい絶景を紹介する「絶景百名山」などの紀行番組の他、ドキュメンタリー、美術、自然番組などをBS(HD)とBS(4K)でサイマル放送する。
 『超オリジナル!』は、「オリジナルを超える独自性」を掲げ、『三屋清左衛門残日録』(藤沢周平原作 北大路欣也主演)シリーズなどの特別時代劇オリジナルドラマをBS(HD)とBS(4K)でサイマル放送する。
 また、新たに4Kで制作するオリジナルドラマの中井貴一がベテラン弁護士を演じる「連続ドラマ 記憶」(毎週月~金曜日 夜6時~7時)をBS(HD)とBS(4K)でサイマル放送する。(12月18日 最終回で終了)

年末年始番組
 12月29日には、2018ル・マン24時間レースを描いたドキュメンタリー、「Documentary of Lemans 24H 世界で最も華麗で過酷なレースの真実」(午後2時~2時55分)、12月30日には、「岡村・亮・原西の日本爆釣り!」(夜9時~10時55分)、12月31日には、平成大晦日の最後の日没を4Kカメラ完全生中継する「4Kお天気映像大賞」(午後4時~5時55分)と「BAR レモン・ハート大晦日スペシャル」や「日本名滝探訪」(夜6時~6時55分)を放送する。

 年始特番としては、1月1日には「EARTH WAKER 9~ヒマラヤ『氷河の一滴』~」(夜7時~8時55分)や「富士山 The Great SKY」(夜6時~6時55分)、1月3日には、「辻井伸之×アイスランド~継がれゆく音楽の絆」(夜10時30分~12時55分)、1月6日には「比叡山延暦寺千二百年の息吹」(午後2時~3時55分)する。
 1月13日には、『ルミエール・ジャパン・アワード 2017「UHD部門 グランプリ」』受賞作で、250年におよぶ禁教の時代を耐え忍んだキリシタンの人々はどのように信仰を守り、継承したのか、長崎・五島の教会と史跡を巡りながら、キリシタンの記憶をたどる「Time Trip 長崎の教会群」(昼12時~12時55分)を放送する。
 新年からは「連続ドラマ 記憶」に代わり、「警視庁捜査資料管理室(仮)」(全11話)の放送が始まる。1月1日には第一話から第四話まで一挙放送(夜9時~9時55分)、1月7日から毎週月曜日、夜11時~11時30分の定時で放送する。
 1月18日には、「金曜+1 ニッポンの祭り」(夜11時~11時55分)、1月20日には、「巨大魚 秋の陣」を放送する。


「警視庁捜査資料管理室(仮)」 出典 BSフジ4K

 BSフジ 4Kでは、デイリーの4K制作定時番組は、「QVCショッピング」(58分)と「BSフジLIVEプライムニュース」(1時間55分)のみで、それに週1回のドラマ(60分)や週に3本程度の特集番組(1時間55分)が加わるが、残りはすべてHDコンテンツのアップコン番組である。4K制作のドラマや特集番組が放送されない日は、事実上、「BSフジLIVEプライムニュース」だけしか4K制作コンテンツはない。『超ライブ!超リアル!超オリジナル!』を掲げる4Kチャンネルとしては極めて寂しい。

BSフジ4K 番組表


BS朝日 4K


「土井善晴の美食探訪」    出典 BS朝日 4K

 BS朝日 4Kでは、4Kで撮影した「美しい日本の風景」を見せながら、誰もが心に刻む童謡や唱歌を紹介する「子供たちに残したい美しい日本のうた」(毎週水曜日午前11時~11時55分)や一流店の「芸術」とも呼べる究極の逸品の知られざる美味しさに迫る「土井善晴の美食探訪」(毎週月曜日夜7時~8時54分)、テレビ朝日系列局と連携して、“ふるさと創生”や“地方の魅力の再発見”をテーマにした「新・にほん風景遺産」(随時)、俳句に詠まれた土地を訪ね歩き、出演者が俳句を詠み、俳句講師を交えて「句会」を催す「てくてく俳句百景」(毎月1回程度 新作は四季折々随時)などをBS(HD)とBS(4K)でサイマル放送する。
  また「4Kアワー」(毎週土曜日午前10時~10時55分)で、さまざまな4Kコンテンツを放送する。しかし「土井善晴の美食探訪」や「子供たちに残したい美しい日本のうた」の再放送が多いのが残念である。

年末年始番組
 2019年1月1日には、「小江戸・川越から、ビビる大木、吉行和子、宮下純一。先生は大高翔先生が出演し、鎌倉からは、東貴博、加藤一二三、朝日奈央、先生は俳人の神野紗希先生が出演して、「てくてく俳句百景 冬」(夜7時~8時54分)を放送する。
 また「土井善晴の美食探訪」のベストセレクションの5話を一挙、再放送(朝7時~夕方5時)する。
 「新・にほん風景遺産」は、1月3日に、午後時から「光の稲穂 竿燈まつり ~短くも熱い 秋田の夏~ 」(2017年9月20日放送)、午後3時から「憧れの田舎! 昭和の町 豊後高田~海・花 そして人情~」(2017年5月3日放送)、午後4時から「奇岩の秘境!大分 耶馬渓 ~大河 山国川の源流を訪ねて~」(2018年5月27日放送)、夜19時から「新・鉄道・絶景の旅 4K特別版」を4Kコンテンツで放送する。4本ともこれまでに制作してHDで放送した番組の4K版による再放送だ。
 また「4Kアワー」では、2019年1月5日に「ドキュメンタリー 札幌交響楽団 アルプス交響曲」(午前10時~11時25分)を、1月9日には、「日本の名曲 人生に歌がある 4時間スペシャル」を放送する。


「てくてく俳句百景」 出典 BS-TBS 4K


「4Kアドベンチャー 日本列島 奇跡の海を行く」

4K開局特集番組
 高繊細4Kの威力が発揮できる美術番組では、レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の作品、キリストの肖像、「サルバトール・ムンディ(世界の救世主)」の謎に迫る「サルバトール・ムンディ 世紀の発見! 蘇った救世主キリストの謎」の4K版(BS朝日[HD]を3月29日放送済)を放送した。
 またBS民放初となる「日本の名曲 人生、歌がある5時間生スペシャル(仮)」(12月5日放送)をHDと4Kのサイマル生放送に挑む。日本歌謡史に燦然と輝く「日本の名曲」、約80曲(予定)を一挙に披露する名曲祭りである。
 ドキュメンタリーでは、「『分断と対立』から『融和と共存』へ~奥州藤原氏が描いた今日への伝言」や、海洋大国・日本列島の謎に迫る“Deep Frontier Project”として「4Kアドベンチャー 日本列島 奇跡の海を行く 第一夜 富士山と立山が育む豊かな深海 第二夜 黒潮と親潮が運ぶ海の宝」(12月8日、9日放送)を4Kで制作した。
 エンターテインメント番組では、「4Kマジック」を繰り出す凄腕マジシャンが出演する「神業革命 スーパー4Kマジック ~新時代の超絶ミステリー~」を放送した。


「日本の名曲 人生、歌がある5時間生スペシャル(仮)」 出典 BS朝日


「4Kアドベンチャー 日本列島 奇跡の海を行く」    出典 BS朝日 4K

BSテレ朝4K 番組表


BSテレ東 4K


 「日経プラス10」     出典 BSテレ東

 「BSジャパン」は社名を「BSテレビ東京」に、 サービス名称を「BSテレ東」に変更し、存在感を高める。
 BSテレ東 4Kは、BS(HD)の人気ニュース報道番組「日経プラス10」(月~金曜日 夜10時~11時)を4Kで制作し、BS(4K)でサイマル放送を開始する。また「ワールドビジネスサテライト」(月~金曜日 夜11時~)をHD制作コンテンツを4Kにアップコンして放送。
 月~金で毎晩放送するライブのニュース報道番組を4K放送することで、BSテレ東4Kのプレゼンスを示そうという戦略である。
 ドラマでは、土曜ドラマ9「サイレントヴォイス~行動心理捜査官・楯岡絵麻」(毎週土曜日 夜9時~ 再放送 午前11時30分~)や真夜中ドラマ「江戸前の旬」(毎週土曜日)をBS(HD)とBS(4K)でサイマル放送する。(年内で終了)

 BSテレ東放送スタート記念番組として、時代劇「琥珀の夢」を地上波で放送した番組のデレクターズ・カット版を放送(12月1日)。残念ながら、新作ではなくて、10月5日にすでに地上波で放送したドラマの再編集4K版である。
 12月8日には、BSテレ東・4K放送スタート記念として「第51回日本作詞大賞」を衛星HD放送とサイマル放送した。

年末年始番組
 2018年12月31日には、美味かった食い物の話でおかずを競い合う意地とプライドを賭けた美味い飯語りバトルを描く食と人情のノスタルジックドラマ、「極道めし」の第8話、第9話、最終回(午後2時30分~5時30分)を放送。

 BSテレ東4Kは、HD/4Kの一体制作で、ドラマに力を入れている。
 2019年1月からは、新宿東署刑事課の司法係を舞台に北大路欣也が刑事役を演じる「記憶捜査~新宿東署事件ファイル~」が始まる。
 1月18日には、初回の2時間スペシャル(夜8時~10時)を4K版で放送。
 また、1月12日には、一流名医が患者たちの治療のために事件解決に挑む、メディアカル・エンタメ・ミステリー、土曜ドラマ9「神酒クリニックで乾杯を」(毎週土曜日)が始まり、第一話(夜21時~21時54分)を放送する。さらに真夜中ドラマ「面白南極料理人」(毎週土曜日)も始まり、第一回「基地についたよ」が1月12日深夜0時~0時30分に放送、高畑充希主演の新グルメコメディ、「忘却のサチコ」も始まり、「第一歩」が1月6日深夜0時15分~0時50分に放送、「第二歩」が深夜0時~0時35分に放送される。
 スペシャルドラマでは、1月13日に「三匹のおっさんスぺシャル 正義の味方、史上最大 最後の戦い!」(夜7時~9時15分)を放送する。
 また韓ドラの「馬医」(月~金曜日 午前10時55分~)や「浪漫ドクター キム・サブ」(月~金曜日 午後2時56分~)も放送し、韓ドラにも力を入れる。
 映画では、1月16日には「シネマクラッシュ『2012』」(夜8時~9時54分)、1月17日には「シネマラッシュ『ツーリスト』(夜5時58分~7時55分)を放送する。

 1月2日には、「くノ一忍法帖 蛍火⑤~⑧」(午前8時~12時)、3日には、「くノ一忍法帖 蛍火⑨~⑫」(午前8時~12時)を一挙放送、1月3日には、「いい旅・夢気分~4K映像をめぐる感動の大絶景SP~」(夜6時~8時55分)を放送した。


「記憶捜査~新宿東署事件ファイル~」 出典 BSテレ東4K


「神酒クリニックで乾杯を」 出典 BSテレ東4K


BSテレ東の人気ドラマ 4Kで制作して、HDはBSテレ東、4KはBSテレ東4Kでサイマル放送 出典 BSテレ東4K

BSテレ東4K 番組表


民放4社連携、大型リレー紀行番組「大いなる鉄路16,000km走破 東京発パリ行き」
 民放4社は連携して、リレー形式による紀行番組「大いなる鉄路16,000km走破 東京発パリ行き」を、新4K8K衛星放送開始特番として放送する。最初はBSフジ4K で、12月1日、夜19時から放送し、BS朝日4Kが21時から放送、翌12月1日には、BS-TBS4Kが19時から、最後はBSテレ東で21時から放送する。東京からモスクワ、ブダペスト、ジュネーブ、パリまで、ユーラシア大陸を横断する片道切符列車の旅を紹介する。ナレーションは三浦春馬と倍賞千恵子。制作はテレビマンユニオン。
 1日目BSフジ4Kでは、東京を出発してから鳥取境港までを鉄道で、そこからフェリーでウラジオストクへ渡り、シベリア鉄道でモスクマまで。バイカル湖などロシアの自然や現地の人々の暮らしを描く。次のBS朝日4Kでは、モスクワを出てウクライナ、ポーランド、チェコ、プラハを経てブダペストまでの列車の旅を紹介。6つの世界遺産が登場する。
 2日目のBS-TBS4Kは「絶景に次ぐ絶景」としており、スイスのチューリッヒからスタートして、山岳鉄道でアルプスを越えてジュネーブへ向かう。
 最後のBSテレ東4Kでは、イタリア・ジェノバからフランスのパリ・リヨン駅を目指す。地中海料理やフランスのワイン&料理などが紹介される。



映画・スポーツで勝負するCS-4K放送
 CS-4K放送はいずれも有料放送で、「J-Sports1」、「J-Sports2」、「J-Sports3」、「J-Sports4」、「日本映画+時代劇」、「Star4K」、「スカチャン1」、「スカチャン2」の8チャンネルのサービスが始まる。いずれも、「スカパー! 4K」のプラットフォームでもサービスされる。
 「J-Sports1」では、2019年のラグビーW杯を前にラグビー人気が高まっている中で、「全国高等学校ラグビーフットボール大会」を4K生中継を行う。またフィンランド・ルカで開催される「フリースタイルスキー FISワールドカップ 男女モーグル」開幕戦を放送する。
 洋画の「Star4K」では、全世界で人気のジャングルをくぐり抜けゲームを目指すアドベンチャーシリーズ、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」や「ジュマンジ」を4Kで放送する。
 東北新社の「ザ・シネマ4K」では、「ラ・ブーム」や「太陽がいっぱい」を、日本映画専門チャンネルの「日本映画+時代劇」では、「八甲田山・4Kデジタルリマスター版」などを放送する。
 豊富なコンテンツがある洋画や邦画の4Kデジタルリマスター版は、CS-4K放送の主力コンテンツだろう。




4K8K放送の特色は、“高繊細画質”だけでなく“高音質” 4Kでは5.1サラウンド音声、8Kでは22.2マルチチャンネル音声がサービスされる。しかし高音質音声を楽しむためにはそれぞれ専用の音響装置を設置しなければならないが……

 

 NHK BS8K



NHK BS8Kは、午前10時から午後10時10分で、毎日、約12時間、放送する。8K放送は定時枠を基本とした編成ではなく、番組の内容に応じた柔軟編成となるとしている。
 BS8Kが力を入れているのは、毎週日曜日の夜7時から時間枠で、集中的に8K大型番組を編成する。しかしほとんどの時間は、新作のリピート放送や旧作の再放送が多い。
 音楽の分野では「世界三大オーケストラの響き」と題し、「ウィーン・フィル」、「ベルリン・フィル」、「ロイヤル・コンセルトヘボウ」の三つのオーケストラの演奏会を放送、FIFAワールドカップ・ロシア大会で8K中継を行った8K中継車を、そのままヨーロッパに転戦させて収録した。NHKは8K中継車を2018年度中に2台増やし、合わせて4台にする予定だ。
 また歌劇団の公演も、5組全て新作を収録して放送する。
 美術番組では、フランスとの国際共同制作で進めている「ルーブル美術館 美の殿堂の400年」を4回にわたって放送する。
 さらに「黄金のマスク」をはじめ4,000点以上の秘宝をその魅力と秘められた物語に迫る3回シリーズのドキュメンタリー、「シリーズ ツタンカーメンの秘宝」やゴッホが描いた日没を迎える数分間に空に不思議な色が現れる「マジックアワー」の力作を描く「マジックアワー ~ゴッホが描いた空の光~」、中世の街並みが残る世界遺産の街、ベルギーのブルージュに伝わる伝統楽器、カリヨンの演奏を伝える「カリヨン 時を超えるブルージュの鐘」なども放送する。
 紀行番組では、「メキシコ・ユカタン半島 驚異の大自然 神秘の水中鍾乳洞 セノーテ」や「北米イエローストーン 躍動する大地と命」、「南米イグアスの滝」、「アジアの巨大遺跡 ミャンマー パガン遺跡」などを放送する。

 8Kは70mmで撮影された映画のリマスター版製作にも威力を発揮する。
 1968年に制作された「2001年宇宙への旅」はSF映画の「金字塔」と言われているが、この映画は当時、最高の画質を求めて70mmフィルムで撮影された。
 現在は、70mmフィルムのプロジェクターがほとんど消え去り、一部の施設でしか上映するのは不可能になった。この貴重な映像資産、70mmフィルム映画が高画質を誇る8Kで蘇ることにになる。来年3月には「マイフェアレディ」の8K版を放送する予定だ。70mmフィルム映画の8Kリマスター版製作は今後注目される。
 来年3月には、ノーベル文学賞を受賞した作家、カズオ・イシグロ原作の「浮世の画家」を8K特集ドラマで放送。カズオ・イシグロ作品のテレビドラマ化は初となる
 また「大相撲」や「NHK杯フィギュア」などの大型スポーツ中継や随時編成される。
 オデジャネイロ五輪、平昌五輪、サッカーW杯モスクワ大会などのこれまでに放送した豊富な8Kスポーツ中継・コンテンツも放送する計画だ。
 勿論、2019年の「ラグビーW杯」、2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」も8Kライブ中継されるだろう。
 NHKでは、8Kクォーリティで制作・放送する“ピュア8K”の比率は、約60%程度としている。


NHK 平成31年度8Kチャンネル編成イメージ

NHK 4K8K週刊番組表

 フランスとの国際共同制作「ルーブル美術館 美の殿堂の400年」については、“またまたルーブル美術館”かという印象が強い。ことあるごとにルーブル美術館という発想の貧困が見え隠れする。筆者も美術番組には興味があり、NHKや民放の番組はよく見るが、単なる美術館紹介番組はもう飽きた。高繊細・高画質を掲げる8K番組であるにしても、多くの視聴者の思いも同じであろう。モナリザやミロのビーナスは8Kで撮影すると、どのように見えるのか程度は興味があるが、作品を丁寧に紹介されても興味はわかない。そもそも多くの視聴者は、ルーブル美術館を訪れ、現物の作品を見ているのではと考える。もっとも8K撮影は映像資料アーカイブとしてはは意味があるだろうが、放送番組としては如何か?。
 美術番組が視聴者の興味と感心を引き付けるのは、単なる作品の紹介ではなく、作品や作者のストリー性である。それには制作者の取材力が試される。高繊細・高画質だけを「売り物」にしても、最早、視聴者はついていかないだろう。NHKの番組制作能力の真価が試される番組だ。
 コンサート番組は、22.2サラウンドの高音質が「売り物」だ。しかし、パブリックビューイングならともかく、22.2サラウンドの音響システムを備えている家庭は果たしてどの位いるのだろうか。そもそも8Kテレビ自体の家庭への普及はほとんど進まないが実態だろう。そもそも22.2サラウンドの音響システムは市販されたいない。
 一方、「ラグビーW杯」や「2020東京五輪大会」などの大型スポーツ中継は期待は持てるだろう。リオデジャネイロ五輪、平昌五輪、サッカーW杯モスクワ大会などの8Kアーカイブコンテンツも興味深い。
 NHKの8K放送の最大の問題は、一般家庭に8Kテレビがまったく普及しないと見られていることである。「究極の二次元テレビ」で超高繊細を掲げても、その威力が発揮できるのは100インチクラス以上の大型テレビとされている。日本の一般家庭で、100インチのテレビを設置可能な世帯は果たしてどの位あるのだろうか?
 NHKでは、有機ELのフイルム製の超薄型8KテレビをLGやASTROと共同開発してInter BEE2018で展示した。フィルムは厚さわずか1mm、88インチのパネルである。「壁かけテレビ」にすれば一般家庭でも設置できるのではしている。
 しかし、富裕層の豪邸なら、シアタールームなどで100インチクラスの大型画面で8Kコンテンツを楽しむことはできるだろうが、一般家庭のリビングルームでは100インチクラスの大型画面は大きすぎ、圧倒されて番組を楽しむどろこではないだろう。そもそも一般家庭で見るテレビ番組は、ニュース・情報番組、娯楽番組がほとんどで8Kでは放送していない。かといって100インチクラスの「壁掛けテレビ」と40インチクラスの液晶テレビをふたつ置くほどのスペースはない。
 8K放送を一般家庭に普及させようとするサービス・モデルは基本的に無理がある。
 膨大な受信料を投入して8K放送を開始したNHKはその普及をどう実現するのか、公共放送として大きな責任を背負った。 


NHK 8K中継車 SHC1 リオデジャネイロ五輪、平昌冬季五輪、2018FIFA ワールドカップ・ロシア大会では2台(SHC1/SHC2)を投入して8K中継を実施


22.2マルチチャンネル音声中継車 SA1 NHK

苦難の船出 新4K8K衛星放送 “ゼロ”からのスタート
 民放の新4K8K衛星放送のコンテンツは、ほとんどが、すでに放送しているBS(HD)放送のコンテンツを4Kで制作し、BS(HD)とBS(4K)のサイマル放送で対応する。BS(4K)のオリジナル・コンテンツは見当たらず、視聴者は従来のBS(HD)で同じコンテンツを楽しむことができる。
 しかも民放のキラーコンテンツである地上波のドラマ、バラエティ、エンターテイメント、情報番組、スポーツ中継などは新4K8K衛星放送では、一切、放送予定がない。予想通り、民放の収入を支える地上波の人気番組は温存した。
 しかも、新4K8K衛星放送の4Kコンテンツは「TBS系では全体の7~8%、テレビ東京系でも来年1月段階で13%程度にとどまる見込み」(朝日新聞 10月6日)で、大半がHD(2K)番組のアップコンバート・コンテンツとなる見通しだ。しかも民放系4局はいずれもショッピング番組で埋め尽くされている。
 BSフジ4Kでは、12月17日(月)から23日(日)までの1週間で、4K制作番組は、定時番組と特集番組を合わせて16時間35分、全体の約10%にすぎない。残りはすべてHD番組のアップコンコンテンツ、これでは4Kチャンネルとは到底言えないだろう。
 この状況で、「こんどのテレビは別世界」を掲げる「新4K8K衛星放送」と言えるのだろうか? 問題は深刻である。
 ライブのニュース報道番組は、チャンネルの活性化にある程度は寄与するだろう。BS TBS 4KやBS フジ 4K、BS テレ東4Kは、いずれも月曜日から金曜日の平日の夜にライブでニュース報道番組を開始するが、二局ともBS(HD)放送とサイマルサービスなので、4Kチャンネルの吸引力がどれほどあるのか疑問が多い。
 新4K8K衛星放送は、地上波放送があり、BS(HD)放送があり、そしてモアチャンネルとして誕生する。標準アナログテレビ(SD)からデジタルハイビジョンテレビ(HD)に移行した時は、SDを終了させて、ハイビジョン(HD)に切り替えた。視聴者は強制的にハイビジョンテレビを設置しなければならなかった。4Kテレビを設置して、新4K8K衛星放送を見るか見ないかは視聴者の選択に任せられる。ハイビジョン(HD)の移行の際とは環境がまったく違う。
 しかし、新4K8K衛星放送のコンテンツのラインアップには、新たに視聴者を獲得する魅力的なコンテンツが見つからない。
 テレビが視聴者を引き付けるのは、情報性、ライブ性、娯楽・エンターテイメント性にあふれたコンテンツの魅力ある。高繊細・高画質だけでは視聴者はもはや飛びつかない。
 しかも、ここ数年、若者のテレビ離れは深刻だ。スマホが映像メディアの主役になっている。テレビ番組、ネット動画、映画などもスマホで視聴する若者が急増している。こうした視聴者が求めているのは、4K8Kの高画質ではなく、スマホで気軽に楽しめる「面白い」コンテンツなのである。大画面でしか味わえない4K8Kは、いわば「重厚長大」サービス、「気軽でコンパクト」なサービスを求める若者のテレビ離れを果たして阻止することができるのだろうか。
 日本民間放送連盟・研究所では、日本の広告費は、2019年には、インターネットの広告費が地上波テレビの広告費を上回ることが確実としている。2019年の地上波テレビの広告費は1%減、これに対してインターネットの広告費は9%増と予想している。2019年はまさに象徴的な年になりそうだ。

 2018年9月、4Kテレビの累計出荷台数は約500万台に到達した。しかし、ほぼすべてが4Kチューナーが付いていない「4K対応テレビ」だ。このままでは新4K8K衛星放送は誰も見ることができない。新4K8K衛星放送の普及の最大の難関はこの500万台に、まず4Kチューナーを設置してもらうことだ。“ゼロ”からのスタートである。そして頼みの綱は2020東京五輪大会に向けての買い替え需要をあてにするほかない。果たして新4K8K衛星放送はどの位の視聴者を獲得できるのだろうか?
 Inter BEEのオープニングセッションでのキーノートスピーチで放送サービス高度化推進協会(A-PAB)の福田俊夫理事長は、「苦難のスタート」とした。またNHKの児野明彦専務理事は「東京五輪大会までの時間がタイトで、普及の面ではハンディがあった」とした。
 新4K8K衛星放送は多難な船出になった。



相次いで発売されたチューナー付き4Kテレビ 大勢の人だかりが……  Inter BEE 2018


勢揃いした4Kチューナー 果たして何台売れるか CEATECH 2018



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国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)





2018年10月20日 12月10日改訂
Copyright (C) 2018 IMSSR



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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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