一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

8月23日の蕨将棋教室(前編)

2020-09-07 00:48:12 | 蕨将棋教室
植山悦行七段が講師を務める蕨将棋教室は、コロナ禍の関係で4月から教室を休止。8月9日(日)にようやく再開したが、生徒は大人の3人のみだった。開催場所の蕨市立文化ホール「くるる」は市の運営なので条件が厳しく、教室最大収容人数が「9人」に制限されている。それにしたってこの生徒数は寂しく、だからというわけではないが、8月23日(日)夕方、出向いてみた。
蕨駅を出て、立ち食いソバ屋でかけそばをたぐる。川口駅と同じ経営店だが、川口は駅構内、蕨は改札口の外にある。店を出ると和菓子屋が出張販売を行っており、家用に大福を買った。
W氏にメールをして、今日の出席人数を聞こうと思ったが、意味がないのでやめた。午後5時50分ごろ、そのままくるるに入ると、植山七段がエレベーターに乗るところだった。中にはYos氏もいた。
「あれ大沢さん久しぶり。頭が……」
「はい、だいぶ薄くなりました。髪の毛の色素までなくなってきましたよ」
「ああ大沢さんはそっちのほうからハゲてくるんだねえ。○さんと同じタイプか」
ハゲ談義をしている間に、3階に着いた。先客はOku氏である。Oku氏は教室一の常連で、植山七段との指導対局(平手)に滅法強い。
私は早速指導対局となった。
私「平手でしょうか」
植山七段「ボクが先手でもいいんだよ」
植山七段は平手歓迎主義で、有段者相手には抵抗なく平手にする。私は畏れ多いのだが、ありがたく?平手に甘えさせていただいている。

初手からの指し手。▲7六歩△8四歩▲2六歩△3二金▲2五歩△8五歩▲7七角△3四歩▲8八銀△7七角成▲同銀△2二銀▲3八銀△3三銀▲7八金△6二銀(第1図)

将棋盤は布製で、以前のものと微妙に違う。
「あれ大沢さん、その将棋盤を知らないということは、相当に『久しぶり』だよ」
とW氏。私が蕨将棋教室に訪れるのは昨年の11月26日以来。その前となると、2017年11月28日以来だ。大野教室もそうだが、蕨にもだいぶご無沙汰していた。
ちなみに教室の開講時間は午後6時~8時だが、これは表向きである。蕨は子供たちの受講が多いので、成人の指導対局はそのあと、という暗黙の了解があった。施設は最大9時半まで貸してもらえるので、私はいつも7時ごろに入室し、のんびり指導を受けていたのだ。よって今回定時に入ったのは、かなり珍しかった。
▲7六歩△8四歩に、少し迷ったが▲2六歩とした。以下角換わりとなり、第1図が作戦の岐路である。

第1図以下の指し手。▲4六歩△6四歩▲4七銀△6三銀▲3六歩△7四歩▲6八玉△9四歩▲3七桂△7三桂▲2九飛△8一飛▲4八金△6二金▲1六歩△1四歩▲5六銀△5二玉▲9六歩△5四銀(第2図)

第38回NHK杯の羽生善治五段を見習って棒銀も考えたが、植山七段はうまくいなしてくるのだろう。ふつうに▲4六歩とし、腰掛け銀を目指した。
Yos氏は私の左に座り、飛車落ち。植山七段は△5二金~△6一玉~△7二玉と微妙に定跡手順を変えて、Yos氏を困惑させている。それでもYos氏はしっかり定跡通り指していた。
Oku氏は私の右斜め前の席に座った。たっぷりソーシャルディスタンスを取っている。こちらは前回の指し掛けから進めるようだ。
「指し掛けまでの手順を忘れちゃって、参ったよ」
と植山七段が自嘲する。それを横目にOku氏が駒を動かしている。見たところOku氏は棋譜用紙を用いてないが、頭の中に入っているのだろうか。
私の将棋は、お互い飛車を引き右金をまっすぐ立つ、例の形。私はこういう最新形は指したくないのだが、ここは定跡の力に頼るしかない。

第2図以下の指し手。▲5八玉△4四銀▲2四歩△同歩▲同飛△3三桂▲2九飛△6五桂▲6六銀△2五歩▲同桂△同桂▲同飛△3五歩(第3図)

植山―Oku戦は、5五銀を植山七段が同角と取った。これは植山七段の角銀交換の駒損だ。植山七段、この将棋も苦戦のようである。
▲2九飛~▲4八金型の唯一の弱点は、駒を捌きあったあとの△4七歩や△4七銀の反撃であろう。それがイヤだから私は▲5八玉と形を直したが、これで手番が後手になってしまった。もっとも角換わりの場合、途中でパス合戦があるから、この手待ちは気にしない。
植山七段は△4四銀。私はありがたく飛車先の歩を交換したが、植山七段は△3三桂と突っ張ってきた。
4人目のお客が来て、4面指し。ここまで植山七段は座っていたが、ついに立たざるを得なくなった。
▲2九飛に△6五桂。これには▲8八銀とし▲6六歩を狙う手もあるが、△5七桂成と自爆する手もあるし、綺麗には取り切れない。それで▲6六銀と上がった。
そこで△2五歩。▲同桂には△2一飛▲3三桂成△2九飛成があるので、▲3三桂成で▲2六歩と謝るか。これで悪くないと見たので、堂々と▲2五同桂と取った。植山七段は何事かつぶやき、△同桂。これは▲同飛で、1歩得した私がいい。
植山七段は△3五歩。なるほどこれが1歩損の代償か。これを▲同歩は△3六角があるから取れない。そこで私がひねり出した手は。

(つづく)
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