一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第4回 中井広恵の将棋合宿(最終手)・三先生に感謝

2012-06-05 00:54:10 | 将棋イベント
「越後屋」のチェックアウトは昼12時。厳密には、その時間までに宿泊部屋を出ればよい。私たちは荷物をクルマに入れる。けっきょく「うまい棒」と柿の種は封を開けなかった。これはMinamiちゃんへのお土産となる。その後、付近を自由散策した。
私は向かいの羊羹屋で羊羹を買い、街道の並びにある精肉店で味噌肉を買う。
近くに小鹿野資料館があったので入ってみた。中に食堂があり、わらじかつ丼を提供していた。
しかしそのまま入るわけにはいかない。私は宿へ戻る。
宿の前ではみんなが集まっていた。松尾香織女流初段似の若女将に、このグループにはプロ棋士が3人いるんです、とバラすと、若女将は色紙を持ってきてくれた。なんだか催促してしまったようだ。
その色紙を携え、私たちは昼食を摂りに行く。そうして入ったのが、さっき私が見かけた店だった。
喫煙組と禁煙組に分かれて座る。今度は私も、わらじかつ丼のセットを頼む。
一息ついたあと、昨日の女流王座戦で、一次予選を勝ち抜いた女流棋士(アマ)を、私が読み上げる。LPSA所属の石橋幸緒女流四段、中倉宏美女流二段、島井咲緒里女流二段を読み上げたとき、ひときわ高い拍手が起こったのは言うまでもない。
わらじかつ丼のセットがきた。かつ丼といえば卵でとじてあるのが本筋だが、わらじかつ丼を一口かじると、それ自体に味がついていて、なかなか美味い。
隣に座った中井広恵女流六段は別メニューだったが、こちらのメニューにも興味津々である。きのう食べたわらじかつ丼と味比べしたい、というふうである。
そこで一口おすそ分けした。私はこの意味をもっと深く考えるべきだったのだが、それに気づくのは3時間後のことになる。
食後、中井女流六段らは色紙に揮毫する。それぞれ
「鏡花水月 中井広恵」
「心眼 七段 植山悦行」
「無著 七段 大野八一雄」
としたためた。
越後屋に戻り、色紙を若女将に進呈し、玄関の前で記念撮影。
そして1時半、チェックアウトした。越後屋は「囲碁・将棋の宿」を標榜するだけあって気配りが利いており、とても楽しく将棋を指すことができた。東京からも近く、将棋合宿にはもってこいの宿と思う。また利用する機会があればうれしい。
私は中井カーに乗った。今合宿で初めてである。途中、和菓子屋に寄り、His氏が小鹿野名物の和菓子を買う。それを私たちにも分けてくれた。なかなか美味かった。ごちそうさまでした。
2時40分、再び西武秩父駅前に着いた。仲見世通りで、お土産タイムである。
ドンドコドンドコやっているので、その音のする方向に行ってみると、「秩父屋台ばやし」の演奏中だった。
こういう演し物を見ると、旅に出たと錯覚する。またどこかへ旅に出たいと思う。
中井女流六段は、地元名物の瓶サイダーを飲んでいた。
「どんな味がするんですか?」
「飲む?」
中井女流六段がそう言って、瓶を私に差し出す。
「……」
中井女流六段、無防備すぎる。
さて、そろそろ出発である。と、His氏が「私はここで失礼します」と言った。前述したが、His氏は茨城県在住。ここから鉄路で帰るのが賢明、という読みである。His氏、3日間お疲れさまでした。
帰路では、名店に寄るのが定跡だ。第1回は国道沿いにある「丸山珈琲」、第2回は清里・清泉寮のソフトクリーム、第3回は日本蕎麦屋だった。
今回も中井女流六段の希望で、長瀞にあるかき氷店に寄ることになった。透明な氷を削ったもので、たいそう美味しいらしい。むかしJALの機内誌で、同じ長瀞にあるかき氷店の記事を読んだ読んだことがあるが、たぶん同じ店だろう。
引き続き中井女流六段の運転で小1時間。4時少し前に、その店「アサミ氷店」に着いた。しかし駐車場が満車で、私たちは近辺の有料パークに駐める。かき氷を食べるのも一苦労なのだ。ひとり旅なら絶対にしない行動である。
店構えは純和風というか、ふつうの古民家だった。しかし暖簾の前に行列ができていて、何度も書くが、ひとり旅だったら絶対に引き返しているところである。私は待つのは構わないが、待たされるのはイヤなのだ。
待っている間、先に注文を済ませる。中井女流六段は「ミルクいちご」(700円)。かき氷の基本は「氷いちご」なので、私もそれに倣った。
やがて中に通された。中庭を抜け、味のある店内に招じ入れられる。2組に分かれ、私のグループは、中井女流六段、W氏、Hon氏、Kaz氏の5人。ちなみに私の右は中井女流六段だった。
かき氷が運ばれてきたが、これが超特大! こんもりと盛られたかき氷に、大量のシロップが別口で付いていた。これを自分でかけながら食べるわけだ。
一口シロップを掬い、恐る恐る口に運ぶ。美味い! かき氷がふわふわで、口の中に入れると、すぐ溶けてしまう。この食感、沖縄県竹富島で食べたかき氷にそっくりだ。ただひとつ違うのがシロップで、こちらは濃厚である。これは人気があるわけだ。
と、しばらくして中井女流六段が、同じ味で飽きた、ほかの味のも試したかった、というようなことを言った。それで周りを見ると、「ミルクいちご」は中井女流六段以下4人もいる。唯一違うメニューを頼んだのがKaz氏で、抹茶金時だった。
中井女流六段は、味見させて、と言って、それを一口運んだ。
……。
そうか、と思う。中井女流六段は、いろいろな味を楽しむのが好きなのだ。女性ではよくあるパターンで、その行為は昼食のときもあった。
それを私が重要視していれば、今回はあえて中井女流六段と違うメニューを頼んだはずだった。そうしたら、
「大沢さん、大沢さんの氷○○、味見させて」
「いいですよ。でも中井先生のミルクいちごも味見させてください」
「いいわよ。フフフ」
「フフフ」
…とイチャイチャできたかもしれないのだ。
私はちょっと複雑な気持ちで、かき氷を味わった。
4時50分、店を出る。ここからは帰るのみである。関越自動車道に入り、高坂サービスエリアで小休止。夕食には時間が早いので、その先の三芳パーキングエリアで摂ることにした。
中井カーでは、ここでしか話せないことのオンパレード。私のような将棋オタクが人気女流棋士運転のクルマに乗り、雑談を楽しむ。その奇跡的な状況に、私はあらためて感謝の念を抱くのだった。
三芳PAに着いた。ここで最後の晩餐である。建物内で、各自好きなメニューを選ぶ。私はさんざん迷った末にオムライス。ほかの面々も似たり寄ったりだった。
中井女流六段はウニ弁当を購入。大野七段が「それが冷静ですか」と、将棋指し特有の言い回しをした。
「人生最後の晩餐」は何にする? という話になる。私だったら「鶏の唐揚げ」だろうか。
ここで最後のシャッフルとなる。中井カーには植山七段、大野七段。WカーにはIs氏。HonカーにはKun氏、R氏、Fuj氏、Kaz氏、私が乗車し、出発した。
今回の合宿でも、中井女流六段、植山七段、大野七段の三先生にはたいへんお世話になった。数年前まで誰とも将棋を指さず、ひとりで将棋を勉強していた身として、こうした将棋合宿に自分が参加させていただいているのが、夢のようである。三先生には感謝、感謝である。

9時、Honカーは西川口駅前に着いた。Hon氏はそのまま帰宅。Kun氏も帰路に着いた。そのまま別れがたい残り4人は、駅前のガストで「反省会」。いつまでも笑いが絶えなかった。
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2 コメント

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感謝の気持ち (Fuj)
2012-06-05 22:34:47
合宿編の執筆お疲れ様でした。あの楽しい合宿からもう2週間以上経ちましたが、あのときの楽しい出来事が蘇ります。一公さんも本編で書かれておりますが、こうしてプロの先生方に将棋を教わり、一緒に旅行も楽しめるというのは夢のような話です。最近、ややこのような恵まれた環境にあることに慣れてきたきらいがあるので、改めて感謝の気持ちを忘れないようにしなければと思いました。
なお、この旅行記で一番気に入ったのは第3手の以下の文章でした。
「私たち将棋仲間には、コンパニオンは不要だ。」
さすが、一公さんだと思いました。その意見に100%賛成します。
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そのとおり (一公)
2012-06-06 00:48:43
>Fujさん
合宿は楽しかったですね。Fujさんもお疲れ様でした。
「感謝の気持ちを忘れない」、そのとおりだと思います。私も肝に銘じます。
「コンパニオンは不要だ」。私、カッコイイこと書いてたんですね。でも、予算がどこかから下りれば、コンパニオンは大歓迎です。
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