一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

木村晋介会長、喜寿の祝い(3)

2022-11-25 21:34:17 | 将棋ペンクラブ
(22日のつづき)

第1図以下の指し手。△2四歩▲同飛△2八歩▲同銀△3八角▲1八角△4六歩▲同歩△6五銀▲3四歩△4四飛▲2三飛成△5六銀▲3三歩成△5七銀成▲同金△5六銀▲5八金引△4六飛(第2図)

第1図では△6四角がイヤだった。以下▲2三歩成△3六歩▲3三と△3七歩成となるが、▲4二とと一手早く飛車を取れるからこちらがいいか。しかしこちらは模様がいいと思っているから、些細な変化も気になってしまうのだ。いずれにしても山野氏が△2四歩と取ってくれたので、ホッとしたことは確かだ。
本譜△3八角には▲3七銀でもいいが、▲1八角。やや利かされだが、角が遠く敵玉を睨むところを買った。
△4六歩に私は▲同歩だが、どうだったか。▲4六同銀と取り、次の▲4八金を狙ったほうがよかったかもしれない。
本譜△4六飛には、例の狙いの手がある。

第2図以下の指し手。▲6四桂△7三玉▲5二桂成△同金▲3七金△4九飛成▲3八金△同竜▲3九銀打(第3図)

▲6四桂が狙いの一手。以下金を取って▲3七金。やや働きのない角に働きかけるのは気が引けたが、実戦的に指した。
角を取って▲3九銀打には一回△4九竜と逃げる気がしたが、山野氏の手はもっと鋭かった。

第3図以下の指し手。△6六桂▲同歩△6七金▲8八玉△5八竜▲同金△7八金打▲9七玉△9四歩▲4六角△6四歩▲6七金△同銀成▲7二飛(第4図)

△6六桂が山野氏の才能を発揮した手。▲同歩に△6七金で、かなりヒヤッとした。
だが▲8八玉で残っていたのは幸運だった。
山野氏は△7八金打から手順を尽くすが、▲9七玉に△9四歩が何でもなく、私の勝勢である。
私は▲4六角と打ち、山野氏は△6四歩。△7二玉は▲6四桂があるからしょうがなかった。
これには▲7二飛が絶好の一手である。

第4図以下の指し手。△7二同玉→△8四玉▲8二飛成△7三桂▲同竜△同玉▲8五桂△6二玉▲7二金(投了図)
まで、一公の勝ち。

山野氏は「何があるんだろう?」という感じで、△同玉と取った。しかしそこは▲1八角が利いている。それを言うと、「エッ!? アッ!? あーそうか!!」と頭を抱えてしまった。
△8四玉と指し直し、▲8二飛成が▲8五銀以下の詰めろ。山野氏は△7三桂でそれを防いだが、▲同竜で詰みである。
山野氏は大きく息を吐いたあと、何とも言えない表情で私を見た。「さすがに社団戦の大将」と言っている。そう、私も伊達に大将を張っていないのである。

さて、これで午後3時近くになり、対局は終了。演芸会の前に表彰式である。
優勝は強豪のN氏で4戦全勝。そして準優勝は、3勝1敗で何と私だった。湯川幹事「大沢さんは、1局目負けたあとに賞金が出ると知って、それなら1局目に気合を入れるんだったと嘆いていました」。
準優勝は残念だったが、1局目に勝っても4局目でN氏と当たった可能性があり、結局準優勝止まりだったかもしれない。
ちなみに、残りの7人も「入賞」で、賞金が贈られた。木村晋介会長の配慮に感服した。
ここから演芸会である。まずは、バトルロイヤル風間さんによる「おしゃべり似顔絵」。バトルさんがトークをしながら似顔絵を描き上げるおなじみのアレである。今回のモデルはもちろん、木村会長である。
バトルさんが脚を組んで座り、向かいに木村会長が座る。
「永瀬さんとアマヒコさん、どちらが悪いんスかね」
とバトルさん。例のマスク騒動のことで、いきなりのジャブである。なかなか返答に困るが、こうした会話を経ながら、バトルさんは似顔絵を描いてゆく。
「私はこうやって脚を組ませてもらって、ちょっとエラソーに見えるんでアレですけども、ご容赦いただいて。こうやって腿のところに色紙を置くのが描きやすいんですね」
そうしてできた似顔絵はそっくりだったが、バトルさんは不満だったようだ。だがそこはバトルさんも対策は取ってあった。
「こんなこともあろうかと、きょうは前もって似顔絵を描いてきておりましてね」
木村会長と作家の椎名誠氏が冒険の旅に出たビデオを観ながら描いたそうで、掲げた色紙には、その当時の木村会長と、現在の木村会長が並んで描かれていた。
昔の木村氏は髪がフサフサで眼が大きい。「歳を取ると瞼がこう下がってくるからね」と湯川氏。歳は取りたくないものだが、加齢は避けられない。
続いて、きょうのゲスト・三味線の片山寿子さんもモデルとなった。きもの姿が凛としていて、俗にいう「いいオンナ」だ。木村会長の知己だか湯川夫妻の知己だか知らぬが、この類の知己が多いのには感心する。たとえば私と照らし合わせた場合、将棋関連以外の知己がほとんどいない。哀しいことだと思う。
寿子さんの似顔ももちろんうまかった。バトルさんのこれは間違いなく名人芸だが、それを披露する場がないのがもったいない。例えばYouTubeで公開するのはどうだろう。結構な収入になると思うのだが。
続いて、寿子さんの端唄である。三味線をチントンシャンと鳴らし、これがまた味のある唄である。
さらに木村会長が三味線の音に合わせ、「かっぽれ」を踊った。
続いて木村会長が「長崎ぶらぶら節」を唄う。冒頭、声がかすれ気味だったのはご愛嬌である。
ここで時間が空いたので、木村会長への質問コーナーとなった。
誰かが「木村会長が好きな棋士は誰ですか?」と問うた。これは興味深い質問である。
木村会長が答えた、その棋士は誰か。
A. 羽生善治 B. 藤井猛 C. 木村一基
(つづく)
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