一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

新橋駅前での名人戦解説会(後編)「佐藤天彦新名人誕生!!」

2016-06-02 01:18:38 | 将棋イベント
北海道七飯町で小学2年生の少年が行方不明になった「事件」は痛ましい。私は詳細にニュースを聞かないようにしているが、両親の証言に引っ掛かるものを感じてしょうがない。
このブログで何度も述べているが、「親は子供を平気で殺す」が我が持論である。警察がこれだけ捜索して何の手がかりも出ないというのは、どう考えてもおかしい。
少年が生きながらえて救出されることを私も願っているが、真相はとんでもないことなのではないか。私のそれは、もはや確信に近い。

(きのうのつづき)
観客席に、Ok氏の後頭部が見える。今日も熱心に将棋の勉強に来ているようだ。
「次の2手が専門家から見ると当然なんですが、これで先手が良くならなかったということは、▲6五角が良くなかったということです。皆さん、(次の2手は)どう指したと思います?」
大内延介九段がみなに問う。が、私は皆目分からない。正解は「△2三銀▲9五歩」だった。
「▲9五歩。完全な手順前後ですよね」
これを証文の出し遅れというのか、もう△同歩とは取ってくれない。大内九段は「不思議ですよねぇ」「考えられないですねぇ」と、羽生善治名人の構想を疑問視する。まったく、単に▲6五角とは、アマ初段氏が名人に憑依して指したかのようだ。
佐藤天彦八段は△3四銀~△4五銀と進出し、飛車取り。もう、攻めている場所が違う。藤森奈津子女流四段が「銀が早いですねぇ。一手ずつ指してるんですけど」と驚いた。
△6四歩と突かれて、角の行き場がない。
「シドイ(ひどい)ですよねぇ。羽生さんともあろう人が、名人戦でこんな手を指しますかねぇ」「どう解説していいか分からない。大名人ですからねぇ」
大内九段の嘆きが止まらないが、「(指し手を)進めましょう」と藤森女流四段が事務的に言った。
△5六歩。ついに玉頭に手がついた。
大内九段「ここ突かれたらオワリですよねぇ。ここから佐藤君の独壇場になります。その手順を見ましょう」
以下数手進んで、…△5九角▲4九玉△5七歩。「この手(△5七歩)が素晴らしいですね」と大内九段が絶賛した。
これに先手が▲5九玉と角を取れば、△5八歩成まで詰み。この△5七歩の局面で、夕食休憩だという。これは佐藤八段、美味い軽食を摂ったに違いない。
残り時間は羽生名人1時間11分、佐藤八段1時間16分。しかし時間はいらなそうである。
「2手ぐらい離れてますね。どうしようもないですね。▲7八の金が先手の駒台に載っていてどうか、というところです」
と、大内九段がサジを投げた。これは万に一つの逆転もなさそうである。まったく、第4局よりひどい将棋になるとは思わなかった。
「奨励会の初段で羽生さん勝てます」
もう少し弱くても勝てそうに思う。「後手はうまい手を何もやってないんです。シドイ(ひどい)ですよね」
指し手が入ってきた。名人は▲4五飛と銀を取る。これも大内九段と梶浦宏孝四段の想定だったようだ。
△5八歩成▲3九玉△3六歩。銀頭に叩いて気持ちがいい。私だったらバカバカしくて投了しているところである。いやもうその前に投げている。
「ここで投了です」
「あ、投了しちゃった!?」
大内九段が、頓狂な声を上げた。午後6時44分、ここに佐藤新名人誕生なる!! 再開後わずか14分の、名人交代劇だった。
手数は100手。
「おもしろくもおかしくもありませんでしたねぇ」
と大内九段が嘆息した。投了以下の変化を並べるが、どれも後手が簡単に勝つ。「この手でシッシ(必至)ですね」。このフレーズを聞くのも、これで最後だ。
「新人の佐藤君に1-4で敗れるとは、誰が予想したでしょうか。このまま羽生さんが崩れなきゃいいですけど」
確かに羽生前名人は、シリーズ中盤から精彩を欠いていた。これは単なる巡り合わせか、衰えによるものなのか。「…この後は6月3日から、棋聖戦五番勝負が始まります。棋聖は羽生さん。挑戦者が20代の永瀬君という人で、彼が大山十五世名人の再来といわれるくらい、受けが強い。しかも羽生さんに3連勝しているんですね。
…2016年の名人戦を境にして、世代が代わっていったと後に言われるのではないか。私はそんな気がします」
と、大内九段が総括した。
これにて解説会がお開き…という時、客席から「第2局の即詰みを逃したのが大きかったのでしょうか」という質問が飛んだ。
これには大内九段も肯定する。「そうですね、19手詰め。私は第2局立ち合いでしたが、あの時は記録係も(詰み手順に)気付いていた。シリーズを負ける時というのは、そんなものです」
私も第2局がターニングポイントだったとは思う。だが突き詰めると、佐藤八段の名人奪取の遠因は、第1局終盤のクソ粘りにあったと思う。あそこで佐藤八段は敗勢に陥りながら、勝負に執着してボロボロになるまで指し続けた。その不屈の闘志が、以降の羽生コンピューターにわずかな狂いを生じさせたと見る。ひいてはそれが、第2局の大逆転につながったのではなかろうか。

今回の名人戦解説会は、大内節を堪能させていただきました。そしてとても勉強になりました。大内九段、藤森女流四段、梶浦四段はじめスタッフの方々に、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
最後になりましたが、佐藤天彦先生、名人位、おめでとうございます!!
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2 コメント

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今日のニュース (通りすがり)
2016-06-03 19:49:06
こんなことは書くべきではないと思いましたがこういう結果。
書いたことについてどうお考えですか?
返信する
今日のニュース (一公)
2016-06-04 02:18:32
>通りすがりさん
口は災いのもとですね。
でも、書いたことに後悔はしておりません。
返信する

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