一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第29回将棋ペンクラブ大賞贈呈式(中編)

2017-09-23 15:13:26 | 将棋ペンクラブ
いつも思うのだが、将棋ペンクラブ大賞を獲るような文才のある人は、スピーチも長けている。思わずニヤリとさせられることも多い。
後藤元気氏。「今回は文章ではなく編集での受賞だったので複雑な気持ちですが、その労力は書く時の何倍もかかりました。お疲れ様、という意味の受賞かと思います」
神谷広志氏(八段)。「私は昨年のこの席で、プロ棋士の受賞が多すぎる、と言ったんですが、私が受賞してしまいました。どのツラさげて来たんですか、と言われそうですが、このツラです。
しょーがないす!!
私は表彰式とはあまり縁がないので、これが最後の表彰になるでしょう。いい冥途の土産になりました」
神谷八段らしいスピーチだった。
石川陽生氏(七段)。「今回の本に関しては、昨年のこの場で鈴木(大介)九段が、とてもホメてくれていたと聞きました。鈴木さんには感謝しています。
今回は、とにかく書きました。書かなきゃ終わらなかった。先輩が残してくれた記譜が素晴らしかった。
また何か書きたいです」
石川七段は風貌と話し方がマッチしていて、とても好感が持てた。こういう棋士の著書には間違いがない。
白泉社・編集者氏。「羽海野先生は今日、アニメのオフレコの立ち合いがありまして、欠席させていただきました。
『3月のライオン』は2007年から連載を開始しています。2011年にマンガ大賞を獲り、講談社漫画賞も獲り、2014年には手塚治虫文化賞マンガ大賞を獲り、けっこう賞を総ナメにしてきました。でも将棋ペンクラブからはお呼びがこないねと、羽海野先生と話しておりました。
そのうち『ハチワンダイバー』がペンクラブ大賞を獲り、昨年は『りゅうおうのおしごと!』までもが賞を獲り、私たちは落胆しました。
これは将棋の場面が薄いのかと、29日発売の13巻では、将棋の場面ばかりです。今回はありがとうございました」
羽海野チカ氏のよろこびようは大変なものだったというが、昨年の白鳥士郎氏を見るまでもなく、ペンクラブ大賞受賞の誉れは、ほかの賞とは一味違うのかもしれない。
ここで記念撮影。室内の照明が弱いので、受賞者がちょっと見えづらい。
続いて、白鳥士郎氏の祝電が読まれた。
続いて、最終選考委員の西上心太氏(文芸評論家)による乾杯である。ボーイ氏が白ワインだかシャンパンだかを配って回る。生ビールでないとは珍しい。
「昨年神谷さん(八段)から、開演から乾杯まで30分以内で済ませるようにと言われたんですが、どうだったでしょうか」
時計を見ると7時01分で、まずまずというところか。
西上氏は所感をさらっと述べて、
「乾杯!」

私にはアルコールの種類が分からなかったが、美味かった。
なお今回は、もうひとりの最終選考委員・所司和晴七段の姿がなかった。所用であろう。
しばし歓談タイムである。Tod氏となんとなくニヤニヤしていると、渡部愛女流初段が挨拶にきてくれた。今宵も一段と美しい。本来ならこちらから出向かねばいけないのに、恐縮である。
「渡部先生、昨日はLPSA麹町サロンに1席空きがあったから行こうと思ったんですけど、午後に見たら塞がってしまいました」
「あー、そうだったんですか?」
まあ実際は空きがあっても窺うのは難しかったのだが、ここで貸しを作ったように錯覚させるのがテクニックである。
「ボクはプレゼントを渡しましたよ」
とTod氏。
聞けばTod氏は14日のLPSA麹町サロンin DIS・渡部女流初段の回に参戦し、渡部女流初段が前日の対局で石高澄恵女流二段に勝利したことから、ご褒美にプレゼントを贈ったという。
公式戦の勝利がプレセントの理由になるのか、という議論はあるが、Tod氏のように、プレゼントを渡したければ渡せばいいのだ。こういう機転が私には利かない。
「何言ってるんですか大沢さん、大沢さんだって社団戦で愛ちゃんに豪勢なプレゼントを渡してるじゃないですか」
「……」
それにしてもTod氏は自由人なのに、カネの遣い方がのびやかだ。困窮感や悲壮感がないのがスゴイ。
LPSAは17日と18日もイベントがあり、18日は渡部女流初段もペア将棋に出場する。筋金入りの愛ファンなら、けっこう頻繁に会える勘定である。
渡部女流初段ともっといちゃついていたかったが、幹事氏がきて、渡部女流初段を指導対局の席に連れていってしまった。
上野裕和五段がいらしたので、挨拶をさせていただく。
「先生、今回の会報では、自戦記を書かせていただきました」
私は5月の関東交流会で上野五段に教わった将棋を投稿し、めでたく秋号に掲載されたのである。この将棋は勝っても負けても投稿するつもりだったが、幸い勝つことができた。無職ゆえ執筆に時間を掛けられただけあり、こちらもまあまあうまくまとめられたと思う。
「あの将棋は序盤から失敗しちゃいまして」
「いえいえいえいえ、先生、また大野教室にも指導に来てくださいよオ」
「はあそれは構いませんが、今は日曜日が毎週塞がっていまして…」
聞けば上野五段は、瀬川晶司五段とテレコで日曜教室をやっているのだが、このところ瀬川五段が映画制作の監修で忙しく、上野五段が日曜日をひとりで担当しているのだという。
ともあれ上野五段との次の対局を楽しみにしたい。
食事を摂りに行く。こういうところの料理はみな同じ味に思えるのだが、ここのそれはなかなかうまい。
来場の棋士のスピーチとなった。
司会進行・長田衛氏の指名で、まずは上野五段が呼ばれる。
「私は今回、羽海野先生のお祝いにきました。先生のマンガを読むと、なぜこんなに棋士の気持ちが分かるのだろう、と不思議に思います。
実は、私の結婚に羽海野先生が大きく関わっています」
けっこうな重大発言が飛び出したので、私たちは注目した。
(つづく)
コメント (4)
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