一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

みそかの愛(中編)

2017-09-02 02:01:04 | LPSA麹町サロンin DIS

第3図以下の指し手。▲3四飛△4四歩▲3六飛△4三金▲2六飛△3一玉▲5六銀△3三角▲4六歩(第4図)

右の男性がLPSAのイベントのことを話す。それで渡部愛女流初段が、思い出したようにチラシをくれた。
9月10日に都内で行われるボードゲームのイベントで、それにLPSAが協賛しているらしい。LPSAの企画力はいつも素晴らしいと思う。
私は▲3四飛と横歩を取った。矢倉系で横歩を取るのは取ったほうが相当苦労するが、歩得もかなりのものである。今日読んだ「将棋世界」最新号では、序盤の無条件1歩得は、香落ちくらいの差になる、とも書いてあった。
私は▲3六飛~▲2六飛と無事生還。▲5六銀と立ってまずまずと思ったのだが、△3三角に▲4六歩は用心が足りなかった。

第4図以下の指し手。△3四金▲2八飛△3五金▲7九角△2四角▲2五歩△3三角(第5図)

渡部女流初段に強く△3四金と出られてビックリした。
3四に駒がないのを活かした手で、次に△3五金▲2八飛△4六金があり、これは金が大威張りのうえ、歩損まで解消されてしまう。私は▲3六歩でそれを防ぎたいが、△1五角が準王手飛車で下手負けだ。
私は仕方なく▲2八飛と引いたが、これでは先の▲2六飛が無駄になってしまった。
ところが、渡部女流初段はそれでも△3五金。まったく、米長邦雄永世棋聖ばりの金の捌きだ。
これに▲4七銀では△4五歩▲同歩△同金で下手がおもしろくない。▲7九角引きはつらいが、やむを得なかった。
が、渡部女流初段はなおも△2四角。このあたりの上手はすべてノータイム。きっと方針が決まっているのだろう。
渡部女流初段は、指し手の合間にいろいろメモを取っている。
「これ、大沢さんにいただいたものですよ」
そのボールペンがそうで、私が昨年プレゼントしたものらしい。「とても書きやすくて」
それはそうであろう。そのボールペンを選ぶとき、私も書き味を試したのだ。
しかし私は感慨に耽る場合でなく、盤上の応対で頭がいっぱいだ。
△2四角に▲4八飛は、△3六歩が嫌味だ。▲同歩は後に△1五角の筋を狙われる。そもそも▲7九角に続いて▲4八飛では、利かされすぎて元気がでない。
ほかに▲4八金や▲4八玉は、たとえば△4六金なら▲2四飛△同歩▲4六角で一瞬金得になるが、直後に△2六飛の切り返しがあって、これも下手が飛び込む順ではない。
よって私は泣きの涙で▲2五歩と打ったが、これで先の歩交換まで無意味になってしまった。

第5図以下の指し手。▲5八金△5二飛▲4七金△3四金▲8八角△5四歩▲同歩△同飛▲5五歩△5二飛▲3六歩△5一角▲3七桂△8四角▲4九玉△5三銀▲6五銀右△5六歩(第6図)

やっと4人目の客人がきた。このサロンははじめてだったらしいが、道に迷ったわけではないふうだ。客人は平手を所望し、さっそく将棋に入った。
渡部女流初段は△5二飛と転戦する。さらに△5一角~△8四角。大駒が遊んでいては勝てない。少しでも働きのある場所へ兵を移すのは道理で、学ぶべきところだ。
その間私は角を8八に戻し、右桂も跳ねた。懸念材料は玉の位置で、どこが最善か分からない。
△8四角には将来の角成に備えて▲4九玉としたが、あまりにも玉が孤独で、よくなかった。
そこで渡部女流初段は△5三銀。攻め駒が退却してくれたので、一瞬ありがたいと思った。
私は▲6五銀と進出する。△7四歩を守る△7二飛なら、▲5四歩と突きだして下手がおもしろい。ということは、この2手はこちらが得をしたのではないか?
渡部女流初段は△5六歩。さらに歩を差し出し、どっちの歩を取るか問うてきたのだ。この応手を私は後悔することになる。

(つづく)
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