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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「芝浦まつり」で一局

2011-08-04 00:39:55 | LPSAイベント
7月29日(金)のLPSA芝浦サロンは、島井咲緒里女流初段の担当だった。最近はサロンへ行くにももうひとつテンションが上がらないのだが、サロンは週に1度のお楽しみなので、簡単にやめるわけにもいかない。
最近のサロンは午後5時から6時までは開店休業状態なので、早く仕事が終わっても、家を出るのに躊躇する。
きょうも若干ぐずぐずし、JR田町駅を降りたのが5時20分ごろだった。
芝浦運河を渡ると、なにやらまつりをやっている。「芝浦まつり」だ。そのままやりすごそうと思ったが、出展社の中に「日本女子プロ将棋協会」の幟があったので、寄ってみた。
簡素なパイプテントの下には石橋幸緒女流四段がいた。将棋盤が3面並べられており、イベント等でときどき拝見する紳士が、石橋女流四段に指導対局を受けていた。あるいはLPSAの関係者だろうか。
石橋女流四段に挨拶をすると、そばにいた理事の庄田育夫氏に、私を紹介してくれた。
「ヒロミさんがパンツを脱いだとか書く人ですけど、芝浦サロンによく来てくれてます」
大きなお世話だが、そもそも私は、かつて庄田氏から名刺を頂戴している。
このままサロンに行くのもなんなので、1局指していくことにする。対局料は500円。これは全額、東日本大震災の復興基金として寄付される。
募金箱となっているペットボトルに500円を入れようとするが、財布の中に500円玉がない。ペットボトルには「おつりはありません」との貼り紙がある。これがミソだ。
めんどうなので、千円札を入れて、指導対局開始。私の居飛車明示で、横歩取りとなった。左の紳士の将棋は、先日行われた王位戦第2局の解説だった。それを横目に、私は指し手を進める。
△4一王だったので、私は▲3三角成とする。石橋女流四段が、「まさか?」という顔で私を見た。私は用意の▲9六角!
横歩取り△8五飛に角を換わって▲9六角は、私がよく指す手。昨年の将棋合宿で中井広恵女流六段に用いて惨敗し、女流棋士にはもうこの手は使うまいと心に決めたが、大豪を前にして、いま一度試したくなった。
石橋女流四段は△6五飛。以下定跡どおりに進んで、△4四角▲2四飛△6二銀▲5八金と進む。ここで中井女流六段は△6三銀~△5四銀と進めたが、人が変われば指し手も変わる。石橋女流四段は、△7七角成(王手)▲同金△2四飛と進めた。
このあたり石橋女流四段は、
「中井さんはどう指したの?」
と、そればかり口にしていた。LPSAのライバルがどう咎めたのか、興味津々だったようだ。
序盤は飛車より角というが、下手陣は6六の空間が痛く、また玉を動かそうにも、その瞬間飛車を打たれるので、存外動きにくい。
私の右には初心者の子供がすわった。石橋女流四段は十枚落ちで指そうとしたが、回り将棋を始めた。まだ「習うより慣れろ」の段階のようだ。
私は敵陣に角を打って香得を目指すが、石橋女流四段は、9筋に狙いをつける。この端攻めが早かった。
石橋女流四段の△9八歩に、私は初志貫徹で▲9四馬と、香を取った。

上手・石橋女流四段:1一香、1四歩、2三銀、3二金、3三桂、4一王、4三歩、5二金、5三歩、6二銀、6四飛、6六歩、8五桂、9八歩 持駒:飛、歩2
下手・一公:1七歩、1九香、2六歩、2九桂、3七歩、3九銀、4六歩、5七歩、5八金、5九玉、6八歩、7二馬、7七歩、7八金、8七歩、8八銀、8九桂、9四馬、9六歩、9九香 持駒:香、歩2

△9九歩成▲同銀△9七桂不成 まで、石橋女流四段の勝ち。

△9七桂不成が、8九桂取りと9四馬取り。こりゃダメだと投了したが、その瞬間、9四馬には7二馬のヒモがついていることに気がついた。
しかし投了せずに▲9七同桂でも△8九飛が厳しく、やはり下手いけない。
局後、真っ先に石橋女流四段から
「▲9九同銀では▲8五馬と桂を取って勝負するべき」
と言われた。▲8五馬△8九と▲5六桂△6五飛(横に逃げる手は▲6二馬)▲7六馬△8八と…でどうか。むずかしいが、これもしかし、下手負けだろう。
石橋女流四段は、ここでも中井女流六段の指し方を気にしていた。自分の指し手がこれでよかったのか…。最後まで迷いながら指していたようだ。

6時少し前に終わり、ちょうどいい時間にサロンの前に着く。ポケットをまさぐると、500円玉が出てきた。チッ…いまごろ500円玉が出てきても遅い。
サロンに入ると、島井女流初段の指導対局に、3人がついていた。
私はきょうで「芝浦サロンポイントカード」のスタンプが100個になり、LPSA女流棋士の直筆扇子がいただけることになった。今年から始まったこのポイントカード制度、私は丸7ヶ月で達成したことになる。しかし次の100個はいつになるか、見当もつかない。
賞品の扇子は、当初は船戸陽子女流二段のそれをいただく予定だったが、島井女流初段のそれをいただくことにした。私は浮気性なのである。
そのまま指導対局の席についていいものか迷ったが、手合い係の大庭美樹女流初段は、
「いいですよ。大沢さんは、おかわり対局が無料になっています」
という。先日来た新規のお客様が、私の紹介で来たといったからだという。
芝浦サロンは現在キャンペーン中で、新規の客を紹介した会員は、おかわり対局1局が無料になるのだ。
新規のお客様とは、セサミン氏のことだろうか。しかしセサミン氏は自発的に来たのであって、私は何もしていない。よって、無料の指導対局は辞退した。
とりあえずおカネを払い、島井女流初段との指導対局に入る。
と、島井女流初段が、
「大沢さん!」
と元気よく言い、すぐあとに意外な言葉を続けたので、私は大いに驚いた。いや、戸惑った、というべきか。
(つづく)
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みんなハッピー!LPSA将棋パーク(後編)

2011-06-04 14:51:22 | LPSAイベント
中井広恵女流六段・植山悦行七段の三女・Minamiちゃんは母親似。駒を持つ手つきもサマになっている。ただし将棋のほうは端を破られ芳しくない。
しかし植山七段の遺伝子を引き継いでいるからか、Minamiちゃんは、そこから丁寧な受けに回る。いままで快調に攻めていた相手の女の子は「こんなはずじゃないのに…」と、指し手もとまどい気味だ。ここから女の子が乱れる。
▲女の子:4六香、5一銀 持駒:銀
△Minamiちゃん:3二飛、5三玉
の局面から、▲4四銀△5二玉▲4三銀成△6一玉▲5二成銀△同玉▲4二香成△同飛▲同銀成△同玉。何とも摩訶不思議な手順を経て、Minamiちゃんが逆転に成功した。
蛸島彰子女流五段-山下カズ子女流五段の伝説の一戦は、後手番・蛸島女流五段のゴキゲン中飛車から激しい攻め合い。解説は多田佳子女流四段から中井女流六段にバトンタッチ。相方の石橋幸緒女流四段の解説は軽快で、時折笑いが起こる。対局者はやりにくいかもしれない。
終盤、自玉が受けなしになった山下女流五段が、蛸島玉に王手ラッシュをかける。客席では鈴木真理さんが、真剣なまなざしでゆくえを見守っている。まったく、なんという美しさだろう。
▲7二銀△9二玉の局面で、山下女流五段の持ち駒は飛、銀。山下女流五段は▲8三銀と打ち、△9三玉に▲8二銀不成と突っ込んだが、これが上手の手から水が漏れた失着。△8四玉と逃げられて打ち歩詰めの形となり、山下女流五段、無念の投了となった。
感想戦では出なかったが、▲8二銀不成では▲9四銀成が習いある手筋で、△同玉の一手に▲9五歩で、以下はどう応じても後手玉が詰みだった。
しかしさすがに伝説の一局だけあって、見ごたえのある熱戦だった。
「販売コーナー」には、きょう発売となったLPSA女流棋士扇子がある。松尾香織女流初段の発案で、名前の上に任意の漢字1文字が揮毫されており、なかなかオシャレだ。ちなみに松尾女流初段の文字だけが、達筆すぎて分からない。購入した人は、これが何の字なのか、考えてみるのもおもしろいと思う。
ちなみに私は、船戸陽子女流二段手作りの巾着袋を購入した。
「どうぶつしょうぎ」にチャレンジしてみる。相手は大庭美夏女流1級。大庭女流1級はどうぶつしょうぎの強豪で、将棋より強い。私だって勝つ気まんまんだったが、私の序盤の悪手を的確に咎められ、早々と敗退した。
某氏が見える。前日の将棋ペンクラブ関東交流会の練習将棋で、私が完敗した相手だ。「じゃあ指しましょうか」ときょうも2局指したが、2局とも負けた。2局目は勝ったと思ったのだが、終盤でうっちゃられた。某氏、「自分は弱い」と謙遜しているが、かなりの手練である。
会場外のペア将棋対局コーナーでは、関西のS氏がまだ対局を続けている。相手はU氏。ペアの相手はそれぞれ女性だが、ともに奥さまだろうか。先ほど見たときは本格的な矢倉だったが、いまはごちゃごちゃした戦いになっている。いかにも将棋、という感じがする。4人とも楽しそうで、これがペア将棋の醍醐味と感じた。
私の理想は、船戸女流二段とペアを組み、中倉宏美女流二段・島井咲緒里女流初段ペアと指すことである。山口恵梨子女流初段・室谷由紀女流初段ペアとの1局もいい。妄想はいくらしても自由だ。
三遊亭とん楽さんが見える。とん楽さんは将棋ペンクラブの会員だが、きのうは関東交流会に見えなかった。きょうは、自身が関係している会社が協賛しているため、遊びに来たのだという。将棋界は多くの将棋ファンによって支えられているのだと、改めて思う。
中倉彰子女流初段、宏美女流二段の「将棋入門」を受けてみたいが、さすがに私は受講不可だろう。
「駒積み競争」をしてみる。玉将、飛車、角、金、と順番に重ねていき、最後に王将を立てて完成というシステムだ。
駒積みの妙技といえば廣津久雄九段が有名である。1枚目の歩を逆さに立て、その上に39枚の駒を詰む。そんな光景が「近代将棋」に載ったことがある。それに比べれば、今回の駒積みはやさしい。
とはいえ気を抜けば、すぐに駒柱が崩れる。慎重に駒を積んでいき、クリア。タイム1分30秒は上出来だった。
また鈴木真里さんが目に入る。
「あのう…鈴木真里さんですよね」
我慢できなくなって、つい話しかけてしまった。彼女は「はい」と答える。
「NHKの将棋講座、いつも拝見してます。頑張ってください」
私は一方的に言って、その場を離れる。鈴木真里さんはまだ話す用意はあったふうだが、私のような将棋オタクと鈴木さんのような美人は、あまり接触しないほうがいいのだ。
女性将棋大会がすべて終わり、表彰式に入る。Aクラスの優勝は、年配の女性。W・Akiちゃんの優勝はならなかった。昨年秋の信濃わらび山荘将棋合宿で、私はAkiちゃんに2連敗している。とすると、年配の女性は私より強いことになってしまう。これをどう捉えたらいいのか。
「ぐるぐる将棋」は、多数の対局者がいるが、指導女流棋士の数が足りず、やや停滞している。これは企画に無理があったかもしれない。
15時30分からは、美しい田井麗花アナウンサーの進行による、大抽選会である。今回のイベントでは各企業が後援・協賛・協力しており、その数は30近くに上る。そのほとんどが商品を提供していて、それはそれは大規模な抽選会になった。入場者は150人はいたと思われるが、かなりの人が当たりそうである。抽選箱から番号を引くのは、藤森奈津子女流四段と神田真由美女流二段のアイドルペアだった。
さてLPSAのイベントでは、何かしら賞品を持って帰る私だが、私の番号「18」がなかなか呼ばれない。
東京ドームの巨人戦チケットは目玉賞品だったが、呼ばれた番号は惜しくも「19」。あと2、3分入場が遅ければ、このチケットは私のものだったかもしれない。
ついにすべての賞品が紹介されたが、ついに「18」は引かれなかった。ただし、当選したにもかかわらず、すでに帰ってしまった人もおり、それらの賞品は敗者復活の「ダブルチャンス」に回された。ここでようやく「18」が引かれたのだが、当たった賞品はニンテンドーDSの「激指」。当たったはいいが、私は肝心の本体を持っておらず、喜びも半分となった。
16時20分、大抽選会は滞りなく終了した。このあとは閉会式である。まず鹿野圭生女流二段の「女流二段昇段表彰式」。LPSAの昇段者は、こうしたイベントで表彰されることが多い。ファンも同時に祝福でき、いい試みだと思う。
最後はLPSA女流棋士15名が勢揃いし、大団円となった。LPSA設立のコンセプトの中に「女性への将棋の普及」があった。今回多くの女性客を目の当たりにして、LPSAの活動が実を結んでいると確信した。このイベントが定期的に続くことを願って、本レポートの結びとする。
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みんなハッピー!LPSA将棋パーク(前編)

2011-06-03 00:33:56 | LPSAイベント
LPSAは設立日である5月30日を「女子将棋の日」と定め、その記念イベントとして、5月29日(日)に、「みんなハッピー!LPSA将棋パーク」を開催することを決めた。
LPSAの社運を賭けた第1回目の会場は、芝浦サロンがあるJR田町駅近くの「交通会館」。イベント内容を見ると女性中心だったが、船戸陽子女流二段や松尾香織女流初段に「男性でも大歓迎だから、来て来て」と熱く囁かれ、当日はふらふらと田町へ出かけてしまった。どうしようもない。
交通会館は田町駅から徒歩3分とのことだったが、建物が分からず、軽い迷子になってしまった。と、会館前で中倉宏美女流二段と島井咲緒里女流初段にバッタリ会い、入口へ向かう。その向こうにはLPSAの面々がズラッと集まっている。
「同伴ですかァ」
と冷やかされたが、否定はしない。
入場は無料。イベントスケジュールはその都度記すことにして、まずは11時から、大会場の外で指導対局が行われた。これには指導料がかかって1,000円からだが、全額が東日本大震災義捐金となる。
指導対局女流棋士は、藤森奈津子女流四段、神田真由美女流二段、鹿野圭生女流二段、船戸女流二段、松尾女流初段、島井女流初段など。
当然私も所望する。私の前には鹿野女流二段が来た。関西の鹿野女流二段には教えていただく機会がなかなかないので、ありがたかった。
駒を並べていると、藤森女流四段が来て、
「大沢さん、元気?」
と言う。
「うわああああ、そ、その口調、私のおばにそっくりですよ」
「おば!? おばなの!?」
「え?…ええ」
「おばって…」
「そうですよ。おば。ウチに来ると、よくオレに言うんですよ。元気? とか、ご飯ちゃんと食べてる? とか。もううるさくて、ハハ」
「……。ちゃんとご飯食べてる!?」
「う、うわあああ!! お、おばそっくり。ふ、藤森先生、たまんねえっす!!」
「……」
というバカバカしい会話のあと、鹿野女流二段との指導対局開始。鹿野女流二段の四間飛車に対し、私は5筋位取り戦法を採った。
美樹女流初段がおカネを徴収に来たので、ミエを張って2,000円を出す。と、私の前をマンガ家・タレントの山咲トオルが通った。ステージイベントのゲストなのである。今回LPSAは女性アナウンサーも起用しており、だいぶおカネをかけているのが分かる。
壁を隔てた大会場では、中倉彰子女流初段、宏美女流二段の超初心者講座「しょうぎってなあに?」が始まっている。相変わらず笑いを取っているようだが、よく聞くと、ふたりのほかに山咲トオルの声も混じっている。彼(彼女)はここに出演したのか。
将棋は一進一退の攻防となったが、わずかに私のほうが優勢だったようだ。
最終盤、鹿野女流二段が私に手を渡したところで、私は▲6三と。これが鹿野女流二段の見落としていた好手で、これを▲6三金と打っては詰まない。▲6三と以下は△同王に▲5三銀成(4二から)で、鹿野女流二段の投了となった。これに△7二王は2五の飛車が2二に成って、簡単な詰み。
感想戦ではお互いの意見を率直にぶつけあい、とても勉強になった。
大会場に入ると、「しょうぎってなあに?」はまだ続いていた。初心者講座に定評のある中倉姉妹、黒板にイラストを描いたりして、分かりやすい講座だった。
会場手前では、女性将棋大会が行われている。けっこうな人数の女性が盤を挟んで熱戦を繰り広げており、この光景を見ただけで、早くも本イベントの成功が予感できた。
昼食休憩を挟み、13時からは、山咲トオルと中井広恵女流六段のトークショーだ。山咲トオルが招ばれたのは、中井女流六段と親交があったかららしい。中井女流六段を目にするのは、4月の信濃わらび山荘将棋合宿以来。相変わらず魅力的だ。
進行役は田井麗花アナ。タカラヅカのような名前の彼女は米倉涼子に似たたいへんな美人で、私はいっぺんにファンになってしまった。さすがはLPSA、アナウンサーのピックアップも、いいところを衝いている。
3人の軽快なトークで、会場内は爆笑の連続だった。
今回のイベントは女性対象なので、誰でも参加できるブースが多く設けられている。
中倉彰子女流初段、宏美女流二段は引き続き「将棋入門」のブース。
「どうぶつしょうぎ」は、大庭美夏女流1級と美樹女流初段が担当している。
「手つきコンテスト」は船戸女流二段と島井女流初段。両名が来場者の手つきを判定して、段位を認定してくれる。
「My駒・My扇子」もおもしろい。駒や扇子に自分なりの文字を書いて、自分だけの品物を作るというものだ。これは鹿野女流二段、松尾女流初段が担当する。
「駒積み競争」は藤森女流四段と神田真由美女流二段の、「永遠のアイドル」が担当。40枚の駒を積んでいく、タイムトライアルだ。成績上位者には扇子などの記念品が当たる。
そのほかに、定番の「ぐるぐる将棋」。これは有料で、参加料は1,000円から。これも東日本大震災の義捐金に充てられる。
その他は販売コーナーに、懸賞詰将棋のコーナーもあった。
これらには「スタンプラリー」が付随しており、各ブースを体験するごとに、カードにスタンプが押され、3つ以上集めると、15時30分からの大抽選会に参加できるという仕組みになっていた。
今回のイベントは女性向けだから、女性客でいっぱいになるのが望ましいのだろうが、家族や彼氏といっしょに来た人も多く、男女の比率は半々ぐらいに思われた。
関西のS氏が来て、私を「ペア将棋」に誘う。午前中に行われた指導対局会場が、ペア将棋と自由対局のコーナーになっているのだ。
S氏との交流もおもしろそうだが、それ以上にLPSAの女流棋士と交流したかったので、S氏の誘いは無視し、私は「手つきコンテスト」のブースに向かう。
船戸女流二段の席が空いたので、着席し、お互いに駒を並べる。40枚並べ終えると、「手つき王座」の称号をいただけた。ちなみに隣のオジサンは「手つき王将」。王将より王座のほうが格上なんだぞ、と自分に言い聞かせる。どうして私は、ヘンなところで負けず嫌いなんだろう。
参加賞として、ネイルアート用のマニキュアをいただいた。
「My駒・My扇子」では、オリジナルの「歩」と「玉将」を作った。「歩」はポップなデザインにしたので、松尾女流初段がとても驚いていた。あまり知られていないが、私は絵が得意である。いつか船戸女流二段の対局姿を描いてみたいと思う。
「どうぶつしょうぎ」のコーナーに、たいへんな美人がいる。女優クラスの美人だが、どこかで見たような、そうでないような感じである。…あれっ? スズマリ? 現在「NHK将棋講座」で、チョイ悪・山崎隆之七段のアシスタントを務めている、鈴木真里さんであった。
鈴木真里さんは、いつぞやの社団戦で見かけたことがあり、その時も私は彼女を絶賛したらしい。「らしい」というのは、私にその記憶がないからだが、W氏によると、そうだったらしい。
正直に言えば、「将棋講座」で彼女を見たときはあまり魅力を感じなかったのだが、こうして生で見ると、発しているオーラが違う。やっぱり彼女は綺麗だ。声を掛けたかったのだが、警戒されてもアレなので、やめておいた。
14時からは、蛸島彰子女流五段と、山下カズ子女流五段の特別席上対局である。「レジェンド(伝説)対決」と銘打っているがまさにその通りで、このふたりがいなかったら、現在の女流将棋界はなかったといっても過言ではない。
多田佳子女流四段、石橋幸緒女流四段の解説で対局が開始されたが、ブースがいろいろありすぎて、レジェンド対局の観戦に専念できない。
女子将棋大会は大詰めを迎えている。AクラスはW・Akiちゃんが決勝戦を戦っている。相手の女性は、LPSAのイベントによく見かける方だ。将棋は終盤に入っているが、どちらも決め手を欠いているように見えた。
振り返ると、かわいらしい女の子が、左手で駒を持って指していた。彼女は…?
中井女流六段・植山悦行七段夫妻の三女だった。
(つづく)
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第4回ペア将棋選手権⑥・本戦決勝・感動をありがとう

2011-02-05 18:13:31 | LPSAイベント
朝の10時43分から始まった第4回ペア将棋選手権も、ついに決勝戦を迎えた。対局者は中井広恵女流六段・嘉野満アマペアと島井咲緒里女流初段・城間春樹アマペアである。本命の中井・嘉野ペアに初代1dayクイーンと元奨励会三段が挑むという図だ。スタッフのI原氏が白布を拡げ振駒を行い、中井・嘉野ペアの先手となった。
1局だけだが、選手の配置を記しておこう。

嘉野・中井(先)
  盤(時計)
島井・城間(後)

解説は田村康介六段、聞き手は石橋幸緒天河である。
対局場のギャラリーも若干増え、16時15分、対局開始となった。
まずは中井・嘉野アマが居飛車明示。島井・城間ペアは四間飛車穴熊だろう。石橋天河が
「(観客のリクエスト?では)矢倉がいいそうですけれどもー」
と語っていたが、そのころはすでに、島井・城間ペアは四間飛車に振っていた。
ここで中井・嘉野ペアがどうするかと見ていると、☗7八銀と締めた。最後の1局は左美濃でジックリ戦うハラだ。
傍らでは、船戸陽子女流二段が渡辺徳之アマ相手に、どうぶつしょうぎを指している。闘志の炎が鎮まず、もう一勝負というところなのだろう。
16時27分、島井・城間ペアの☖7三金に、石橋天河が
「これは島井さんの手ですね」
と言うのが聞こえる。
しかしこれを指したのは城間アマ。島井女流初段は☖7二飛と袖飛車にすることが多く、☖7三金は指さないと思う。
☖9四歩。これは島井女流初段の指し手だが、これこそ攻撃的な島井女流初段らしい。しかしこの手には田村六段が疑問を投げかける。修業時代、先輩棋士から
「このハシだけは受けないほうがいいよ」
と教えを受けたらしい。☖9四歩は島井女流初段の棋風が指させたものだが、私たちはマネしないほうが無難のようだ。
さらに城間アマ、☖7二金と引く。じっと手を渡すのが元奨励会三段の手。さすがに鍛えが入っている、と思った。
船戸女流二段が、今度は将棋駒を出した。しかし使用している駒数が少ない。これは「5×5」で戦う「ウルトラマン将棋」であろう。ペア将棋敗退の悔しさを晴らすチャンスは、これからいくらでもある。
16時33分。中盤の難所に差し掛かっている。ここでの指し手が勝敗に直結する。4人とも真剣な表情だ。島井女流初段はプリティーな顔立ちだが、この1日ですっかり貫禄がついた感じだ。勝負師の顔がほのかにのぞく。
島井・城間ペアの後ろにアイリスのスタッフ嬢が待機している。彼女はLPSAの公開対局で棋譜読み上げを担当するなどし、私もよく見かける。今回改めて拝見したが、なかなかの美形だと思った。…あれっ!? LPSA全員の女流棋士より上回っているかもしれない。
16時37分、島井・城間アマは☖4四歩。対して☗5三桂成と捨てたのが好手。☖5三同角に☗2四歩と突けては、桂損でも先手を持ちたい感じだ。ただし田村六段の解説では、ここから先手が手を繋ぐのはむずかしい、とのことだった。
☗2三歩の合わせに、島井女流初段、「勝手にして」とばかり☖3三桂。振り飛車は左桂が捌ければ満足である。この桂がどこまで活躍するか。
☗2二歩成の飛車取りに、城間アマが☖4二飛と逃げたのはどうだったか。☗3三とと引いた手が☗4三との飛車銀両取りを見て厳しい。
島井女流初段、取られそうな桂を4五に跳ねる。5七の銀取りだが、6七金のヒモが付いている。中井・嘉野アマは☗6八銀と逃げたが、構わず☗3三とと寄る手もあったと思う。
いずれにしても☖6二飛と逃げるようでは、後手は形勢を損ねた。
16時43分。中井・嘉野アマ、☗4三歩。この垂らしが厳しい。こんな歩だけの攻めで穴熊を崩されては敵わない。先手は金銀4枚の堅陣だし、気の早い人なら、ここで投了してもおかしくない。
しかし島井・城間アマは踏ん張った。☖6六歩☗同金☖6五歩☗同金とつり上げて、☖4二角が3手一組の勝負手。☗4二同とと角は取られたが、☖6五飛と金を取りつつ飛車が捌けては、かなり形勢が縮んだ感じだ。
城間アマ、ハッとしたように、ギャラリーに目をやる回数が多くなってきた。決勝戦だけあって、対局場の観戦客も多くなっている。やはり気になるようだ。
城間アマは2年前のペア将棋選手権では中倉彰子女流初段と組んで決勝に進出したが、石橋幸緒女流四段・遠藤正樹アマに完敗し、涙をのんだ。今度こそは、の意気込みだろう。
しかし形勢は中井・嘉野アマが優勢である。島井・城間アマ、☖7六歩と取りこみ角取り。16時53分、ここで中井・嘉野アマが作戦タイムを取った。いままではなかった、終盤でのタイムだ。これは大きい。検討のしがいがある。
先ほどのアイリス嬢がストップウォッチを片手に前へ出た。彼女は作戦タイムの計測のためにいたのだ。
中井・嘉野ペアは急いで駒を並べる。☗7二角成☖7七歩成☗同銀☖7二金☗同竜☖7一金☗7五竜☖6九飛成☗7二歩☖6一金☗7一銀…。
嘉野アマ「あと何分?」
アイリス嬢「30秒です」
嘉野アマ「あと何分?」
アイリス嬢「ありません」
加藤一二三九段みたいなやりとりに、ギャラリーがドッと沸いた。
中井・嘉野ペアと入れ替わるようにして、島井・城間ペアも作戦タイムに入る。これが本日最後の作戦タイムだ。
☗7二角成☖7七歩成☗同銀☖7二金☗同竜☖7一金。ここで島井女流初段は当然のように☗7三歩と打ち、中井・嘉野ペアの検討手順から分かれた。
しかしここで私が感心したのは、どちらも王手で7七角を取る手(取らせる手)を当然のように考えていたこと。角損よりも、☗7二角成と殺到する順を真っ先に読んだのだ。
終盤は駒の損得よりスピードというが、さすがに女流棋士とアマ強豪だと思った。
対局再開。☖7一金と竜をハジいた手に対し、中井・嘉野ペアは☗7五竜~☗7一銀と、検討どおりに進めてゆく。
ここで城間アマが指した☖5七角が、竜取りと同時に7九にも利かせた好手。☗6六歩に、島井女流初段の☖7四歩がまた玄妙な一手だった。中井・嘉野アマは☗6五竜。大駒はなるべく敵陣から遠いところから利かしたい。中井・嘉野アマもそう考えてひとつ竜を寄ったのだが、この手が明暗を分けることになった。
城間アマ、☖7九角打。これしかない☗9八玉に、どう指すか。☖9五歩では甘いと見ていると、島井女流初段が☖8六桂と放った。この手があったか!!
☗8六同銀直は☖7八竜があるので☗同銀右だが、構わず☖7八竜~☖8八金で、一気に島井・城間アマの勝勢となった。
☖8七銀に、中井・嘉野アマが投了。17時19分、島井・城間アマの嬉しい初優勝となった。
投了以下は、☗6七玉☖6八角成☗5六玉☖5七馬まで。このとき先手の竜が6四にいたら、玉が6五に抜け出せたのだ。苦し紛れに跳ねた☖4五桂も、最後は先手玉の詰みに一役買っている。勝つときはすべての駒が働くものだ。
30分近く遅れての表彰式。田村六段は
「ペア将棋なのに指し手のレベルが高く、ひとりで指しているのかと思いました」
と述べた。
島井・城間ペアと、中井・嘉野ペアに表彰状が手渡される。好局を落とした中井女流六段は、「こんなものでしょう」とサバサバしたものだった。1日5局の真剣勝負は、年齢的にもかなりキツかったと思う。
決勝進出ペア当ての正解者は、なんと2名。今回は必ずしも中井女流六段が有利というわけではなく、予想がバラバラに分かれたからだと思われる。
ちなみにW氏、Tat氏は船戸・渡辺ペアと松尾・野島ペアの進出を予想していた。私も同じ組み合わせだったから、案外このあたりが本命だったのかもしれない。
あらためて優勝ペアのコメントとなる。
島井女流初段は、
「私が無理でも攻めたいところを、城間さんがグッとこらえてくれて、助かりました」
というような言葉を述べた。また城間アマは、
「島井さんはああ言いましたが、私のほうこそ助かりました」
と、パートナーをいたわるコメントを述べた。
島井女流初段は若干感極まった感じ。城間アマも、苦闘の末の優勝に、目頭が熱くなったようだ。実に心温まる光景だった。
女流棋士とアマ強豪が寄り添って将棋を指す姿を見るのはつらく思ったが、実際はそうでもなかった。来年も開かれることがあれば、また観戦に出向きたいと思う。
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第4回ペア将棋選手権⑤・本戦準決勝

2011-02-04 00:40:27 | LPSAイベント
いよいよ本戦準決勝である。対局カードは、中井広恵女流六段・嘉野満アマ-松尾香織女流初段・野島崇宏アマ、船戸陽子女流二段・渡辺徳之アマ-島井咲緒里女流初段・城間春樹アマ。どちらも予選2回戦と同じ組み合わせである。前局に勝ったペアは連勝を狙い、負けたペアは雪辱を果たす、という図だ。
もう対局開始時間だが、松尾女流初段がどこかへ行ったまま戻ってこない。松尾女流初段は前局もどこかへ消えていた。彼女は自由な女なのだ。
やがて松尾女流初段が戻り、LPSAスタッフのI原氏が白布を拡げ、対局者立ち会いのもと、振駒を行った。
14時56分、対局開始。ここで各選手の配置を記しておこう。

嘉野・中井(先)
  盤(時計)
松尾・野島(後)

船戸・渡辺(先)
  盤(時計)
島井・城間(後)

松尾・野島ペアの四間飛車に、中井・嘉野ペアが角を上がった。中井・嘉野ペアが穴熊に囲うと決め打ちして、松尾・野島ペアは早くも☖4五歩と角交換を迫る。
しかし嘉野アマは相手にせず☗9六歩。これは松尾・野島ペアも意表をつかれたようだ。振り上げた拳の持っていき場に困った感じか。☖3二銀型なので☖4三銀と上がれず、といって自分から角を換わるのは、まだ先手が☗9八香と上がっていないので、手損だけが残ってしまう。
大盤解説は田村康介六段が引き続き担当するが、聞き手は中倉宏美女流二段が務めていた。
船戸・渡辺ペア-島井・城間ペアは、居飛車穴熊対四間飛車穴熊の戦い。これは予想どおりだ。
船戸女流二段のマニキュアが銀色にキラキラ光っている。本日はペア戦なので、マニキュアも特別仕様なのだろうか。
中井女流六段はオレンジ系の口紅をひいている。昨年6月に行われた「NIS×TefuCUP」では、オレンジの服を軽やかに着こなしていた。中井女流六段は、オレンジ色が好きなのかもしれない。植山悦行七段と違って、今回はパートナーも頼もしい。メイクにもチカラが入ったことだろう。
15時04分、松尾・野島ペアが作戦タイムに入った。☖4四銀と立ち、先手の応手によっては☖3五歩☗同歩☖同銀と捌く手を検討している。私はこのふたりを決勝進出に予想しているので、当然応援している。
対局が再開された。概ね検討どおりに進んでいるようだ。
私もペア将棋を体験したいが、手すきの女流棋士が見当たらない。もっとも、いまは女流棋士とアマ強豪のペア戦を観戦するほうが優先される。
田村六段の解説の声が聞こえる。声は低く、落ち着いている。イメージどおりの話し方だ。朝はまばらだった観客も、午後になって人が増え、解説場に用意された席はほぼ埋まっている。
15時18分、船戸・渡辺ペアが作戦タイムを取った。と、ふたりが駒を動かして、局面を再現した。いままでは駒を動かさず、口頭で済ませていたのだ。
船戸女流二段は背が高いが、渡辺アマも大柄だ。ふたりで寄り添って検討している姿は絵になり、カップルのようである。ちょっとおもしろくないが、私はこのペアを決勝進出に推している。とにかくここは、頑張ってもらうしかない。
中井・嘉野ペア、☗6八銀。味のいい銀引きだ。「銀は引く手に好手が多い」は、早咲誠和アマ竜王の言葉だった。
15時23分、「いやあ~」と声を発して、中井女流六段が☗7七の角で☖4四の角を取った。しかし局面はいい勝負である。
15時25分。船戸・渡辺ペア-島井・城間ペアは、お互いに敵陣の金ゴマを取っている。相穴熊特有の駒の剥がし合いだ。
渡部愛ツアー女子プロが、W氏と談笑している。W氏はこうしたイベントに来ると、いつも女流棋士とフランクに話している。これは隠れた特技というべきだろう。私などは女流棋士に警戒されているので、イベントでは言葉を交わしたことがない。
島井・城間ペアが作戦タイムに入った。
15時29分、「どうぶつしょうぎペアマッチ選手権」の表彰式が行われている。目立たないが、ここでも熱い戦いが繰り広げられていたのだ。蛸島彰子女流五段が、優勝ペアに賞状を渡していた。
15時31分。
嘉野アマ「タイムしましたか」
中井女流六段「してない」
嘉野アマ「していいですか」
私の聞き間違いかもしれぬが、こうした妙な会話があり、準決勝最後の作戦タイムとなった。中井・嘉野ペアは本局が最多タイの4局目。さすがにソツなく検討をこなすようになってきた。
15時36分。船戸・渡辺ペア-島井・城間ペア戦は、二枚飛車の島井・城間ペアが優勢。渡辺アマが☗3四馬と自陣に利かせた手に対し、☖5六歩と馬道を遮断した手が冷静だった。これは大勢決した。
15時41分。中井女流六段、勇躍☗6五桂と跳ぶ。こちらは中井・嘉野ペアが優勢だ。どうも、私の予想は両方とも外れそうである。
15時47分、嘉野アマ☗8二銀に、松尾女流初段、野島アマが顔を見合わせ、投了を告げた。
その2分後、島井女流初段の☖5九角に、船戸・渡辺アマも投了を告げた。
ペア将棋は、勝てば喜びが2倍になるが、負けても悔しさが2倍になるのではなかろうか。負けたペアの姿を見ると、そう思う。
「なんでゴキゲン中飛車を指さなかったんですか」
私は松尾女流初段に問う。
「野島さんがゴキゲン中飛車は指したことがないって言うのよー」
「……」
予選では中井・嘉野ペア相手にあまりにも鮮やかな勝利を収めたので、決勝進出ペアに推したのだが、とんだ肩すかしを食らってしまった。
感想戦を終えた船戸女流二段も近くに来た。
「…残念でしたね」
私は恐る恐る声を掛ける。
船戸女流二段は私をチラッと見たが、すぐに前を向いてしまった。
マ、マズイ…!! もう船戸女流二段は、30日付のブログ「船戸陽子カレンダー2011」を読んだのだろうか。女流棋士の下着姿に言及して、それをブログに載せるなど前代未聞。アップしたことは露ほども後悔していないが、船戸女流二段からすれば、自分がネタにされ、たいそう不愉快だったに違いない。
やべえなあ…。船戸女流二段には、これから口を利いてもらえないんじゃないだろうか…。
私は放心状態のまま、船戸女流二段から後ずさった。
(つづく)
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