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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

宏美・咲緒里・奈穂・いづみのトークショー(第4幕)・楽しかった

2012-10-30 01:05:54 | LPSAイベント
15分の休憩後、中倉宏美女流二段、島井咲緒里女流二段、万波奈穂二段(囲碁)、涼崎いづみプロ(麻雀)が再登場した。
第2部は「プライベート編」。第1部にもまして赤裸々な話が語られることになるが、島井ちゃんからダンナとの馴れ初めを聞いたって不愉快だし、ほかの女流プロから、男性遍歴を聞いても詮無い。4女流プロのシンからのファンは、聞かない方がいいかもしれない。
第2部が始まった。テーマは「オフの日の過ごし方は?」など。しかし前述のとおり、ここでのトーク内容はネットへの掲載禁止なので、その模様は省略する。午後9時43分にトークは終了、全編大爆笑だった。
第3部は、「奈穂二段VSいづみプロの、どうぶつしょうぎ対決」。トークショーもいいが、やはり実戦がいい。舞台にあるテーブルの上に投影機を載せ、その上にしょうぎ盤を拡げる。それがバック(つまり前方)のスクリーンに映る仕掛けだ。
ふたりは事前に2局指し、1勝1敗だったという。これが決戦だ。解説は宏美、咲緒里の両女流二段が務める。
奈穂二段の先手で、対局開始。■1三キリン□2三ひよこ■同キリン…という出だしとなった。いままで快活なトークを展開していた4人だが、対局者は一転して、真剣な表情である。そしてそれは、トークのときより数倍も魅力的だった。
私は意味のないコーヒーを頼む。Fuj氏はフライドポテトをオーダーしていた。フライドポテトはFuj氏の大好物だ。Tag氏は相変わらずのピッチでロックを頼んでいる。ここの会計は個別だからいくら飲もうと構わないが、今後彼と割り勘で飲むのは遠慮したいところである。
局面。いづみプロが疑問手を指したが、奈穂二段が咎め切れず、いづみプロが優位に立った。
以下、駒を捌き合った結果は、いづみプロが勝勢。
では、その終盤の局面を記そう。

先手・奈穂二段:1三ライオン、3四ひよこ 持駒:キリン、ゾウ
後手・いづみプロ:3二ライオン 持駒:キリン、ゾウ、ひよこ
(■1三同ライオンまで)

以下の指し手。□2二キリン■3三ゾウ□1二ひよこ■1四ライオン□2三ゾウ■2四ライオン□1三ひよこ■同ライオン□3四ゾウ■2二ゾウ□2三ひよこ■3一キリン まで、奈穂二段の勝ち。

いづみプロが□2二にキリンを打ったが、緩手。ここは□2二ゾウ■1四ライオン□1三ひよこ■2四ライオン□2三キリンまで、5手詰だった。
本譜□1二ひよこ■1四ライオンに、□2三ゾウも緩手。ここは□2三キリンとじっと入るのが好手で、次の□1三ひよこが受けづらかった。
ふたりは囲碁と麻雀のスペシャリストだから将棋勘もいいのだろうと推察したがそれは誤りで、私たちから見れば当然の一手のところで熟考する。
反対に私たちは、水を得た魚のように、変化をボソボソ語り合っている。
■2四ライオンに□1三ひよこと突いた手が痛恨の悪手。■同ライオンで、形勢がひっくり返った。これで駒数は5対3。どうぶつしょうぎは、駒損をしてはまず勝てない。以下□3四ゾウに■2二ゾウとキリンを取って、たちまち先手勝勢となった。
□1三ひよこでは、□2一キリンと引く手が妙手だった。これで先手は次に指す手がない。無理に指すなら■1四キリンだが、□同ゾウ■同ライオン□1三キリン■2四ライオン□2三キリン■1四ライオン□1三ひよこまで、詰む。
いづみプロ、形作りの□2三ひよこだが、奈穂二段は■3一キリンと後手ライオンを即詰みに討ち取り、うれしい勝利となった。
これで全3部は終了。さてこのあとは懇親会である。私たちの席に、4人が挨拶に来てくれるらしい。宏美女流二段や咲緒里女流二段といまさら懇親会もないので一足先に帰ろうかと思ったが、奈穂二段に挨拶できるなら、もうちょっと店にいたいところである。
しばらく待っていると、背後に奈穂二段が現われた。
私は心臓が止まるかと思ったが、意を決して話しかける。
「石垣島に行くんですか?」
奈穂二段がはっきりしなかったので、私はさらに畳みかける。「ボク20回ぐらい石垣島に行ってるんですよ。あそこは離島に行くのがいいです」
しかし奈穂二段は、あまり関心がないみたいだった。
しまった…と思う。ここは自分のことをしゃべるより、奈穂二段に何か質問をしなければならなかったのだ。私は気を取り直して続ける。
「あの…フジテレビの本田朋子アナに似ているって言われたことありませんか」
「…ありません」
何なのこの怪しい男、という感じで、奈穂二段が散文的に答える。こりゃダメだ。私はすっかり消沈してしまい、以後の会話に加わることはなかった。
続いて咲緒里女流二段が私たちのテーブルに来る。
「大沢さん! 久しぶり!」
ストレートに言われて、私は恐縮するしかない。先ほどまで私の右に座っていた青年が席を移したので、そこに咲緒里女流二段が座った。
咲緒里女流二段、間近で見ると一段とかわいらしい。また芝浦サロンに行きます、と社交辞令を述べておいた。
続いて宏美女流二段も姿を見せる。ひとり残らず挨拶するようだ。
宏美女流二段も、私の右に座った。宏美女流二段とは何度も盤を挟んでいるが、隣同士…ここまで接近したのは初めてではなかろうか。
「先生、私は宏美先生が負けたとき、なんて慰めればいいんです?」
私は緊張して、意味のない質問をする。
「……」
「だってほら、先生負けるほうが多いでしょ?」
「……」
いかん、また失言をしてしまった。どうして私は、心にもないことをズケズケ言ってしまうのだろう。
それはとにかく、宏美女流二段の顔のちっちゃいこと! 顔色もツヤツヤしていて、毎日が充実しているのだなと思った。
最後にいづみプロが訪れる。これにはFuj氏が歓喜した。
「大沢さん、この人が青葉の伊達娘ですヨ! この前のモンド杯、テレビで観ました。オーラスで役満でツモったのには感動しました」
「ありがとうございますぅ!」
そう言うといづみプロは、名刺をFuj氏に差し出した。なるほど、こういうところで麻雀好きの特典が付くのか。
Fuj氏、会場に入ってきたときは、大学を卒業してから20年間麻雀三昧で、その時間を将棋に充てていたらいまごろは…などと嘆いていたが、麻雀に狂っていたお陰で、いづみプロの名刺をゲットすることができたのだ。麻雀さまさまであろう。
これですべてのプログラムが終了。全編笑いっぱなしの、濃密な3時間だった。
入場者は、事前予約80人が完売。当日分の20席も売り切れ、計100人の入場者があったという。ただ出演の4人は、「初回だから、みんなご祝儀で来てくれたのかも」と冷静な分析をしていた。
たしかにそうで、もし第2回目があっても、私が次も出席するかどうかは、微妙なところである。しかしプロデュサー・咲緒里女流二段は、すでに次回の構想が出来上がっているようだ。私の出欠はともかく、次回も大いに期待できる。
最後になったが、女流プロの4人には、改めて感謝の言葉を述べたい。ありがとうございました。
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宏美・咲緒里・奈穂・いづみのトークショー(第3幕)・怒濤のトーク

2012-10-29 00:22:46 | LPSAイベント
28日のTBS系「MONSTERS」は、手袋についた指紋が事件解決のカギだった。しかし本来、布系の手袋には指紋はつかないものである。話のスジはおもしろかっただけに、残念だった(注:現在は布からも指紋が検出できる、という指摘が読者からあった。不勉強をおわびします)。

(27日のつづき)
今回のイベントは、予約状況は芳しくなかったが、駆け込み予約が殺到し、開演までに満席になったという。私のような手合いが多数いたのだろうが、まずはめでたい。
今回は3部構成で、第1部は「まじめな話」。
まずは将棋、囲碁、麻雀界のしくみを、それぞれが説明する。将棋界は分かるが、囲碁界はどうなのだろう。万波奈穂二段によると、現在は現役男性棋士が361人、女性棋士が82人いるという。
私の席からは奈穂二段がよく見えるので、まじまじと彼女の顔を拝んでしまう。彼女は新田恵利に似ていると思った。しかし眺めているうち、フジテレビの本田朋子アナウンサーにも見えてきた。AKB48・大島優子も入っている。それぞれ30・50・20%の割合か。それに、女優の青山倫子(のりこ)を少しまぶせば、万波奈穂の出来上がりという感じである。
囲碁界には、彼女のようなキュートな棋士がたくさんいるのだろうか。だとすれば、女流将棋界より相当レベルが高いことになる。
話を戻すが、囲碁界は男性も女性も統一の段位なので、棋戦も男女平等に参加する。当然とはいえ、これが本来の姿だ。
さらに女性棋士にはこれらとは別に、女流棋戦がある。それを奈穂二段は「(将棋界と較べて)女性に優遇されている」と言った。
これは謙遜である。女性が優遇されているのはむしろ将棋界のほうで、奨励会を卒業していない女性が「女流プロ」を名乗れる制度が、かなり甘いのだ。
囲碁の女性棋士は、優勝賞金4,500万円の棋聖戦にも参加できる。対して女流将棋界は…と思うと、ひと事なのに、肩身が狭くなった。
涼崎いづみプロが麻雀界の説明をする。こちらは団体が6つくらいあるらしい。麻雀は運の要素が強いが、それでもチカラがないと、プロにはなれない。
将棋、囲碁、麻雀を始めたキッカケは、中倉宏美女流二段がお父さんからで、スパルタ方式。島井咲緒里女流二段はおじいさんからで、これは意外だった。
奈穂二段は2歳上のお姉さんが5歳のときにお父さんから教わっており、自分も5歳になったとき、必然的に教わったという。なお、お姉さんも囲碁棋士とのこと。実力がすべての世界で、姉妹ともプロになったのはすごい。これは才能であろう。
いづみプロが麻雀を始めたキッカケは何だったか、忘れた。
ところでこのイベントでは、飲食を1オーダー以上する決まりになっている。私はジンジャーエール、Fuj氏は青島ビール、Tag氏はつまみ2品とロックを頼んだが、Tag氏のピッチが早い。
咲緒里女流二段がパソコンのキーボードを叩くと、バックのスクリーンの表示が「普段の練習、勉強法は?」に変わった。
これは将棋も囲碁も棋譜並べ。麻雀も、実力のある先輩から打ち方を教えてもらったりするという。
奈穂二段は、平均5時間の勉強をしているらしい。これが多いのか少ないのか分からぬが、囲碁も将棋も、勉強はいつでもどこでもできるから、実際はもっと多いに違いない。
続いてのテーマ、「対局前日、当日の過ごし方は?」
宏美女流二段は、むかしは神経質で、前日にはカツ丼を食べることが多かったそう。ただし当然ながら、それが結果に直結するわけではなく、それなりのカロリーを摂取するので、いまはゲンを担ぐのはやめ、自然体で過ごしているという。
またここ数年は、一切将棋を考えない、完全オフの日を作っているという。
私のような素人から見ると、将棋から離れた日を作ったら、そのぶんだけヒトから遅れを取る感じがして、暢気に休めないのではと思うのだが、その辺りはどうなのだろう。
たとえば里見香奈女流四冠なら、「四六時中将棋のことを考えています」と答えそうな気がする。
奈穂二段は家の掃除をするらしい。大事な勝負に挑む前の身辺整理という感じか。
これには咲緒里女流二段も同意する。「勝負をしに行っていて、いつ死ぬか分からないから」。
ちょっと大袈裟だがこの気持ち、分からぬではない。私も旅行に出るとき、やり残したことはなるべく片付けてから、家を出るからだ。
旅といえば、奈穂二段は来月、沖縄・石垣島にプライベートで行くという。対局に勝って気分が高揚し、対局場からチョクに旅行会社に赴き、契約を済ませてしまったという。奈穂二段、意外と大胆なのだった。
咲緒里女流二段は、形勢が顔に出るらしい。それは確かにそうだ。ときどき何かつぶやくらしいが、麻雀界では「私語禁止」(いづみプロ)とのことで、これは意外だった。
話は「秒読み」に移る。秒読みでトイレに行きたくなったとき、将棋界は容赦なく時間が進む。しかし囲碁界はOKである。正確に書くと、相手の持ち時間を止める規則になっている。なるほど合理的で、このルールには感心した。
咲緒里女流二段はトイレが近く、秒読みの将棋のときに、受けなしの状態になったことが3回ほどあったという。いっそのことおむつを付けようかと、本気で考えたという。しかし咲緒里女流二段、こんなこと言っていいのか?
対局で負けたあとはどうするか。奈穂二段「ヤケ酒」。これには会場爆笑。そしてほかの3人も同じ答えのようだった。
ただ奈穂二段は、自分を負かした相手とは飲みたくないので、ほかの棋士と行くことが多いらしい。
「でもふだんは仲がいいですよ。将棋界も仲いいでしょ?」(奈穂二段)
「表面上は…」(宏美女流二段)
場内大爆笑。このトークショーは、第2部の「プライベート編」が、「トーク内容はネット上に掲載禁止」になっているが、1部もどうしてどうして、書けない話が多い。このテンションだと、2部はどうなってしまうのだろう。
続いてのテーマ。「どういう棋風、打ち回し?」。
これは4人とも「攻め」。囲碁界には「切れるところがあったら切って行く」という言い回しがあるそうで、奈穂二段はそれにあたるらしい。
女流将棋界でも、咲緒里女流二段の「シマイ攻め」は有名だ。また宏美女流二段は、同じ「セメ」でも、「責め」が少し入っているらしい。私も宏美女流二段に責められたいものだ。
というところで、大盛況のうちに第1部は終了。スケジュールを少し押して、午後8時38分だった。
(つづく)
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宏美・咲緒里・奈穂・いづみのトークショー(第2幕)・歴史的対面

2012-10-27 01:29:15 | LPSAイベント
おばちゃんは、駅前で出発待ちをしている、路線バスに乗った。外から窺うと、出口ドア横のシートに座っている。これは意外な行動だった。電車-バスの利用では、どう考えても交通費がかさむ。しかもバスは中野駅行きだった。これで終点の中野まで行ったら、交通費を無駄遣いすることになる。おばちゃんの意図が分からなかった。
しかし、ちょっと頭のおかしいおばちゃんに合理的な説明を求めても無理だ。
ここでおばちゃんの追跡は終わり。さて、晩メシである。トーク会場でも食事は摂れるが、せっかく外出したので、豪華な晩餐といきたい。
アーケード街の先に「なか卯」があったが、けっこう客がいたので、パス。その並びにあるラーメン屋に入った。ラーメンと半チャーハンのセット(650円)を頼む。豪華だ。スープは選択制で、私は魚介系のスープを選んだ。
出てきたラーメンは、煮干しのダシがよく利いていて、うまかった。ただやっぱりラーメンは、肉系のスープに限ると思った。
「Asagaya Loft」は、南口にあったようだ。南側のアーケード街に入り探していると、Tag氏の姿があったので、声を掛けて一緒に探す。
ほどなく看板が見つかり、地下を降りて行く。時刻は午後7時すぎである。受付で入場料1,500円を払い、指示されたルームに入った。
室内は薄暗く、それらしい雰囲気が漂う中、瀬川晶司五段の姿が確認できた。LPSA女流棋士が出演するイベントに来て大丈夫かと思うが、囲碁や麻雀に知己がいるのだろう。
私は予約番号「62」だったので席は後ろのほうだが、スタッフが席を詰めるよう促すので、前のほうに行く。Tag氏は「3」だが、気の毒に私と同じテーブルである。なお最前のテーブルには、Kun氏、Hak氏、ペンクラブ会員氏がいた。
「LoftA」はバーの雰囲気だが、ライブがメインのようだ。ライブハウス独特の「におい」がする。このにおい、嫌いではない。
やがてFuj氏が来た。私を見て驚いているが、まあそうであろう。そのFuj氏は私のナナメ前に座ったが、Tag氏がFuj氏を知らないようだ。それはFuj氏も同じようだ。これは意外だった。
ふたりは私を介して挨拶。日本を代表する将棋オタクが顔を合わせた、歴史的瞬間だった。その場に居合わせた私は感激である。
このふたりには「新春放談」と題して、2013年の将棋界を大いに語ってもらいたいと考える。まあそれは夢物語だが、もし実現すれば、おもしろい内容になるだろう。
ところでTag氏は先日、将棋文化検定の2級を受験したらしい。その中で、日ハムの「斎藤佑樹」を書かせる問題が出たという。
「サイトウユウキ? しめすへんに右、樹木の樹でしょ?」
と私は得意満面に答えたが、あとで調べたら間違っていた。しかし将棋検定でこんな問題が出るのはおかしいと思う。まあ何れにしても、Tag氏の合格は間違いあるまい。
「きょうは涼崎いづみが出るんですよ。『青葉の伊達娘』です」
とFuj氏が私に語りかける。しかし私にはチンプンカンプンだ。彼女のキャッチフレーズらしい。「今夜のブログは『きょうは大野-宮田戦』ですか?」
「何それ? 今夜はこのイベントのことをすぐ書くけど」
「そうですか、あす(25日)は竜王戦の大野-宮田戦がありますよ」
「あ、そうなの?」
というわけで、Fuj氏のおかげで、25日のブログ内容が決定した。
会場にはSu氏、ミスター中飛車氏もいるという。Kub氏の姿もあった。LPSAスタッフも来ている。まるでLPSAのイベントのようだ。
改めて、きょうのトークショーは、正式名を「勝負師の彼女じゃ…イヤですか」という。島井咲緒里女流二段のプロデュースで、中倉宏美女流二段、万波奈穂二段(囲碁)、涼崎いづみプロ(麻雀)が出演、ハジケたトークを展開する。既婚者の島井ちゃんが「勝負師の彼女じゃ…」はないと思うし、宏美女流二段だって彼氏の3人や4人はいるだろうから看板に偽りアリの気もするが、宏美女流二段などは日常会話がすでにトークショーなので、彼女が本格的なトークの場でどんな話をブチかましてくれるのか、期待するところは大きい。
時刻は7時半を回った。スタッフが出てきて、まずは「Asagaya LoftA」をビデオで紹介。ここはライブハウスの聖地で、歌手やタレント、お笑い芸人が毎日のように出演しているらしい。
やがて咲緒里女流二段が登場した。続けて宏美女流二段、奈穂二段、いづみプロが、自身の選曲したBGMに乗って登場した。4人ともカジュアルな服装で、彼女らが「勝負師」とは到底思われない。
ここ「Asagaya Loft」は咲緒里女流二段お気に入りの店らしく、たまたまここの店員さんと意気投合し、イベントの話が持ちあがったらしい。
咲緒里女流二段といづみプロは、多いときには週3回もいっしょに飲むそうで、そこで咲緒里女流二段が、異業種の勝負師も交えたトークショーを思いついたという。
掘りゴタツをあしらったステージに4人が座る。咲緒里女流二段は相変わらずのかわいらしさ。宏美女流二段も、いつもの平安顔である。おふたりは6月に行われたマイナビイベントでお見かけしたが、その前となると、昨年夏・秋のLPSA芝浦サロンで将棋を教わって以来となる。かなりご無沙汰してしまった。
奈穂二段、いづみプロも、現代ッ子風で、かわいらしい。4人はアルコールを頼んで、まずは私たちと「乾杯」した。
(29日につづく)
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宏美・咲緒里・奈穂・いづみのトークショー(第1幕)・怪しい乗客

2012-10-26 00:07:12 | LPSAイベント
10月24日、杉並区阿佐ヶ谷の「Asagaya LoftA」にて、中倉宏美女流二段、島井咲緒里女流二段、囲碁の万波奈穂(まんなみ・なお)二段、麻雀の涼崎いづみプロのトークショーがあることを知ったのは、将棋ペンクラブ大賞贈呈式の二次会だったか(いや、今月のジョナ研の席だったかもしれない)。
ペンクラブ会員のTag氏、Hak氏らはすでに申し込み済。のちにKun氏、Fuj氏らも参加を表明したが、私はほとんど興味がなかった。
ところが23日、Kun氏のブログを見ると、そのトークショーの告知が再度なされていた。これは予約状況が芳しくないことを物語っている。私は反射的に、ネット予約をしてしまった。心の底では、彼女らのトークを期待していたのかもしれない。スマホのメールに返ってきた予約番号は「62」だった。
24日はふつうに仕事を終え、最寄駅に向かった。山手線池袋回りに乗り新宿で中央線に乗り換えるか、秋葉原から御茶ノ水まで出て中央線を利用するか、ここは思案のしどころだが、私は秋葉原方面に向かった。
秋葉原で総武線(正式名称は中央総武緩行線)に乗り換え、御茶ノ水で降りる。ここから中央線に乗れば、20分近くで阿佐ヶ谷に着く。
ところがその中央線が、信号故障だか何だかで、遅れているという。私がサラリーマンだったときの勤め先は四ッ谷だが、ある月の中央線などは、人身事故等で15回も不通になったことがあった。相変わらず信頼できない中央線である。
全くいい思い出のない四ッ谷をすぎ、新宿着。私はドア付近に立っている。多くの乗客が入れ替わったが、そのとき、おばちゃんのけたたましい声がした。
「ここはケータイを使っちゃいけないところなんだから! ケータイをやめなさいッ!! 電源を切りなさいよッ!!」
うわ…なんだなんだ…。場所は優先席の一隅である。おっしゃることはごもっともだが、何をそんなにカリカリきてるんだ?「ケータイを使うのはやめなさいッ!! こっちは12年半も我慢してたんだから! 街頭ビデオだって、映ってないのは分かってるのヨッ!!」
……。出た…。季節は秋だというのに、頭のおかしいおばちゃんが出た。黒山で声の主は見えないが、反射した窓から見える乗客の表情は、みな強張っている。
中野に着いた。何だか、下車する乗客が多い気がする。これから乗ってくる人はかわいそうだと思う。
果たして、新たな乗客にも、おばちゃんが罵声を浴びせる。
「そこの髪の長い女性! あなた私の言ってることが聞こえないのッ!! ケータイを使うのはやめなさい!」
そこで初めて、乗客の女性が反論した。もっとやれ、と思ったが、そこまで。
さすがに人の波が減っていたので、私はおばちゃんを確認する。おばちゃんはつり革に捕まって、白のチューリップハットをすっぽりとかぶり、その隙間から薄暗い眼でこちらを窺っていた。
今度はこちらの番である。私は意味もなくスマホを取り出して眺めてみた。
「私がこれだけ言ってるのに、ケータイを取り出すってどういうことよ、そこのメガネの人!」
おお、これは私に向かって言っているのか? 私は内心のよろこび?を押し殺して、スマホをいじる。またおばちゃんからの非難が来た。
次も怒鳴ってくるようなら睨み返してやろうと思ったが、おばちゃんはそれ以後黙ってしまった。
と思う間に阿佐ヶ谷である。私が降りると、おばちゃんもそこで下車した。これはおもしろいことになった。
おばちゃんはホームをうろうろしている。そこへ上りの中央線が入線してきた。車内で喚くのがおばちゃんの目的だから、上りに乗り直す可能性はある。
しかしおばちゃんは乗車せず、そのまま改札口方面に歩ていく。いまは6時半ごろか。トークショーの開場は6時半だが、開演は7時半だから、まだ時間がある。私は悪戯心を起こし、彼女を尾けてみることにした。
おばちゃんはエスカレーターをトントンと降りる。私も後を追う。踊り場にあるゴミ箱に、何か捨てた。やはりホームに戻るのだろうか。あ、改札口に向かった。私はポケットをまさぐるが、切符がない。
何とか見つけて、自動改札を抜けた。おばちゃんは北口を出る。え? そこに行くのか? それは私の予期しない行動だった。
(つづく)
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私が選ぶ「1dayトーナメント」名局ベスト3

2012-10-06 00:11:07 | LPSAイベント
劇団民藝の俳優・大滝秀治が2日、亡くなった。87歳。
日本の名優を10人選べ、と言われれば、私は即座に大滝秀治を選ぶ。上っ面の演技ではなく、役の中にのめり込む、気迫がこもった、魂の演技が好きだった。合掌。

LPSA主催の1dayトーナメントは、7、8日に行われる「ファンクラブカップ」で50回を迎えることになった。今回は50回記念として、歴代の優勝者が一堂に会し、グランドチャンピオンを決めるという。これは楽しみだ。
そもそも「1dayトーナメント」は、LPSA設立時から行われた、LPSAの名物企画である。この棋戦の主な特徴は、
1.トーナメント戦を1日で消化し、優勝者をその日に決める。
2.公開対局をすることによって、観客がナマの勝負を目にすることができる。
3.イベントを併設し、女流棋士との交流が深められる。
等が挙げられる。
私も公開対局があるたびに会場に足を運び、その熱戦を目にしてきた。
そこできょうは、過去49回の中で、私の印象に残った名局ベスト3を発表する。

第1位<第19回>「フランボワーズカップ」決勝
2008年12月23日
於:文京シビックセンター
中井広恵女流六段VS船戸陽子女流二段

第1位は、2008年に行われた「フランボワーズカップ」決勝戦を、迷うことなく挙げる。
常勝・中井女流六段に、この半年前にLPSAに移籍した船戸女流二段が挑むという、話題性たっぷりの顔合わせだった。
このときの模様は、「将棋ペン倶楽部」2009年秋号に「聖夜前日のドラマ」という題で掲載された。以下に抜粋してみよう。


聞き手の石橋女流王位が、
「中井さんはLPSAの公認棋戦で30勝ぐらいして、1敗しかしてないんですよね」
と、恐ろしいことを言う(後日調べると、19勝1敗だった)。しかし船戸女流二段も、ここまで9勝2敗である。常勝同士の一騎打ちとなったわけだ。
しかし前述のとおり、進行の石橋女流王位はじめ、観客のほとんどが船戸女流二段を応援していた。LPSAに移籍してからの彼女の活動を、ファンは知っている。みんなが船戸女流二段に、2008年有終の美を飾ってほしいと願っていたのだ。
局面。中盤まで中井女流六段が銀得で優勢だったが、船戸女流二段も中井女流六段の馬を取り、形勢を盛り返す。
実に面白い、一進一退の終盤戦となった。しかし、つねに中井女流六段が半歩リードしている気がする。
船戸女流二段が左手で口元を覆う。胃からせりあがってくるものを堪えているかのようだ。
すこしうるんだ眼で盤面を凝視する。その姿は、凄絶なまでに美しい。
いっぽうの中井女流六段も、優位を保っているはずなのに、その表情は険しい。
解説の郷田九段も、ふたりの指し手を見守る回数が増えてきた。「分からない」を連発する。
攻防手の応酬のあと、中井女流六段が船戸玉を受けなしに追い込んだ。
これは中井女流六段が余したか――そう思った瞬間、バキィ!!という駒音が会場に響いた。
△8五角!
起死回生、すごい捨て駒が出た!
「あっ、これは…」と郷田九段。郷田九段はじめ、誰もこの手に気が付かなかった。ただ一人、船戸女流二段だけが、この筋を読んでいたのだ。
▲8五同玉に△7六竜! 以下はどこへ逃げても、先手玉は詰みとなる。ここで中井女流六段の投了となった。船戸女流二段、堂々の優勝なる!
この瞬間、私は涙があふれてくるのを止められなかった。自分の将棋はもちろん、ヒトの将棋で涙を流したのは初めてだった。それは、華麗な捨て駒で大豪を討ち取った、劇的なフィナーレということはあったろう。しかし私たちは、LPSAに移籍してからの船戸女流二段の活動を、ここに重ね合わせたのだ。
「将棋って、こんなに面白い競技だったんですね」
郷田九段が放心したようにつぶやく。藤田女流1級は、
「ワタシ、船戸さんを好きになっちゃいました!」
と叫んだ。
船戸女流二段の眼にも、涙があふれていた。それは美しい涙だった。


中井女流六段の王者の風格、船戸女流二段の凄絶な美しさ。緊迫感あふれる戦いを、我ながらよく捉えている。解説を日本将棋連盟の郷田真隆棋王が務めていたのも懐かしい。
終局時の、割れんばかりの拍手。船戸女流二段の、感極まっての涙。船戸女流二段にとっても本局は、生涯随一のメモリアル将棋だったと思われる。

第2位<第19回>「フランボワーズカップ」準決勝
2008年12月23日
於:文京シビックセンター
中井広恵女流六段VS松尾香織女流初段

第2位は、同カップの準決勝・中井-松尾戦。この日は全局熱戦で、プロの将棋を心ゆくまで堪能した。1dayトーナメント49回の歴史の中で、最も記憶に残る闘いだった。
ではこれも、「将棋ペン倶楽部」から抜粋しよう。


振り飛車党の松尾女流初段が3手目に角道を止めたので四間飛車と思いきや、5手目に▲6八銀と上がる。このとき聞き手の藤田女流1級は素通りしていたが、私にはピンとくるものがあった。
9手目▲7八金でも、藤田女流1級は何も言わない。しかし私はここで確信した。
松尾女流初段は相矢倉を志向している、と。
11手目▲4八銀が指され、ここで初めて場内がどよめいた。しかし私は、心の中でガッツポーズをしていた。
これには伏線があった。金曜サロンでは、閉席後に将棋仲間で遅い夕食を摂りに行くのだが、この前の週では、指導対局講師の松尾女流初段も同席してくれたのだ。
これは極めて珍しいことなのだが、食事会に女流棋士が混じれば、話も弾むと同時に、「餌食」にもなる。私たちは、
「LPSAの棋士は得意戦法が限られてるから、ファンも食傷気味。だからいつもの振り飛車でなく、矢倉なんか指してくれると、新鮮味が出て嬉しいんだよなあ」
というようなことを言った。
それを早くも松尾女流初段が実践してくれたので、私は心の中で歓声をあげたのだ。これは多分、あの食事に同席していた棋友も、同じだったと思う。
ただ、あとで分かったことだが、松尾女流初段はふだんから矢倉の研究もしていたらしい。今回はそれをぶつけるに格好の相手だ。
現に本局では、松尾女流初段が居飛車党かと見紛うばかりに、その指し回しは絶妙を極めた。
中盤▲5四歩と突き出した手が、角道を通して飛車銀両取り。これで松尾女流初段が大優勢となった。以下も徐々にリードを拡げ、あとは▲4六桂と金取りに打てば、あらかた後手玉は寄りだ。
絶対王者は時としてヒールとなる。今回のメンバーでいえば、LPSA女流棋士で圧倒的な強さを誇る、中井女流六段がその役割を担っていた。この対局、会場の半数以上は、松尾女流初段を応援していたのではなかろうか。
しかしここから松尾女流初段が乱れる。貴重な飛車で▲8二飛と王手を掛けたが、△6二歩との交換になっては大損をした。
さらに松尾女流初段は背後からの秒読みに追われ、その後も疑問手を連発する。たちまち形勢は接近するが、こうなれば、流れは中井女流六段である。最後は松尾女流初段が自玉の簡単な3手詰を見落とし、必勝の将棋をあたら棒に振ったのだった。
ああ……。このときの私の落胆をなんと表現したらいいのだろう。自分が負けたときより、悔しかった。
うしろに植山悦行七段がいらしたが、私は七段の立場もわきまえず、
「松尾先生、何やってんですか! 必勝だったのに!」
とブチまけた。


本文でも少し触れているが、松尾女流初段は矢倉を裏芸としており、「松尾矢倉」と呼ばれていた。
しかし終盤勝ちになってからの乱れぶりは目を覆いたくなるほどで、大魚を逸した松尾女流初段をまともに見られなかった。

第3位<第34回>「けやきカップ」決勝
2010年3月22日
於:府中グリーンプラザ
島井咲緒里女流初段VS藤田麻衣子女流1級

中倉彰子・宏美姉妹のおひざ元、府中での1dayトーナメントである。
この年の3月をもって藤田女流1級が現役引退、およびLPSAを退会することが決まっており、いくぶん感傷的な雰囲気が漂う決勝戦だった。
「けやきカップ」のレポートは、当ブログの2010年3月24~26日にエントリした。ここでは26日のエントリを、一部再掲しよう。


42手目△7四歩と突いたところで、解説が中座真七段、聞き手が中倉女流二段に交代する。
さっそく中倉女流二段が
「島井女流初段は前局で穴熊を指して、暴力的な将棋で殴り倒しました」
と、平然と言う。そういう中倉女流二段もけっこう穴熊の暴力を振るっていると思うのだが、まあ人間、自分のことはよく分からないものだ。それはともかく、相変わらず中倉女流二段の話は過激で面白い。NHK杯将棋トーナメントでの聞き手は、相当自分を抑えていたのだろう。
将棋は中盤の難所に入っている。△7三の角が4六に躍り出て、これが5七の飛車取りになるとともに、その陰にいた7二の飛車が7七の馬を直射した。
▲5六飛に△7七飛成! ▲同桂にも角を逃げず、△7六歩と追撃の手を緩めない。「シマイ攻め」の面目躍如だ。▲7六同飛に△5七角成。ここで▲6八銀と一枚入れるかと思いきや、藤田女流1級は▲7二歩! 両者の持ち味がよく出ている、華やかな攻め合いだ。
会場内は満席に近い。私の後ろには椅子が追加されている。
藤田女流1級が▲3一飛と6一の金取りに打った。しかしこれ、その瞬間だけ気持ちがいい緩手。島井女流初段はおまじないのように△4一歩と打つ。これを藤田女流1級が不用意に▲同飛成と取ったのが疑問で、すかさず△1四角と詰めろ飛車取りに打たれては、大きく形勢が傾いた。
私ならここで嫌気がさして投了、というところだが、藤田女流1級は▲5八銀と打って頑張る。
しかし△5八同馬▲同金△4一角と飛車を取られ、その角に再び1四に飛びだされた手がまたもや詰めろとなっては、これは大勢決した。
ところが、藤田女流1級が▲6五桂と玉の逃げ道を開けた手に対し、島井女流初段が△7六飛と打ったのが、負ければ敗着という不用意な一手。▲7六同飛△同歩に、▲8一金△同玉▲7三桂打と迫られ、一気に詰むや詰まざるやの局面になってしまったからだ。
先ほどまでなら、ここで△9一玉と寄る手があるから何でもなかったのだが、いまは横に利く駒を渡してしまったので、▲8一飛で詰んでしまう。3日前のエントリでも書いたが、島井女流初段にはこうしたスッポ抜けがあるのだ。
仕方がないから、島井女流初段は上部に逃げる。追撃する藤田女流1級。どこへ逃げても詰みそうな気がするが、島井玉はスレスレのところを生き延びる。
際どい攻防が続き、▲7五香の王手に△6四玉。このとき、島井女流初段が水分を口に含んだのが見えた。
あれは昭和63年放送の第38回NHK杯将棋トーナメント戦・大山康晴十五世名人対田丸昇七段(当時)戦で、終盤必勝だった田丸七段が大山玉を捕まえ損ね、大山玉が9八まで逃げ延びたことがあった。そのとき大山十五世名人が「やれやれ…」とお茶を口に含んだ光景を思い出した。
ここで藤田女流1級が投了し、島井女流初段の嬉しい優勝となった。決勝戦にふさわしい、実に見応えのある1局であった。


これは終盤がスリリングで、最後の詰むや詰まざるやの局面は、手に汗を握った。これが公開対局の醍醐味であろう。

1dayトーナメントは毎月開催を続けていたが、2010年4月「グリーントーナメント」を開催予定だったものの、どこぞのバカ団体から横ヤリが入り、中止に追い込まれた。
それがケチの付け始めか、2010年は10回開催。翌2011年は激減し、5回しか行われなかった。
変わり映えしない出場女流棋士、当時は真新しかったネット中継が現在では当たり前になった、LPSAの女子将棋大会へのシフト…など、1dayトーナメントにおける環境が変わってしまったのだ。
これから1dayトーナメントがどこに行くのか分からぬが、ネット中継のある8日は、自宅でゆっくり楽しもうと思う。
コメント (2)
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