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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

LPSA Minerva交流将棋大会(3)

2015-04-25 14:06:25 | LPSAイベント
選手が列を作っていることから、これは大会参加の「権利」なのかもしれない。私も女性を撮影するのは好きだが、そこに自分が入るとダメである。席に座り、遠巻きに眺めた。
O氏が受付を済ませ、私の右に座る。ファイルを見せてくれた。藤森哲也四段の実戦譜が書かれてあり、びっしりと変化が書き込まれている。さすが研究家のO氏だが、こんなのを見せられては、勝てる気がしない。どうして私の周りには、度を越えた将棋バカが多いのだろう。
O氏も写真に収まった。私もせっかくなので、女流棋士と撮影させていただくことにした。
私のスマホに続いて、LPSAのカメラでもパチリ。この男女比で撮影されるのは、人生で最後だろう。いい思い出になった。
室内には、ミスター中飛車氏、O氏のほかに、Sak氏、Su氏ら見覚えのある顔が並んだ。LPSAに馴染みのある人が揃った感じだ。トーナメントAは三段以上が対象だが、こちらへの集まりが多く、人数調整をした。結果、Aが16人、Bが10人前後になったようだ。Aトーナメントは、4回勝てば優勝である。
1回戦の私の相手は、30代前半と思しき男性氏。初対面の相手は棋風が分からないから指しにくくてイヤだ。もっとも、これは向こうも同じ条件だが。
開会に先立ち、島井咲緒里女流二段の挨拶。
「午前もお話ししましたが……うんぬんかんぬん」
さらに大会ルールの説明があった。持ち時間は15分30秒で、大野・植山教室と同じである。
午後1時、対局開始。後手男性氏が、4手目四間飛車に振った。このあと私がふつうに指せば角を換えてくるだろうから、私は▲6六歩と角道と止める。消極的なようだが、持久戦になればこの不満も解消される。
男性氏は穴熊に潜り、私は玉頭位取りに出た。私は一手一手慎重に進める。大野・植山教室のときのように「ええい、行け行け!」というわけにはいかないのだ。
▲3八飛△4四角▲2八飛△2二飛。この取り引きは先手が損をした。先手はもう飽和状態なので、ここで開戦した。

図以下、▲9五歩△同歩▲同香△同香▲同角△9二香▲8六角△2四歩▲4五歩△6二角▲7四香△6三金▲7一香成と進む。
△9二香では△2六香がイヤだったが、男性氏は玉頭の補強を優先した。私は狙いの▲7四香。以下、△7一金と交換できては、まずまずの岐れだと思った。
ただ先手も端が弱いため、実戦的にはまだ難しい。事実後手に、9筋にと金を作られ、3筋からも反撃され、私も生きた心地がしなかった。が、私の▲7二金~▲6六角~▲8四銀も相当な迫力だったようだ。
最後は▲7三歩成で先手勝勢。これを△同桂と取ってくれたので、▲8一金打まで。私はうれしい1回戦勝利となった。
感想戦。私は真っ先に△2六香の変化を質したが、どうも先手が指せたようだ。やはりソッポに駒を打つのはうまくいかないようだ。
私が勝ったこともあり、感想戦は長めに行う。参考になる手筋をいっぱい教わり、勉強になった。男性氏は見るからに手練れで、この将棋を勝てたのは僥倖だった。

2回戦は、Sak氏と当たった。Sak氏はLPSAイベントの常連で、いつも静かに観戦していた。彼は誰だろう? と仲間内でも話題になったが、交流すると彼がなかなかの将棋バカということが分かり、社団戦に参加してもらった経緯がある。
Sak氏とは4回対局をしたことがあるが、いつも私が苦戦した。ただ勝敗は別で、そこが面白いところ。
右の席ではO氏とミスター中飛車氏の対局となる。ここだけ取ればLPSA芝浦サロンのようで、「懐かしいネ」を連発した。
対局開始。Sak氏は▲5六歩で、先手中飛車の意向。数手進んで、私は結局玉頭位取りを採る。▲2七銀のあと、His流の▲3八飛がイヤだったが、Sak氏は▲3八金。これも本手である。
Sak氏が▲5六銀と立って、戦機が熟してきた。

第1図以下の指し手。
△8六歩▲同歩△4五歩▲6六歩△4六歩▲同金△4五歩▲同銀△同銀▲同金△3四銀▲同銀△同金▲4六歩△5五歩▲4五銀△4四金打▲3四銀△同金▲2五銀
△4三金▲3七桂△5四銀打▲3四銀△同金▲2五銀△4三銀打▲3四銀△同銀▲4五桂△同銀右▲同歩△同銀▲4六歩△3六桂▲3七玉△5六銀▲3四金△4七歩▲4三金打
△4一玉▲5二歩△同飛▲同金△同玉▲8二飛△6二金▲8一飛成△5四銀▲4四銀△同角▲同金△4八歩成(第2図)

頃はよしと、私は△8六歩▲同歩△4五歩と仕掛ける。前局の感想戦の指し手を参考にした。
Sak氏は▲6六歩。いかにも軟弱な手で、私はこしゃくなとばかり△4六歩~△4五歩と突っ張ったが、これは歩を渡して相手の駒を呼び込んで、よくなかった。
Sak氏は4五と2五に執拗に駒を打ちつけ、私は防戦一方。ここでは千日手を覚悟した。
しかしSak君が千日手にするはずもなく、▲4五桂と跳ねる。私は△3六桂~△4七歩だが、この瞬間が絶対に詰まない形なので、Sak氏は猛攻撃を仕掛けてきた。
島井女流二段が、さっき撮った写真を配っている。プリントまでがサービスのようだ。このあたりのキメの細かさは、小回りの利くLPSAならではといえる。
右の将棋は終わって、O氏の勝ち。ミスター中飛車氏にも勝機はあったと思うのだが、O氏の地力が勝った。
数手進んで▲8二飛に△6二金はつらい受け。▲8一飛成に▲4三銀を防いで△5四銀と立つようでは、泣きたくなった。
▲4四銀では▲4四桂でも私の負けだが、これでも問題ない。私は△4八歩成と開き直り、介錯を待つ。第2図からは▲5三歩ぐらいでも負けだと思っていたのだが…。

(つづく)
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LPSA Minerva交流将棋大会(2)

2015-04-24 12:48:17 | LPSAイベント
(22日のつづき)

第2図以下の指し手。
▲3五歩△同角▲2三飛成△4四角▲6六歩△6五歩(途中図)▲同桂△7四銀▲5五歩△7五銀▲同歩△6四歩▲5三桂成△同角▲3三竜△6五歩▲7六銀△6三桂▲5四歩△4四角▲4三竜△6六角▲同金△同歩▲6四角(第3図)

局面は飛車銀交換で私の駒得。▲3七金が遊び気味なのが不満だが、ここで先手を握り、指せる形勢だと思っていた。
まず▲5三角成を考えたが、馬は作れるものの、一手の価値がないと思った。角の利きがなくなると、△6六歩▲同金△5七銀も気になるところである。
一方、後手の狙いは△4五桂である。これを▲同歩は、△7九金▲8八玉△7八銀で、下手も気持ちの悪いところがある。
そこで角筋を止めるべく、中空に▲3五歩と打った。
これは1979年2月26日に指された第37期名人挑戦者決定リーグ・▲米長邦雄八段対△大山康晴十五世名人との将棋で、米長八段が113手目に▲3五歩と打った手を参考にした。
本譜、これを△同角は▲2三飛成がある。渡部愛女流初段はどう指すのかと注目していると、アッサリ△同角と取ったので、拍子抜けした。
しかし▲2三飛成△4四角と進むと、後手の角が好位置にきている。
次に△6六歩があるので私は▲6六歩と謝るが、渡部女流初段は△6五歩とこじ開けてきた。
これを▲同歩は、やはり△6六歩以下バリバリ攻められてもたない。私は▲6五同桂だが、△7四銀以下角を取られては、下手の非勢がはっきりしてきた。
それでも本譜は角を取り、▲6四角と据えたところでは盛り返したと思ったのだが…。

△9二玉▲9五歩△4九角▲5八桂△5七歩▲9四歩△5八歩成(投了図)
まで、88手で渡部女流初段の勝ち。

△9二玉が習いある好手。この早逃げで、負けを悟った。一応▲5三歩成を考えたが、▲6三と~▲7二とじゃあまりにも遅い。それで、端玉には端歩の格言通り▲9五歩と突いたが、やはり△4九角が飛んできた。
▲5八歩は二歩で打てないので▲5八桂だが、これでは▲7四桂の楽しみがなくなり、もう下手ダメである。
△5八歩成で投了。渡部女流初段は「エッ!?」と驚いてくれたが、攻防ともに見込みはない。

例えば▲9六飛は詰めろだが、△6八と▲8八玉△7八金▲9八玉△7六角成▲同飛△9七歩以下、下手玉が詰む。上手が序盤で突いた△8四歩が、いい働きをしている。

感想戦。渡部女流初段によると、△6五歩(途中図)の局面で、▲5五歩がイヤだったそう。これを1△同角は▲5六銀右。2△同歩は▲4五歩△同桂▲4六金で、いずれも下手に楽しみがある。しかし1の▲5六銀右のあとも△6六歩が厳しく、下手の非勢は否めない気がする。下手は▲3七金の形が最後まで祟った。最近はこの形で勝利を収めておらず、一考の余地があるかもしれない。
一局を振り返ってみて、渡部女流初段はふわっと緩める手が多く、それがいかにも上手らしいと感じた。また難しそうな局面でも短考で指し、思いっきりがいいと思った。私も頑張ったが、全体的に、渡部女流初段の掌の上で踊らされていた感じだった。やっぱりプロは、強かった。渡部女流初段の凛とした表情が印象に残った。

時刻は午前11時25分である。将棋大会は午後12時30分から受付開始なので、ちょっと早いが、昼食を摂りに出る。
田町に来たら、「小諸そば」である。例の店舗に入り、二枚もりを食した。消費税が8%になったのに値段は据え置きの300円で、うれしい限り。「ゆで太郎」などは大幅値上げをしたこともあり、ますますその感を強くした。
まだ時間があるので、旧LPSA芝浦サロンに向かってみる。その跡地は「希学園」という学習塾に変わっていて、27日開講となっていた。夏草や兵どもが夢の跡、といったところか。
芝浦サロンは途中から通わなくなったけれど、それでも思い出はいっぱいある。入口の前でしばし佇み、往時を懐かしんだ。
立ち飲みコーヒーショップに入って時間をつぶしてもよかったのだが、あたりを散歩する。
大きな建物があったので近寄ると、「田町ハイレーン」(ボウリング場)だった。しかし3月で閉館となっていた。これこそ、兵どもが夢の跡、だ。
そのままぐるっと回る感じで山手線の高架下をくぐり、もう一度高架下をくぐって、「リーブラ」に戻った。
1階ではミスター中飛車氏に会った。彼は午後からの参加のようだ。
2階の会場に入ると、参加者が登録をしているところだった。今回のトーナメントは先着32名で、棋力別にA、Bと分かれる。私はAである。藤森奈津子女流四段が、表の空いているところに私の名前を書き込んだ。
壁際では、中倉宏美女流二段、島井咲緒里女流二段、大庭美樹女流初段、中倉彰子女流初段、渡部女流初段の5人が、参加者のひとりと記念撮影を行っていた。
これは…?
(つづく)
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LPSA Minerva交流将棋大会(1)

2015-04-22 00:03:45 | LPSAイベント
19日(日)は、LPSA主催の「Minerva交流将棋大会」があった。これはLPSAが芝浦時代に時折開催していたもので、ファンクラブ会員のみが参加できる、将棋大会である。
私はこの類の大会には参加したことはないが、ちょいとLPSAの女流棋士に癒されたくなって、申し込みをしたのだった。
場所は東京・田町の「みなとパーク芝浦・リーブラ2階」。スケジュールは午前10時半から指導対局、午後1時から将棋大会となっている。
当日朝。前日は夜中の3時まで起きていたので朝が辛く、指導対局はパスしちゃおうかと思ったが、とりあえず田町に向かった。
10時20分ごろ、リーブラの対局室に入ると、会員が受付をしていた。LPSAからは、中倉宏美女流二段、藤森奈津子女流四段、島井咲緒里女流二段、大庭美樹女流初段、中倉彰子女流初段、渡部愛女流初段の参加だ。が、島井女流二段(ら)の私を見る目が、困惑気味である。招かれざる客、のごとき雰囲気だ。
それで私は察知した。これは…予約が必要だったのでは!? そう、私は指導対局の予約はしていなかったのだ。何たる勘違い、失態か。
「ごめんねー。今LPSAは、全部予約なのよー」
藤森女流四段がダメ押しする。私は一時帰宅も考えたが、LPSAはそんな非情なことはしない。ちゃんと渡部女流初段を充ててくれた。
「愛ちゃんと当たってよかったね」
と、女流棋士の誰かが言った。とてもありがたかったが、渡部女流初段との対局を所望して空振りに終わった会員もいると思えば、手放しで喜べない。
渡部女流初段は4面指しになったが、ほかの女流棋士は、整然と3面指しである。すなわち、私だけが完全なお邪魔虫だったのだ。
しかも渡部女流初段は、立って指す羽目になった。撮影係氏も撮影スペースを侵され撮影しづらそうで、私は踵を返して帰りたくなった。でも帰らなかったが。
定刻になり、島井女流二段がみなに挨拶をする。
「LPSA芝浦サロンが閉鎖になって、皆様とはお会いする機会がなくなり…本日は楽しみましょう」
かくして指導対局の開始となった。

上手 △女流初段 渡部 愛
下手 ▲一公

▲2六歩△3四歩▲7六歩△4二飛▲4八銀△6二玉▲6八玉△7二玉▲7八玉△3五歩▲2五歩△3二飛▲6六歩△3四飛▲6八銀△8二玉▲4六歩△9四歩▲9六歩△7二銀
▲4七銀△4二銀▲6七銀△6四歩▲5六銀左△3三桂▲6五歩△同歩▲同銀△1四歩▲1六歩△1三角▲6八金△5二金左▲3八金△6三金▲6六角△6四金▲同銀△同飛
▲7五角△3四飛▲7七桂△8四歩▲2四歩△同角▲5六歩△5四飛▲6七金△5一銀▲6五金(第1図)

渡部女流初段に教えていただくのは、1月17日の将棋ペンクラブ新年会以来。その前は昨年9月の将棋ペンクラブ大賞贈呈式となる。将棋ペンクラブさまさまだ。
私の居飛車明示に、渡部女流初段は△4二飛。居飛車党の渡部女流初段にしては珍しい作戦だが、渡部女流初段はもともと振り飛車党だった。アマチュア時代の渡部女流初段と初めて手合わせしたときも、彼女は飛車を振った。そしてそのときの彼女も、いまと同じくらい強かった。
先の女流名人リーグでも、渡部女流初段は中飛車に振っている。彼女の棋風は振り飛車が合っていると思うので、原点回帰を私は支持する。
渡部女流初段は三間に振り直し、私は▲6六歩。△6四歩なら▲5六銀左(右)~▲6五歩から1歩を手にする狙いで、私の得意戦法である。本譜も実際、そうなった。
スーツ姿の渡部女流初段は短考で静かに指し、プロの雰囲気が板についてきた。
私は▲7七桂と上がる前に、▲6六角と上がる。渡部女流初段は△6四金とぶつけてきた。私はもちろん▲同銀だが、この交換は下手もまずまずのはずだ。
渡部女流初段は△5一銀。飛車が5筋からいなくなれば角が成れる。やや抵抗はあったが、▲6五金と打ってみた。

△3六歩▲5四金△3七歩成▲同金△5四歩(第2図)

飛車取りに構わず、渡部女流初段は平然と△3六歩。ここは△7四銀を読んでいて、▲5四金△7五銀の取り合いは、金の処置に困る下手が悪い。よって▲7四同金となるが、△同歩は下手の手損で面白くない。△3六歩は意外だった。
もし上手が植山悦行七段だったら私も▲3六同歩と取り、「くわっ、落ち着いてますねえ」と軽口の一言も頂戴しただろうが、相手が変われば指し手も変わる。▲3六同歩として飛車を逃げられたら後悔すると思い、先に飛車を取った。
△5四歩に、私が指した手は。

(24日につづく)
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勝負師の彼女じゃ…イヤですか?Vol.3(後編)

2014-09-16 00:29:59 | LPSAイベント
先手・島井女流二段&涼崎プロ&ブルー連合軍
後手・宏美女流二段&万波三段&ピンク連合軍

▲7六歩△8四歩▲7八金△3四歩▲6九玉△8五歩▲6六歩△8六歩▲同歩△同飛▲7七金△8五飛▲8六歩△8二飛▲7八銀△6二銀▲2六歩△3五歩▲2五歩△3二銀
▲2四歩△同歩▲同飛△3三角▲2二歩△2四角▲2一歩成△同銀▲6七金△3二銀▲6五歩△8六飛▲1一角成△8七歩▲7七馬△8八歩成▲8六馬△7九飛▲5八玉△7八と
▲5九金△3六歩▲6八金引△同と▲同馬△8九飛成▲3四香△6六桂▲6七玉△5四歩▲3二香成△同金▲2一飛△4二玉▲2四飛成(図)△8七竜▲7七銀△7八銀▲6六玉△5五金
▲7五玉△7四香
まで、62手で宏美女流二段&万波三段&ピンク連合軍の勝ち。

私の△8六歩に、涼崎いづみプロは▲7七金と指そうとした。さすがにこれは周りが止めて、△8七歩成とされたときの被害の大きさを、中倉宏美女流二段と島井咲緒里女流二段が説明した。
当然の▲8六同歩も、超初心者には当然ではないのだ。いやこれは勉強になった。
△8六同飛に▲7七金が、横歩を取らせない手。局面は若干違うが、この1か月後に指された名人戦七番勝負第1局にもこの手が出てきて、私は唸ったものだった。
ちなみに名人戦では、羽生善治挑戦者はここで△8七歩と指したが、万波奈穂三段は△8五飛。なかなか個性的な手である。
客は番号順に当てられていき、当たった人は絶対に指さなければならない。しかし指し手の見当がつかない人もいて、ふつうに将棋が指せるのは、それだけで将棋が「強い」のだと認識した。
局面。△3三角の飛車取りに、別のお客が▲2二歩! ふつうなら「待った」だが、それをやっていたら将棋が終わらないので、そのまま進める。後手は飛車をありがたくいただいて、早くも勝勢になった。
しかし34手目△8七歩の応手は重要なところ。ここで島井女流二段がたまらず名乗り出て、▲7七馬と引いた。これに△8二飛なら、▲8六香が厳しく、先手が盛り返せる。
そこで、対抗で宏美女流二段が名乗り出て、△8八歩成とした。なるほどこの攻め合いがいい手か。私は全然分からなかった。
改めて、▲7七馬と△8八歩成。この2手の応酬は、さすがプロと唸らされた。
39手目▲5八玉で、再び私の番になった。「ああ…」と宏美女流二段の声。ここで大沢さんの手なら安心です、の意味だったろう。私は△7八とと銀を取った(正確には、指し手を発した)。ここで△7八飛成は、8八のと金が活用できず、面白くない。
先手も▲3四香から反撃し、▲2一飛の王手。ここで宏美女流二段が、強く△4二玉と上がる。合駒を使わなかったのは、先手玉に寄りがあると見越していたからだ。
先手は予定通り▲2四飛成(図)。しかし島井女流二段も、この局面は自信があるように見えた。
ここでミスター中飛車氏の番になり、氏は△8七竜と引く。宏美女流二段も納得の一手だったが、ここでは△7八銀とベッタリ打つ手があった。以下▲同馬は△同竜▲6六玉△7七角▲7五玉△7四金まで、綺麗に詰む。本譜の△8七竜でもいいが、若干紛れが生じている。
しかし実戦は単に▲6六玉だったので、△5五金▲7五玉とし、あと一手で詰みの局面となった。
ここで万波三段がこわごわと△7四香と指し、熱戦?に終止符が打たれた。
棋力がごちゃまぜの、ゴールが分からない展開だったが、終わってみれば妙な名局だったと思う。これも二人の女流棋士のリードのおかげだった。
でもこういう対局は楽しい。また体験してみたいと思った。

以下、再びトークとなる。万波三段は、精神的に疲れているときは、逆にいい囲碁が打てると言った。これは私もそうで、日常生活が満足していないときほど、いい将棋が指せる。いわゆる現実逃避で、別世界に没入してしまうのが大きい。
宏美女流二段と島井女流二段は、「二人の女勝負師」の話。これは4月から公開される映画で、LPSAが制作に協力しているのだ。宏美女流二段も友情出演しているという。
私の左にひっそりと座っていたおじさんが紹介されたが、彼が監督の池田眞也氏だった。あまり存在感がないので、分からなかった。
LPSAは3月23日(日)に、府中で「武蔵府中の国けやきカップ」が行うが、その前日と前々日に先行上映されるという。
その前売り券も1,000円で売られた。これを宏美女流二段直々に手売りされたらヤバかったが、その場限りで収まったので、買わないでおく。なお「二人の勝負師」は現在も公開中で、きのう9月15日は、大阪の映画館で上映された。
ここまで予定が滞りなく進み、最後はお楽しみの抽選会となった。賞品は4人の私物などだ。
私は1枚の抽選券にすべてを賭ける。しかし、ダメだった。中には2回当たったお客さんもいたが、これはどういう運の配分なのだろう。
これにてイベントは終了。今回も面白かった。基本はトークショーゆえマンネリ化は避けられないが、Vol.4も期待している。
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勝負師の彼女じゃ…イヤですか?Vol.3(前編)

2014-09-15 12:11:15 | LPSAイベント
古い話になるが、今年3月6日(水)に、南阿佐ヶ谷ロフトAで行われた「勝負師の彼女じゃ…イヤですか?vol.3」の模様を振り返ってみたい。
改めて説明するまでもないが、このイベントは、将棋の中倉宏美女流二段、島井咲緒里女流二段、囲碁の万波奈穂三段、麻雀の涼崎いづみプロが、この場でしか話せないぶっちゃけトークを繰り広げるというものである。回を重ねて今回が3回目。私は2012年10月に行われたvol.1にお邪魔したが、4人がハジケすぎて、とても面白かった。今回はどうなるか。

午後7時半開演だったが、私はその30分くらい前に入店した。予約はしていなかったので2,000円を払うと(予約は1,800円)、整理券をくれた。ピンクの紙で、「3」と書いてある。よく分からぬが、ずいぶん小さい数字である。いま現在、これしか客が入っていないのか?
地下1階のフロアに入ると、果たしてあまり人はいなかった。Vol.1にお邪魔したときは、100人は入るであろうフロアが満杯になった。私が早く来すぎたのだろうか。
定刻になり、主役の4人がお好みの音楽に乗って登場した。宏美女流二段と万波三段は黒系、島井女流二段と涼崎プロは白系の服を召していた。4人はステージに腰を下ろし、好みのお酒を頼んだ。
私はドリンクを頼んでいる。これは必須である。今回はイベントの終わりに、4人からのプレゼント抽選会があるのだが、それに参戦するには、飲食の注文を2つ以上しなければならない。それで抽選券を1枚もらえるのだ。以下、1品追加するごとに1枚増えていく。私は1枚もらえれば十分である。
イベントが始まった。司会進行はもちろん島井女流二段である。最近はLPSA芝浦サロンに行っていないので、生宏美と生島井を拝むのは久しぶりだ。
まず、万波三段が昨年秋に昇段したので、祝福された。さらに宏美女流二段がLPSAの代表理事になったので、激励の拍手が送られた。つまりこの日は宏美女流二段が代表理事に就任後、事務所以外で初めて公の席に姿を現した日でもあった。
沖縄好きの万波三段は4月にも沖縄に行くらしく、私は彼女を羨ましく思った。そしてこのときは私自身も、8月に沖縄に行くつもりだったのだが…。
こうしている間にも徐々に客が入り、右手の奥にはミスター中飛車氏がいた。そして私の右に若者が座った。彼はLPSA駒込サロンの準常連で、信濃合宿にも参加したことがある、Kub氏だった。かなり久しぶりだが、私から声は掛けない。私はヒトとの会話は苦手なのである。
さらにしばらく経つと、私の前に客が座った。彼もLPSAのイベントなどで何度か見かけたことがあるが、話をしたことはない。
トークは続くが、今回はリレー将棋対局が目玉で、私たちもそれに参加できる。フロアみんなで参加できる競技となると、将棋しかないのだ。ちなみに入店時に渡された紙片は、このときの指し手の順番とチーム分けを表していた。色はピンクとブルーだった。
と、
「これはこれは大沢さんじゃないですか」
とKub氏が声を掛けてきた。バレたか。まあ、隣にいるんだから、分かるわな。
さて、リレー対局である。PCの将棋盤が前方のスクリーンに映された。ちなみに万波三段は将棋が最後まで指せる棋力。涼崎プロは駒の動きが分かる程度だ。
先手・島井女流二段&涼崎プロ&ブルー連合軍、後手・宏美女流二段&万波三段&ピンク連合軍で対局が始まった。

▲7六歩△8四歩▲7八金△3四歩▲6九玉△8五歩▲6六歩△8六歩

▲6六歩まで進んで、私の番号が呼ばれた。宏美女流二段が私を見て、軽く反応する。
私は△8六歩。飛車先の歩を切りにいって、ここはこの一手である。対して涼崎プロの応手が衝撃的だった。
(つづく)
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