(22日のつづき)
第2図以下の指し手。
▲3五歩△同角▲2三飛成△4四角▲6六歩△6五歩(途中図)▲同桂△7四銀▲5五歩△7五銀▲同歩△6四歩▲5三桂成△同角▲3三竜△6五歩▲7六銀△6三桂▲5四歩△4四角▲4三竜△6六角▲同金△同歩▲6四角(第3図)
局面は飛車銀交換で私の駒得。▲3七金が遊び気味なのが不満だが、ここで先手を握り、指せる形勢だと思っていた。
まず▲5三角成を考えたが、馬は作れるものの、一手の価値がないと思った。角の利きがなくなると、△6六歩▲同金△5七銀も気になるところである。
一方、後手の狙いは△4五桂である。これを▲同歩は、△7九金▲8八玉△7八銀で、下手も気持ちの悪いところがある。
そこで角筋を止めるべく、中空に▲3五歩と打った。
これは1979年2月26日に指された第37期名人挑戦者決定リーグ・▲米長邦雄八段対△大山康晴十五世名人との将棋で、米長八段が113手目に▲3五歩と打った手を参考にした。
本譜、これを△同角は▲2三飛成がある。渡部愛女流初段はどう指すのかと注目していると、アッサリ△同角と取ったので、拍子抜けした。
しかし▲2三飛成△4四角と進むと、後手の角が好位置にきている。
次に△6六歩があるので私は▲6六歩と謝るが、渡部女流初段は△6五歩とこじ開けてきた。
これを▲同歩は、やはり△6六歩以下バリバリ攻められてもたない。私は▲6五同桂だが、△7四銀以下角を取られては、下手の非勢がはっきりしてきた。
それでも本譜は角を取り、▲6四角と据えたところでは盛り返したと思ったのだが…。
△9二玉▲9五歩△4九角▲5八桂△5七歩▲9四歩△5八歩成(投了図)
まで、88手で渡部女流初段の勝ち。
△9二玉が習いある好手。この早逃げで、負けを悟った。一応▲5三歩成を考えたが、▲6三と~▲7二とじゃあまりにも遅い。それで、端玉には端歩の格言通り▲9五歩と突いたが、やはり△4九角が飛んできた。
▲5八歩は二歩で打てないので▲5八桂だが、これでは▲7四桂の楽しみがなくなり、もう下手ダメである。
△5八歩成で投了。渡部女流初段は「エッ!?」と驚いてくれたが、攻防ともに見込みはない。
例えば▲9六飛は詰めろだが、△6八と▲8八玉△7八金▲9八玉△7六角成▲同飛△9七歩以下、下手玉が詰む。上手が序盤で突いた△8四歩が、いい働きをしている。
感想戦。渡部女流初段によると、△6五歩(途中図)の局面で、▲5五歩がイヤだったそう。これを1△同角は▲5六銀右。2△同歩は▲4五歩△同桂▲4六金で、いずれも下手に楽しみがある。しかし1の▲5六銀右のあとも△6六歩が厳しく、下手の非勢は否めない気がする。下手は▲3七金の形が最後まで祟った。最近はこの形で勝利を収めておらず、一考の余地があるかもしれない。
一局を振り返ってみて、渡部女流初段はふわっと緩める手が多く、それがいかにも上手らしいと感じた。また難しそうな局面でも短考で指し、思いっきりがいいと思った。私も頑張ったが、全体的に、渡部女流初段の掌の上で踊らされていた感じだった。やっぱりプロは、強かった。渡部女流初段の凛とした表情が印象に残った。
時刻は午前11時25分である。将棋大会は午後12時30分から受付開始なので、ちょっと早いが、昼食を摂りに出る。
田町に来たら、「小諸そば」である。例の店舗に入り、二枚もりを食した。消費税が8%になったのに値段は据え置きの300円で、うれしい限り。「ゆで太郎」などは大幅値上げをしたこともあり、ますますその感を強くした。
まだ時間があるので、旧LPSA芝浦サロンに向かってみる。その跡地は「希学園」という学習塾に変わっていて、27日開講となっていた。夏草や兵どもが夢の跡、といったところか。
芝浦サロンは途中から通わなくなったけれど、それでも思い出はいっぱいある。入口の前でしばし佇み、往時を懐かしんだ。
立ち飲みコーヒーショップに入って時間をつぶしてもよかったのだが、あたりを散歩する。
大きな建物があったので近寄ると、「田町ハイレーン」(ボウリング場)だった。しかし3月で閉館となっていた。これこそ、兵どもが夢の跡、だ。
そのままぐるっと回る感じで山手線の高架下をくぐり、もう一度高架下をくぐって、「リーブラ」に戻った。
1階ではミスター中飛車氏に会った。彼は午後からの参加のようだ。
2階の会場に入ると、参加者が登録をしているところだった。今回のトーナメントは先着32名で、棋力別にA、Bと分かれる。私はAである。藤森奈津子女流四段が、表の空いているところに私の名前を書き込んだ。
壁際では、中倉宏美女流二段、島井咲緒里女流二段、大庭美樹女流初段、中倉彰子女流初段、渡部女流初段の5人が、参加者のひとりと記念撮影を行っていた。
これは…?
(つづく)
第2図以下の指し手。
▲3五歩△同角▲2三飛成△4四角▲6六歩△6五歩(途中図)▲同桂△7四銀▲5五歩△7五銀▲同歩△6四歩▲5三桂成△同角▲3三竜△6五歩▲7六銀△6三桂▲5四歩△4四角▲4三竜△6六角▲同金△同歩▲6四角(第3図)
局面は飛車銀交換で私の駒得。▲3七金が遊び気味なのが不満だが、ここで先手を握り、指せる形勢だと思っていた。
まず▲5三角成を考えたが、馬は作れるものの、一手の価値がないと思った。角の利きがなくなると、△6六歩▲同金△5七銀も気になるところである。
一方、後手の狙いは△4五桂である。これを▲同歩は、△7九金▲8八玉△7八銀で、下手も気持ちの悪いところがある。
そこで角筋を止めるべく、中空に▲3五歩と打った。
これは1979年2月26日に指された第37期名人挑戦者決定リーグ・▲米長邦雄八段対△大山康晴十五世名人との将棋で、米長八段が113手目に▲3五歩と打った手を参考にした。
本譜、これを△同角は▲2三飛成がある。渡部愛女流初段はどう指すのかと注目していると、アッサリ△同角と取ったので、拍子抜けした。
しかし▲2三飛成△4四角と進むと、後手の角が好位置にきている。
次に△6六歩があるので私は▲6六歩と謝るが、渡部女流初段は△6五歩とこじ開けてきた。
これを▲同歩は、やはり△6六歩以下バリバリ攻められてもたない。私は▲6五同桂だが、△7四銀以下角を取られては、下手の非勢がはっきりしてきた。
それでも本譜は角を取り、▲6四角と据えたところでは盛り返したと思ったのだが…。
△9二玉▲9五歩△4九角▲5八桂△5七歩▲9四歩△5八歩成(投了図)
まで、88手で渡部女流初段の勝ち。
△9二玉が習いある好手。この早逃げで、負けを悟った。一応▲5三歩成を考えたが、▲6三と~▲7二とじゃあまりにも遅い。それで、端玉には端歩の格言通り▲9五歩と突いたが、やはり△4九角が飛んできた。
▲5八歩は二歩で打てないので▲5八桂だが、これでは▲7四桂の楽しみがなくなり、もう下手ダメである。
△5八歩成で投了。渡部女流初段は「エッ!?」と驚いてくれたが、攻防ともに見込みはない。
例えば▲9六飛は詰めろだが、△6八と▲8八玉△7八金▲9八玉△7六角成▲同飛△9七歩以下、下手玉が詰む。上手が序盤で突いた△8四歩が、いい働きをしている。
感想戦。渡部女流初段によると、△6五歩(途中図)の局面で、▲5五歩がイヤだったそう。これを1△同角は▲5六銀右。2△同歩は▲4五歩△同桂▲4六金で、いずれも下手に楽しみがある。しかし1の▲5六銀右のあとも△6六歩が厳しく、下手の非勢は否めない気がする。下手は▲3七金の形が最後まで祟った。最近はこの形で勝利を収めておらず、一考の余地があるかもしれない。
一局を振り返ってみて、渡部女流初段はふわっと緩める手が多く、それがいかにも上手らしいと感じた。また難しそうな局面でも短考で指し、思いっきりがいいと思った。私も頑張ったが、全体的に、渡部女流初段の掌の上で踊らされていた感じだった。やっぱりプロは、強かった。渡部女流初段の凛とした表情が印象に残った。
時刻は午前11時25分である。将棋大会は午後12時30分から受付開始なので、ちょっと早いが、昼食を摂りに出る。
田町に来たら、「小諸そば」である。例の店舗に入り、二枚もりを食した。消費税が8%になったのに値段は据え置きの300円で、うれしい限り。「ゆで太郎」などは大幅値上げをしたこともあり、ますますその感を強くした。
まだ時間があるので、旧LPSA芝浦サロンに向かってみる。その跡地は「希学園」という学習塾に変わっていて、27日開講となっていた。夏草や兵どもが夢の跡、といったところか。
芝浦サロンは途中から通わなくなったけれど、それでも思い出はいっぱいある。入口の前でしばし佇み、往時を懐かしんだ。
立ち飲みコーヒーショップに入って時間をつぶしてもよかったのだが、あたりを散歩する。
大きな建物があったので近寄ると、「田町ハイレーン」(ボウリング場)だった。しかし3月で閉館となっていた。これこそ、兵どもが夢の跡、だ。
そのままぐるっと回る感じで山手線の高架下をくぐり、もう一度高架下をくぐって、「リーブラ」に戻った。
1階ではミスター中飛車氏に会った。彼は午後からの参加のようだ。
2階の会場に入ると、参加者が登録をしているところだった。今回のトーナメントは先着32名で、棋力別にA、Bと分かれる。私はAである。藤森奈津子女流四段が、表の空いているところに私の名前を書き込んだ。
壁際では、中倉宏美女流二段、島井咲緒里女流二段、大庭美樹女流初段、中倉彰子女流初段、渡部女流初段の5人が、参加者のひとりと記念撮影を行っていた。
これは…?
(つづく)
ご指摘の△7四銀は▲同金△同歩▲8四角で上手がつまらないとの読みなのでしょう。
いずれ2四の角が下手の駒になりそうな将棋なので、
コビンが空くのを嫌った可能性もあります。
第2図の局面を見た私の所感ですが、
上手持ちでした。
何故なら、あまりにも下手の玉形が薄いのと
右側の金銀の働きが悪いからです。
特に3七の金が・・・
仮に3七の金が6八にでもいたら、間違いなく下手優勢ですが(笑)。
現局面は、7五の角がいなくなった場合の△6六歩が
かなりの致命傷で、それが入ったら下手が勝てない将棋だと思いました。
△4五桂の筋がより厳しくなります。
上手は第1図直前の△5一銀が何気ないようで
すごくいい手だと思います。
△5一銀の1手で飛車にかなり強い形になりました。
それゆえに▲2三飛成が厳しい手にならず
▲3五歩も不発でした。
▲3五歩では、私ならじっと▲5八銀と指したいです。
受けながら上手に手を渡して、無理攻めさせたい感じです。
遊んでる右側の金銀が働けば、
駒得が生きる展開になりやすいという感覚です。
金1枚でしか守ってない玉形では
私は怖くて攻めれません。
何気に△4五桂には▲4七金を用意してるので
上手を焦らす手にはなってると思います。
▲5八銀に上手が何を指すのかよく解りませんが
下手が次に指したい手は当然▲4七金です。
▲5八銀なら、むしろ下手持ちに思えてきますがどうなんでしょうね?
▲3五歩は筋にほれて、あまりいい手ではありませんでした。
Tさんご指摘の▲5八銀は、本文には書きませんでしたが、私も有力だと思いました。というか、盤上この一手に思えました。
焦って攻めずに自陣を引き締める。この呼吸が見に付くと、ぐっと勝率が上がるような気がします。
本局は勉強になりました。