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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

4月17日の大野教室(前編)

2021-04-27 00:09:54 | 新・大野教室
17日(土)は久しぶりに、昼から大野教室に行った。大野八一雄七段の指導対局付きで、1回5,000円である。ただし前述したように、土日教室と金曜教室、すべてに行ける1ヶ月パスポートだと月12,000円で済む。真性の将棋好きはこちらを選ぶのがいいだろう。
午後1時22分、教室の前に行くと、Taga氏が息抜きに出てきたところだった。だが、大野七段が来ていないという。
入室すると、W氏に加藤圭女流二段などいつものメンバーがいたが、確かに大野七段がいない。W氏が言うには、大野七段がご母堂と連絡が取れないので、大野七段が心配して、自宅に向かっているという。
W氏は加藤女流二段を臨時の指導対局者に据え急場をしのぐふうだったが、私は大野七段に教えを乞いに来たのだ。
とりあえず私は、Shin氏の将棋を観戦する。
「アレッ? 大沢さん、ちょっと太りました?」
とShin氏。
「そ、そりゃそうだよ、全然運動してないんだもん」
あらためてそう指摘されるとは、よほど私が太ったということだ。
さてShin氏の対局も終わったので、帰ることにした。今日は縁がなかった。
だが川口駅構内に入ったところで、私のスマホに電話が来た。大野七段からだった。
「いなくてどうもすみません。でも、母の無事が分かりましから、すぐそちらへ行きます。大沢さんも来てください」
W氏から私のことを聞いたのだろうか。
「はあ、じゃあ、またの機会に」
「いやいま戻ってきてくださいよ」
私が改札を抜けていたらこのままご帰宅だったが、すんでのところで引き返した。
1時48分、再び入り直すと、加藤女流二段が5面指しをやっていた。私は席料を払い、空いていたShin氏と指す。
「前回は連敗しちゃったから」
とShin氏。正確な勝敗は把握していないが、お互い直近の勝ち負けを気にしているのが面白い。
振駒で私の後手になり、▲7六歩△3四歩▲2六歩。ここで1分くらい少考し、△5四歩。ゴキゲン中飛車で行くことにした。だが▲2五歩△5二飛▲4八銀に、△3三角がどうだったか。▲3三同角成△同桂として先手に何か手がある気もしたが、Shin氏は▲6八玉。私は△5五歩として通常の進行に戻ったが、私もこんな雑な指し方をしているようではダメである。
そのあと、私が△6五歩として決戦を目論んだ手に対し、Shin氏が▲7七銀と引いたのが冷静な手だった。私は振り上げた拳の持っていき場がなくなってしまった。
さらに△3三角・△3二金・△4二銀、▲3六飛・▲3七桂の局面で、次の▲4五桂を防いで私が△3一銀(第1図)と引いたのが情けない手。これでは勝ち目がなく、若干戦意を喪失した。

第1図以下の指し手。▲9七角△6二金▲2四歩△同歩▲4五桂△4二角▲3二飛成△9七角成▲6二竜△4二馬▲6三金(投了図)
まで、Shin氏の勝ち。

Shin氏の▲9七角が好手。▲4五桂ハネで5三の地点も狙われるので私は△6二金と立ったが、いかにも危なっかしい。
Shin氏は2筋の歩を突き捨て、▲4五桂。ただこれは読み筋で、私は△4二角。▲同角成なら△同金で耐えるつもりだ。
ところがShin氏に▲3二飛成とされ、飛び上がった。
これを△同銀は▲4二角成だ。私はとっさに△9七角成としたが、Shin氏はそれを横目に▲6二竜。先の△6二金を綺麗に咎められた。
△4二馬にも▲6三金。そこで△6一角と打っても▲7一金で受けなし。私は無念の投了となった。

前回の三間飛車では快勝したが、完全に借りを返されてしまった。感想戦らしきものはやったが、ほとんど私のボヤキだった。
2局目はいつもの少年と指す。私の飛車落ちである。対局が開始されたが、いつもの定跡形になり、面白くない。そこで私が少し突っ張り、それが通って、互角以上の形勢になった。ハッキリ書くが、心身ともに健康な私だったら、この局面は必勝である。
だが最近の私は、そこから変調となる。

第1図は少年が▲5七同金と成桂を払ったところだが、よく見ると△6四馬が取られる。そこで△4二馬と引いたら、▲5四桂と、王手馬取りを掛けられてしまった。見落としに気付いて回避したら、またも見落としをやらかすとは……。今日はうっかりが多いが、これが本来の実力なのか、それとも精神的な問題なのか……。

進んで第2図は△7七金▲5八玉の局面。上手が寄せきれるかどうかというところだが、ここで△6六桂と打ったのがおかしかった。以下▲4八玉△5七桂成▲同玉△4七金▲6六玉となったが、これなら初手に△5七桂成としても同じで、本譜は桂をまるまる損してしまった。これが痛く、桂が駒台にあれば、だいぶ事情が違っていた。
戻って△7七金と形を決めたのもおかしかったかもしれない。

以下は少年がうまく指し、またも私が負けた。だが彼には飛車落ちでも、まだ誤魔化せる。
ここで3時休みである。加藤女流二段はここまで全勝で、ゴキゲンである。私は加藤女流二段に教えてもらうべきだったのかどうか、微妙だ。

Shin氏とは藤井聡太二冠の件で、話題が弾む。とにかく藤井二冠の成績がすごすぎて、並の賛辞では合わない感じだ。
3時休みが終わり、私はTaga氏と指す。例によってTaga氏が角道を止めない四間飛車。だから私が角道を止め、天守閣美濃に構えた。
将棋は完全な持久戦から攻め合いになったが、二枚飛車を擁したTaga氏のほうがよい。

だが第1図でTaga氏が▲5二ととやったのがまずかった。以下△4七と▲同銀△同金▲4一と△3八金打▲1八玉△3七金寄まで、私の勝ち。
戻って第1図では▲5二竜とすべきだった。次に▲3一竜があるので私は△4二金打とするしかないが、▲5四竜くらいでTaga氏が優勢だった。
本局のような将棋を見ていると、どちらも勝利をイヤイヤしている感じだ。
「また大沢さん、天守閣美濃をやりましたね」
とTaga氏。
「そうだった?」
同じ相手に同じ戦法を指すとは、私も芸がなかった。次は別の作戦で行こう。
(つづく)
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4月4日の4時から男(後編)

2021-04-18 00:18:14 | 新・大野教室
続いてはShin氏と対局である。
「最近Shinさんに全然勝っていない気がする」
「気のせいでしょう」
「……」
という会話のあとShin氏が駒を振り、と金が5枚でて、私が先手になった。
▲7六歩△3四歩に▲7八飛。さっきの大野八一雄七段の将棋を見て、私も飛車を振りたくなったのだ。対してShin氏の作戦は左美濃だった。

△3三角・△5三銀の形になったので(第1図)、私は▲4五歩。△同歩は角銀両取りなのでShin氏は△2二角と引いたが、▲4四歩△同銀▲4五歩△5三銀▲4六銀(第2図)で、4五の位がとてつもなく大きく、作戦勝ちしたと思った。

よってShin氏の△5三銀では、強く△4五同銀もあったと思う。▲同桂に△4四歩で銀桂交換の駒損になるが、4五の位は拒否できる。
第2図以下は△3三角▲2六歩△7四歩▲5八飛△9四歩に▲5五歩△同歩▲6五歩(第3図)と進み、これは互角以上の戦果が見込めると思った。

以下、私の攻めが一段落すると、私の金得になっていた。ここから安全運転にスイッチし、以降はShin氏の攻めを丁寧に受け、快勝した。
しかし実戦心理は恐ろしい。Shin氏の攻めはもう切れているのに、何かあったら困ると、私はいつも以上に慎重になってしまった。
投了後、Shin氏はあまりの拙局に「感想戦のやりようがない」とつぶやいた。「今日は大野先生に左美濃を指されたんですが、その指し方が素晴らしくて自分も指してみる気になったんですが、うまく行きませんでした」。
私が見たときは大野七段が飛車を振っていたので、Shin氏は2局指導を受けたのかもしれない。
Shin氏はだいぶ消化不良になったようで、再戦となった。ただし時間も押しているので、持ち時間5分である。
今度も私の先手で、▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩。私は横歩取りを指す気はないので、ここで▲6六歩と屈服した。
以下私は矢倉模様、Shin氏は雁木に構える。

第1図以下の指し手。▲1六角△2四角▲5七金寄△1四歩▲3八角△5四歩▲同歩△4五歩(第2図)

第1図に至る途中、△5四銀に▲5五歩と突きだす手が利いた。これを△同銀は▲5六歩で銀が死ぬ。よってShin氏は銀を引いたが、私は▲5六銀と立って指しやすさを感じた。
さて第1図から私の▲1六角は好点で、次に▲3五歩の桂頭攻めがある。対して△2四角がいい辛抱だった。▲5七金寄△1四歩に私は▲3八角と退却し、どちらの角が働くかという展開になった。

第2図以下の指し手。▲2四飛△同歩▲5三歩成△同金▲6二角△5二銀▲7三角成△3九飛▲4七角△4六歩▲5八角△2九飛成(第3図)

第2図の△4五歩に▲同歩は、△5四銀▲5五歩△4五銀と進出されて面白くない。そこで若干無理を承知で、▲2四飛から攻めていった。先の「△5四歩▲同歩」を咎める意図である。
だがShin氏の△3九飛も厳しく、△2九飛成までの局面は、駒の損得がなくなったため、竜と馬の差で、私が不利になったと思った。

そこから数十手進み、第4図は▲4九桂と辛抱した局面。

第4図以下の指し手。△3八銀▲4八金△1八竜▲4二銀△同金▲同歩成△同玉▲5四歩△6三金▲4三歩△同銀▲4四歩△3二銀▲4三金△同銀▲同歩成△同玉▲4四歩△3二玉▲3四角(第5図)

▲4九桂では▲4二銀から清算して▲4九歩と打ちたかったが、4筋の歩は敵陣に打ちたい。それで、泣く泣く桂を打った。
Shin氏は△3八銀と打つ。▲4八金には△1八竜。しかしここでは△3九竜と回られるのがイヤだった。この金取りが存外受けづらい。△1八竜は、竜が銀の陰に隠れてよくなかったのではないか。
私は▲4二銀から清算して▲5四歩。これが痛打で、△4三金は▲4四歩で金が死ぬ。よってShin氏は△6三金とよろけるが、私は▲4三歩から気持ちよく攻めを続け、▲3四角と飛び出した。遊び気味だった角がここまで進出したのだから、負けても本望だと思った。

第5図以下の指し手。△4九銀成▲4三歩成△2二玉▲4四銀△8七銀▲6七玉△2七竜▲4七歩△5五桂▲5七玉△5六歩▲同角(投了図)
まで、一公の勝ち。

第5図では△4二歩と我慢するかと思った。だがそれは▲2三銀△4一玉▲4三歩成で負けと見たか。先手は▲9五馬が、地味に敵陣に利いている。
そこでShin氏は△4九銀成としたが、私は▲4三歩成から▲4四銀と迫る。▲4四銀では▲2三銀△1三玉▲3三ともあるが、銀は手持ちにしておきたかった。
しかし△8七銀から△2七竜も厳しく、負けにしたかと思った。
△5五桂には▲5七玉と寄る。ここ手拍子で▲5六玉は、△3六竜から角を抜かれて負ける。
最後は▲5六同角までShin氏が投了した。投了以下は、△3二歩と受けても▲2三銀△1三玉▲3三とが詰めろで一手一手。投了もやむなしだろう。

感想戦では、第4図から△4三銀(参考図)と歩を払うのが最善とされた、本譜を見れば、この▲4三歩が貴重な存在だったわけで、それを除去するのが簡明だったというわけだ。

私は精神的にも肉体的にもズタズタだが、公私ともに順風満帆のShin氏に連勝できたのは自信になった。
本日の教室はここまで。表へ出ると、雨が降っていた。今日は雨の予報だったが傘を用意してこなかったので、大野教室から借りる。骨が折れているもので、大野七段は返却不要というが、そうもいくまい。これを返却すべく、また教室に来るのだろう。
食事は、駅前のインドカレー屋へ行った。参加者は大野七段、W氏、U君、私の4人。それぞれセットメニューを頼んだ。私だけ、オレンジジュースを付けた。
食後、軽くおしゃべりをする。景気のいい話が出ないが、私は自業自得とはいえ、ひときわ深刻だ。その欲求不満を少しでも軽減すべく、大野七段らは教室に誘ってくれるが、余計虚しさが増すということもある。
会計は790円だった。ずいぶん安いと思ったが、4月からの内税表示において、店側が掲示金額を変えなかったため、消費税分がサービスになったようだ。
次回の大野教室は9日(金)。W氏は、差額料金を払えば1ヶ月パスポートに代えてくれるというが、求職中の身でそうそう将棋も指せまい。いろいろ大変である。
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4月4日の4時から男(前編)

2021-04-17 00:08:32 | 新・大野教室
大野教室の4月は1ヶ月パスポート(土日教室4回、金曜教室2回で12,000円)を買おうと思ったのだが、第1土曜日の3日は外に出なかったので、また買いそびれてしまった。
翌4日(日)は散歩も兼ね、午後3時すぎに大野教室に向かった。
3時40分ごろ大野教室に入ると、大人数である。前日は大人3人、子供3人の報告があったが、日曜日はなぜか人気がある。
私は2,000円を払う。指導対局のない、いわゆる「4時から男」だが、1ヶ月パスポートなら、1回あたり2,000円になるうえ、毎回大野八一雄七段の指導を受けられる。ただ、月に6回は多すぎる。
室内はみんな対局中で、私はしばし待たされた。
やっと対局がついたが、前回も指した少年だった。私の飛車落ちである。
序盤はいつもの定跡になったが、少年の▲4五歩△同歩▲同桂に、私は3三の駒を持って△7七桂成?とした。何と、△3三桂を角と勘違いしたのだ。
私は待ったをし対局をそのまま続けたが、お粗末なことをやったものだ。
将棋は例によって私が馬を作り桂を成り、駒得が約束されたのだが、少年も飛車を8九に回り、着々と反撃の機会を伺っている。
第1図は私が△4六成桂と銀を取ったところだが、これが敗着。以下の攻めが厳しかった。

第1図以下の指し手。▲8三歩成△同歩▲8一角△同玉▲8三飛成△8二歩▲6三竜△8六桂▲8七玉△7二銀▲7三桂△9二玉▲7二竜(投了図)
まで、少年の勝ち。

▲8三歩成から▲8一角が好手。前局の変化でも出てきた攻め筋である。これを△6二玉は▲8三飛成で望みがないので私は△同玉と取ったが、▲8三飛成で敗勢になった。
しかものちの△7二銀に▲5三竜と読んでいたのだからおめでたい。▲7三桂と打たれて終わった。

感想戦では、第1図の前に△4六成桂としたいのを堪えて、じっと△6二銀(参考図)が最善とされた。

前局は私のポカで負けたが、本局は本当に実力負け。こうやって駒落ち対局はどんどん差を縮められていくのだろう。
ここでしばし間が空く。W氏は買物に出掛けていたが、その間にほかの将棋が次々と終わり、みんなが手持無沙汰になってしまった。
W氏が帰ってきて、絶妙の捌きで手合いを付けていく。そして私は、男性氏と対局となった。彼とは2局目だ。振駒で私の後手になり、▲7六歩△3四歩▲6八飛。Taga氏得意の戦法で、このあと角換わりから逆棒銀に来る狙いだろう。だが△4四歩と角交換を拒絶するのも軟弱なので、そのまま駒組を進める。と、やはり▲2二角成とされた。
ここから不本意な展開になったが形勢自体は互角で、その後私が桂得してと金を作ったあたりは、むしろ指しやすくなったと思った。
ただ男性氏の6筋からの反撃も厳しく、この折衝で男性氏が優勢になったようである。
だが私のイヤミな攻めに男性氏が受けを間違えたようで、私にも勝機が出てきた。
第1図は▲3一馬と飛車を取り、△同玉▲6一飛△4一歩に▲4四歩と叩かれた局面。

第1図以下の指し手。△2六桂▲4八金寄△3八銀打▲同金△3九角(投了図)
まで、一公の勝ち。

第1図で△4四同金は▲5三角で負け。一方自玉は▲3二銀に△2二玉▲3一角△1二玉で
まだギリギリ詰まない。そこで△2六桂と反撃した。これに▲同銀は△3八竜なので男性氏は▲4八金寄としたが、私は△3八銀打。しかし▲同金と取られて後手玉の詰みが見えないので、慌てた。このとき私の残り時間は1分少々。△3八同桂成は▲1七玉で詰まないうえ、銀を渡してしまったので、今度は後手玉が詰むだろう。
が、私は△3九角を発見し、どうにか勝つことができた。

しかし△3九角があるなら、△3八銀打ではすぐに△3九角で詰みだった。以下▲同玉△3八銀打▲2八玉△2七銀成▲同玉△3八銀打▲2六玉△2七金までである。
感想戦では男性氏が、「銀冠が残ったまま詰まされたのは初めてです」と苦笑した。そして私たちは、「自信がない」を連発した。
実際は終盤に男性氏に勝ちがあったが、どこかで間違えたと思う。でも、敗因の結論までは出なかった。
大野七段の指導対局は、Shin氏らが戦っている。Shin氏は平手での挑戦で、大野七段が飛車を振っているようだ。Shin氏もよく戦っているが、大野七段が寄せに入った。
私の3局目は少年と。大野教室は2回目だそうで、私の4枚落ちだ。
少年は銀多伝できた。これは端を攻める筋がないから損だが、上手の左の金銀を固定させるという意味で、ある手ではある。W氏が、彼は銀多伝の指し方を、さっき教わったばかりだと言った。
私は左銀を△4二に進出し、下手を圧倒した。どうも私は、初心者相手にも全力で戦うからいけない。それで彼とは2局目を指し、今度は左銀を△2二に上がった。これはいい勝負になったのだが、それでも私が勝ってしまった。
今度は小学生入学前のお嬢ちゃんが入って、私の2面指しとなった。お嬢ちゃんは、平手では負けるかもしれない、と思っているに違いないが、将棋は何が起こるか分からない。
私は2面指しは久し振りで、全然局面が見えない。女流棋士のすごいところは、棋力はともかく(失礼)、多面指しを起用にこなすところだ。よく複数の将棋が同時に指せるものだと思う。私は盤面の差異が全然分からない。それで、相手が指していないのに2手指ししたり、相手が指したのに指し手を待ったりしていた。
お嬢ちゃんとは以前指したことがあり、保護者の父親は、今日2局目に指した男性氏である。
お嬢ちゃんは中飛車できた。これがお嬢ちゃんの得意戦法で、駒落ちだと銀多伝や2歩突っ切りなど、慣れない戦法を指さざるを得ないから大変だ。将棋とは、とくにアマにおいては、自分の指したい手を指すのが本当ではなかろうか。
少年もお嬢ちゃんもよく指し、両者とも私に勝った。寄り形になっている私が頑強な受けを指すと、お嬢ちゃんはじっと考えて好手を指す。やはり将棋は相手の寄せを考えているほうが楽しかろう。
引き続き2局目を指す。これもどちらも、よく指した。
お嬢ちゃんはまたも勝勢になり、ここで▲3三金(図)が好手だった。△同銀なら▲2三竜だ。

私は△2四玉と逃げ出したが、お嬢ちゃんに的確に寄せられた。
少年のほうもよく指したが、私が勝勢になった。だがそこから悪手を連発し、敗勢になってしまった。上手玉が必至になったので、私は下手玉に最後の突撃をする。だが四枚落ちの手合いは、どう指しても上手が勝ってしまうようだ。最後、角成の両王手で下手玉が詰んでしまう。だがそこは私が桂で王手を掛け、逃げられたところで投了した(投了図)。

少年とお嬢ちゃんが、今後も将棋を続けてくれることを信じてやまない。
(つづく)
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3月26日の大野金曜教室(後編)

2021-04-09 00:08:00 | 新・大野教室
W氏いわく、大手時計会社が、対局時計の生産を中止したとのこと。将棋関係者には聞き捨てならない事態だが、対局時計は一度買ってしまえば長期間持つうえ、購入層が異常に限られているので、需要が少ないのだろう。残念な話である。
続いて大野八一雄七段との指導対局である。前回の対局がいつかは忘れたが、私が負けている。もちろん本局は雪辱のつもりだった。

初手からの指し手。△6二銀▲7六歩△5四歩▲5六歩△5三銀▲2六歩△4二玉▲2五歩△3二玉▲4八銀△4二金▲4六歩△8四歩(第1図)

いつもの出だしだが、本局は飛車先の歩を換えるのを保留してみた。▲4八銀から▲4六歩。銀多伝もどきを想定している。

第1図以下の指し手。▲4五歩△8五歩▲7七角△6二金▲4七銀△6四歩▲6六歩△6三金▲6八銀△7四金▲6七銀△6五歩▲同歩△同金▲6六歩△6四金(第2図)

Tod氏はこれにて帰宅。神奈川県に住んでいる彼はどうしても退席が早くなる。今日は二枚落ち戦?の雪辱戦ができなかった。
私の右にはShin氏が入った。「今日は角落ちで」と言ったが、いつもは平手で教えてもらっているということだろうか。
私は▲4五歩と突いたが、ほかの対局が終わり感想戦に入ったため、長い間が空いてしまった。
△8五歩に▲7八金だと、△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8五飛から、▲4五の歩を狙われる。かつて大野七段から、どこかの位を取って突っ張っているときは、上手の飛車先の歩の交換は甘受するくらいがいい、と言われたが、この局面でそれを許すことはできなかった。
私は▲4六銀-▲4七銀の形を完成させてかったが、大野七段の右金がスルスル出てきたので、左銀は6七に据えないといけない。すなわち私の銀多伝構想は、ここで破綻した。

第2図以下の指し手。▲4六銀△9四歩▲3六歩△7四歩▲7八金△7五歩▲6九玉△7二飛▲7五歩△同金▲5九角△7六歩▲5七銀△7四飛(第3図)

それでも私は右銀で▲4六銀。左辺は金銀でガッチリ受けたが、大野七段に△7二飛から△7六歩とガッチリ抑えられ、指しにくさを感じた。

第3図以下の指し手。▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2五飛△3四歩▲3五歩△3三金(第4図)

私はここで飛車先の歩を切る。△2三歩には▲2五飛とひとつ引き、プチ「一公流▲2五飛戦法」だ。
△3四歩にはすかさず▲3五歩。もし△同歩なら▲3四歩と垂らし、▲3五飛だ。これは一本取ったと思ったら、大野七段は力強く△3三金。まったく読んでおらず、私はすっかり考えてしまった。

第4図以下の指し手。▲4六銀△4二銀上▲2六飛△3五歩▲同銀△3四歩▲4六銀△7三桂▲3七桂△1四歩▲2五桂△2四金▲1六歩(第5図)

私の▲4六銀は落ち着いた手だったと思う。△3三金は力強いが、悪形でもある。お互い桂を跳び合ったあと、私は▲2五桂。上手は△2四金と出たが、この形は上手も本意ではないだろう。例えば▲3三歩△同桂▲同桂成△同銀に▲2五歩がある。
私は▲1六歩。上記変化もそうだが、何かのときの△1五金出を防いだ。だが、これが敗着になろうとは、夢にも思わなかった。

第5図以下の指し手。△6五歩▲同歩△同桂▲6六歩△2五金(途中図)
▲2五同飛△5七桂打▲5八玉△4九桂成▲同玉△4七金(第6図)

右のShin氏が「待ったしていいですか」とか言っている。これも自由度の高い大野七段との指導対局だからできることだろう。
大野七段は△6五歩。▲同歩△同桂▲6六歩で、次に△7七歩成からただの桂交換になるのかと思ったら、大野七段は△2五金!


この手がまったく見えていなかった。▲2五同飛に△5七桂打とされ、すべてが終わった。以前、植山悦行七段との急戦矢倉の将棋で、△6五銀と桂を食いちぎり、▲同銀に△7七桂打から攻めつぶされたことがあったが、あれと同じ攻め筋を喰らってしまった。
今回も先に金桂交換の駒得をしているからアレだが、▲6九玉と▲4九金の形を咎められたショックが大きかった。
△4七金と張り付かれた第6図は、もう下手、戦意喪失である。

第6図以下の指し手。▲6五歩△4六金▲2六飛△3五銀▲2九飛△6五金▲3八桂△6六歩▲5八銀△5六金上▲4六桂△同銀▲2六飛△5五桂(第7図)

次に△5七桂成があるから私は▲6五歩と桂を取ったが、△4六金と銀を取られて、もう切れない。
▲2六飛と上がって△3五銀と打たせたが、▲2九飛と引くときイヤな予感がした。というのも△3七桂の筋があるからだ。だけど桂を渡すことはあるまいと思ったら、▲4六桂で桂を渡してしまった。そこで▲2六飛の一手パスは痛かった。

第7図以下の指し手。▲3九桂△6七歩成▲同金△同桂成▲同銀△同金▲4六飛△5八銀▲3八玉△5九銀不成(第8図)

私は▲3九桂と受けたが、△6七歩成からまた駒損になった。
△5九銀不成で角金を持たれた第8図は、角の打ち場所があっちこっちにある。

第8図以下の指し手。▲2四歩△同歩▲2三歩△3三銀▲4七金△5五角▲5二金△4二金▲同金△同銀右▲3七玉△3五金▲5二金△2三玉▲3六歩△4六金▲同金△4八銀不成(投了図)
まで、117手で大野七段の勝ち。

もう受けてもいられないので▲2四歩△同歩▲2三歩で下駄を預けたが、大野七段は「(私の▲2三歩の処置に)意外に難しい」とつぶやいている。まあ△3三銀くらいでダメだろうなと思ったら、ホントに△3三銀と上がられ、クサッタ。
以下は未練がましく指しただけ。私は▲3六歩から斬られに行き、△4八銀不成と綺麗に活用されたところで、投了した。

感想戦で大野七段は、「(第5図の▲1六歩では)▲5八金(参考図)でしょ」と言った。なるほど、そうして足元を固めたあと、前述の▲1六歩~▲3三歩の順を指せばよかった。

てんで読みがなってないと、私はうなだれるしかなかった。
時刻は午後10時を過ぎている。街の食事処はすでに閉まっている。もう長居してもしょうがないので、これで失礼した。
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3月26日の大野金曜教室(前編)

2021-04-08 00:05:51 | 新・大野教室
3月26日(金)は、大野教室の金曜教室に行った。金曜日は午後7時から10時までで、席料は3,500円。大野八一雄七段との指導対局がない自由対局は、午後8時から10時までで2,000円である。私は金曜日の場合、100%指導対局アリ、だ。
定時に入ると、ずいぶん生徒が多い。どうも、昼の子供教室と交わったみたいだ。
巷では将棋道場が衰退状態だが、子供教室はそれなりの需要があると思う。やはり、コーチ役が必要だからだ。
今日の女性は3名。ほかにTod氏の姿があった。今日は昼間に「教室に行きます」と私にメールをくれていた。彼は律義なのである。
やがて子供教室の生徒が帰り、ずいぶんサッパリした。しかしW氏が言うには、それでも今日の金曜教室は客が多いという。
女性のひとりは佐藤氏と指しており、勝った。私は佐藤氏と10局以上戦って全敗である。その佐藤氏に勝つとは、まあ私と比べるのもアレだが、女性は相当強い。
W氏と雑談を続けていると、対局がついた。前回も対局した少年である。
前回は対局時計を使わなかったが、今回は使うことにする。私の飛車落ちで対局開始。前回は私に雑な指し方があったので、今日は序盤から神経を遣った。
彼は対局時計を使いなれていないのか、指してもボタンを押さない。私もいちいち指摘しないので、彼の時間だけが消費されてゆく。ただまあ、持ち時間はどうでもよい。
彼は万全の態勢を整えてから▲4五歩。△同歩に▲同桂△同桂▲同銀ときたが、▲同銀ではやっぱり▲2二角成がベストだと思う。ただ、▲4五同銀も堂々とした手だ。
その後私は角を換わって△3八角から馬を作り、まずまず。
対して彼も▲8二角から▲9一角成と馬を作った。これが地味ながら大きな手で、私も△1九馬と香を取ったが、これがのちに素抜きの筋に入ってよくなかった。
さらに局面が進み、少年▲6六香。これが私の歩切れを衝いた好手だった。歩が利かない筋の香打ちの厳しさは、手筋の中の上位クラスだと思う。
Shin氏が来て、私を見て「おっ、珍しい」と言った。Shin氏は最近、大野教室によく顔を見せているが、というかよく指導を受けているが、1ヶ月パスポートでも使っているのだろうか。
ちなみに1ヶ月パスポートは土日教室4回、金曜教室2回に参加できて12,000円という、かなり割安な企画モノである。私もW氏に勧められているのだが、無職の身でそこまで将棋に注力していいのか、という逡巡はある。それと、ブログネタ的には、1ヶ月に1回行けば十分である。
その後は少年が飛車を見捨てて、上手玉を寄せにきた。厳密にいえば冷静に飛車を逃げて少年が十分だったと思うが、少年はそんなまだるっこしい指し方はしないのである。

第1図。ここで▲5一銀がイヤだったが、少年は▲6三馬。まあ、こう指したくなるところでもあろう。
以下は私が逃げ切ったように見えたが、第2図の▲4四銀に私が誤った。

第2図以下の指し手。△2二玉▲4二飛成△1三玉▲2三金△同玉▲3三銀成(投了図)
まで、少年の勝ち。

第2図で△2二玉と金を取ったのが大悪手。▲4二飛成から詰んでしまった。もちろん詰まないと読んでいたのだが、▲2三金をうっかりした。

いつも静かな少年も笑みをもらした。戻って△2二玉では、△4四同玉で全然詰まなかった。もちろん少年も承知していたようである。
なお第1図で▲5一銀には△4一玉の予定だったが、それは▲3三桂△同金▲4二金の詰みがある。よって△4一玉では△5四銀と上がり、これはこれで難しかった。
となると、少年が飛車を見捨てたのは悪手だったことになるが、まあ、長い人生から見れば些末なことであろう。
2局目まで間が空き、私はW氏としゃべる。ほかの対局者に迷惑になると躊躇しつつも、これがやめられない。考えてみれば、医者と職安以外で私が他人と会話するのは、ここ大野教室くらいしかないのだ。
「この前Todさんに二枚落ちで3連敗したけどさ。まだオレは二枚落ちでいい勝負だと思ってるのよ。だから次にTodさんと指す時は、どうかオレに二枚を落とさせてくれ、って頼むつもりなんだよ」
「それアベコベじゃねえか」
などと、バカな会話をした。
2局目は女性強豪との対戦。私の先手で相矢倉っぽくなったが、女性の△3三角と△5三銀の形が異色だ。
それに気を抜いたわけではないが、女性に手厚く盛り上がられ、気が付けば負けになるほどの大作戦負けに陥った(図)。

消費時間も一方的に消費していたが、ここから女性が緩みに緩む。私は馬とと金しか攻め駒がなかったが、そこから▲5五歩~▲5四歩~▲5三歩成とする手が間に合ってしまい、最後は▲3二馬▲4三と、△1二玉△3二銀の形から、▲2二金まで、私の勝ちとなった(投了以後は△2二同玉▲3二馬△1二玉▲2三銀まで)。
一応感想戦をやったが、私の序盤の指し方がひどく、勝った私が自己嫌悪に陥るばかりだった。
(つづく)
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