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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

3月7日の4時から男(後編)

2021-03-17 00:05:49 | 新・大野教室
右のShin-女性戦は、詰むや詰まざるやの大詰めになっている。
W氏がOk氏との手合いを付けてくれたが、Ok氏は帰るとのこと。Taga氏も帰ってしまったし、年間パスポート利用の2人は引き際が潔い。
もうひとりの女性は佐藤氏と指している。私は三度Tod氏に対局をお願いした。3局目はさすがに異例だが、私が消化不良なのである。
だが時刻は午後6時を過ぎてしまった。現在大野教室は6時まで。これはのちの食事の時間を考慮しているためだ。だが早指しならということで、W氏が許可してくれた。
「持ち時間が短ければ、上手が有利です」
と大野八一雄七段。手合いは三たび二枚落ちとなり、私は今度こそ本当に負けられなくなった。もはやTod氏の温情にすがっている感じだ。
これも定跡通り指したが、私が盛り上がりに成功し、今度こそ勝ったと思った。△7五金△7六歩と抑え、△6五桂と跳ねているからだ。

が、第1図からTod氏の▲7九飛が好手。これで次の▲7六金△同金▲同飛の捌きが受からなくなった。▲8七金の形がここでは奏功しているのだ。これがあるなら私は早く△7七歩成▲同桂△同桂成▲同金△7六歩▲7八金の形にし、▲7九飛を間接的に防いでおくべきだった。
実戦もTod氏に捌かれて苦しくなった。しかも平凡な▲8五銀をうっかりするなど、私は防戦一方。それでも私は、一段目に金を2枚打ち付けて頑張る。こんなに必死なのも久し振りだ。

だがTod氏は的確に寄せの網をしぼる。第2図の▲5二桂成も好手。当然といえば当然だが、この手もうっかりした。私は驚いて△3二玉と逃げたが、▲4一成桂で負けを早めた。
ただ△5二同金も▲同成銀△同玉▲7一竜で上手負け。
本譜も以下、Tod氏の快勝となった。
悪夢の3連敗……。Tod氏に連敗したのは記憶にないから、3連敗は想定外だ。これは実力差なのか、それとも私の棋力がサビついているのか。
「いつもは大沢さんに、こう指されたらイヤだなあ、っていうのがあるけど、今日はそう思っても、大沢さんが指してこなかった」
とTod氏。そうか……。
今日は出だしで連勝したのに、その後は悪い夢を見てしまった。
さて、食事である。佐藤-女性戦の感想戦は長引いており、終わりそうにない。よって参加者は大野八一雄七段、W氏、Tod氏、私など5名となった。場所は近所の定食屋で、久し振りだ。密を避けるため、予約も入れた。
入店すると大テーブルをゆったりと使えたので、5名だが問題なしと判断した。
私は唐揚げ定食を頼む。外食も久し振りで、これも前回の大野教室以来となる。
唐揚げは衣が厚いパターンのやつで、ホクホクして、美味かった。
それにしても熱いのが、Tod戦の3連敗だ。今日が土曜日だったら明日もTod氏を誘って再戦を申し込むのだが、日曜日では適わない。
W氏は「12,000円を出せば月に6回来られるよ」と勧めてきたが、そこまで将棋に熱中したくないところもある。思い立ったときにふらりと来るのがいいのだ。
と、Tod氏が「いつも大沢さんのブログを楽しませてもらってるから……」と、私にFRIDAY図書カードをくれた。デザインはグラビアアイドルの久松郁実で、Tod氏には以前も彼女のカードをもらったことがある。
私にくれるくらいなら自分で使っちゃえばいいのにと思うが、遠慮なしにいただく。
さっき雑談が始まったのにもう8時で、会計である。私は財布から千円札を取り出す。……あれっ?
お札が、2万2千円しかない。昼の時点で2万8千円あったのに、どういうことだ?
あっ! 大野教室で、2千円を払うところを、6千円払ってしまった?
そうだ、暗がりで、しかもお札の中ほどのところから抜いたのが、五千円札だったのだ。
私はそれをW氏に申し出る。するとW氏は「オレも確認しなかった(のが悪い)」と、あっさりと4千円を返してくれた。
これが信用というやつである。ふつうに考えたら、私の言い草はまったく根拠がない。せいぜい数日前からの金銭出納を述べるしかないが、信じてもらえなかったらそれまでだ。私が逆の立場だったら「もう一度財布をよく見ろ。勘違いだろ?」とでも言って返金しないだろう。
最近はこの世がイヤになって、半分自暴自棄になっているのだが、こういういいこともあるのだ。
ただこの4千円は、大野教室で使わなければならないだろう。また顔を出すしかない。
とか言って、いつになるか分からないが。
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3月7日の4時から男(中編)

2021-03-16 00:39:38 | 新・大野教室
3局目はTod氏と。問題は手合いで、いつもは私の二枚落ちで、私のほうの成績がよい。しかしTod氏は先日Shin氏と飛車落ちで指し、勝ったという。また大野八一雄七段とも現在は飛車落ちの手合いだという。Tod氏はLPSA麹町サロンも平手で指しているし、私とも飛車落ちが妥当だとは思うのだが、まだ二枚落ちで誤魔化せそうな気もするのだ。
それで、今回だけ二枚落ちの手合いにしてもらった。
▲7六歩からスタートし、△5三銀まで定跡通り。その後気が変わって△6四銀と出た。「おっ」とTod氏が驚く。Tod氏も定跡通で、小さな変化にすぐ気付くのだ。
私は△5三金と上がり、△7五歩▲同歩△同銀。しかしTod氏に▲5五歩△同歩▲同飛(第1図)とされ、これで上手が負けになっているのに愕然とした。

すなわち第1図で△8四銀や△7四歩は、▲5四歩△6四金▲5三歩成(参考図)で、こんなところにと金を作られては上手の負けである。よって△6四銀と指すしかないが、▲8五飛で飛車成が受からないのだ。

それでも私は△6四銀と指すしかない。だけどTod氏は考えている。結局▲8五飛と指した。当然その手は気付くわな。これでバカバカしくなり、投了した(投了図)。Tod氏は大いに驚いたが、これは時間がかかってもTod氏が勝つから、投了もやむなしだ。

私は泣きの再戦を所望する。もう一度二枚落ちだ。Tod氏も快諾してくれた。
やはり相手陣を威圧するのは金なのだ。今度は私も定跡通り指したが、左銀は不動である。隙あらば△4二銀とこちらに活用する意味だ。
もっとも△4二銀には▲3四歩があるが、Tod氏がそう指さないのは織り込み済だった。
右では女性同士が対局している。相掛かりの難しい将棋だ。こういう定跡から外れた力将棋は、おのが読みに頼るしかない。私には指せない将棋だ。
局面。Tod氏の作戦は前局と同じく銀多伝だ。今度は私もうまく指し、相当に負けにくい形になった。が、Tod氏の▲3六飛にそっぽの手を指したのがマズかった。ここは△4二銀と左銀を活用するところ。これは玉の逃げ道を開けるためでもあり、実はそのメリットのほうが大きい。このあたり、私に心の余裕がなかった。
実戦はTod氏の▲6五歩に、△7五歩(第1図)と打ったのが悪手。これで次の△8七歩成を見て上手良しと見たが、よく見ると▲5五角から寄せにくる手がある。

実戦もTod氏が▲5五角と指し、△同歩▲6四銀△7四玉▲7六飛△同歩▲7五銀打△8三玉▲8四歩△7二玉▲7四歩△6一玉▲6三銀成△4二飛▲7三歩成(投了図)まで、私が投了に追い込まれた。

第1図では予定通り△6六歩と打つべきだった。ただこれも▲同金△同銀▲同角△同金▲同飛(参考図)と捌く手があり、やはり下手がよい。

戻ってその前は△8七歩▲7九角の形だったが、それを△8八歩成▲同角△8六歩と打ち直したのが、のちの▲5五角を誘発してお手伝いだった。
そこでさっきの感想に戻るが、私は△4二銀~△5三銀と活用し、上手の焦りを誘うべきだったのだ。
泣きの再戦まで負かされて、これでいよいよ飛車落ちが確定したが、まだ釈然としなかった。
次の相手は小学生の少年である。さっきOk氏と戦っていた子だ。
少年の先手で、石田流に組んだ。こうなれば私は△7二金から△5四銀左とするいつもの布陣だ。

第1図以下の指し手。▲6五歩△同歩▲同銀△7七角成▲同飛△6五銀▲6四歩△5四銀上▲6七金(第2図)

少年は、仕方ない、という感じで▲6五歩。これには△同歩▲同銀△同銀▲同桂△6四歩で先手の指し方が難しいが、私はそれを先手の注文と見て、▲6五同銀に△7七角成▲同飛△6五銀とした。これでも後手十分と思った。
少年はどうするかと見ていると、▲6七金。持駒不足を補う力強い手で、よく分からないが大いに感心した。

第2図以下の指し手。△9五歩▲7六金△6六銀打▲同金△同銀▲7六飛△6五金▲7九飛(第3図)

私の右では、Shin氏が女性と対局を始めた。Shin氏の石田流である。Shin氏は本当に戦型レパートリーが広い。石田流まで指すのか。
私は少年の気迫に押されたわけではないが、△9五歩はいかにもソッポだった。少年の▲7六金が力強い好手で、善悪はともかく、気勢を削がれた。以下▲7九飛までとなったが、これもおかしな展開だった。

まず△9五歩では、当然△6六歩と抑えるところ。これに▲7六金なら、△同銀▲同飛△6五銀打で、すでに△6六歩が打ってあるから、後の展開がだいぶ違う。
▲7六金にも当然、△同銀▲同飛△6五銀打▲7九飛△6六歩とするところ。△6六銀打は異質な手で、我ながら呆れた。

さらに局面は進み、第4図から△3五銀▲2五飛に、△3三桂で飛車を取りにいったのが疑問だった。以下▲3五飛△同歩となったが、後手は桂を跳ねたため玉頭が薄くなってしまった。
以下は少年の手厚い攻めに、私は防戦一方。その間私は△7八飛~△8八飛成と角を取ったが、2手かけて角を取っても、先手陣には全然響いていない。この忙しい時に何をやっているのだ。
最後は△3四桂▲同角成となったが、ここで後手の受けが難しいのが誤算だった。私は△2二銀と打ったが受けになっておらず、▲3三桂まで投了した(投了図)。

この将棋を負けたか……。私は△9五歩を悔やんだが、少年は無口で、反応しない。さっきからOk氏が観戦していたが、「飛車を取るとき桂ハネではなく△2四歩だったのでは?」と聞かれ、私はその通りとうなだれるしかなかった。「だって守りが弱くなっちゃったもんね」。
Ok氏、攻め一辺倒と思いきや、守りにもいい感覚をしているのに感心した。
(つづく)
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3月7日の4時から男(前編)

2021-03-15 00:51:56 | 新・大野教室
7日(日)は大野教室に行った。最寄りの川口駅改札を出ると、向かいの自動券売機が閉鎖されていた。よく見ると改札口の脇に移動し、台数も4~5台に減っていた。Suicaの類の普及で券売機の需要がなくなり、数が減ったのだ。電車に乗るのに券売機を利用しない。改めて、こんな時代が来るとは思わなかった。
私は財布を取り出し、中のお札の向きを揃えた。現在、お札は2万8千円だ。
2月25日(木)、職安に行く時点ではお札が4千円しかなかった。だが翌週病院に行くので、おろす必要がある。ATMで3万円だけおろした。
3月1日(月)、かかりつけの病院に行って、胃薬と降圧剤をいただく。2,380円で、ピッタリ支払った。つまり千円札を2枚使った。
翌2日(火)は耳鼻科に行き、診察料が790円。ポケットに500円玉があったので、これは小銭だけの支払いで済んだ。そののち向かいの薬局で薬を処方してもらい、これが1,480円。千円札を2枚使い、壱万円札が3枚のみになった。
翌3日(水)、職安に行った帰り、1,000円をチャージし、お札は2万9千円になった。
その後、ビンゴ5を買い立ち食いそばをたぐったが、これは前日のおつりで賄えた。
そして7日(日)、川口に行くために金券ショップでチケットを買い、千円札1枚を使用。これでお札が2万8千円になったというわけだ。このうち、千円札の2枚がピン札だった。ピン札は、それなりのシチュエーションで使いたいと思う。

川口駅からは線路沿いを通り、午後3時55分ごろ入室した。室内では女性2人が将棋の戦型の話をしていた。いままでではあり得なかった光景である。
私はメガネが曇ってしまい、おカネを取り出すのに苦労する。きょうも「4時から男」なので、2,000円の支払いである。私は壱万円札、五千円札、千円札の順番に入れているから、手前の千円札2枚を取り出せばいいのだが、手前のピン札1枚と、中ほどにあるお札を1枚取り出し、W氏に渡した。
大野八一雄七段は対局中。その中にShin氏の姿があった。Shin氏は、以前は4時から男だったのだが、最近は指導対局もよく受けている。私も受けたいのだが、予算の関係もあり、潤沢におカネは使えない。そのくせ「勝手にマッカラン勝負」を目論んでいるのだから、やっていることが支離滅裂だ。
「先生、誕生日おめでとうございます」
今日は大野七段の38歳(ウソ)の誕生日で、そのお祝いを述べるために来た意味もある。
和室でも何人か対局しており、その中にTod氏がいた。実は前夜Tod氏から、大野教室へのお誘いのメールをもらっていた。今日は久し振りに彼と指したい。
Ok氏のところの将棋は終わったが、感想戦に熱が入り、なかなか終わらない。彼の相手は小学生で、三段程度あるらしいのだが、Ok氏が勝ちを逃したらしい。
私はW氏と雑談を続け、気が付いたら20分が経っていた。私はある女性と対局がついたが変更があり、上とは別の少年と指すことになった。私の飛車落ちである。
彼は「目がかゆくなった」とかで、さっきから左目をゴシゴシやっている。眼薬があればいいが、そんなものはないし、仮にあっても、それが最適かどうかは分からない。
対局が始まったが、少年は目が気になり、将棋どころではない感じだ。
私は△3三桂をうっかりして△6二銀と上がったりして、実戦不足の弊害が出ている。だが少年は、▲4五歩と仕掛けなかった。
「あれっ、大沢さん来てたの!」
とOk氏。いまごろ気付いたか。
その後は定跡通り進んだが、私は交換した角を△3八角と打ち、△2七角成と馬を作って、かなり手厚くなった。

第1図は飛車馬交換が行われた局面。ここで少年は▲7二角と打ったが、△6二金▲8三角成△3九飛▲4六金△4九飛成(△9九飛成だったか)となって、上手がよくなった。
第1図で私が恐れていたのは▲6一角で、△同玉に▲6三馬は、かなり上手が気持ち悪い。ただ、少年がそう指すようなら、序盤で▲4五歩と指していただろう。
将棋は私が勝った。少年は目が気になり、心ここにあらずだった。
2局目はTaga氏と。Taga氏と指すのも久し振りだ。Taga氏の先手で、▲7六歩△3四歩▲6八飛△8四歩▲4八玉。ここで私は△4四歩と変化し、Taga氏がのけぞった。Taga氏得意の角交換~向かい飛車ができなくなったからだ。私も、いつも相手の得意戦法ばかり指させるわけにはいかない。

将棋は第1図から△6六角▲7七桂△4六歩▲6七銀△4七歩成▲6六銀△6七金▲9八飛△6六金(第2図)と進んだ。
△4六歩に▲同金は△5七角成があるのでTaga氏は角を取りに行ったが、私はありがたく金を取り、その金で泥臭く銀を取りに行って、優勢となった。

そして第2図からは▲5五歩△3三桂▲3五歩△同歩▲5四歩△同銀▲3四歩△同金▲6一角△5二飛▲同角成△同金(第3図)と進んだ。
この進行で、双方疑問手を連発している。すなわち▲5五歩に△3三桂が疑問手で、Taga氏の▲3五歩では、▲8三角△4二飛▲4七角成(参考図)で、相当先手が粘れた。

△5四同銀の局面でもまだ▲8三角のチャンスはあったが、Taga氏は別の方向を見ていたようで、▲3四歩。この時点で私は▲8三角に気付いていたが、△3四同金で窮地を脱した。今度▲8三角は△4二飛で、4七のと金にヒモが付くからだ。
だが▲6一角に私が、△3四金の両取りと錯覚して△5二飛としたのがどうだったか。だが△4二飛でも▲5三角成があり、△5二飛は結果オーライだったようである。
以下、私が制勝した。

感想戦では▲3四歩で▲8三角の変化をやったが、後手有利に変わりはなかったようである。
Taga氏は私の天守閣美濃にしてやられたようで、これがあるなら▲3八玉では▲3八銀を先にすべきだったという。それなら天守閣美濃には▲3九玉形のまま藤井システムを取れたというわけだ。なるほどTaga氏も細かい所をよく見ている。
かくして私は2連勝となったが、全体的に読みにまとまりがなく、実戦不足は否めなかった。
果たしてこの後、悪夢を見ることになる。
(つづく)
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2月6日の4時から男(後編)

2021-02-20 00:06:05 | 新・大野教室

第3図以下の指し手。△4三金▲3二銀△4四金▲4一銀成(第4図)
以下、Shin氏の勝ち。

私は△4三金と引き、次に△4四歩を見せたが、あまりにも悠長で、負けを早めた。Shin氏の▲3二銀が当然ながら好手で、後手はもう収拾がつかない。
実は△4三金と引くとき▲3二銀が見えたのだが、代わる手もなかった。
以下はボロボロになって、形も作れないまま投げた。

感想戦をやってもしょうがないが、第2図でShin氏は△4二飛を恐れていたという。なるほど、1枚多く4五に利かせるわけか。だがそれも検討を進めると先手がよくなり、クサッタ。
もっともShin氏も反省点はあって、▲2四歩△同歩の突き捨てが余計だったという。これがなければ第3図で▲1一銀と、飛車を殺す手があった。
どの変化もことごとく後手が悪くなり、踏んだり蹴ったりである。次回はもう少しマシな将棋を指したいものだ。
「この前の新宿将棋センターは2人でしたよ」
と大野八一雄七段。指導対局希望者が2人しかいなかったという。同センターは3月いっぱいで閉席となるが、こんな状態ではやむを得ないのかなと思う。
大野七段は少年と飛車落ちの指導対局をやっていたが中断し、私と少年の対局となった。
少年は4人目の棋客で、このコロナ禍において熱心なことだ。
私は飛車落ちでもいいのだが少年が納得するはずもなく、少年の先手で対局開始。また私が四間飛車に振った。彼の急戦もいつも通りだが、今日は▲4五歩と、4筋攻めに来た。
私は定跡通り進めるが、少年が▲9五歩△同歩の突き捨てを入れなかったのが緩着。数手進んで私は、▲2一の馬取りに△5一飛と自陣飛車を打つ。これには▲3三桂と打つ一手だが、私は△5五歩(第1図)と打って指しやすさを感じた。

少年は▲同角と取ったが△同銀で、駒得になった私が有利になった。
だが少年も妖しく力を出し、形勢は不明になった。この少年と飛車落ちで指そうとしていたのだから、私も無謀といえば無謀だった。

そこから数十手進んで第2図。ここで私は△4七歩成▲同歩△1九角成とし、▲3四馬△5五馬以下ネチャネチャした戦いになった。しかし第2図ではシンプルに△6五桂▲6六銀△5七歩と攻めたほうがよかったかもしれない。

さらに進んで第3図、ここで私は△3二角と打ち、▲3一飛成△7六馬▲7七金△2一角▲7六金△同角と進めたが、ちょっとおかしかった。
まず、△3二角と繋いだのが悪手。こう打ったため、△3二角が負担になってしまった。前回Kob君との一戦で、△7六馬に繋いで△5四角と打ったが、Kob君に喜んで▲7六飛と取られ、形勢を損ねた。あの悪夢があったのに、また私は似たような手を指している。全然学習していない。
本譜は少年が▲7六金と馬を取ったので私の被害も最小限で済んだが、▲7六金では▲2二飛とされたら、△2一角の処置に困っていた。
もっともそこから私も攻めあぐね、秒に追われて△7七銀と打ったのが悪手。少年は▲同桂と駒得に走らず、黙って▲6九玉と引いたのが好手で、これで△7七銀がスカタンになってしまった。
戻って△7七銀では△7七歩成と軽く指し、▲同桂△同型成▲同銀△8五桂とし、先手が▲7八玉形のうちに攻めを繋げるのだった。

第4図は私が△5七歩と叩いた局面。ここで少年が▲6五銀と桂を外したのが好判断で、私は△5八歩成▲同玉△6五歩としたが、▲7五桂で先手勝勢となった。
△5八歩成では△6八銀打▲同金△同銀成▲同玉△5八金▲7九玉△6五歩を考えたが、▲7八歩で負けと読んだ。しかし△6五歩では△7七歩成で先手も気持ちが悪い。よって▲7九玉では▲7八玉△6五歩(参考図)となるが、それでも▲5五角ぐらいで先手が余せそうだ。

以下私も妖しく頑張ったが、最後は即詰みに討ち取られた。最終▲8三金打!とした少年の手つきは力強く、私との平手戦初勝利のよろこびがあふれていた。
一応感想戦に入ったが、私は第3図からの△3二角を真っ先に悔やんだ。また△5一香▲5三歩の局面で私は△5三香と走り▲5八金に当てたが、これは5筋の守りが弱くなってよくなかった。
△5三香では△5三金寄とし、次に△6三金寄と戻り、香はあくまでも5一に置いたまま、竜筋を遮断していなければならなかった。
ふぅ……。少年とはこの前まで私の大駒落ちだったのに、ついに平手で負かされてしまった。これだから子供の成長は恐ろしい。
なんだか今日はスッキリしないので、Shin氏に2局目を請う。しかし6時も近いので、見送りとなった。
その代わりというわけではないが、Shin氏が大盤にて、実戦詰将棋を出してくれた(図)。Taga氏の実戦に現れたものだという。13手詰らしい。

私は考えたが、詰め上がらなかった。ただ、最初の3手は合っていたようだ。
大野七段は少年と指導対局のつづき。それが終わり、少年は帰宅した。現在大野七段と少年の手合いは飛車落ちで、今日は1勝1敗だったという。もう、ふつうに定跡通りに指したら少年が勝つらしく、2局目は大野七段が定跡を外し、何とか勝ったという。角落ちになるのも時間の問題であろう。
別の指導対局では、以下の局面が出現していた(図)。居飛車が優勢と見るが、ここでの正着が分からないという。

ためしに将棋ソフトにかけてみると、ソフトは「▲6六金打」を示した。これに△同角▲同金△5七歩成なら、▲4六角からと金を抜こうということか。
「なるほどそう指すのか。いや居飛車がいいということは分かったんだけど、そこからどう指すかという具体的な手順が見えませんでした」
と大野七段。
これが将棋ソフトの理想的な使い方なのかもしれない。

食事は大野七段、Shin氏、私の3人で、いつものインドカレー屋に行った。W氏がいないのが珍しく、この組み合わせは初めてかもしれない。
美味しくカレーをいただいたあと、軽くおしゃべりになったが、時節柄景気のいい話も出ない。なんだか締まらないまま散会となった。
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2月6日の4時から男(前編)

2021-02-19 00:06:02 | 新・大野教室
この6日は埼玉県川口市にある大野教室に行った。午後3時45分ごろ入室し和室に入ると、Ok氏とShin氏が対局中で、それをTaga氏が見物していた。ほかにアマ棋客はいなかった。この緊急事態宣言下では外出も億劫で、その影響がモロに出た形である。おまけに、W氏も休みだった。
Ok-Shin戦は終盤戦だったが、私はTaga氏と対局を始めてしまう。Taga氏の先手で、角道開けの四間飛車。これは角を換わって向かい飛車にする狙いで、Taga氏の十八番でもある。でも私は迎え撃つことにした。
Ok-Shin戦はすぐに終わってしまい、もうほかの組み合わせはないから、中途半端になった。これなら少し待って、私-Shin戦を始めるべきだった。
私は△4四角から△6五銀(第1図)とゆさぶる。しかし狙いが単純で、あまりよくなかった。


それでも数手後に私が香得して十分に思えたのだが、Taga氏も飛車を捌いて悪くない。しかし第2図でTaga氏が▲7三銀と打ったのがどうだったか。△7三同桂▲同馬△8六飛は、この右桂と銀が交換になって、私がずいぶん得をした。
戻って第2図では、露骨に▲8三銀もあったかもしれない。私も△6三香と打ち飛車の取り合いになるのだが、これは先手の銀も遊びそうなので、まあいい勝負だと思っていた。
ともあれこれで私が優勢になったはずだが、数手後Taga氏の▲6四桂△5一金引▲5二香が俗手ながら厳しい攻めで、これで逆転し、Taga氏が良くなった。
だがその直後、Taga氏の▲6二歩成が重大な一手パスだった。こんなに力を溜めなくとも、すぐに▲5一香成~▲5二桂成と迫ってTaga氏の勝勢だった。
本譜は私が△2二玉まで逃げ越せたことが大きく、再び逆転である。私は反撃に転じ、第3図は後手勝勢。

以下、△2七桂成▲同銀△同香成▲同玉△3五桂まで、私の勝ちとなった。
感想戦は第2図のあたりを中心にやったが、後手十分の変化も多かった。
お次はShin氏との対局である。隣では、Ok-Taga戦が始まった。Shin戦は私の後手で、▲7六歩に△3四歩。一瞬△8四歩も考えたが、矢倉はやる気がなかった。
以下、Shin氏の居飛車明示に私の四間飛車になった。Shin氏は飛車を浮き、左銀を動かさず▲6八金直。Shin氏は最新戦法を取り入れるのがうまく、以前横歩取り青野流の速攻を喰らってひどい目に遭ったことがある。今回の布陣も研究済みで、私も警戒せねばならない。成算はないが、私は△6三銀~△7二金と変化してみた。
右の将棋は、Ok氏がお神酒指しのような形から、△1七角成と歩をちぎっての突貫攻めに出た。Ok氏は以前もお神酒指しだったからマイブームなのだろうが、この攻めに関しては明らかに無謀だ。Ok氏、簡単に大駒を切る癖は克服したと思ったが、またぶり返してしまったようだ。
Shin氏は▲3五歩と仕掛け、私は△3二飛と寄る。

第1図以下の指し手。▲3六飛△2二角▲3四歩△同銀▲3三歩△同飛▲4四角△3五歩▲2六飛△4三金▲8八角△3二飛▲2二角成△同飛▲1一角△3二飛▲6六角成△3三角▲5五歩△4四金▲5六馬(第2図)

▲3六飛と力をためた手に、私は△2二角。さらに▲3四歩以下部分的な定跡手順になった。
▲2六飛に△4三金は手堅いが、金銀がバラバラになるのでマイナスの部分のほうが大きい。
▲8八角△3二飛に角を換わり、▲1一角が好点。角筋を避けた角上がりが、ここでは居飛車に有利に働いている。
ここで△3三角も考えたが、▲2二角成△同角▲8八銀のあと▲4一飛が厳しく残り、後手いけない。よって△3二飛だが、▲6六角成の形は先手が手厚く、十分になった。
△3三角には冷静に▲5五歩とされ、私は△4四金と上がったが、次に△4五歩と打てるわけでもない。▲同桂△同銀▲同銀△同金に▲3四銀があるからだ。

第2図以下の指し手。△4二角▲2四歩△同歩▲4五銀△同銀▲同桂△3六銀▲3三歩△2二飛▲4六歩△2五歩▲2九飛(第3図)

Ok-Taga戦は、Ok氏の角損の攻めが通って、Ok氏が勝勢だ。あの攻めでも勝ってしまうから、また無理攻めがやめられない。ここは難しいところである。
そのOk氏がいう。
「大沢さんもなあ、オレと駒落ちをやったときは、自分の勝ち筋しか言わねえんだもんなあ。もっと下手の勝ち筋を教えてくださいよ」
それはもっともだが、下手は指し始めの時点で優勢なのだから、意外に教えるところもない。それより、上手が逆転したのに勝ち切れなかったことのほうが問題だ。私はその勝ち筋を探しているのである。
第2図で先手は▲3四馬△同金▲4三銀の狙いがある。それを避けて私は△4二角と引いたが、これも覇気のない手だった。
Shin氏は▲2四歩と突き捨て、▲4五銀と待望の進撃である。△同銀▲同桂の局面は先手の駒がすべて捌けて、優勢は疑いない。
ただここで後手の番なので、反撃するなら唯一のチャンスだ。私は△3六銀ともたれたが、▲3三歩△2二飛に▲4六歩と穏やかに指され、△3六銀がボケてしまった。△2五歩と突いたが▲2九飛と引かれ、とても2筋攻めは間に合わない。
もう後手敗勢だが、次の手は負けを早めた。

(つづく)
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