遊牧より農業のほうが、自然破壊をともなう。
古代中国は農業帝国であり、黄河流域で文明をつくりあげたが、殷以前は華北は大森林だったという説があり、いまはない。農業が森林を消したのである。採暖、それに金属冶金が森を消したといっていい。
草原の民族が、基本的に農業民族をきらうのは、一つにはそういう破壊性である。
遊牧は自給自足だが、すこしは交易しなければならない。
絹と穀物(わずかでよかった)において欠けるのである。ただ、古代、貨幣経済が匈奴におよんでいなかったため、農業帝国中国とのあいだでなめらかには交易できず、ときに略奪した。が、歴史がすすむとともに両者に交易のルールができた。
・・・農業帝国からいえば、ときに迷惑だった。毎度馬ばかりもらってもしかたがない。
チンギス・ハーンが、…国々の障壁をとりはらった。
このおかげで、それぞれの地域の物資や文化が広域に流通した。遊牧民族自身も、足らざるを補うようになった。農・商地域を征服したおかげで、当時すべてのモンゴル人が、西洋人でいう騎士になった。
モンゴル帝国がどの民族よりも重用したのは、イスラム教徒だった。アラブ人は海路の交易にすぐれ、ペルシャ人は陸路ラクダによる遠隔商業に習熟していた。かれらは世界じゅうの地理や商品のことを知っていた。
モンゴル帝国にとっていちばん価値がひくかったのは、漢民族だった。
・・・当時のイスラム人のように世界の地理、産業、民情に通じていなかった。モンゴル人は、中国人の知識をバカだと思っていた。むろん、中国人のほうも、モンゴル人を儒教が規定する野蛮人とみていたが。
・・・
17世紀以後のモンゴルは悲惨だった。
中国(清朝)がよくなかった。
・・・
本来、自給自足だった草原に、カネとモノとがにわかに侵入したのである。抵抗力のない体に病原菌を吹き入れるようなもので、モンゴル社会はたちまち発熱し衰弱した。
・・・
「買売(商売)しよう」という中国語は、結果としておそるべきことばになった。モンゴル人にはカネがなく、牛馬や羊、山羊しかもたなかった。それでも漢人(中国人、清人)は容赦なくマイマイした。モンゴル人にモノを売り、あるいはカネを貸した。担保として家畜をとった。
返済できなかった多くのモンゴル人が、草原をさまよった。
・・・
近代国家は、商人の「マイマイ(買売)」によって成立している。
「モンゴル素描」 司馬僚太郎著より
どちらかというと、野蛮な遊牧よりも農業の方が自然を破壊しているという論法はショックだった。
日本でも、西日本の農業の耕地化が進み、蝦夷たちは武力で追われたわけではなく、ただ草獣がいないため東へ東へと移動したと思える。
[陸奥]
きょうは、その農業民と放牧民の考え方を扱った。
古代中国は農業帝国であり、黄河流域で文明をつくりあげたが、殷以前は華北は大森林だったという説があり、いまはない。農業が森林を消したのである。採暖、それに金属冶金が森を消したといっていい。
草原の民族が、基本的に農業民族をきらうのは、一つにはそういう破壊性である。
遊牧は自給自足だが、すこしは交易しなければならない。
絹と穀物(わずかでよかった)において欠けるのである。ただ、古代、貨幣経済が匈奴におよんでいなかったため、農業帝国中国とのあいだでなめらかには交易できず、ときに略奪した。が、歴史がすすむとともに両者に交易のルールができた。
・・・農業帝国からいえば、ときに迷惑だった。毎度馬ばかりもらってもしかたがない。
チンギス・ハーンが、…国々の障壁をとりはらった。
このおかげで、それぞれの地域の物資や文化が広域に流通した。遊牧民族自身も、足らざるを補うようになった。農・商地域を征服したおかげで、当時すべてのモンゴル人が、西洋人でいう騎士になった。
モンゴル帝国がどの民族よりも重用したのは、イスラム教徒だった。アラブ人は海路の交易にすぐれ、ペルシャ人は陸路ラクダによる遠隔商業に習熟していた。かれらは世界じゅうの地理や商品のことを知っていた。
モンゴル帝国にとっていちばん価値がひくかったのは、漢民族だった。
・・・当時のイスラム人のように世界の地理、産業、民情に通じていなかった。モンゴル人は、中国人の知識をバカだと思っていた。むろん、中国人のほうも、モンゴル人を儒教が規定する野蛮人とみていたが。
・・・
17世紀以後のモンゴルは悲惨だった。
中国(清朝)がよくなかった。
・・・
本来、自給自足だった草原に、カネとモノとがにわかに侵入したのである。抵抗力のない体に病原菌を吹き入れるようなもので、モンゴル社会はたちまち発熱し衰弱した。
・・・
「買売(商売)しよう」という中国語は、結果としておそるべきことばになった。モンゴル人にはカネがなく、牛馬や羊、山羊しかもたなかった。それでも漢人(中国人、清人)は容赦なくマイマイした。モンゴル人にモノを売り、あるいはカネを貸した。担保として家畜をとった。
返済できなかった多くのモンゴル人が、草原をさまよった。
・・・
近代国家は、商人の「マイマイ(買売)」によって成立している。
「モンゴル素描」 司馬僚太郎著より
どちらかというと、野蛮な遊牧よりも農業の方が自然を破壊しているという論法はショックだった。
日本でも、西日本の農業の耕地化が進み、蝦夷たちは武力で追われたわけではなく、ただ草獣がいないため東へ東へと移動したと思える。
[陸奥]
きょうは、その農業民と放牧民の考え方を扱った。

たった一日で、霧氷は無情にも溶けてしまうのですね。
きょうのブログ友宅では、「障子に大根おろしを塗ると黄ばみが白くなる」の記事でしたから、Kさん宅は障子岳の霧氷でした。
障子の柄に霧氷も好いです。
司馬僚太郎は、大阪大学外国語学部)の蒙古語学科を専攻したので、モンゴルにはこだわりも深いと思います。
蒙古が築いた広大な領土を、そのまま継承していまの中国があるのですね。
鉄器を作るには大量の燃料が必要で、領土的野心を抱いて侵略したこともあったでしょう。
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/8eaf9d9c6cf627e58f0fee5f5f9d98d9
木材は、燃料にもなるし紙にもなります。
歴史を見れば、遊牧民が世界制覇するという偉大な足跡があります。
現在では、日本の国技を制覇しています。
今も昔も偉大な民族ですね。
>2020年の東京オリンピックは、7月24日開会とのことで、酷暑の中を倒れる選手が続出しそうで心配です。
欧米の人気プロスポーツとかぶらない日程にするため、真夏の開催になったようです。
日本の暑さに外国人選手たちが耐えられるのでしょうか。
昼間はできるだけ避けて、早朝とか夕方からの競技開始を選択するかも知れませんね。
先ず 大相撲を 思い浮かべます
>きょうは、その農業民と放牧民の考え方を扱った。
人間は いずれにしても
活きるため 色々な形で自然を破壊しているのですね